CLV21東京展示会に向けて

新年を迎えてもう1ヶ月が過ぎようとしている。今年初めてのブログであるが残念ながら面白そうなネタはなかなかない。JCPCが共同主催していた2月3日の名古屋勉強会も新型コロナウィルスの影響で中止となってしまった。こうなるとネタは2月3日からスタートするCLV21東京展示会くらいしかない。三幸社はTOSEI、AQUAと並んで最大ブースを構えて出展することにしている。といっても15コマだから大して大きくないのだが・・・。今回はその中身を少々紹介しようと思う。

今回のテーマは「省人力」「ランドリー化」「シルバービジネス」の3つである。省人力はもはや説明の必要はないだろう。昨今、上がり続けている人件費をまかなう事が難しくなってきている。それまでは人を雇い、多種多様の洋服に対して人間力で品質をカバーしてきた訳だがこれからは同じ人数で同じように対応しようとするとなかなか利益が出なくなる。そこでより自動化を求めてくる傾向にあると考える。次のランドリー化については最近の私のブログにもあるように地球温暖化からやってくるウール製洋服の減少に対してどうやって売上をカバーするのか?と言うことだ。我々はそれをランドリー衣類でカバーすべきだ、と提案しようと考えている。そして最後のシルバービジネスだが、今後特化していかなければならないのはお年寄り向けサービス業に関わる事の出来るモデル開発と考えている。具体的には介護事業だろう。

そんなところから展示会場には7機種の新製品を展示することとしている。

  • 高速型シングルワイシャツプレス機・カラーカフスプレス機(省人力)

2020年10月に発表したシングルなので新製品とは言い難いが発表してから一度も展示会で実機をお見せしたことはないので敢えて新機種扱いとした。今回の開発に関して社長も私も全く関与していない。「究極のワイシャツプレス機とは?」と題して社内にプロジェクトチームを作り、そのメンバー達がアイデアを駆使して開発されたものだ。今回からボディ内側から蒸気を出していたスチームインジェクション機能を外した。そして熱風温度を上げるために一つだったラジエターを二つに増やして乾燥時間を速くしたのだ。これにより生産スピードが従来機に対して1.5倍になった。それだけではない。スチームインジェクションを廃止した事でうるさかった音が10デシベルも下がった上になんとスチームを吹くよりも熱風温度を上げた方が仕上がりがとても良くなったのだ。これには驚きを隠せなかった。音が小さくなり、品質が上がって生産性が上がるなんて夢のような機械だ!それに併せてその熱風を40%もリサイクルする仕組みもできたので環境に優しく、燃費もかなり下がった。
またカラーカフス機もこれに合わせて新型を開発した。形は相当変わった。まずはプレス時間がなんと20秒でよくなった。昔のカラーカフス機で綿100%を押すと40秒は必要だっただろうか?通常の1.5倍の乾燥速度になったのだ。そして半袖のプレス方法が変わり、従来よりも綺麗に押せるようになった。このワイシャツセットを見に来るだけでも十分に価値があると思う。

  • ノンプレスフィニッシャー(省人力・ランドリー化)

これは既に前々回くらいのブログで開発経緯についてもお話ししたと思うのでコンセプトについてはご理解いただけたと思う。まだご覧になっていない方々はバックナンバーを是非ご覧頂きたい。肝心な仕様であるが今回は展示会場がとても冷えている事を考えて低速の150枚/時で運営しようと考えている。ただフジ型ワイシャツプレス機を二人立ちでやろうとするとかなりの忙しさになると思うがこのノンプレスでの二人作業はかなりゆったりと作業できるだろうと予想する。ここには洗い方や使用する洗剤においても条件が出てくるのでそこら辺を是非現場で確認してもらいたい。

  • オートフォルダー(省人力・ランドリー化・シルバービジネス)

三幸社で初めて私物洗濯用の自動たたみ機を開発した。日常着るシャツやズボン、パジャマ、タオルなど比較的薄めの素材で構成される大体の洋服をこれ一台で同じ大きさにたたんでしまうことができる。これから日本では労働者不足から家庭の主婦の戦力が不可欠になってくる時代を迎えるだろう。こうなると扶養控除制度が無くなる可能性も考えられる。そんな時代を迎えてから考えるのでは遅すぎる。今のうちから家庭洗濯の外注化が考えられる時代になる事を想定してサービスの確立を考えるべきではないだろうか?ちなみに平均たたみ枚数は6〜7枚/分と思う。たたみサイズを均一化し、その生産性を高めることを考えるとこのような機械は必要になってくるし、なによりも省人力でこなすことができるので是非実機を見て今後のビジネス展開の一角として考えてもらいたい。

