TCATA総会に参加

7月31日、私はロサンゼルス国際空港に降りた。日本はとても暑かったというか蒸し暑かったのだが、ここロサンゼルスはとてもドライな空気で心地よい。Sankosha USAの営業マンBudさんが迎えてくれて我々はここから2時間かけてOjai Valley Innというリゾートホテルに向かった。

(Ojai Valley Innの入り口。すでに高級リゾートの雰囲気満載!)

(今回泊まった部屋。一人で泊まるのがもったいない)

なんて素晴らしいリゾートだろうか!多少は期待していたが、ゴルフ場併設、プールは二つ、近くにワイナリーもあってあまり外に出る必要のないリゾート。まるで数年前にカリフォルニアのナパバレーを訪問した時に泊まったSilveradoリゾートと同じ感じだった。雰囲気からして高級感満載だったがTCATA(Textile Care Allied Trade Association)といういわゆる全米機械組合に参加してきた。私が初めてこの会に参加したのはもう5〜6年前であろうか・・・。サンディエゴの総会に参加したのがつい最近の事のように思い出される。その時は私が唯一の日本人、というか外国人で後は全員がアメリカ人なのだ。
今回も参加者リストを見ると僕だけ・・・、と思ったら日本人がもう一人。「誰だろう?」と思うほど聞いたこともない会社と人の名前であった。後で聞いたらこの方は岐阜県のとあるメーカーでこのたびウェットクリーニングの機械を作ると言うことでそのリサーチに派遣されてきた、と言うことだった。まだ機械も作られていない、と言うことで文字通りのリサーチ活動だったようだ。この方との話し合いについては後ほど紹介しようと思う。
早速この日の夕方からWelcomeパーティー。私ももちろん出席したのだがとても華麗なパーティーである。この豪華なリゾートのテラスを使ってビジネスカジュアル(いわゆるノーネクタイ、ジャケット不要、襟付きシャツ)というドレスコード、そこにビールやワイン等を提供するバースタンドがあって人々がグラスを手に談笑している。その間に店員さんがお皿を手に一口サイズのシュリンプカクテルなどのおつまみを持ち歩き、人々に勧めている。この空間が何ともアメリカ的である。日本人である私がこのようなパーティーに参加するといつも上質感を感じる。「日常的な空間と全く違う場所に来ると会社の枠から離れていろいろな話しをする事が出来る」と皆が口をそろえて言う。ビジネス上は競合であったとしてもこういう場所では皆仲良く話す。私はすでに4回目の参加、と言うことで半分以上は知り合い。すっかりSankoshaのKenさんとしておなじみの顔になっているようだ。ただ日本人として残念なのはアメリカの時事問題や文化、日常の常識が全くわからない事。ひとたび彼らが一般的な話しや冗談が始まるとどうも話しについていけない。考えてみれば我々も日本語で俗語や流行ネタなどを楽しむわけだが、日本語がわかる外国人に我々の話にどれだけついていけるか?というとよっぽど日本に住んでいる日本語のよくわかる外国人じゃないとわからないのだ。人々のコミュニケーションに入っていくのはとても難しいのだ。

(参加者の一部との写真。見ての通りアメリカ人しかいない!)

(レセプション後の夕食会。いつもお世話になっている人ばかりでホーム気分)

Welcome Receptionが終わり、一部の皆さんと一緒に夕食。そこでもたわいもない話しではあるがわかる話であれば参加するし、わからない話になると食事とワインに集中する。そんな中でも皆さんの顔色を伺いながら食事をしていると目が合う。友達として仲良くなるというのはこういうことなんだろう。何とも長い一日だったが上々のスタートである。

8月1日、この日はゴルフトーナメント。TCATAでは必ず初日の朝にゴルフコンペが開催される。ただ面白いのは個人戦ではなくチーム戦なのだ。同じ組でまわる人々がチームメイトで、4人が打ったベストボールを選んでそこから更に4人が打つ。こうなるとバーディー奪取率が高くなってくるので如何にボギーを打たずにバーディーをとり続けるか?が勝負となるのだ。私はこのトーナメントが好きである。何故ならば同じチームでプレーする仲間と本当に仲間になれるからだ。今回はFabricleanのOrville JohnsonとSeitzのKurt Wickserの二人。我々は3人でプレーする事になったのだがこの二人は昔から良く知っている。陽気なOrvilleに静かなKurt、どちらも体は185cmはあるだろうか・・・。本当にアメリカ人はでかい!しかしゴルフは負けない!!
とても楽しくラウンドが出来た。この4時間半を大騒ぎしながら楽しめた。しかも1つのイーグルに8つのバーディー、トータル10アンダーで優勝できた。実際に、参加者の多くは私の組が優勝するのでは?と思っていたらしい。私はここでもゴルフが上手で有名になっている。こういうのも覚えてもらえる一つの大きな武器である。パーティー後に数名が私のところに来て「来年は絶対に俺と一緒の組になってくれ!」と声をかけてくれる。ゴルフはもっと練習しておこう!

(朝の練習場。皆、一生懸命!)

(14番ホール。Sankoshaがスポンサーになっていたのでここで一枚!)

(見事この3名で優勝。左端がKurtさん。右端がOrvilleさん)

午後は自由時間なので同行しているBudさんと一緒に自転車で近くのワイナリーへ行った。自転車で行けるなんて面白い!ユニークなワインをいくつか試飲させてくれた。こんなところで気軽に飲めるなんて素晴らしい環境である。

夕方は全員で夕食会。それぞれがいろいろな過ごし方をしていたようで全員がカジュアルな格好で参加してきた。私はForentaのRusty Smith社長と一緒に座った。彼の会社も仕上げ機メーカー、いわゆる競合である。しかしここではそんなの関係なし。今後どうなるかもわからないし、せっかくの会合なんだから仲良くした方が楽しく過ごせる。世間話から仕事の話しまでいろいろ話した。ワインが進んで仕方ない。結局、何を話したんだか覚えていない。しかし、私は基本的に人々と仲良くしたいタイプなので嫌われるような言葉を発することはないから覚えていなくても心配ない。ただ約束事はこういうところですると危ない。気をつけないと・・・。

(参加しているLadiesと。いつものメンバーなのですでに顔なじみ!)

(こちらもいつものメンバー!こちらも顔なじみ!)

(ForentaのRusy社長とカリフォルニアの代理店の社長と!)

8月2日、午前中はセミナーである。SNS等を有効に使ったマーケティングのセミナーだったのだが・・・、ここで時差ぼけ発生!急に眠たくなる・・・。「頑張って聞かないと・・・」という奮闘もむなしくぐっすりと1時間寝てしまう。このセミナーは2時間半だったので後半をある程度聞くことは出来たが残念!日本とは16時間の時差があるのだから無理はない。

夕方は自由行動なのだが我々はMilnor・Chicago Dryのパーティーに呼ばれて参加してきた。毎回、彼らのパーティーには招待されて行くのだが、こういう付き合いは本当に感謝に値する。残念ながら彼らの業界と我々の業界は違うので商売で一緒になることはなかなかないが、彼らが作っていない機械を我々が作っていることから彼らの代理店が我々を求めることがあるのだ。そんな中での付き合いなのだが、すでに多くの販売代理店がSankoshaブランドをよく知っている。特に何を話すわけでもない。しかし、この場に居る事が大切なのだ。彼らと知り合いになる事が大切なのだ。今後何が起こるかわからない。そんな時に相談相手になってくれるかもしれないし、彼らが販売してくれる事になるかもしれない。ビジネスとはそんなものだ。

(リゾートの外にあるレストラン。今晩の会場!)

