4月23日、私は兄と二人でドイツとイギリスに出かけた。彼はANAで、私はJALでそれぞれドイツはフランクフルトを目指した。何故かわからないが、どちらの飛行機を利用してもほぼ同じ時間に到着する。敢えて到着時間が全然違えばニーズもそれなりに出てくるのではないか?と思うのだが…。シカゴへのフライトでもANA、JAL共に出発時間と到着時間はかなり似ているのだ。我々にとっては今回のこのタイミングはとても便利だったので良かったが…。
さて、今回訪問した一つ目の展示会はアパレル業界向けの展示会であるTexprocessという展示会である。私のブログを読んでいただいている皆さんは私の会社Sankoshaがドライクリーニング業の仕上げ機メーカーであることはご存知と思うが、我々の機械はアパレルメーカー向けに作られているわけではない。アパレルメーカーで使用される機械は主に形を固めるために使われていることが多い。我々の機械は一度人々によって着られた洋服が洗濯されてキレイにはなったが皺くちゃになってしまっているものをキレイに成形するために設計されている。とはいいながらも当社の一番最初に開発された人体仕上げ機CN-50は昔、創業した父がドイツのとあるメーカーのボディなどをかなり参考にした、という話をしていたのを思い出す。そのように考えると全くない状態からモノが出来たわけではない。


ヨーロッパの仕上げ機メーカーはほとんどがアパレル業界からスタートしている。ドイツのトップメーカーであるVeitやイタリアのトップメーカーであるMacpiもアパレルからスタートしている。ちなみにイタリアには依然と10社を越える仕上げ機ブランドが存在している。そして最近は更に東へ移り、トルコにアパレル用仕上げ機メーカーが存在するようになってきている。昨年んの7月下旬に私は東欧を旅したのだが、確実に縫製業は更に人件費の安い地域に移動していると感じる。その結果、ドイツではすでに値段が高すぎて縫製業は衰退している。一方でイタリアは依然と高級ブランドが残っていることとその他の西側ヨーロッパに比べると人件費の安いことから縫製工場は数多く残っている。それが結果的に仕上げ機メーカーが数多く残れる状態になっているのだろうと察する。
我々アジア地域ではどんな状況か?というと縫製業はインド、パキスタン、バングラディシュといったアジア地域が盛んになっており、日本での縫製業はすでに衰退してしまっている。そうなると仕上げ機もどんどん中国製が優勢になっており、日本メーカーは残念ながらなかなか優勢をキープすることが出来ない。全ては価格が勝負になってしまっている。
そんなアパレル展示会に我々が何故訪問したか?というと2年前から活動してくれているSankosha Europeが「この展示会に出展してみたい」ということで出展に踏み切った。確かに業界は変わってきている。私も以前のブログで「素材の変化」を紹介している。天然素材で構成された洋服からポリエステル混紡材で構成された洋服に変わってきているのだ。そうなると当然ながら縫製のプロセスも変わってくると想像できる。我々が最近力強くプロモーションしているノンプレス(Press Free Finisher)はどの仕上げ機よりも効果を発揮するモデルなので、今回はそれを展示してみたのだ。この展示会は4日間の開催だったのだが、我々はそこまで滞在出来ないので最終日のみの参加となった。すでに初日から相当な問い合わせをいただいているようで、彼らからすると商売のネタが沢山出来たそうだ。その話を聞いてまずはホッとした。最終日はほとんど人がいないのである。故に我々の製品がどこまで人々の興味を誘っているのか、はわからなかった。

ただ、我々の目的はそれだけではない。今後のアパレル業界はどんなことを考えているのだろうか?我々が学べることはあるのだろうか?という別の目的があった。結論から申し上げるとあまり参考になることはなかった。素材の変化はあるものの、製造工程に関して大きな変化は見られなかった。特に我々の分野である「仕上げ」については大きな変化は見られなかった。実際に目新しいものはなかったので、逆に我々が出したノンプレスが人々の注目になっていたようだ。アパレル業界におけるポリエステル混紡材の開発やその活用は積極的だと感じたが、洋服の縫製工程までが大きく様変わりしているようには見えなかった。日本からは直本工業が出展していたので表敬訪問したり、夕食を一緒に取ったりして時を過ごした。

25日から我々はドイツからイギリスに移動した。こちらは2年に一度の業界展示会が26日から2日間で開催された。場所はいつも通りAscot競馬場である。いつも思うことであるが、よくここで展示会を開催出来るな、と思う。しかし、イギリスは何でも高い!国はお金に困っているのか…、何でも徴収する。一昔のFacebookにも投稿したが、空港まで人を送ってやったり迎えてやったりするのに空港を訪問するだけで7ポンドかかる。ロンドンの中心地に車を乗り入れると18ポンドかかる。飛行機に乗るのにエコノミークラスからマイルを使ってビジネスクラスにアップグレード出来た時も税金が別途かかる。何から何まで徴収するのだ。だから普通の展示会場はやたらと高いためにこういう競馬場の施設などを使っている。

一番最初にこのAscotで展示会が行われたのは2016年だった。だからもう10年も続いていることになる。しかし、今回がこの展示会も最後になるだろう、と言われている。完全にマンネリ化していた。展示会のあり方もそうかも知れないが、やはりメーカーが新しい機械や資材、サービスを提供出来ていないのだ。Sankoshaも人の事は言えないが、まだノンプレスを見せられるだけマシなのだろう。今回は驚くほど来場者数は少なかった。これがイギリスの実情と言われれば「なるほど」と思うしかない。そのくらい業界に力がなくなったのである。前回のブログで紹介した「I hate ironing」というアプリだがこの会社くらいだろうか。ここが唯一のボリュームを集めている会社といえる。イギリスではリモートワークからの脱却を政府主導で行っている傾向があるらしく、徐々に人々が町中まで出勤する姿を見せるようになってきている。それでも業界がここまで荒んでくると、明らかに今後の業界の取り組みは変わっていかなければならなくなる。



日本や韓国、ヨーロッパ各地、オセアニアはもちろんのこと北米でさえ確実に業界の縮小が進んでいる。北米ではWash & Foldなどを展開して業界の縮小に歯止めをかけようとしている。これは素晴らしい取り組みと言えるが、果たして儲かるのか?それは誰にもわからない。しかし、アメリカはこれをなんとかモノにするために多くの会社が挑戦し続けている。日本やその他の地域にもこのような努力はほしいと思う。そのうえで我々メーカーはどんな開発をして顧客に儲かりやすい環境を提供出来るのか?それがこの業界には不可欠である。イギリスの展示会を見ているとこの魅力のなさをひしひしと感じながら改めて我々は何をやっていくべきなのか?を考えなくてはならない。我々Sankoshaはそれは何か?を少しずつ把握し、確信に繋げている。あと数年すれば具体的な形になるのではないか、と思うが現在はまだ確信につながっていないので皆さんにお伝えすることはできない。早く皆さんにお伝えできるようにこれからも我が社では開発活動は続くだろう。