  • 集合包装

SDGsから関心の高くなっている廃プラスチック問題であるが、現在クリーニング業界に特別なタスクは課せられていない。しかし、地球環境保護においては我々も一緒に考えて行かなければならない時代になったのは事実である。そこでアメリカ市場で既に行われている集合包装を今回皆さんに紹介したいと思う。使用するフィルムは700〜720mm幅と流通している600mm幅から相当大きくなっている。しかし、ワイシャツは最大4〜5枚までまとめて包装出来るだけでなくスーツなどドライクリーニング衣類も2〜3着をまとめて包装する事ができる。フィルムの使用量を大きく削減する事ができるだけでなく地球環境保全に配慮している、という事業者としての配慮をこれでアピールする事ができる。会社のコストを下げることができるだけでなく先進的な活動をしている事と人々に評価される訳だからやった方が良いと思う。
ただ、一つネックになる事は「包装とソーティングのプロセスが逆になる事」である。それを各工場がきちんと考えられるかどうか?である。せっかくフィルム代を安くできたとしてもソーティングの部分で余計な人件費などがかかるようでは意味がない。それぞれの工場で事情も違うだろう。ゆえにもし興味があるならば一度相談に来てもらいたい。メリットとデメリットの両方をしっかり伝えた上で話しを先に進めるか、それとも辞めるか、を考えれば良いと思う。いずれにしても行動に移す場合の機材は揃っているので是非ご検討いただきたい。

  • 新型人体・新型パフ

唯一のドライクリーニング関係の展示品である。決してドライクリーニング関連に力が入っていない訳ではないが、なかなかドライクリーニング関連での省人力化は難しい。と言うことで今回はそれまでの最新モデルであったDF-200Jに対する一部のお客様から不満のあった風量不足を解消するために対応モデルDF-250Jを開発した。
そしてもう一つは新型パフであるが昨年、某パフ老舗メーカーが廃業した事から今後パフを製造できる会社は三幸社だけになってしまったことから元々の構造を見直し、「Fine Steam」と名付けてそれぞれのパフを開発した。
どれも道具としては一見の価値があるので是非ご覧頂きたいと思う。

以上、今回は5つのカテゴリーで紹介したが、全て新製品である。昔から製造しているモデルは一台も出ていないのだ。この2年のコロナ禍においても製品開発し続けた結果を是非ご覧頂きたいと思う。

不幸にもオミクロン株の猛威で多くの都道府県ではまん延防止措置が発令されている。「できれば展示会に行きたかったがとてもじゃないけどこの状況では行けない」と落胆されている皆さんに朗報がある。今回は展示会場でYou Tubeのライブ配信をしたいと思っている。三幸社では当社製品を詳しくお届けできるライブ配信を考えている。そして私自身もこの「圭介のクリーニング紀行」としてのライブ配信をお届けしようと思っている。内容は展示会場全体を練り歩き、私が気になったメーカーの商品や新製品などを一緒に紹介しようと考えている。そこから見えてくる業界の将来は何か?を私なりに紐解いて行きたい。日程は改めて報告したいと思うので是非ご期待いただきたい。

2021年を終えて

皆さん、こんばんは。

日本はもうすぐ2021年が終わります。今回はコラムではなくメッセージなのでちょっと文体が違いますがご容赦ください。今年もコロナで始まりコロナで終わりました。人々の動きは大きく制限され、経済活動がほとんど許されない一年となりました。日本は国民性でしょうか・・・、手洗い、うがい、マスク着用などを徹底していたおかげで世界で一番感染率の低い国になっていました。現在、オミクロン株が少しずつ日本を巻き込んでいますが世界の感染状況を比べると比較にならないほどの感染率になっています。これは日本人としてとても誇らしいところです。

2021年はアメリカから劇的に回復しました。やはりクリーニング業は富裕層のビジネスなのか?と思わされるくらいアメリカの市場が3月くらいから急に動き出しました。確かにコロナワクチンが最初に全国民に供給された事が主な要因になったのは事実です。2回のワクチン接種が世界で最初に行われた事で国の経済活動が世界で最も活発になったのだと思います。三幸社はこの社会現象により業績が一気に回復していきました。