(主催のMilnorのRick Kelly夫妻と。いつも仲良くしています)

8月3日、午前中は同じくセミナー。最近のアメリカの会合は午前中のみの拘束で午後は家族の為に時間をオープンにする。そうすることで家族全員でこのようなリゾートを訪問する事が出来るし会社の為にもなる。もちろん、経費にもなるわけだから全てのおいてハッピーである。残念ながら私は家族を連れてきていないのだが・・・。
こんな夢の時間を過ごしてきたのだがもう最後の晩餐である。全員が正装してきた。ここがまたアメリカと日本の大きな違いである。アメリカの上流階級には相変わらず素晴らしいドレスコードが残っているのだ。日本はどうだろうか?ある会社の創業50周年パーティーだとしても真夏に開催されると平服での参加となってしまう。本来だったらどんなに暑くてもそこは正装すべきではないか?と思ってしまう。ここら辺の文化レベルがまだまだアメリカの方が高いのか?と感じてしまう。

(今回、参加しているLadiesの集合写真。皆さん、ホントお元気!!)

例の日本人も参加していた。この数日間、時々目を合わせては話しをしていたのでだんだんと面識が出てきた。この方は岐阜の豊実精工という会社で全く異業種の会社なのだが、洗濯機を開発したらしい。そしてその洗濯機をどうやって販売していけば良いのか?と言うことでアメリカの展示会に出展し、そこでTCATAと出会い、今回この会にやってきたとのことだ。しかし、販売実績がないだけでなく代理店も顧客も知らない中でこの会に出てくるとはすごい事だ!今後どのようなお付き合いになるかわからないが、この縮小する業界の為に是非頑張ってもらいたいと心から思った。

(豊実精工の松山さんと一枚。よく参加してきた、と私は感心し続けた)

さて、この会に参加して改めて思った事は3つ。
1.リゾートでの会合は人々を繋げる大きな機会である。
※それぞれの会社を訪問してもこのようなフレンドリーさを作り出すことは出来ない
2.人々と仲良くなることが今後のビジネスに大きな可能性を生む
3.ビジネスは一人で作り出すことは出来ない。人々に支えてもらう事を第一に考える。
本当に有意義な4日間であった。参加した全員がそのように考えているだろう。後は周りの人々が我々のビジネスを本当に魅力的に考えるかどうか、である。彼らを熱狂させるような製品を作り続けたいものである。そんな事を感慨深く考えながら楽しく過ごした晩だった。

(最後はMilnorのRick KellyとRuss Poyの2名と!)

Jeeves Indonesiaの変化

7月10日、神奈川県の秦野市にあるゴルフ場にてゴルフコンペに参加していたのだがインドネシア行きのフライトはこの日の午後6時。一番最初の組にしてもらうことで参加と条件にしていたのだが、当日プレーをしているうちに「このスケジュールは無謀かも?」と不安になってきた。自身のゴルフ好きにも参ったものだ。ラウンドを終えて私は急いで車を成田空港に向けた。途中で渋滞でもしていたらアウトだったがなんとか無事に空港に到着した。そして予定通りのJAL便に乗る事ができ、ジャカルタに到着したのは夜11時半であった。時差は2時間あるので日本時間の夜中1時半と言うことになる。もちろん迎えはなしでそのままタクシーに乗ってやっとホテルに到着したのは夜中の1時。朝早くからゴルフやってホテルに入ったのが日本時間の翌日の朝3時半。若さがないと出来ない。もう50歳を超えたので若くないのだが・・・。

(なんとか乗れたJAL725便!)

7月11日、すでに現地入りしていた海外営業の杉島部長、そしてロバートとロビーで合流。ロバートはインドネシア人だが三幸社の正社員である。彼のお父様が昔Jeeves Indonesiaの幹部で、そのご縁から彼は三幸社に研修しに来たのだ。当時の彼はまだ会社に入社するかどうかもわかなかったが「とりあえず日本に来てみたい!」と言うことで5年間のVISAをもらって始めたのだが、結果的に社員登用する事となったのだ。もちろん、彼の希望もあってのことであるが、我々からするとこういう形で社員になってくれるのはとてもありがたい。何故ならば三幸社の売上はすでに海外の売上が全体の売上の80%に達しているからだ。彼のように英語、インドネシア語が堪能で、そして日本語もある程度わかるようになってくれると海外販売の戦力として将来とても役に立つ。
本日の予定は展示会への参加、そしてJeeves Indonesiaへの訪問だ。Jeevesは経営チームが変わったと聞いたのでどのようになったか、とても楽しみであった。

展示会場に到着するとその展示会は更に大きくなっていた。Sankoshaは今回で4回目の参加、この展示会がスタートしてから毎年参加しているのだ。会場がどんどん大きくなっているのはとても喜ばしいのだが、残念な事にドライクリーニング部門の会場は小さくなっている。結局、展示会の丁を成すためにフロアクリーニング等が昔から一緒に参加していたのだが、今回はボイラー業界、そしてトイレ業界までがこの展示会に参加している。ボイラーはまだ考えられなくはないが、何故トイレ?ここにこの展示会の苦悩がわかる。やはりランドリー・ドライクリーニング業界だけでは運営は難しいのだろう、と考えさせられる展示会である。

(展示会のレイアウト図。これだけを見ると大きくなっていたのだが・・・)

(我が社のブース。代理店の中に大々的にレイアウトさせてもらった)

(タイ製のシングルボディ。日本製だと価格がなかなか合わない)

会場に1時間くらいいただろうか・・・、すぐに迎えが来て私はJeevesに向かう事になった。迎えてくれたのは娘さんで部長のMichelleさんとご主人のRakaさん。1時間ほどのドライブだろうか、到着したら見覚えのある建物が目の前に現れる。中に入るとちょっと違う雰囲気を感じてしまう。中でMichelleさんのお母様で社長のMelyanaさんが出迎えてくれた。実は今年の3月くらいにそれまでの社長だったMarcusさんが会社を去り、奥様であるMelyanaさんが社長に座ることになったのだ。その後どうなったのか、がとても興味あった。
すぐに事務所に案内してくれた。そうすると今までそれぞれの部署が別の部屋で仕事していたのが全部同じフロアで仕事をしている。彼女らが配置を全部変えたのだ。なんと見通しの良いレイアウトだろうか!それぞれのやっている仕事が一望出来る。まるで三幸社が6年前から取り入れた事務所の構成と全く同じなのだ。社長にその理由を聞いたら「その方が皆の顔をよく見えるから良いじゃない?」と答える。三幸社も同じ事をやってその効果を確認しているわけだからこの話しが非常によくわかる。そしてそこで働いている人々の笑顔が昔に比べて10倍も増えている。社長が「皆さん、三幸社のKenさんが来てくれたよ!」と紹介してくれるので一人ひとりと握手をする事に。昔のJeevesではこれもなかった。「うわ〜、これは相当な変化だ!」と私はすでに期待感が高まっていくのがわかる。

(新しいJeevesの事務所。全員が固まっているのでコミュニケーション抜群!)

