オーストラリアのクリーニング事情

皆さん、こんにちは。

前回はオーストラリアの物価についてお話しをさせていただきました。今回はオーストラリアのクリーニング事情についてお知らせいたします。

 

オーストラリアはアメリカと同じくらいの国土を有していながら人口はアメリカの10分の1もいません。正確にはわかりませんがおおよそ2600万人、日本人が全員オーストラリアに移住しようと思っても十分に住める場所があるくらい土地あまりの国です。(笑

人口が少ないのはおわかりいただけたと思いますが、彼らの生活スタイルはヨーロッパに習っています。政府がかなりの個人の稼ぎに対して年金や社会保障を名目に多額の料金を徴収するのでお金に余裕のある人々はあまりいません。故にクリーニングを使える人々は本当に一握りです。結果として国全体でクリーニング店は750店舗くらいしかないと言われております。

 

こういう状況でどういう人々が使っているのか?となるともちろん「富裕層」です。もはや中流層が使えるマーケットではありません。この事については前回のコラムでオーストラリアの物価高についてはすでにお伝えしていると思います。さて、どうでしょうか?物価は高い、富裕層は少ない、そして人口が少ない。こんな状況でクリーニング店がやっていけるでしょうか?本当に一部の人々しかやっていけないマーケットだろうな、ということが言えると思います。

こういう状況で生き残っていけるクリーニング店はなんと言っても「顧客目線でプロモーションしているクリーニング店」と言えるでしょう。今回はゴールドコーストまで日帰り出張したのですが、そこで訪問したUpton Cleanersをご紹介いたしましょう。彼らはゴールドコーストでもかなり富裕層を対象に運営しているクリーニング店です。しかし工場でやっている事は変わりません。

Upton Cleanersの工場。ドライ機は石油系ホットマシン。蒸留器もしっかり搭載!

ここはアメリカ製Forentaが入っている。それもこのお店を担当している代理店の影響。レイアウトは日本的。コンベアを使って流れ作業を行っていた。

ワイシャツだけは三幸社。どうしてもワイシャツ仕上げだけはForentaでは駄目、とのことでダブルを2セット使ってもらっていました。

 

違いと言えば「クリーニング、仕上げに対するこだわり」や「店舗のルックス」、「利便性」そして「プロモーション力」くらいでしょうか・・・。他で差を出すことはクリーニング業ではなかなか出来ないのでしょう。これは私が感じていることですがアメリカであろうと日本であろうと中国であろうとクリーニングの工場でやっている事に大差ありません。要はその状況でどれだけのお金をチャージする代わりにどれだけキレイにして差し上げようか?という気持ちの問題なのでしょう。それだけのお金を払ってくれる人々がお店の近くにいらっしゃるかどうか?もポイントでしょう。

2軒お邪魔したうちの一つ目。24時間サービスの自動受け渡し、お引き取りのサービスがあった。とてもアメリカ的です。

(こちらは2軒目のお店。ショッピングモールのカラーに合わせた店作り。こちらは24時間受け渡しはなかったが、とてもシックな作りに。)

 

Upton Cleanersのお店も工場もとてもキレイでしたよ。ショップは利便性を考えたものだったり見た目を重視したり、でかなり投資をしているように感じます。工場についてはここはかなり日本的なレイアウトになっておりましたが、一つひとつの機械もかなりキレイにしておりました。こういうのが顧客に対する一つの心の表れなのでしょう。

もう一度お知らせしておきますが、工場の運営についてはどの国であろうと基本的に一緒です。一番の問題は「どうやってお客様に違いを理解してもらえるか?」と言うことです。Upton Cleanersさんは彼らなりに高級店とはどういうことか?を一生懸命探しているのでしょう。

 

このビジネスに「これが正解!!」というソリューションはありません。どんなソリューションでもやっていける可能性があります。ただ、長くやっていける可能背はやはり高級層にリーチする事だと思います。どうやってそういう顧客層に売上を上げていくことが出来るのか?は是非考えてみてください。