しかし2021年は世界の市場が密接につながっている事を改めて思い知らされた年でもありました。材料や機械製造に使う部品が手に入らないだけでなく購入価格が高騰しました。そして完成した製品を海外に送るコンテナが想像を越えた高騰しました。例えば東京からアメリカ現地法人のあるシカゴまで40フィートコンテナが通常は50万円程度です。それが最高で250万円で送った事がありました。300万円まで値がついたのですがさすがにこれは使いませんでしたが・・・。世界の需給のバランスがここまで崩れているのだ、と思い知らされた一年でした。

クリーニング業は大変な時代を迎えています。特に日本の業界は大きな転換期を迎えたと言っても良いでしょう。地球温暖化からのドライクリーニング衣類の減少、ドレスコード希薄からのスーツやネクタイの減少が大きな要因と思います。これからは水洗い衣類を積極的に取り込み、それを効率よく洗って仕上げるシステムを構築しなければ売上確保は難しくなるでしょう。

ただ私が最も気になるのは「どうやって水洗い衣類を集めることができるのか?」です。これはまだ私にもわかりません。しかし集めなければ事業としてはやっていけないと思います。それをどうやって集めるか?それが2022年の大きな課題と提案いたします。私も自分の事のようにこれを考えて行きたいと思います。

工場については既に考えがありますし、みなさんにご紹介できるモデルを2月のCLV21東京展示会で紹介しようと思っています。故に是非2月の展示会場にお越しください。それだけでなくこの時代に合った旬な新製品を数多く出品いたしますのでお楽しみに!

最後になりましたが、1年間お付き合いいただきありがとうございました。11月には少々炎上した投稿をしてしまいました。不快に感じられた一部の皆さんには心からお詫び申し上げたいと思います。来年も一緒に考え、皆さんに有益な情報を提供できるように活動していきたいと思います。

来年も宜しくお願いいたします。

我が社が開発しているトンネル仕上げ機

まずはいつもの投稿予定日より1週間遅れてしまったことをお詫びしたい。少しは業界も動くだろうと思っていたのだが、思った以上に動かない。ネタがなくて正直困る。

緊急事態宣言がようやっと解除となり、10月1日から人々は仕事帰りに居酒屋やレストランに殺到した。ニュースでも取り上げられていたが、人々の居酒屋で楽しむ様子が映っていた。多くの人々の笑顔が報告され、お店もこの状況から一安心と言うところだろうか?やはりクリーニング業は外出する人々が増えない限り栄えることのない商売である。いくつかのクリーニング店に9月の状況を聞いてみると「8月よりも厳しい」と肩を落としていた。一部の飲食店では政府の方針に従わず、酒類を提供していたが基本的にほぼすべての飲食店が方針に従っていたと思う。故に9月下旬には感染者数、重傷者数など主要な数字が大きな成果として表れていた。東京が大阪よりも少ないのもびっくりだが、100人台という数字を聞くと「随分と少なくなったものだ」と感じてしまう。

今回は市場の動きを紹介するネタがないので我が社の現在開発しているモデルをここで少々紹介したい。今回、開発中の製品はトンネル仕上げ機だ。三幸社でトンネルを作るのは初めてだが、これはドライクリーニング用トンネルではなくランドリー用トンネルである。ここしばらくの間、私のこのブログでは日本のドライクリーニング需要減少の話しをしているが、ここで改めて申し上げるとクリーニング店が自社のそれまでのビジネスモデルを変えていかない限り残っていくのは難しいだろう。しかし、変えようにもメーカーが一緒になって考えない限り難しいのも事実である。

私は兼ねてからシャツ類の取り込みを提唱し続けてきたが、お恥ずかしい話し、どのようにシステムを組んでいけば良いのか、がわからなかった。私が音頭を取っているメーカーの業界研究グループ・PTBプロジェクトでは10年前からポロシャツ、Tシャツ、ブラウスなどのシャツ類を需要喚起の品目に加えられるように、と研究を続けてきた。その研究に従って我が社ではMF-300Jというブラウス仕上げ機を開発した経緯がある。しかし、その機械では原価低減には至らず、企画倒れになってしまった。できなかった理由はブラウスの濡れがけは乾くのに時間がかかってしまい、結果として30枚/時間さえも仕上がらなかった。しかも仕上がり品質も決して目を見張るモノではなかった。これでは価格を下げることなどできず、多くのクリーニング店にとってあまり役に立たない機械と受け止められたのだ。しかし当時はワイシャツ以外のシャツ類を仕上げる専用機は全く存在しなかったので、一歩前進である事は間違いなかっただろう。ちなみに最近はこのMF-300Jが売れ始めている。やはりワイシャツが相当減ってきていて、他のシャツ類も積極的に集めないといけない、と考えるようになっている証拠なのだろう。