ミーティングルームで少し話しをしてから工場見学をさせてくれた。実は彼女らに経営権が移ってから我々の製品もすぐに納品された。それを指導しているのはコンサルタントのIain Weirさん。彼の説明をするとまた長くなるので割愛するが、私は彼をすでに15年近く知っている。彼が三幸社製品の良さを話し続けてくれた事で納品が次々と決まる事となった。その経緯を聞くと社長は「我々はあまりにも知らなさすぎる。だから知っている人に話を聞いたの。そうしたらこうするべきだ、とアドバイスされたからその通りにやっている」と答えてくれた。この考えはすごいと思った。普通は自分たちの意見が少しでも入るようにやるものだ。しかし、人と知り合い、その人が良い人かどうかを見極めてからその人の意見を尊重していく。なかなか出来る事ではない。確かに社長も部長もそのご主人もまだ業界の事はそこまでわかっていないだろう。しかし、商売のツボは心得ているようだ。現場の意見を尊重すること、投資する事、この二つである。三幸社も7年前から経営のやり方を刷新したが全く同じ事をやっている。我々もおかげさまでとても良い経営が出来ている事から彼女らのやっている事がよくわかる。
現場を見て更にびっくりしてしまう。現場がとても明るいのだ。皆が笑顔で迎えてくれる。経営チームが変わると現場がここまで変わる。改めて経営チームの影響力を考えさせられる。ワイシャツセクションで我々の機械が入っている。考えてみれば2012年に初めてこの工場を訪問したときに「いつか入れてもらいたい」と思っていたのがやっと現実となった。Michelleに満足度を聞いてみると「大満足!だってこの機械を入れてすぐに人件費が減ったから」と答えてくれた。やはりこの業界で一番の問題は人件費である。つい最近まで人件費と機械代金は同じくらいに思われていたが、ここインドネシアでさえ人件費の方が機械代金に対して割高と考えられるようになってきた事を考えてみるともはや人件費削減は会社運営において常識であろう。

(Sankoshaのワイシャツも元気に動いている)

日本では儲かっていない会社ほど機械投資が出来ていない。機械に投資出来るくらいの売上と利益を求める必要があるのだが、ほとんどの会社がそれを諦めているのが現状だ。我々は工場の原価を下げるお手伝いは出来る。しかし粗利の増大を図るためには売上をあげる必要がある。売上には定価の考え方が必要である。定価を安くしている様では利益など出来るはずもない。もう大量販売の時代は終わったのだ!

大満足の工場見学を終えたらミーティングルームに食事を用意してくれた。なんとも立派な昼食だ。皆で食事をしながらビジネスの話しで盛り上がった。午後はお店を2件連れて行ってくれたが一つは昔から何度も訪問しているJeevesの代表的なお店。そのお店もびっくりするほど変わった。ここには部長のMichelleさんの考えがかなり入っていたがなかなか素晴らしい。預けるカウンターとお渡しのカウンターが別になっている。預けるところではゆっくりお話しが出来るようになっているのが素晴らしい。高級店らしい作り方である。昔の作りでも感銘したものだが、ここまで来ると本当にファーストクラスである。驚きはビジネスの成功において必要ですな!

(No.1のお店へ。ここも昔JCPCに見学してもらったところ)

(外装だけでなく内装も大きく変わった。ここは引き取り専用カウンター)

(こちらはチェックイン専用カウンター。細かい話しが出来るように設計)

あっという間の一日であった。夕食は彼女らが用意してくれたところにウチの2名も合流して行われた。インドネシア料理だったがとてもおいしいかった。私のワイン好きを理解して2本も用意してくれていた。とても楽しい一日だった。

ここまで変化のあったお店訪問は記憶にない。そこには大きな葛藤があったはずだ。人間は一度大きな決断をすると突き進むことが出来る。その大きな決断とはなんだろうか?経営を諦めること、更に大きくすること、子孫に経営を譲ること、廃業する事、それぞれ大きな決断である。彼女らは大きな決断をしたのだ。私は彼女らの決断と実行力に敬意を表したい。間違いなく今後もJeevesブランドはインドネシアで隆盛する事だろう。

(夕食での一時。本当にいろいろな話しが出来て楽しかった!)

7月12日、ここはおまけ。
というのもこの日は私の誕生日だったからだ。朝、1件のクリーニング店を訪問したがすぐに展示会場に帰ってきて一日をここで過ごした。
本当に多くの人々に私の誕生日を祝ってもらった。Facebookで多くの人々と知り合いになっているが、だからと言ってここまで祝ってもらうと少々照れくさい。しかも今日が50歳の誕生日である。自分がどんどん老いていくのは寂しいが、ここまで多くの人々にお祝いしてもらえるのはうれしい限りである。これからも頑張ってやっていきたい。

(多くの人々に祝ってもらった。ケーキまで用意してもらって・・・)

それから。CINETのBest Practical Award東南アジア部門のコンペがこの会場であったのだが、見事Jeevesが優勝した。うれしさもあったが、当然と言えば当然である。それだけの事をやっているのだから。とても楽しい訪問だった。

(表彰式。見事Jeevesが優勝!)

(その後、我々のブースにて記念写真!)

 

JCPCアメリカツアー その2

6月26日、今日は二つのクリーニング店を訪問しに行く予定だ。一つはSteamer Cleaners、もう一つはDoor to Door Valet Cleaners、両方ともロサンゼルスではとても有名な繁盛店である。ビジネススタイルは全く違うのだが、どうしてこれだけ繁盛店になるのだろうか?それを是非参加された皆さんには感じてもらいたいと思って選んでみた。まさしく今回のお題目である「ブランディングを学ぶ」にふさわしい二社のクリーニング店である。我々は9時にホテルを出発した。我々の泊まっているホテルはハリウッドだったので最初のSteamer CleanersがあるSherman Oaksという町まで30分以内。今回は長時間バスに乗る必要がないので移動においてはとても楽だ。

目的地が見えてきた。このクリーニング店はなんと言っても角地に立つ時計台のようなイメージでとても美しい。バスを降りたら社長のShawn Basseliさんが外で待っていてくれた。皆に握手しながら迎えてくれたのがありがたい。この建物についてShawnさんが早速話してくれた。「35年前にこのお店を建てるときにすでにイメージしていたものなんだ。我々はこの土地をまっさらな状態で買ってこの建物も自分でデザインしたものなんだよ」と。参加者全員がお店に入ってくると従業員の皆さん全てが「Welcome to Steamers Cleaners!!」と挨拶してくれる。この声かけはやろうと思ってもなかなか出来ないのではないだろうか?自分が仮に経営者だったらやれることかもしれないが従業員にまでしっかりしみこんでいるのはなかなか素晴らしい。

(全員の集合写真。この時計台みたいなお店がとてもユニーク!)

(外で出迎えてくれたShawn社長。素晴らしいもてなしでした)

このSteamer Cleanersは家族経営というイメージがとても強い。奥さんのNicoleさんと二人三脚でやってきたお店なのだが、最近は娘さんも少し手伝ってくれるようになっているとか・・・。JCPCの皆さんはまず2階に上がりそこで最初のスピーチを聞くことになった。上がったらコーヒー、ジュース、クッキーにお菓子などなどがズラーッと並んでいる。彼らが我々を最大限に歓待してくれている気持ちがこういうところにも現れている。ここまでやってもらえるのはとてもありがたい!

(全員が2階に上がって最初の挨拶。我々の後ろに並んでいます)

今回は40名も来ていたのでざっくり3つの班に分けて見学することとした。ここはユニット店なのでスペースはそこまで広くない。実際に10名連れて工場内を歩くのも一苦労なのだ。Steamer Cleanersの一番の売りはMetalprogettiによる自動ソーティング機から包装、そしてお渡しのコンベアに乗せるまでの一連の作業が全てオートメーション化されたことである。ロサンゼルスの人件費高騰はクリーニング業にとって最も悩ましい問題である。ここロサンゼルスでも最低賃金が13ドルまで到達しており、この2〜3年で15ドルまで上がると言われているのだ。クリーニング業ほどオートメーション化が進んでいないのも事実で、人件費を軽減させる機械やサービスがあまりにも少ないのも現実である。一方でここは三幸社の西海岸ショールームと言っても良い程ズラッと並んでいる。Shawnさんが見学中に何度も我々の機械の事を力説するのだが、こちらは恥ずかしくて訳せない。彼に「もう三幸社の宣伝はしなくて良いから!」と言うと彼は「いやいや、別に宣伝していないよ。だって本心なんだよ。ここまで綺麗に仕上がって、枚数も上がるし、機械が壊れない。これがウチの利益の源泉なのだ!と説明するのが悪いのかい?」と言われるとまた困る。私も内心とてもうれしいのだがどうも自分の機械の説明となると照れくさい。

(ドライ機の説明をしているところ。日本と全然違うので皆さん真剣!)

