今年の桜の開花は本当に早かった。このコラムを書いている頃は既に桜が散り始めている。今年は思った以上に暖かさが訪れるのが早かった。私はほぼ毎朝ウォーキングをやっているのだが、既に手袋や耳当ては外しているし、半袖で歩ける朝も経験している。
それにしても今年の桜はとても綺麗だった。幸いにもあまり雨が降ることもなく、とても美しい景色を楽しむことができた。こちらにいくつかの写真を載せておきたいと思う。
3月はクリーニング店が少しずつ忙しさを感じる月になったようだ。週末のクリーニング店に列ができている光景を見るとホッとする。しかし我々メーカーや販売店はそこまでの忙しさがなく、相変わらずの苦しさが続いている。無理もない。多くの会社が全体の半分の規模で工場を回している訳で、例年期待しているボリュームに戻っているわけではないのだから仕方がない。クリーニング業界はこのコロナで最も悪い影響を受けた業界の一つと言えるだろう。
前回と前々回のコラムでアピールの仕方だとか人件費の削減だとか主張をさせていただいた。3月もいくつかのクリーニング店を訪問させていただいたが、大きいところほど苦しい雰囲気が出ている。一方で小さいところで技術に自信のあるところはあまり大きな影響を受けていない、と見える。一つだけ言えることは「クリーニング業は人々が外出する事で成り立つ業種である」ということだ。飲食業と同じ条件であるが、やはり人々にはもう少し注意しながらでも外に出ていただき、感染に注意しながらもいろいろな会合に参加してもらう事が大切なのだと思う。
そこで一つ面白い状況を紹介したいと思う。それはアメリカの状況だ。アメリカでは少しずつ市場が回復してきている。人々の外出、会合、会食などが増えてきており、それがクリーニング業への売上につながり始めてきているようだ。大きなポイントはやはりワクチンと言える。
弊社のアメリカ社員達もおおよそ1回目のワクチンを接種し終えているらしい。一部の社員においては既に2回目の接種も終了しており、それが外出の意欲を後押ししている。実際に一部の州政府もワクチン接種を終了している人同士の会合はマスクなしでも大丈夫、という見解を示している。昨年のコロナ前にすでに受注をもらっていた案件でこのコロナにより延期していたものにおいても少しずつ動き始めてきている。今まで溜まりまくっていたアメリカ事務所の在庫も明らかに減り始めてきていることからアメリカはこれから徐々に元に戻り始めるだろう。
やはりアメリカは富裕層によって支えられているな、と感じる。クリーニング店の数は50年前からのリセッションを経て現在は適正数になっていると考えるといくつかの店舗が廃業に追い込まれたとしても新たなプレーヤーが出現する事で少なくなりすぎず、また多くなりすぎず、というバランスを維持しながら着実に元に戻っていくと予想出来る。
このように見てみると日本政府はできるだけ早くワクチンの接種を国民に推し進めてくれる事を心から願う。いくら人々に不要不急の外出のお願いをしても限度がある。実際に東京においても1日あたり200人を切る感染者数にすることなどできなかった。現在、大阪などに蔓延防止条例が発出されているが、間違いなく東京にも発出される事になるだろう。そうなるとまた時短要請、不要不急の外出の禁止となり、人々に新たなストレスを強要することとなってしまうのだ。
日本人は世界の民族と比較してもかなり忍耐強い人種と思う。しかしもう限界だろう。コロナに感染はしたくないが、このままでは商売も潰れてしまう。故にワクチン接種は世の中の経済活動を安全に円滑に行うために不可欠な条件と言える。早く全員が接種できる状況を作って欲しいと思う。
ただワクチン接種でクリーニング業が助かる訳ではない。クリーニング業はこれからが正念場である。どんなやり方をすれば生き残れるのか?はそれぞれが考えるべき問題と思うが、それは前回、前々回のコラムを参考にしていただければ幸いである。
来月はもう少し明るい話題を提供したいものである。皆さん、頑張ってこの難局を乗り切ってもらいたい。