さて、話しを本題に戻そう。トンネル仕上げ機を本格的に考え始めたのは3年前である。ある日本のお客様グループをアメリカ視察にご案内したときの話だ。オハイオ州クリーブランドにあるクリーニング店を訪問した時の事である。そのクリーニング店の経営者がお店の隣に洗車場を設置していたのだ。しかしその洗車場は日本のモノとは全然違う。日本の機械は指定の場所に車を止めると門型になっている洗車機が前後に動きながら車を洗っていく。所要時間はざっと5〜10分だろうか・・・。と言うことはこの門型洗車機ではおおよそ1時間に最大12台しか洗う事はできないのだ。
一方でアメリカの洗車機はまさにトンネルなのだ。車の左前輪をベルトコンベアのフックにひっかけておき、ギアをニュートラルにしておくと勝手に車を動かしてくれるのだ。そして順々に洗剤をかける場所、クルクル回るブラシのある場所、そして乾燥する場所と移動し、洗車が完了するのだ。この設備はざっと50m以上はあるだろうか、いずれにしても非常に場所をとるのだ。しかし、この設備で洗車をすると処理時間は2分くらいはかかるのだろう。しかし前の車がまだ処理中であるにもかかわらず、次の車が入れるので1分以内に1台は確実に処理できるのだ。日本の生産性とは比較にならないほどの台数をこなすことができる事になる。詳しくはこちらのURLから動画をご覧頂きたい。

https://youtu.be/lpC706zHirc

私はこの洗車機をみてトンネルを考えるようになった。やはりコンパクトな機械は生産性が上がらない、ある程度の場所を使わないと量をこなすことはできない、と考えたのだ。もう一つは洗濯物が動かないと生産性は上がらない、ということだ。この二つをキーワードとして開発に入ってみた。

ベンチマークになったのはフジ型三点セットのワイシャツ仕上げ機だ。優秀な工場はこの三点セットを使って三人で200枚以上/時間のワイシャツを仕上げる事ができると言われている。私はこの200枚という数字を目標にワイシャツ以外のシャツ類全部を一緒に仕上げられたら素晴らしいだろうな、と思って開発してみた。品質のポイントは二つである。

  • 濡れがけのシャツが完全に乾くかどうか?
  • トンネルから出てきた時にシワがしっかり伸びているかどうか?

この品質条件を達成しながら時間200枚以上のシャツを仕上げる事ができたら全てのシャツ類をワイシャツのような値段設定で市場開拓する事ができるようになるのだ。

次に「なんでこんな設定が必要なのか?」と言うことだ。私はユニクロの宣伝で桑田佳祐がジーンズを履きながら地下鉄で歌いながら闊歩しているシーンがある。詳しくはこちらをご覧頂きたい。

https://youtu.be/GL0b2pEjX3E

私はこういうファッションが今後のビジネスウェアになる可能性が高いと思っている。今までのようなスーツにワイシャツ、ネクタイの時代はもう終わりを迎えているのだ。一部の高級層がそれまでのウール製の高級ブランドスーツを着る習慣は残るものの、多くのビジネスマンはもはやユニフォームのようなスーツを着なくなる時代になってしまうのだと言いたい。そのビジネスマン達を顧客にできていたクリーニング店は今まで通りのスタイルで経営していたら確実に顧客を減らすことになってしまうのだ。この話を読みながら是非自社の今後については考えてもらいたい。

我々のトンネルはまだテスト段階である。故に皆さんに詳しくモデルを紹介する事はできない。しかし試作機は完成している。現在、実際に洗い上がった洋服を投入してどのくらい伸びるか?をテストしている。次にこのトンネル仕上げ機を紹介するときは満を持して具体的に紹介する事になるだろう。なんとか今年中に発表したいものだ。読者の皆様においては事業再構築補助金の申請をできるようにあらかじめ組み立てておいてみては如何だろうか?