それにしてもSteamer Cleanersは顧客に恵まれている。有名なお客様としてマライア・キャリー、チャーリー・シーン、プリンスなども使っているらしい。ルート営業も2コースあるらしいがお店はこの1店舗だけ。そして売上がなんと3億もあると言うのだからびっくりである。どうしてここまで売り上がるのだろうか?我々はこの狭いクリーニング店から近くで用意してもらったレストランに移動して食事をしながらShawnさんの話しを聞くこととした。彼らには顧客を囲い込む方策がいくつかある。上顧客には毎月ティファニーのワイングラスをプレゼントするらしい。Steamer Cleanersのロゴが入ったテディベアのプレゼントもある。形にする感謝が一番の武器とみられる。一方で最近来なくなった顧客にも電話連絡して「どうして来なくなったのか?」などをヒアリングするシステムもある。それらの顧客に再度来てもらえるようにクーポンを発行することもあるとか。これらの話しを聞いているとSteamer Cleanersは如何に顧客との接点を持ち続けるか?というところに大きな力を使っているようである。

(見学の後にレストランにてスピーチ。私はワイン飲みながら通訳!)

さて、Steamer Cleanersを後にして次にDoor to Door Valet Cleanersに向かう。ここはSajidさんとHabibさんの二人が始めたクリーニング店でまだ若い!実際、彼らは私よりも年下にもかかわらず初代としてクリーニング事業に乗り出した異色のクリーニング店なのだ。それにも関わらずカリフォルニア州の最優良店として2018年に選ばれた程である。私は彼らと知り合ってすでに10年近くになるが、現在も常に進化し続けているクリーニング店として私はとても注目している。

(弟のHabibさんが皆さんをお迎え!)

本社工場に到着したらお兄さんのSajidさんがプレゼンをしてくれるお部屋に案内してくれた。しかしクリーニング店なのだから40名もゆったり入れる部屋などあるわけない。それでもなんとか皆が入れるように部屋を用意してくれたのはとてもうれしい!更に彼らはパワーポイントまで用意してくれていた。兄のSajidさんは主に財務と店舗、弟のHabibさんは工場と技術ということで役割分担もバッチリ。まずはSajidさんがDoor to Doorの歴史について話しを始めてくれた。話しを聞くと驚くことばかりである。最初はたった7坪しかない敷地でクリーニング店をオープンした。兄弟共にまだ20歳にもなっていない時の事である。彼らがクリーニング業をやろうと決心したときに最初から決めていた事は「ロサンゼルスで一番の高級店をやること」だった。しかし7坪の敷地で工場を持つことは出来なかったので近くのクリーニング店に下請けをお願いしていた。普通だったらお願いするわけだからあまりその仕上がりなどに文句など言えないだろう。しかし彼らは自分たちのブランドとして洋服を預かっているわけだから自分たちが納得出来ない仕上がりで戻ってきたら納得出来る品質になるまで戻し続けたらしい。とても興味深い話しである。

(真ん中にいるのがSajidさん。その横にお母様が!)

その後、隣のお店が店を閉めることになったのでそこを買収して初めて自前の工場を作ることが出来るようになったのだ。それから少しずつ工場を拡張していったのだが、当時の場所も拡張に限界があったので思い切って現在の場所に工場を移転する事になった訳である。現在はビバリーヒルズの西側にも新店舗を作っている。マーケットを点で作るのではなくゾーンで作る、という考え方もなかなかのモノだ。そのためにどんな投資をすれば良いのか?などしっかり考えられている。この時代のアメリカで事業をどんどんと広げることは簡単な事ではない。それが出来ているのだから敬服に値する。

(最初のスピーチ後に工場見学。皆さん、日本と全く違う工場に興味津々!)

(工場見学後に更に右のHabibさんが技術などについてお話ししてくれた)

こうやって考えてみると事業の成長とは市場が縮小していようが基本的に関係ないのではないか?と考えさせられてしまうほどである。ドラッカーが言っているように「なんの為に経営しているのか?」というミッションがない限り、その事業は上手く行かないだろう。あともう一つ、投資意欲のない経営者は事業を成功させることは出来ない。借金をする事は誰も好まないだろう。しかし事業への投資に借金が必要ならばそれをやってでも進めて行く必要がある。これが出来ない会社は成長することはまずないだろう。私はこれらについては確信している。最後のキーワードは「家族」、午前のSteamer Cleanersが夫婦ならばこちらは兄弟。いずれにしても家族ビジネスとして大成功しているのは参加者の皆さんにはとても印象的に映ったのではないだろうか!

(最後は全員で集合写真。とても内容の濃い1日でした!)

 

JCPCアメリカツアー その1

6月25日、一行は朝5時にホテルを出発し8時の飛行機に乗ってロサンゼルスに移動した。空港ではやはり事件は発生する。まずはチェックイン作業が全部セルフサービス。英語もわからず旅にも慣れていない参加者達殻するとこの手続きはとてもやっかいである。サポートするスタッフもほとんどいないので自然と藤島さんと私に助けの要請が来る。しかし私もオーバーサイズ荷物をチェックインするのにやっかいな手続きをしていたこともあって予想以上に時間がかかった。エアカナダ最悪!もう絶対に乗らない!!最低のサービスという印象しか残らなかった。こうやって考えると日本の航空会社の丁寧さが改めて実感できる。

そして更なる難関が我々グループに襲いかかる。ここカナダの各都市からアメリカアメリカ各都市への旅行におけるアメリカ入国については現地の国内線ターミナルを利用するのでカナダを出国すると同時にアメリカ入国の手続きを取るのだ。その手続きがまたとてもやっかいである。全員機械を使って手続きしなければならない。慣れない人々がここでまたもや手間取る。慣れている人々が一部の参加者のお世話をするのだがどういう訳だか書類に×マークがついたり、書類が出てこないと様々な状況が。結果として別室に連れて行かれる参加者が何人かでてしまった。こうなると全員が予定の飛行機に乗れない事も覚悟しなければならない。幸いにも別室に連れて行かれた全員が搭乗時間ギリギリで解放されたので無事に乗ることが出来た。私は通常一人で海外出張しているのでこんなハラハラする経験は滅多にない。JTSの藤島さんはいつもこういう経験をしながらお客様のお世話をしているのだろうか・・・。改めて彼女のやっている仕事は私には出来ないと確信する。結果としてこの朝の出来事だけでもう体力の半分以上を使ってしまった気分だ。

5時間のフライトを経てロサンゼルスに到着!トロントからなんと5時間である。カナダとアメリカはある意味国内線の気分だが、国内線気分で5時間。いつも感じるが何とも北米という地域は大きな大陸である。ここロサンゼルスは自分にとってとても慣れている空港だけに家に帰ってきた気分だ。早速手配していたバスに乗って一路最初のアポイント先であるKona Cleanersに向かう。彼らが昼食会場として用意してくれている場所に向かう。そこで彼らの会社の話を聞きながら昼食をとることになっているからだ。Kona CleanersのオーナーであるBobby Patelさんはクリーニング店の経営者という顔ともう一つ、Be Creative 360というネット運営会社の経営者の顔を持っている。実は三幸社の子会社であるSankosha USAも彼らのサービスを受けている。昨年のIDC国際クリーニング会議インドネシア大会でのBobbyさんのスピーチが一部のJCPCメンバーの印象に強く残ったことから「是非詳しい話しを聞きたい!」と言うことで今回の訪問が決まったのだ。

