ワイシャツ仕上げ機の違いから来る利益率とは? The difference of the profitability coming from the shirt press

みなさん、こんにちは。

前々回のコラムでアメリカと日本の利益の上がり方がどうしてこんなに違うのか?というお話をお届けしました。そして最後の方では「プロならではの技をもっとお客様に表現すべきだ!」と提案いたしました。ただ実際には「言うは易く行うは難し」との言葉通り、価格を上げることは簡単ではありません。そうなると利益の源泉は工場にあります。工場がどこまで原価を下げることができるのか?これが利益率を上げるポイントになるわけです。

Hello, how are you?

In my second previous column, I wrote about the difference of profitability between America and Japan, and finally I suggested to cleaners about more expression of their having technology instead of less expensive. In fact, it is not easy to do even if everyone is thinking so…, that’s why we had better think cost reduction by factory operation. “How much can we reduce the cost of factory?” It is the key factor to make more profit.

私の経営している三幸社がワイシャツ仕上げ機メーカーだから、ということでワイシャツに焦点を当てているわけではありませんが、ワイシャツはクリーニング店の中で花形商品です。そのワイシャツの生産コストが下がれば会社にもたらす利益はとても大きなものとなるでしょう。私は普段このような場で自分の機械の事について説明することはしないのですが今回と次回の2回にわたって説明させていただきます。

Shirt is absolutely the most important garment in cleaners. I didn’t bring this topic because we Sankosha is manufacturer of shirt finishing equipment. The reason why people always pay attention is not to charge higher, but cost more than dry cleaning process. If you can reduce the cost of shirt process, you will make more profit. Normally, I don’t explain about my machine so much…, but let me explain with this time and next time.

世界のワイシャツプレス機は完全に三幸社が作ったシングルボディやダブルボディ、いわゆる三幸社型が世界のスタンダードになりました。日本にはワイエイシイが作っているフジ型3点セットがありますね。アメリカでもおおよそ20年前まではProsperityAjaxUnipress, Hoffmanなどそうそうたるメーカーがカラーカフス、スリーブプレス機、ボディプレス機という3点セットを作っておりましたし、富士車両はもともとアメリカの当時の技術からスタートしていたわけです。では何故三幸社型が現在の世界のスタンダードになったのか?というと「人時生産性が高い」からです。人時生産性が高ければワイシャツにかかる人件費は安くなります。ちなみにクリーニング工場では人件費が一番高いのです。多くの人々はエネルギー代などを気にしますが、人件費の削減は他のどのコストよりも大きなものです。コストが安くなれば利益が上がるのは当たり前の話ですね。しかしアメリカやヨーロッパのクリーニング事情はとても厳しく、現在も衰退し続けています。アメリカは高級層を中心にまだまだ力はありますがどちらの地域も幅広い層からボリュームを集めることはできません。ボリュームが限られているから人時生産性の高いモデルを使ってコストを下げるしかないのです。

Today in the world, the Sankosha style of shirt finishing equipment is world standard such as Single Buck and Double Buck. We have still 3 pieces finishing equipment by YAC, it is called Fuji style in Japan. In about 20 years ago in USA, we had Prosperity, Ajax, Unipress, Hoffman and etc…, they all provided collar cuff press, sleeve press, and body press, it is called 3 pieces model. Japanese Fuji Car actually learned from American technology at the time. Now, why did industry change to Sankosha style? It is really simple answer, because it is better “productivity per person per hour” (later, let me use PPH). If PPH is higher, the labor cost to shirt will get cheaper. For your information, labor cost is the most expensive factor in the factory operation. Some people always ask me about utility cost, but the labor cost is the most effective factor. If you get less cost, you can get more profit!! Unfortunately, the industry situation in Europe and America is tough, and they are still shrinking. In USA, there are high end markets and the power from the markets is still big, this is the only source to make more profit. But they cannot get more volume anymore… Management team of company must consider more PPH solution because volume is already limited.