頑張って形にしたいと思う。

ニック西川社長と対談して感じた事

前回のブログにて8月の投稿をスキップする事をお知らせしていた。8月は夏休みもあり、そんなに顧客訪問など出来るはずもないからネタもないだろう、という推測の元で申し上げた事だったのだが、今回は是非皆さんにもこの考えを知ってもらいたいと思い、急遽ブログを上げることとした。

ニックというクリーニング店をご存じだろうか?玉川学園に本店があり、現在は13店舗で運営している全てユニットのクリーニング店である。社長である西川さんは現在JCPC(日本クリーニング生産性協議会)の理事長を務めている事からとても近いお付き合いをさせていただいている。ちなみに私はJCPCの常務理事でIDC国際クリーニング会議の責任者をやっている。そんな事からいろいろな事をオープンに話しをする間柄になっていて、1年に最低3回くらいは彼の事務所を訪問し、およそ1〜2時間の対談をするのが習慣となっている。私が訪問するときは必ず何らかのスイーツをお土産に持っていく。「圭介が訪問してくる=スイーツをお土産に持ってくる」ということでたまたま本部に来ている各店舗の社員さん達はささやかなご馳走を頂くことが出来ると言うわけで私のお土産には喜んでもらっているらしい。

前置きはこのくらいにしておいて、私が今回訪問した理由は「ニックが今後のクリーニング業をどのように考えているか?」を知りたかったからだ。ニックのビジネスモデルはファッションケアセレクトショップである。ファッションケアというのはお客様のファッションのお手伝いをするお店である。しかしこの夏の暑さに加えてリモートワークがクリーニング店に大きな影響を及ぼしている。人々がドライクリーニングを必要とする洋服を着ていないこの時期にどんな事を考えて商売に結びつけているのだろうか?私はそんな思いでほうもんしたのだが、まずお店に到着したらすぐに目についたのが立て看板で「シャツ類190円」という宣伝だった。正直びっくりした。ニックでさえもこういうシャツ類を集めないとやっていけない、と思っているのだろうか・・・。私は事務所を通って社長室を訪問した。そしていつものようにスイーツを頂きながら対談がスタートした。

話しをしていくうちにやはり現在の状況に寄りそった経営になっていることがわかった。私が予想していたようにドライクリーニング主体で集めようと思っても集まらない傾向を社長は既に結論づけており、衛生業としてのクリーニングに様変わりしようとしていた。とても面白い発想だと思った。現在はコロナで売上が落ちているのだ。コロナさえなければ昔の通りの売上を上げることはできていただろう。それができなくなった原因に直結するソリューションを作った、と言うわけだ。ニックは自社が取引をしているウィルスブロック剤メーカーで生産しているウィルスブロック剤を利用した洗浄でお客様に安全で安心なファッションライフを送ってもらいたい、という方向性になっているようだ。ランドリーばかりでなくドライ衣類においてもウェットクリーニングにこのウィルスブロック剤を添付しているところが面白い。ポイントはコロナ禍においてこの「ウィルスブロック剤」をネタにしている事がとても斬新だった。流石としか言いようがない。具体的なメニューについては申し訳ないが彼らも考えながらやっているのでこちらで公表することはできない。ただできるだけ全てのお客様にウィルスブロック剤付きの洗濯方法を提供しようとしている事は他社との大きな差別化になる事は間違いなさそうだ。

一方でシャツ類を190円で提供している事についてはこれまた時代の流れに沿って積極的に集めようと強く決心している社長の姿があった。社長によると190円でも利益は出せる、とのことでこれはある意味驚きである。何故ならばニックにはシャツ類を手早く仕上げる設備はないからだ。しかし190円で提供する理由は「一つの宣伝ネタ」として使っているように見える。事情を聞いてみると「やはりこんな暑い夏でジャケットを着ている人などいない。我々も新しい売上を作りにいかないと売上は落ちるばかり。」とおっしゃる。私も兼ねてからシャツ類の取り込みについてはかなり積極的にやるべきだ、と述べていたが、ニックではそれを実行していたのだ。やはり考える事は似ているな、と思った。

話題は商材から売り出し方法に変わっていった。皆さんはマズローの5段階欲求説をご存じだろうか?一番下から「生理的欲求」「安全欲求」「社会的欲求」「承認欲求」「自己実現欲求」で構成されており、自己実現欲求についてはかなり志の高い人々が求める欲求となる。先ほどニックではウイルスブロック剤を利用したクリーニングを行っている、と記述したが、このウイルスブロック剤を使ったクリーニングはこの5段階欲求説でみると下から2番目の「安全欲求」にあたる。価格はこの欲求説の上の方に行けば行くほど消費者が喜んで支払ってくれる事になると考えて良い。そう考えると安心、安全のクリーニングという枠組みだけでは会社を満足いく利益体質にしていく事は難しいと考えているようだ。上から2番目の承認欲求にまでたどり着くためにはお店の風格やそのフロントに立つ店員さんの人間力などが必要となってくるわけだ。

