ブランディングってどうやって出来る?

皆さん、こんにちは。

前回は「価格改定を考える為に商品価値とお店のブランディングを創造する」と「工場の人件費を如何に下げるか?」の二つについてお話しをしてみました。

今回はアメリカのバージニア州リッチモンドにあるPuritan Cleanersを紹介してみたいと思います。何故ならば彼らのブランディング戦略がとても素晴らしいからです。会社の繁栄はどうやって出来るのか?と考えるときに何か一つだけでは上手くいかないことは皆さんもご存じでしょう。この会社はそれが経営者と経営チームから社員までが理解出来ていて確実に実行していることが繁栄の源になっていると感じました。

さて、それでは何がすごいのでしょうか?お店のルックス、社員の笑顔、商品の品質などは会社の方針に対する結果です。私は今回初めて訪問したのですが本当にびっくり。当たり前の事ですがお店が本当に綺麗なんです。そして開放感あふれるスペース。社長の奥様がデザイナーなので彼女にやってもらったとか・・・。それだけではありません。工場もとても綺麗!機械も一つひとつがとても綺麗で手入れがしっかり行き届いているのです。

(本社店舗の看板。こんなに描いてもらっちゃいました!)

(とても綺麗な店舗。クリーニング店なんだからこうあるべきですね!)

しかも私が訪問したときには「貧しい子供のために10万食集めよう!」という一種の募金活動をしておりました。これはお金ではなく家庭に残っている食べ物を寄付して欲しい、という社会貢献活動です。これに参加した顧客が特別なディスカウントをお店から受けられる訳ではありません。しかしみてみたらお菓子、即席麺、シリアルなどいろいろな物が寄付されていました。

(貧しい子供のためのキャンペーン)

(これらはお客様からいただいた一部。わかるように店頭で見せています)

もう一つとても気になったのは社員達の笑顔です。このクリーニング会社はとても大きな会社で社長が全員を覚えていることなど出来ないし、もちろん毎日顔を合わせている訳ではありません。私が訪問したときに社長と副社長がいくつかのお店や工場を案内してくれたのですが、その際に社長が工場にいる社員一人ひとりに握手しながら彼らの目をしっかり見ながら「いつもありがとう!」と声をかけているのです。「これだな!」と思いました。
もちろん、社員教育もいろいろやっている会社です。ただそれはやり方に過ぎません。一番大切なのはトップが社員に対して接する姿勢なのだと思うのです。自社を良くするためには社員にも一緒に取り組んでもらわらければならないのです。その社員が快く取り組むのか、それとも仕方なく取り組むのか、は経営者と経営チームの考え方で決まると思います。Puritan Cleanersの社内方針を公開する事は出来ませんが、そのうちの一つ「人」が全てを決める、と考えている事だけは紹介したいと思います。

(社長が現場社員に挨拶している風景。とても暖かい雰囲気でした!)

Puritan Cleanersでは自社独特の人的資源管理(Human Resource Management)を行っていますがやり方はいろいろあると思います。人を大切にし、一緒に会社の繁栄に取り組む。そして得た成果を全員で喜ぶ、という経営姿勢が最も根本であるべき姿なのだろう、と感じた訪問でした。これがあるから店舗をどのようなイメージにするか?が決まりますし、クリーニングの品質はどうすべきか?という方向性も決まります。何故ならば経営チームが現場の意見をよく聞くからでしょう。一方で現場も経営チームに意見をする事が大切と思っているでしょう。このような労使関係会社を繁栄させる源だと強烈なインパクトを覚えて帰ってきました。

間違いなく繁栄し続ける会社です。なんとも心がとても洗われた訪問でしたし、久しぶりに「良い会社だな〜」と感じました。これからも頑張って欲しいですね。

上がり続ける人件費にクリーニング店はどう対応する?

皆さん、こんにちは。令和という新元号になって初めてのブログです。なんか新年を迎えた気分ですがこれからもよろしくお願いいたします。

4月の最終週にアメリカを訪問してきました。またアメリカの気になったクリーニング店の紹介は改めてさせていただきたいと思います。ところで今回、私がアメリカの旅を通じて一番印象に残った事柄は「人件費」でした。日本でも働き方改革という政府の新しい方針によって人件費が確実に上昇を始めています。人件費が上がると言うことは人々の暮らしにおいて決して悪いことではないと思うのですがクリーニング業に関して言うと一種の死活問題に関わってきます。何故ならばクリーニング業は人の手を必要とする業種だからです。他の多くの業種では様々な自動機、特にITを駆使した端末を用意する事で人に頼らない対応を取る店が増えています。しかし、クリーニングは店舗でも工場でも判断や細かい作業に人を使わずして成り立たないのが現状です。入ってくる洋服一つひとつが全く違う物だからでしょうね。

先日のアメリカでは人件費が必ずと言っていいほど訪問した顧客との話題になりました。私はバージニア州、ロードアイランド州、マサチューセッツ州と旅してきたのですがどの地域でも人件費の高騰に頭を悩ませていました。その最低賃金の上昇がすごい!ボストン周辺ではもう$15.00まできています。これは最低賃金なのでもちろんこの金額では誰も働く人はいなく、大体$18.00〜$19.00が相場と言われていました。現在のレートは110円位なのでおおよそ2,000円と言うことになります。サンフランシスコ、ボストン、そしてニューヨーク、シカゴ辺りは本当に人件費の高い町になっています。

だからボストンになると飲食店などの値段も高いのです。もちろん人件費がかなり影響していると思いますが、普通に飲食したらすぐに一人あたり$30.00位取られます。ある晩に私の会社の社員2人とオイスターバーにて食事をしました。そのときにワインを2本空けましたが食事は普通にハンバーガーなどごく一般的な物です。それでも会計をすると一人$100.00もかかってしまうのです。これが人件費に相応する価格なのか?と驚きを隠せません。

さて、人件費が上がるとクリーニング店はどのような対応をしなければならないか?と言うのが本日の私からの投げかけです。アメリカでは多くのお店が価格に転嫁しています。ボストンのクリーニング店ではワイシャツがおおよそ$3.50くらいの値段になっています。$3.00を割り込むととても良心的な価格と思ってしまうほどです。ズボンはおおよそ$10.00なのです。日本の皆さん、こんな価格を顧客にチャージ出来ますか?多分、多くの皆さんは「難しい!」と言うのではないでしょうか?
そうなると今度は工場の自動化、小人力化を図らなければならないのです。工場のコストで一番高いのは人件費、もはや機械の購入費ではないのです。別に三幸社の機械を買え!と言っているわけではないのですが仕上げは一番人の力がかかるところですから検討の余地はあるでしょう。
もう一つはできあがった洋服の仕分けやお渡しの部分です。アメリカではここら辺をずいぶんと自動化しています。日本の人件費はアメリカに比べてまだ半分というイメージですが今後徐々に上がっていくことでしょう。そうしたらいつまで現在のスタイルで続けられるでしょうか?そろそろ考えておかなければならないのではないでしょうか?

私が提案したいのは二つ。一つは「価格の改定とそれに合わせた商品価値、ブランディングの創造」です。もう一つは「工場の人件費を如何に下げるか?」です。是非考えて見てください。