幸いなことに日本はまだ欧米のステージには入っておりません。しかし我々は確実に欧米の後を追っていく状況です。そうなると日本もたぶん低価格でボリュームを取る方法に限界がやってくる日が来るでしょう。その時、皆さんはどのように対処していくのでしょうか?お店でのサービス方法も含めて大きな転換期がもしかしたらもうそこにやってきているのかもしれません。故に次回のコラムにてフジ型と三幸社型の違いについて詳しくお知らせいたします。お楽しみに!

Fortunately in Japan, we are still having huge volume on the moment, but we are taking same history with America and Europe. Someday, we will face the same situation and getting tough to make more volume with less expensive price. How are you going to meet with the situation? It might be coming the turning point very soon. So let me introduce the difference between Fuji style and Sankosha style in next column. Please look forward to reading next one!!

韓国のクリーニング事情を探ってきました!

みなさん、おはようございます。昨日から韓国に来ております。

今回から日本語と英語の両方をお送りすることとしました。というのも多くの外国人読者から「英語版はないの?」というお問い合わせをいただいたためです。つたない英語ですが興味のある方は両方ともお読みください。

Good morning. I am coming to Korea from yesterday.

I am happy to upload my article with English from this time, because I got so many requests from overseas readers about English version. There are some incorrect expression, I apologize in advance.  

韓国のクリーニング業界は日本のモデルをそのまま踏襲したものになっています。その理由もよくわかります。まずは国民の貧富の差ですが、日本とほぼ一緒です。韓国の一部の財閥系家族は無類の大金持ちではありますが、そういう例外を除けば金持ちも貧乏もいない中流層でまとまっているのです。日本は多くの中流層の方にある程度の低価格でクリーニングを提供しておりますが、韓国でもクリントピア、ワールドクリーニングなどが全く同じような形で展開をしております。

Korean Dry Cleaning industry is very similar with Japanese industry. I can understand the reason why. First of all, there is no disparity of wealth except giant family concerns, it is almost same in Japan, so most of all people are middle classes. We have so many dry cleaners to charge pretty reasonable price in Japan, and there are big chains such as Cleantopia and World Cleaning doing very similar service in Korean market.  

一方で違うこともあります。その一つとして日本にあるとても厳しいドレスコード、これが韓国にはありません。銀行など一部の業界ではドレスコードはありますが、ほとんどの業種にドレスコードはありません。これはクリーニング業界には大きく作用する条件です。

On the other hand, there is some differences. One of the differences is dress code, which is very strict in Japan. But there is no dress code in Korea except some industries such as bank and local government office. Dress Code is really big factor to make more business in our industry.  

私は1999年に初めて韓国を訪問してそれから定期的に訪問し続けております。そして最近特に感じることがあります。それは韓国では最近本当に街が綺麗になった感じがします。現在、テジョン(大田)という韓国の中部にある町に来ておりますが、本当に通りが綺麗なのです。

I have been Korea in 1999 as my first trip, and then I have been here regularly. Recently, I am feeling one thing, it is that towns and streets are getting really clean. I am now in Teajung, where is locating very center in Korea, this town is really clean!!

 

それから最近は若者のクリーニング利用率がとても高くなってきているというお話も聞きます。実際にあるクリーニング店を訪問しましたが、たった30分くらいでざっと5~6人のお客様がいらっしゃいました。半分以上は若い男性客で、出すものは日本とほぼ一緒でワイシャツ、ズボン、ジャケットです。

Also, I heard very interesting story. Recently, more young generation people tend to use dry cleaners more. In fact, I visited a cleaners in the morning, and I stayed there about 30 minutes. I saw more than 5 customers and more than half of the customers were young gentlemen. They brought shirt, pants, and jacket, very similar in Japan.

なんといっても韓国独特なのは靴のクリーニング。このお店の棚にも運動靴がずらり!私はこの習慣に感心しております。将来、日本にもこういう習慣ができるといいのですが・・・。皆さんはどう思いますか?もちろん、これは価格がポイントでしょう。ちなみに価格は350円から400円くらいです。

Also, very unique service in Korea is shoe cleaning. Especially, many people bring sports shoes and casual shoes. I like this culture and hope to bring to Japanese market. How do you think for your market? Of course, it is up to the price. For your information, the price in Korea is between $3.50 and $4.00.