昼食会場に到着したらすでにビュッフェ形式で食事がズラッと並んでいる。朝のエアカナダで参加者全員が憔悴していたのでこの食事はとてもありがたい。Bobbyさんはインド出身なので親類が経営するインド料理を紹介してもらったのだが、日本人には意外となじみがない。しかしこれもアメリカ訪問における一つの良い経験だろう。私が事前の打ち合わせでお願いしておいたビールもワインも用意してもらっていたので参加者のみなさんの顔が一気に和んでいくのがわかる。私ももちろんワインをいただいた。実はある程度落ち着いたところですぐに彼らのスピーチがあり、私は通訳をしなければならないのだがどういう訳かワインを飲んだ方が通訳ははかどる。決していい加減にやっているわけではないがあまりパーフェクトにするよりも意訳した方が皆さんには伝わりやすい。その意訳のイメージがどんどん湧いてくるのが面白い。たまに自分でもわからない単語が出てくることもあるが、ワインを飲んでいるとこれを愛嬌ですっ飛ばす事も平気で出来てしまう。後で翻訳を間違え反省することもあるが、こちらもプロの通訳ではないのでそこら辺は皆さんにもわかってもらえているからあまり気にしない。ここまで来ると図々しいにも程があるってモノだ!

Be Creative 360の話しは本当に面白かった。現在のクリーニング店が抱えている問題、特に「伝える」と「聞く」いう事にフォーカスしていてこんな会社が日本にもあったら面白いな、と思った次第である。我々クリーニング店はクリーニングの技術だとか綺麗に洋服を洗って仕上げる、という本業のところについては非常に力が入っている。私も彼らの工場などを見てそのプロフェッショナルさはいつも感じているところだ。しかし彼らはこのプロフェッショナルさを顧客に伝えることができていない。なんと下手な事だろうか!!Be Creative 360はその下手な部分をしっかりカバーしてくれる、と言うわけだからとても頼もしいパートナーといえる。
もう一度我々が下手なことを考えてみたいと思う。先ほど「伝える」と「聞く」の2つをフォーカスしたわけだがこの二つのファンダメンタル(基礎)は何だろうか?それは「お客様が考えている事を言われなくても確実に実行する事」なのだと思う。我々は結構忙しくて毎日時間に追われていることの方が多いのではないだろうか?故に相手のことを考えてあげられる時間がとても少ない。結果として問題が発生して後手後手の対応となってしまう。お客様はこの状態でお店に対する満足度などあるはずもなく、我々を攻撃の的にしてくるのが容易にわかる。「クリーニング業はクレーム産業である」と多くのクリーニング店経営者から話しを聞くことがあるが、その原因はまさしくこれではないだろうか?お客様と向き合う時間が足りないのだ。それが満足度を下げ、結果として会社を没落させていく元なのだと思うようになった。全てを自分でやることはとても難しい。そんな意味でBe Creative 360の存在はとても羨ましいと訳しながら思った。

食事もスピーチも終わって一行はKona Cleanersを訪問した。このモデルも面白い。ターゲット層は基本的にミドルクラス。決してハイエンドではない。Bobbyさんもこの顧客で潤沢に利益を稼げるとは思っていないようだ。そこで考えていたのは「Fire Restoration Business(火事など災害からの復元クリーニング)」と「ディズニーのユニフォームクリーニング」だそうだ。この3つのビジネスで工場を24時間3直で回すビジネスを展開している。これも考えさせられる。利益を上げるためにはここまで工場稼働させなければならなくなるのか?日本でこのモデルは可能なのか?そもそも働き手はいるのか?こちらも通訳しながらいろいろ考えてしまう。
クリーニング工場は決して特別感はない。業界人だったら誰もが普通に考える光景だったが包装機に付帯している自動ラベリング機能に皆さんの注目が集まる。「これ良いね〜!」
そのためには洋服のバーコード管理、受付から工場内部まで一貫したソフト管理が出来る事で成り立つシステムなので日本での導入はまだまだあり得なさそう。しかしこういう現場を見ることで参加者が今後の自社をどのように描くか、というお手伝いが出来ていれば企画の意味が大いにある。

参加された皆さんもさぞかし楽しめた事だろう。明日は2件のクリーニング店訪問である。こちらも頑張って通訳しないと!

JCPCカナダツアー

みなさん、おはようございます。

このブログを続けて2年が過ぎましたが見直してみると意外と同じところを訪問しているな、と感じます。展示会は定期的に同じ時期で行われるので仕方ないかもしれませんが情報だけを提供しようとするとどうしてもネタ不足になってしまうのです。
そこで今回から書き方を変えてみようと思います。いわゆる随筆として書いてみようと思うのです。同じ場所を訪問しても自分の気持ちは変わっていることが多い。ならばその気持ちもこのブログに載せてみると面白いな、と思いましてこれから日記風で書いてみようと思います。慣れないかもしれませんが頑張って書いてみます。それではスタート!

 

6月22日、Clean Showは3日目だが私はすでにニューオリンズを去ってカナダ・トロントに向かっている。JCPCのご一行様に合流するためである。JTS日本ツアーサービスの藤島さんと僕で企画するツアーは2013年の香港からスタートしたのだが、毎回とても好評で今回も40名以上の方々に参加してもらえた。大人数をお世話するのはとても大変だが、それだけ参加者が多いというのは彼らにとってとても魅力的なのだろう。私も頼られるのは大好きだから一層気合いが入るってものだ。

はやる気持ちを抑えながらトロントに到着した。時間は夜8時半、そこで問題発生!荷物を他の人に持って行かれてしまった。事情はわかる。何故ならば全く同じブランド、タイプ、大きさ、色と全てが全く一緒だったのだ。考えてみれば1ヶ月前にフランスの空港で私が同じミスをしてしまい相手に多大な迷惑をかけてしまったことがある。そのように考えると間違えてしまった人には同情してしまうし、妙に怒る気にはならなかった。しかしエアカナダの対応には流石に憤慨してしまう。お客様のミスで起こった事件だがこちらは荷物を待っているのだからそのお客様が空港に持って帰ってきた時点ですぐに私に手渡してくれれば良いのにその連携は全くなし。Missing Baggage(持ち主のわからない荷物)ルームに放られた状態で見つかった。その間、私自身もたらい回しにされて2時間後にようやっと見つかった。このように考えると日本の航空会社は本当にしっかり対応してくれるな、と改めて彼らの価値を感じてしまう。

6月23日、この日は日曜日なので観光の予定。この日がいきなりクリーニング店訪問だったらと思うとぞっとする。私にはクリーニング店の説明や通訳をする大役があるのだ。昨晩はホテルに到着したとき、すでに夜11時をまわっていた。この日はナイアガラの滝を見に行ったり、周辺のワイナリーを訪問する予定になっていたので大きな仕事はなかった。
実は3ヶ月前にこのツアーの打合せをしにトロントまできた。私はその時に初めてナイアガラを訪問したのだがその時も水量の多さに圧倒されたものだった。その時は上から眺めただけだったが今回は船に乗って滝のすぐそばまで行った。ポンチョがなければ全身びしょびしょになってしまうくらいの水しぶき。海外に来たらこういう経験はやはりした方が良いと思う。多くの日本人は「遊び=無駄遣い」と考えているようだがJCPCの理事長である西川さんはこのような観光を「広い視野コース」と称しているのだ。私は賛成!せっかく来たのだから自分自身の心を豊かにしていく事は必要だと思う。

(ナイアガラの滝。真ん中に見えるボートに乗って実際に近くまで行った)

(JCPC理事長の西川さんと。この通りびっしょり!)