例えば最近のレストランで「むさしの森珈琲」というブランドがある。私も先日初めて朝食で利用したのだが、そこで新しい経験をした。同じファミレスなのだがジョナサンやデニーズのようなレストランで朝食を摂るとおおよそ単価は700円くらいだろうか、ドリンクは飲み放題だがセルフサービスである。一方、むさしの森珈琲では店員さんがおかわりのコーヒーを入れたてで新しいカップに入れて持ってきてくれる。店内のデザイン、テーブルと椅子、使っている食器、メニュー表の写真に至るまでとても顧客の志向が取り入れられているのがよくわかる。結果としていろいろ頼むと1000円以上の金額になってしまい、割高なのだがどういうわけか満足度が高い。ここからわかる解釈は、人々は「雰囲気の良い空間でリッチな朝食を摂りたい」と思っているようだ。人々によってはそこで新聞を読んだり、家族やカップルで談笑したり、ケータイをいじりながら朝食を摂るなど様々なスタイルがあるが、美味しい朝食を雰囲気の良い場所で摂ることを求めているのだ。人々はもはや昔ながらのファミレスには行かない。そこで仮に美味しい食事が摂れたとしても満足度はもはや高くならないのだ。

これをクリーニングに当てはめていると時代に合わせた店舗デザインはどうしても必要になってくるのだ。西川社長は「クリーニングを利用している人をカッコ良くしたい。クリーニングのバッグを持って歩いていると、それを見た人が「あの人カッコイイね!」とつぶやいてくれるようなそんなクリーニング利用者にしていきたい!」というのだ。そのためにはお店がカッコ良くなければならないし、利用客の満足度は最終的に店員さんがつくるものだから彼らの接客品質を高めたい、という訳だ。ここら辺が全て合わさって総合的な満足度を獲得する事ができる。結果としてその単価が多少高くても人々は喜んで払ってくれる。そのように西川社長は考えている。本当に深い話しだと思った。

今回の話しでお店の外観を変えれば良い、という訳ではない。まずは自社の今後進むべき方向性を確立する事が大切なのではないだろうか?「自分は〜で生きていく!」と宣言するか、のように。そのために具体的に工場や店舗をどのように改善していくのか?を考えるべきと思う。

これからの時代は容易に生き残る事ができないと感じる。ただ単にやっていれば食っていける世の中ではないのだ。ならば何をやっていくのか?という明確な方向性をここで出し、そしてその方向性に沿った投資をするべきではないか?それを怠るならばこれから生き残る事は難しいだろう。

読者の今後の熟慮と行動に心から期待をしたい。ニックは間違いなく残る企業と私は察した。だから彼らを心から応援していきたいと思った訪問だった。

中国地方を訪問して

7月も昨日で終わってしまった。なんと時が過ぎるのは早いのだろうか?今年の梅雨は前半はあまり降らないと思っていたら後半は脅威的な豪雨に見舞われ、多くの場所で土砂災害などの被災にあった。心からお見舞い申し上げたい。

7月中旬にはおおよそ梅雨が明け、本格的な夏を迎えている。そしてなんといってもオリンピックがスタートし、本日は既に10日目がスタートしている。開催されるまではオリンピックの開催是非が毎日のように報道されていたが、いざスタートしてみたらどうだろうか?やはり多くの皆さんがテレビに釘付けになっているのではないだろうか?私は開催にそもそも否定的ではなかったのだが外国人の来日によって更に感染が拡大する懸念は持っていた。しかしそんな事を言っていたらなにもできない、と思っていた。実際に6月から出張を積極的に行っているし、7月も中国地方を訪問してきたのだ。感染防止に最大限協力しなければならないのは当たり前としながらも行動を自粛していたら自分の事業までが潰されてしまうのだからそこはなんとかしないといけない、と思っていた。話しはオリンピックに戻るが、日本は柔道を中心に多くの金メダルをもたらしており、確実に日本の皆さんには大きな活力になっているのではないだろうか?海崖の選手もリスクを恐れずに日本まで来て精一杯試合に臨んでいる姿を見ると「開催できて本当に良かった!」と思える。一方で毎日PCR検査を実施している結果、試合前に陽性反応が出たことで出場辞退となってしまった選手においては本当にかわいそうでならない。全ての選手がこのオリンピックに照準を合わせてきたのにコロナウィルスによって出られないという結果はとても辛いだろう。

さて、オリンピックの話しはこのくらいにしておいて本題に入ろう。前述のとおり、私は中国地方を4日間で訪問してきた。岡山、広島、山口の3県だ。旅を計画したときには受入OKだった先が直前で東京の感染率拡大と緊急事態宣言の再発出により訪問受入の拒否もいくつかあったので予定通りの旅にはならなかったのだが、おおよその訪問ができたのは本当に良かった。訪問を受け入れてくれた各社には心から感謝申し上げたい。