 

ドレスコードがなくても綺麗を意識するようになった若年層が韓国のクリーニング業界を更に活性化していく可能性を感じるようになりました。やはり綺麗を意識してもらわなければ我々の業界は発展しませんね。

Even if there is no dress code, the conscious about cleanliness in young generation will lead this industry bigger in the future. This mentality is necessary to develop our industry.

利益率を上げるために考えることとは?

みなさん、こんにちは。

5月はまだ海外の出張がありませんので今回はアメリカと日本のクリーニング業の利益率の違いについてお話ししてみましょう。

私はほぼ毎月アメリカを訪問しております。アメリカを訪問していつも感じることは地域一番店がどの町でも儲かっているという事実です。数字にすると「利益がでない」と嘆いているクリーニング店でも15%の営業利益、儲かっているお店になると25%も出ているのです。一方日本では地域のチェーン店でも5%の利益率を出すのがとても大変な状況です。何故ここまで違うのでしょうか?

これにはいろいろ理由があります。最初に一番大きな理由は客層の違いです。アメリカでは「地域一番店=高級クリーニング店」であり、高級クリーニング店の料金は日本に比べるとかなり高いのです。いや、もしかしたら日本の料金があまりにも安すぎるのかもしれません。ここには考え方の違いがありまして、アメリカ人は顧客がそのお店に満足をしていると基本的に他のお店の事は全く考えないというのが特徴です。一方で日本人は顧客が常に新しい商品やサービスを開拓し続けるわけでお店との関係よりも支払いを少なくすることの方が重要と考えている傾向があります。

アメリカにはたくさんのお金持ちがいらっしゃいます。そんな人々が一番クリーニングを利用しています。一年間で500万円以上も支払ってくれる顧客がいるなんて羨ましい話です。日本ではどうでしょうか?一年間で10万円以上の支払いをしてくれる顧客は上顧客であるとよく聞きます。この差は本当に大きいです。しかしこれは我々が選べることではないので、この部分は本当にどうしようもありません。

アメリカの顧客はお金持ち、日本の顧客は中流層という差が営業利益の大きさ、小ささを作っていると言えるでしょう。我々はこの現状をしっかり理解したうえで今後のビジネスを考えていかなければなりません。

ただ、営業利益率を少しでも高くする努力はできます。しかし、多くのクリーニング店は「家庭用の洗濯機も洗剤もよくなってきている。家で洗濯する人がますます増えている状況で、我々はもうどうしようもない」とあきらめているようです。対策は「価格を安くすること」と考えているわけです。私はこの部分に違和感を覚えます。実際に「現在も家庭でできないこと」で「プロのクリーニング店では出来ていること」がたくさんあるのに、ほとんど説明していないのです。

例えば家庭洗濯ではお湯で洗っていないこと。どんなに洗剤を使ってもお湯と水では洗浄力に大きく影響します。自分の手を石鹸で洗う時が一番わかり易いのではないでしょうか?私だったら間違いなくお湯を使います。その方が綺麗になるからです。お洋服だって一緒です。ところが現在、ほとんどの家庭洗濯機はお湯が使える仕様にはなっていないのです。何故このことをクリーニング店では説明しないのでしょうか?

洗剤でも一緒です。大手メーカーは洗浄力の高い洗剤以上に「安全に使える洗剤」を開発しています。例えば、ワイシャツを本当に白くしたかったら30%濃度の過酸化水素水を一緒に入れれば間違いなく綺麗になります。が、こんな劇薬は家庭で使えるはずがありません。実際に業務用洗剤の方が家庭用洗剤よりも綺麗になることは明白なのです。

一番の問題は宣伝力です。クリーニング店は本当にこの宣伝力が弱いと思います。自分たちの強みをもっと店頭で出せれば安易な値下げをせずに集客することはできるのではないでしょうか?結局、やっている会社が儲かっており、やっていない会社は残念ながら儲かっていないのでしょう。

日本でビジネスをする限り、大きな売上を特定の個人から上げることは難しいでしょう。しかし売上に対する利益率を上げる努力はできるはずです。是非これを機に値段設定とプロモーションの仕方を考えてみてはいかがでしょうか?