ここナイアガラ地域はワインの産地としても有名だ。と言うことで午後はワイナリー訪問をしたりして現地を楽しむことが出来た。私は現在、ワインスクールに行っているのでワイナリー訪問はとても心が躍る。今回はChateau des Chalmesというところに行った。やはり一番の売りはアイスワインらしい。この地域ではレイトハーベストと言って葡萄が出来てもすぐに収穫せず、11月頃まで残しておいて葡萄が完全に凍ってしまうときに収穫するのだ。凍っている葡萄を収穫するのだから完全手摘み、そして絞っても甘みのみが出てくるのでとても上質なデザートワインが出来ると言うわけだ。私はその中でも珍しい黒葡萄で作られたアイスワインを買ってみることとした。家に帰って飲むのが楽しみになった。

6月24日、お待ちかねのクリーニング店訪問。最初にトロント郊外のMississaugaというところにあるTSC Wetcleanを訪問した。店内にドライ機はなく、100%ウェットクリーニングをやっているお店だ。オーナーのDinoさんに言わせると「4%の商品はウェットクリーニングが出来ない。しかしほぼ全ての商品をウェットクリーニングしているよ」と力強いコメント。このツアーに参加しているみなさんもかなり興味を持っているのがよくわかる。何故ならば大体100%ウェットクリーニングなんて出来るわけない、と思っているのだから。私はこのウェットクリーニングのやり方を見て改めて「洗剤の力」がカギと感じた。彼らが独自で開発したこの洗剤は簡単に日本には入らないが今後日本の薬品メーカーも開発に力を入れてくることだろう。残念ながら日本ではまだウェットクリーニングを本気で考えているクリーニング店は少ない。少なければ開発してもメーカーは売り上がらない。と言うことは投資出来ないのでいつまで経っても新しい商品は顧客に届かないのでもっと本気になってもらいたいモノだ。

(やはり洗いが一番のポイント。皆さんの関心がすごい!)

(実演しながら説明するDinoさん。丁寧にいろいろ教えてくれた)

(一部の参加者の洋服を実際に入れてみた。結果は?)

参加者の洋服も実際に洗ってもらった。洗い、仕上がり終わったものを見てみると全てがOKとは言えないのもわかってきた。やはり縫い糸が吊れてくる。これではNGだ、と一部の参加者が言う。それはもっともな話ではあるのだが、そういう人に限って否定的なところしか見ない傾向がある。一方で「思った以上に出来ているし縮んでいない。すごい!」という人もいる。同じモノを見てここまで感じ方が違うのはやはり最初から否定的にしか思っていない人と肯定的に考えてみたい人の差があるのだろう。
ここで私に見えた問題点はやはり仕上げだろう。オーナーのDinoさんは洗いに対してはとても強い論理を持っているが仕上げになると人の手で時間をかけて引っ張る事をしなければ縮んだ部分を伸ばす事は出来ない、と思っているようだ。参加者達はこの手間を嫌がるだろうし、これがもう少し自動で出来れば考えても良いと思っているのだろうか・・・。問題の起こった洋服は全体の2〜3%程度だがこれを撃退出来る仕上げの力は必要だ、と改めて感じた訪問だった。
ただDinoさんのこの活動に私は心から敬意を表したい。ここまでとがったモデルを作り、人々に訴えるのには相当な苦労があったはずだ。なかなか出来る事ではないし、そして我々を迎えてくれた事に心から感謝したい。

午後は地域のチェーン店であるSketchley Cleanersを訪問した。このブランドは昔イギリスで隆盛したブランドである。やっている事はとても現実的でドライクリーニングも存在している。ドライクリーニング全体の40%がウェットクリーニングという状況に驚きは隠せないものの参加者達の顔色が一気に落ち着く。それもそのはず。何故ならば日本人にとってとても現実的な工場がここにあったからだ。ほとんどの人がドライクリーニングを無くすことは出来ないと思っているだけに現実的な工場を見て安心したのだろう。ただアメリカも含めて日本で使われている第二石油(Petroleum)トランスファー方式は法律で使えない。このやり方がいつ日本でも禁止されるのだろうか?これは大いに業界にとって脅威である。

このカナダツアーではウェットクリーニングへの理解というお題目で皆さんに見てもらった訳だがいろいろな気づきを提供出来たのではないかと思う。TSC WetcleanとSketchley Cleanersの二社には本当に世話になったと心から感謝したい。

アメリカの展示会を終えて

皆さん、こんにちは。

先日の6月20日から23日までアメリカのニューオリンズにて展示会が行われました。それにしても大きな展示会です。端から端まで多分500mはあったでしょうか・・・。文字通り世界で一番大きな展示会です。もちろんランドリー業界がそのうちの2/3を占めていますがこうやってみるとまだまだ大きいな、と感じます。

(クリーンショーの入り口。今年も本当に大きかった・・・)

(三幸社のブース。とても良いデザイン!と多くのお客様にお褒めいただきました)

(我がメンバー達。みんなよく働いてくれました!)

ただ実際の中身をみてみると本当に新しいモノがありません。先日、フランスの展示会についてお話しをさせていただきましたがこの展示会も本質はあまり変わっていないのが実情でしょう。訪問された皆さんに話しを聞きましたが「新しいモノは三幸社以外どこにもない!」とおっしゃっていました。悲しい話しですがこれが現実です。

それでは我々は何を出したか?ということですがいくつか出しました。日本ですでに発売している静止洗浄機SW-100、そして静止乾燥機DS-300です。洗浄機の特許を持っている九州の近藤さんに依頼されて開発したわけですが、私は最初からアメリカで受け入れられるだろうと予想はしておりました。しかしここまで大ヒットするとは思いませんでした。今回初めて出展したのに即決だけで10台はあったと聞いております。では何故そこまで人気があったか、と言うとウェディングドレスです。日本ではどのくらいの関心があるかわかりませんがアメリカではウェディングドレスは一つの大きな利益商品です。しかしドレスにはいろいろ飾り物が付いているためにドラムに突っ込むことができない、しかし洗剤などでつけ込んだところでこびりついた汚れなどはなかなか落ちない、ということでとてもやっかいな商品なのです。そんな中で我々の静止洗浄機がリリースされたことで今回の展示会の一番の目玉になりました。

あともう一つ大きな目玉は包装機に搭載されたラベル印字機です。これは我々の製品ではないのですが昨今の人件費の高騰からこの機器を設計した会社と協力したモデルになります。包装された洋服の中身がなんなのか?が自動でラベリングされる機械でこれは人件費の低減に大きく貢献する、と言うことで大きな関心を呼びました。とてもアメリカらしい機械と思いますが、ある意味将来の日本に必要な機械とも言えるかもしれませんね。

(弊社の自動包装機。横から入って横から出るタイプですが、一見普通です!)

(これは出てきた洋服。左上に印字されたシールが自動で貼り付きます)

(これがそのシール印字機。データをここで読み取り印字してそのフィルムの上から自動で貼り付ける、というもの。なかなか面白い!)