今回の訪問先の一つであるクリーニング店では既に私物洗濯の仕事を20年近くやっていて現在はその分野でとても助かっている、という話しを聞いた。このモデルは現在のヨーロッパモデルといえる。ホームクリーニングだけではやっていけないので産業クリーニングを取り込む事で収支を合わす、という方法だ。その会社の社長に話しを聞いたところ「私の父が始めた事だったのだが当時は何でこんな事をやらなければならないの?と本当に思っていた。それが現在となるとこれがなければ我が社はどうなっていただろうか?と本当に感謝している」とおっしゃっていた。これはまさに一つの生き残りのビジネスモデルと言える。ホームクリーニングともう一つの軸を作っておいた方が良いのでは?という仮説はまさに現実的と言えるのではないだろうか。

さて、本業においても今回の出張で感じた事は前月までに感じていたことを再確認したことだ。訪問したある会社の社長に話しを聞いたところ「我が社の売上はコロナ前の20%以上の下落でこの流れは来年2月まで続くだろう。それまではもう我慢するしかない!」とのことだった。今回、私は岡山まで飛行機で行き、帰りも飛行機で北九州から羽田まで帰ってきた。私は一応ジャケット着用していったのだが、私以外にジャケットを着用して飛行機に乗ってきた人はほぼ一人もいなかった。確実にドライクリーニング衣類が減っている。これをどうしなければならないか?というお題目を訪問先にも同じように問いかけた。前回までのコラムをお読みの皆さんは既に私の方向性をご存じと思うが、私はランドリー衣類の奪取を積極的に行うべきと説いている。訪問先の反応はそれぞれだが概ねその方向性については納得していた。

ただ多くのクリーニング店がそれまでシャツ類を集めようとしなかったわけではない。今までトライしていたのだ。しかし思ったほど顧客から賛同を得て集めることができなかった。私はこの理由についていくつか理由を感じている。いろいろ事情はあると思うが大きな理由は下記の2つだ。

1.顧客がポロシャツやTシャツをクリーニングに出す衣類ではない、と思い込んでいる

2.クリーニング店がこれらの衣類を本気で集めようとは思っていない

1についてはもはや日本人の習慣とも言える。世の中の人々がこれらをクリーニング店に出しても自宅で洗濯しても変わらないと思い込んでいることだ。2については1の事実に従ってクリーニング店はどんなに努力しても集めることは不可能だ、と諦めていることだ。ただ時代は変わっている。昔よりも現在の方がはるかに暑くなっている。故に新しい顧客獲得を考えると今まで集められなかったシャツ類を集めようと努力することは大きな可能性と確信している。

集合包装においても概ね賛同を得た。訪問先では皆さん「なるほど!」と思ってもらえたようだ。ただ運用面をどうするのか?と問われると各社やり方がそれぞれ変わるわけで、各社が本当に取り組んでみよう、という気持ちにならなければこれも結局は上手く行かないだろう。

ほぼすべてのクリーニング店で下がりゆく売上に対して明確な対策はとれていない。もちろん、不採算店の閉鎖や工場の統合など基本的な対策はしている。しかし、下がった売上に対するV字回復プランを持っているところはないのが現状と言える。まだそこまで考える必要がないのか?もしくは何をやれば良いのかわからないのか?それぞれの会社にそれぞれの事情を抱えているのは事実と思うが、できるだけ早く対策を策定し、実行してもらう事を願う。

8月末のコラムについてはスキップしたい。お盆休みもあるので出張を含めた行動がとれないと予想している。また9月末にそれまでの活動で思った事を書いてみたいと思う。

そろそろ考えなければならない将来設計

皆さん、こんにちは。

6月も終わり、2021年も既に半年が過ぎてしまった。最終週から本格的に梅雨のシーズンらしくなってきて毎日が雨模様。特に今年は関東が当たり年なのだろうか。今年はそれまであまり降っていないイメージだったのだが先週から一気に降っている。雨がまとまって降るとコインランドリーはさすがに売り上がる。

6月は九州(福岡、佐賀、大分)と名古屋地区を訪問した。事前に公言せずに訪問しているので訪問できていないところも多々あるのだが行けなかった先についてはご容赦いただきたい。多くのクリーニング店は本業では大きく落としている状況のようだ。コロナ前の30%以上となるとその会社の緊急事態となるがそこまでひどい訳ではない。しかし20%以上、25%前後という下落率を多くのクリーニング店は「仕方ない」と考え、これからどうしようか?と考えあぐねているのではないだろうか?