オーストラリアの物価高

皆さん、こんにちは。

先週はオーストラリアに行っておりまして、今週はアメリカに来ております。土曜日のフライトでシカゴを出発して日本には日曜日に帰国いたします。ちょっと訳があってとても暖かいところにも行っておりまして・・・、びっくりするくらい日焼けしてしまいました。こんなに日焼けしちゃうと「何しに行ったんだ?」って会う方々にいろいろ言われてしまいそうな感じです。(笑

 

さて、今回のトピックスはその先週に行ってきたオーストラリアです。たった2泊4日の旅だったのですがその中で急遽ゴールドコーストまで日帰りで行く用が出来てしまったので行ってきました。その際に感じた事、それは「本当にオーストラリアの物価は高い!」と感じることでした。今回は久しぶりにいろんな物価を目の当たりにする事になったのですがまず電車が高い!普通、20分くらいの電車に乗るとしたら皆さんはいくら位を考えるでしょうか?地域によって違いはあるでしょうけど大体350円とか400円位をそうぞうしませんか?今回はダウンタウンから空港までを乗ったのですがなんとAUD18.50、現在、1オーストラリアドルがおおよそ85円なので1500円を超えました。もうびっくりです!

ゴールドコーストまで行って帰ってきたときにシドニーの空港に置いてあった自動販売機、これもびっくり!なんとこの自動販売機で売られているお水がAUD3.00、ペットボトルのコーラがAUD4.50、お菓子の自動販売機もあったのですがキットカットがなんとAUD3.00、もう日本人の感覚から全くかけ離れた価格になっているのです。なんでこんなに価格が日本と違うのでしょうか?ちなみに私はオーストラリアに初めて行ったのは1999年、そのときは日本とほぼ一緒?あまり違和感を感じませんでした。

 

実は私は世界への旅行を通じてこの価格差には違和感を感じるようになっておりました。それまで日本は世界でも有数の「高物価国」と言われておりましたし、私もそれを自負しておりました。たまたま今回、アメリカのお客様のあるグループにスピーチをする機会を頂いておりましたので他の国も含めた物価上昇率を調べて見たのです。1998年からの20年間の物価上昇率を調べて見たのですが、もうこの結果を聞いてびっくり!日本はなんとこの20年間で物価がたったの1.5%しか上がっていないのです。年率にして0.076%・・・、全く上がっていないのと一緒です。ちなみにアメリカは2.17%平均の上昇率(リーマンショックの年も含めてです)、ヨーロッパ各国の平均も大体1.5〜2%の上昇率、一番進んでいるのはオーストラリアだったのです。その率はなんと2.45%です。20年続けると49%の上昇率です。日本はたったの1.5%しか上がっていないのですから我々がその物価高を感じるのも当然です。

 

ちなみに2%の上昇率は現在の安倍内閣が進めている数字です。しかし全然結果が出ません。なんででしょうか?

これは私見ですが、日本人は基本的にお金を使わない人種と思います。アメリカ人とは真反対!少し位はアメリカ人のように持っているお金をパーッと使ってしまえば良いのに・・・、と思うことがあります。アメリカはとてもキャッシュフローの豊かな国です。ではオーストラリアやオーストラリアのような国は?というと国が自動的に年金や社会保障にお金をがっちり持って行ってしまうから成り立つのです。日本は政府が我々の稼いだお金をがっぽり持っていくわけでもなく、そのくせ我々は全然お金を使おうとしないから物価が上がらないのです。「物価が上がらない=給与が上がらない」と言うことになってしまいます。

 

これはかなり大きな問題と思います。ただ貿易立国である日本は為替水準を低く保ちたい、と考えています。そういう観点では現在の状態が一番適切とも言えてしまいます。さて我々はどこが適切なのでしょうか?オーストラリアを見てきてわからなくなります。豊かさはあるけど彼らの物価にはついていけない、しかし彼らのような物価高の国になってしまうと日本お家芸である車や電気系などの製品は世界中に売ることは出来なくなるでしょう。

複雑な思いで過ごしたオーストラリアでした。

次回はオーストラリアのクリーニング事情についてお知らせいたします。