ワイシャツは洗い方が大切です!

みなさん、こんにちは。

みなさんはゴールデンウィークをいかがお過ごしだったでしょうか?たぶん、ほとんどのクリーニング店の方々は「休んでいる暇がない!」というくらい洋服が集まっているのではないでしょうか?一年に一度の書き入れ時でしょうから頑張って売り上げていただきたいですね。私は・・・、すいません、しっかりお休みをいただきました!

さて、今回は洗いと温度、そして仕上げに対する影響などをお話してみたいと思います。先月、アメリカのClassic Cleanersを訪問してきたお話をさせていただきました。その時、彼らはHoffmanの古いワイシャツプレス機(25年前の機械)からの入替をしたのです。昔の機械ですから当然スリーブプレス機も含まれており、いわゆる3ピースモデルからの入替でした。

ちなみに三幸社のワイシャツプレス機はカラーカフスプレス機とボディプレス機の2台になりますのでスリーブはプレスせずに熱風で膨らますシステムになっているのは皆さんご存知ですね。

ここで一番大切なのはやはり洗濯機のプログラムです。我々は昔のワイシャツでは気にならないことがあったのですが、現在のワイシャツでは気にしなければならなくなりました。それは温度コントロールです。なぜならば最近は綿ポリ混紡素材(Poly Cotton)がとても多いからです。

一度実験してみてください。薄いプラスチックがありましたら、それを45度以上のお湯に浸してみると分かります。それまでまっすぐだった形状が急に柔らかくなるのです。それに冷水を浴びせると一気にその曲がった形状で固められてしまうのです。

ということで卵が入っていたプラスチックで実験してみました。小さく切ってお水とお湯の両方でやってみました。

次に50℃のお湯につけてみました。

結果は以下の通り。

上のプラスチックがお水だけでつぶしたモノ。下のプラスチックがお湯でつぶして水をかけたモノ。温度だけでここまで変わってしまうのです。

綿ポリのワイシャツを洗う時にはそのことを考えてプログラムを組まなければならないのです。例えばワイシャツを本洗で55℃の温度で洗った後に排水と脱水をする場合、必ずドラム内のお湯の温度を40℃くらいまで下げてから脱水しなければいけないのです。55℃のままで排水と脱水をしてしまうとその時にドラム内で発生するねじれで出来る皺がそのまま固まってしまい、なかなか取れない皺になってしまうのです。

実際にClassic Cleanersさんも洗いにおいては同じ問題を抱えていたのです。温度を下げないでそのまま脱水したワイシャツを弊社の機械で仕上げたら袖にこんなに皺が残ってしまいました。

そこですぐに洗剤メーカーの営業マンを呼んで、洗いのプログラムを変更してもらいました。アメリカでは「ソープマン」と呼ばれる洗剤メーカーの営業マンが洗濯機のプログラムを専門的に管理しています。プログラミングは彼らの仕事なので我々が仮に動かし方を理解していても安易にタッチしてしまえば彼らとの関係が悪くなってしまいます。だから我々は彼らが直してくれるまで待つしかないのです。

プログラムが新しくなったワイシャツで仕上げたら見事に綺麗になりました!

昔の綿100%のワイシャツを洗う時にはここまで気にすることはなかったのですが、素材の変化によって洗い方が変わらなければならなくなったことは是非ここで覚えておいてもらいたいと思います。

我々はプロとしてお客様のお洋服を綺麗にすることが最も大切な仕事なのですからこういう知識は常に頭に入れておいていただければお客様に信頼をいただくことができるでしょう。