というのも自動ソーティング機や自動お渡し機などがアメリカでは本当に注目されているのです。それだけ人件費の高騰がアメリカでは大きな障害となっており、できるだけ自動で出来るところは自動でやっていこう、というアメリカのブームがまさに現在やってきているのです。日本も近い将来そういうブームがやってくるのでしょうね。

そんな事で今回も弊社ブースはとても活気がありまして初日の夜に開催されたウェルカムレセプションも300人以上のとても大盛況なパーティーとなりました。ここまで顧客に囲まれたパーティーですので我々に対して抱いている期待は高いと言えるわけですが、それだけにプレッシャーはあります。やはり考える事は顧客の更なる利益はどのように作られるのか?を我々なりに考えて提案する事かもしれません。最近のコラムで業界のイノベーションはクリーニング店以外で起こすことは出来ない、と書きましたがこちらが考えを提案する事は出来ます。その役割こそが我々なのかもしれません。
これからも頑張って機械作りに奔走したいと思います。

次回はJCPCアメリカ・カナダツアーの詳細をお送りしたいと思います。

ここ3ヶ月のおさらい

皆さん、おはようございます。

これからアメリカに行ってきます。現在成田空港ラウンジです。予定よりも3日間遅れてしまって申し訳ありませんでした。「何を書こうかな〜」と思っていたのですが、考えてみればここ3ヶ月間くらいは日本のクリーニング業がこれからどんな事を考えて行くべきなのか?というお題目であれこれ書いていましたね。

それもそのはずで、やはり今年も多くのクリーニング店で売上の減少傾向が続いているのです。当然、我々の売上もそれに合わせて影響しておりまして日本での三幸社の売上はかなり落ちています。ここからも「クリーニング店が儲かっていない」という事を確認する事が出来ます。幸いにも弊社は海外の比率がとても高いので十分に補填は出来ているのですが・・・。しかし、母国である日本の業界が大きく縮小している事については大いに憂いを持たなければなりません。

と言うことでこの3ヶ月間でどんな話しをしてきたのか、もう一度おさらいしてみたいと思います。ポイントから言うと

1.業界は大きな縮小傾向にあって各社は変化しなければ衰退を免れない

2.一番の問題点は表現力。自社の価値を豊かに表現出来れば今後も安泰!

3.しかし表現するためには確固たる品質が必要。皆さんはそれを本当に持っているのだろうか?

4.プロの品質とは何か?それを定義し、表現することで家庭洗濯との差別化を図るべし!

5.一番考えるべきはワイシャツ。ワイシャツをもっと白く、綺麗にする事が大切!

6.家庭洗濯のワイシャツはどうして綺麗にならないのか?その差をしっかり説明しよう。

7.しかし新規顧客を獲得するのがとても難しい時代。これからどうやって獲得するか?

8.スニーカークリーニングが一番の方法!これを利用して新規顧客を獲得せよ!

9.その新規顧客に4番の差別化をしっかり説明出来るようにしよう!!

10.表現力で必要なのは「無駄なことに金をかける」こと。それが価値につながる。

こんな感じだったと思います。

ここに利益率と原価率の話しが加わってきて最終的に自社のビジネスは上手くいっているのか?という話しにつながると思うのです。私は日本だけでなく海外のクリーニング店も含めて工場原価率の設定が意外と高いのではないか?と感じています。要は店舗や商品のラッピングを含めた表現力にお金をかけることが出来ないビジネスモデルを組んでいることに問題があると思うのです。それではどのくらいで原価率設定すれば良いのか?と言うのが今後のお題目です。

これは同じ数字設定が出来ないと思います。量でビジネスを攻めたいのか?それとも量は少量でも品質重視で利益率大で攻めたいのか?考え方は様々です。そもそも原価率は原価を下げることばかりではなく定価設定を上げる事で原価率を下げることだって出来るのです。「しかし、定価を上げるのは難しい!」と考えるクリーニング店は多いでしょうね。その気持ちを振り切って新しい時代に即した新しい料金設定と品質表現をした会社のみが残っていけるのだと思います。

そのために新サービスをスタートする必要があるでしょう。ウェットクリーニングも有り、スニーカークリーニングも有りです。新しい事を加えることで会社のイメージをアップグレードして全体的に料金を改定していく、というのはとても大切なタイミングです。自分でタイミング作りをしなければいつまでたっても値段を上げることさえ出来ません。

このおさらいを是非考えていただき、今後のビジネスの足しにしていただければ幸いです。またこれからも海外の面白い情報はご紹介したいと思います。厳しい時代ではありますが是非頑張って良い商売を続けてください。

フランス展示会をみて考える業界の将来

皆さん、こんにちは。

先月ですがフランスに行ってきました。フランスは個人的にとても好きな国なんです。何故ならば最高峰のワインがあるからです。今回は2日間だけブルゴーニュまで足を伸ばしてワインの旅をしてきました。私もブルゴーニュを訪問したのは初めてで今までは名前しか聞いたことのなかったところをいろいろまわってきました。おかげさまでかなりブルゴーニュの事がわかるようになりました。それにしてもなんておいしいワインなんでしょうね・・・。皆さんには申し訳ないのですが個人的にとても楽しい旅をさせていただいちゃいました!今回は私の両親も一緒につれて行ったのですが思い出に残る旅が出来ました。

(有名なクロ・ド・ヴージョ。当時のシトー派の教会だったところです。この周りは特級のヴージョの畑でした!)

(誰もが知っているロマネ・コンティの畑。両親と記念に一枚!)

(この旅で最高と思ったワイン。ジョルジュ・ルーミエのシャンボール・ミュジニ。エレガントな香りで最高の味わいでした!)

さて、楽しい旅から一転、5月19日から21日まで展示会があり我々も出展して来ました。ここで一気に現実に戻されるのですが、なんと寂しい展示会だっただろうか・・・。2年に一度の全国展示会というのに来場者が3日間を通して延べ1000人も来ないのです。業界が衰退しているのがよくわかります。

(フランスの展示会、JETという名前です)

そして出展しているメーカー達も新しい提案が全くないのです。出しているのはドライ機、洗濯機、コイン、ドライ溶剤、ワイシャツ仕上げ機とこんな程度です。我々も決して新しいモデルを出していません。敢えて言うならば静止洗浄機ハイブリッドを参考出品した程度です。参考出品だから人々もまだ真剣に考えることはありません。結局、この展示会は総合的にみると失敗と言えるでしょう。

(我々のブースです。初日だからまだ人だかりがありましたが・・・)

(2日目の後半。もはやコアラも仕事がなく我々の機械を見学!笑えません・・・)

何故こんな状況になってしまうのでしょうか?メーカーにも大いに責任はあります。何も新しい物を持ってこないのですから。ただ問題の本質の多くはクリーニング店にあります。業界のイノベーションはクリーニング店でしか起こすことは出来ません。残念ながらメーカーでは無理なのです。

理想は

  • クリーニング店が新しいサービスを開始する構想をまとめる
  • メーカーらにそのサービスが円滑に進められるような機械、材料の開発をしてもらう
  • メーカーらがその開発を終えてクリーニング店に納品
  • クリーニング店がそのサービスをスタートしていく

とこのような順番でしょう。メーカーは顧客からのニーズを知らされない限り新しい事をスタートする事は出来ないですし、クリーニング店が進めてみたいという欲求がなければ何も事は起こらないでしょう。

フランスの展示会では残念ながら何も新しい物がありませんでした。もはやクリーニング店にその力がないのか?いずれにしてもとても寂しい話しです。展示会で会った一部の人々に日本で今ホットになりつつあるスニーカークリーニングの話しをしたらとても興味を持っていました。しかしこれだって韓国でビジネスが始まり、最近日本でも一部のクリーニング店が力強くやり出したからメーカーがソリューションを作る事が出来る、とこういうことです。誰も始めなければ我々メーカーが主導する事など出来ません。

来年、国際クリーニング会議が5月22日から24日までオーストラリアはメルボルンで開催される予定になっておりますが、この場でもスニーカークリーニングのビジネスモデルをお題目にしようと考えております。そんなにあれこれモデルを簡単に作れないことを考えるとこのスニーカークリーニングは次世代の世界的モデルに仕立て上げることが出来るかもしれません。私も精一杯活動してみようと思います。

我々はPTBプロジェクトというメーカーでのグループ活動をしております。今まで「ポロシャツ、Tシャツ、ブラウスプロジェクト」「ワイシャツ縮み防止プロジェクト」「ウェットクリーニングプロジェクト」とやってきましたが、どれも我々メーカーがトライした事でクリーニング店が言い出しっぺではないのです。結果としてなかなか取組が広がりません。しかし今回の靴クリーニングについては大いに可能性を感じます。

皆さん、是非ご検討ください!何もしなければ必ず衰退しますよ。

ブランディングってどうやって出来る?

皆さん、こんにちは。

前回は「価格改定を考える為に商品価値とお店のブランディングを創造する」と「工場の人件費を如何に下げるか?」の二つについてお話しをしてみました。

今回はアメリカのバージニア州リッチモンドにあるPuritan Cleanersを紹介してみたいと思います。何故ならば彼らのブランディング戦略がとても素晴らしいからです。会社の繁栄はどうやって出来るのか?と考えるときに何か一つだけでは上手くいかないことは皆さんもご存じでしょう。この会社はそれが経営者と経営チームから社員までが理解出来ていて確実に実行していることが繁栄の源になっていると感じました。

さて、それでは何がすごいのでしょうか?お店のルックス、社員の笑顔、商品の品質などは会社の方針に対する結果です。私は今回初めて訪問したのですが本当にびっくり。当たり前の事ですがお店が本当に綺麗なんです。そして開放感あふれるスペース。社長の奥様がデザイナーなので彼女にやってもらったとか・・・。それだけではありません。工場もとても綺麗!機械も一つひとつがとても綺麗で手入れがしっかり行き届いているのです。

(本社店舗の看板。こんなに描いてもらっちゃいました!)

(とても綺麗な店舗。クリーニング店なんだからこうあるべきですね!)

しかも私が訪問したときには「貧しい子供のために10万食集めよう!」という一種の募金活動をしておりました。これはお金ではなく家庭に残っている食べ物を寄付して欲しい、という社会貢献活動です。これに参加した顧客が特別なディスカウントをお店から受けられる訳ではありません。しかしみてみたらお菓子、即席麺、シリアルなどいろいろな物が寄付されていました。

(貧しい子供のためのキャンペーン)

(これらはお客様からいただいた一部。わかるように店頭で見せています)

もう一つとても気になったのは社員達の笑顔です。このクリーニング会社はとても大きな会社で社長が全員を覚えていることなど出来ないし、もちろん毎日顔を合わせている訳ではありません。私が訪問したときに社長と副社長がいくつかのお店や工場を案内してくれたのですが、その際に社長が工場にいる社員一人ひとりに握手しながら彼らの目をしっかり見ながら「いつもありがとう!」と声をかけているのです。「これだな!」と思いました。
もちろん、社員教育もいろいろやっている会社です。ただそれはやり方に過ぎません。一番大切なのはトップが社員に対して接する姿勢なのだと思うのです。自社を良くするためには社員にも一緒に取り組んでもらわらければならないのです。その社員が快く取り組むのか、それとも仕方なく取り組むのか、は経営者と経営チームの考え方で決まると思います。Puritan Cleanersの社内方針を公開する事は出来ませんが、そのうちの一つ「人」が全てを決める、と考えている事だけは紹介したいと思います。

(社長が現場社員に挨拶している風景。とても暖かい雰囲気でした!)

Puritan Cleanersでは自社独特の人的資源管理(Human Resource Management)を行っていますがやり方はいろいろあると思います。人を大切にし、一緒に会社の繁栄に取り組む。そして得た成果を全員で喜ぶ、という経営姿勢が最も根本であるべき姿なのだろう、と感じた訪問でした。これがあるから店舗をどのようなイメージにするか?が決まりますし、クリーニングの品質はどうすべきか?という方向性も決まります。何故ならば経営チームが現場の意見をよく聞くからでしょう。一方で現場も経営チームに意見をする事が大切と思っているでしょう。このような労使関係会社を繁栄させる源だと強烈なインパクトを覚えて帰ってきました。

間違いなく繁栄し続ける会社です。なんとも心がとても洗われた訪問でしたし、久しぶりに「良い会社だな〜」と感じました。これからも頑張って欲しいですね。

上がり続ける人件費にクリーニング店はどう対応する?

皆さん、こんにちは。令和という新元号になって初めてのブログです。なんか新年を迎えた気分ですがこれからもよろしくお願いいたします。

4月の最終週にアメリカを訪問してきました。またアメリカの気になったクリーニング店の紹介は改めてさせていただきたいと思います。ところで今回、私がアメリカの旅を通じて一番印象に残った事柄は「人件費」でした。日本でも働き方改革という政府の新しい方針によって人件費が確実に上昇を始めています。人件費が上がると言うことは人々の暮らしにおいて決して悪いことではないと思うのですがクリーニング業に関して言うと一種の死活問題に関わってきます。何故ならばクリーニング業は人の手を必要とする業種だからです。他の多くの業種では様々な自動機、特にITを駆使した端末を用意する事で人に頼らない対応を取る店が増えています。しかし、クリーニングは店舗でも工場でも判断や細かい作業に人を使わずして成り立たないのが現状です。入ってくる洋服一つひとつが全く違う物だからでしょうね。

先日のアメリカでは人件費が必ずと言っていいほど訪問した顧客との話題になりました。私はバージニア州、ロードアイランド州、マサチューセッツ州と旅してきたのですがどの地域でも人件費の高騰に頭を悩ませていました。その最低賃金の上昇がすごい!ボストン周辺ではもう$15.00まできています。これは最低賃金なのでもちろんこの金額では誰も働く人はいなく、大体$18.00〜$19.00が相場と言われていました。現在のレートは110円位なのでおおよそ2,000円と言うことになります。サンフランシスコ、ボストン、そしてニューヨーク、シカゴ辺りは本当に人件費の高い町になっています。

だからボストンになると飲食店などの値段も高いのです。もちろん人件費がかなり影響していると思いますが、普通に飲食したらすぐに一人あたり$30.00位取られます。ある晩に私の会社の社員2人とオイスターバーにて食事をしました。そのときにワインを2本空けましたが食事は普通にハンバーガーなどごく一般的な物です。それでも会計をすると一人$100.00もかかってしまうのです。これが人件費に相応する価格なのか?と驚きを隠せません。

さて、人件費が上がるとクリーニング店はどのような対応をしなければならないか?と言うのが本日の私からの投げかけです。アメリカでは多くのお店が価格に転嫁しています。ボストンのクリーニング店ではワイシャツがおおよそ$3.50くらいの値段になっています。$3.00を割り込むととても良心的な価格と思ってしまうほどです。ズボンはおおよそ$10.00なのです。日本の皆さん、こんな価格を顧客にチャージ出来ますか?多分、多くの皆さんは「難しい!」と言うのではないでしょうか?
そうなると今度は工場の自動化、小人力化を図らなければならないのです。工場のコストで一番高いのは人件費、もはや機械の購入費ではないのです。別に三幸社の機械を買え!と言っているわけではないのですが仕上げは一番人の力がかかるところですから検討の余地はあるでしょう。
もう一つはできあがった洋服の仕分けやお渡しの部分です。アメリカではここら辺をずいぶんと自動化しています。日本の人件費はアメリカに比べてまだ半分というイメージですが今後徐々に上がっていくことでしょう。そうしたらいつまで現在のスタイルで続けられるでしょうか?そろそろ考えておかなければならないのではないでしょうか?

私が提案したいのは二つ。一つは「価格の改定とそれに合わせた商品価値、ブランディングの創造」です。もう一つは「工場の人件費を如何に下げるか?」です。是非考えて見てください。