私が訪問した全てのクリーニング店で売上と利益を伸ばしていたところは1社だけだった。その会社は本業のクリーニング業では20%の売上を落としていたものの地域のユニフォームクリーニングの仕事が入ってきた事で大きな売上と利益になったとのことだった。現在はこのユニフォームクリーニングの売上が会社全体の1/3までになっているわけだからこのクリーニング店は単に幸運だったと言えるかもしれないが、ご本人の常日頃からのネットワーク作りから勉強会や業界の会合に顔を出していたことから得たビジネスなのでご本人の人徳といえる。

今回の私が投げかけたいお題目は以上のように「クリーニング業を続けながらどんな事業、もしくはアイテムをプラス事業とするのか?もしくはどんな事でコストダウンを図るのか?」である。ドライクリーニングは本当に儲かる。有機的な汚れは簡単に落ちるし、洗い皺が簡単に付くわけではない。だから仕上げ工程は基本的にとても簡単である。しかし前回のコラムでも紹介したようにワイシャツ、ズボン、ジャケットで売上の70%を構成していたのにジャケットはもはや見込めないアイテムとなってしまい、シャツ類もどんどん家庭洗濯に奪われてしまっているのが現状なのである。もはや戻ることのないボリュームに対して今までの工場形態を維持しても非効率的なのは明白である。

それではいくつか考えを紹介したい。まずは「新しい事は何もやらない!今まで通りの活動を続けていく。しかしながらどこまでダウンサイジングしていこうか?」という考え。これも基本的には有りと思う。新しいサービスを始めたとしても顧客に認知してもらい、それを魅力と感じて利用してもらうまでには相当な時間と労力がかかるし、なによりも投資が必要なのだ。それらに対してリスクしか感じない会社は変化ができない訳だからダウンサイジングを図る事で収支を合わせることしか生き残る方法がない。それでもある工場を何も改善せずに放っておくと赤字の垂れ流しになるわけだからダウンサイジングに合わせた工場レイアウトと設備の再設計は必要である。お金を全く使わずに何も変えない会社は間違いなく終わってしまうことをここで明言しておく。

と言うことで私が最初に紹介したいのは「集合包装」である。これはダウンサイジングの一つの方法として紹介したものであるが、先月の全ての訪問先で一番反応が強かったのはこの集合包装だと思う。比較的投資が少なく、しかも地域の人々にCO2削減をアピールできるプロジェクトである。これは簡単な事で現在行っている単品包装を集合包装にする事だけである。最近はフィルムの厚さを更に薄くする傾向があるようだが、基本的に単品包装から脱却できていないのだからクリーニングを使っているお客様にはなかなか理解されづらい。しかし、複数の洋服を1枚のビニールで包装するならば顧客は明らかに減らしている事を理解してもらうことができる。最近のSDG’sの流れから多くの業界が廃プラスチック削減を行っている。これは大きなチャンスだ。今までは資材を減らすと言うことは「安っぽくなる」ということでなかなか出来なかった事だったが、この流れは「世の中に貢献しながら会社の費用を削減できる」という考えになるので是非やるべき、と提案した内容だ。しかし、使っているフィルムでは集合包装ができないので700mmレベルにしなければならない。フィルムメーカーに話しを聞いてみたら物理的には作れるようなので是非検討してもらいたいプロジェクトである。

もう一つ訪問先で大いに納得してもらったのは「水洗い衣類への対応」である。これは前回のコラムにも書いた通りだが、この環境下ではドライクリーニング衣類を集めるのは非常に困難なのだ。だから水洗い衣類に対してどのように全社で対応していくのか?と言うのがお題目だ。
水洗いは本当に面倒くさい。ドライクリーニングは仕上げが基本的に楽だが水洗いにおいては非常に手がかかる。実際にクリーニング工場においては水洗い衣類に対して生産性の高いレイアウトは全く考えられていないのだ。しかし、このような状況になってくるといい加減に無視する事はできなくなってきていると考える。そこでどんな水洗い衣類を集めることを目指すのか?そしてそれをどのようにしたら生産性を高めることができるのか?を考えて行く事が肝要と思う。
ポイントは何を集めるか?である。先ほどのクリーニング店のようにユニフォームに特化するならば徹底的に特化すべきと思う。他にもWash & Foldもあるし、私物洗濯ビジネスもある。私はポロシャツ、Tシャツ、ブラウスのようなワイシャツに近いアイテムを積極的に集めることを提案しているが、最終的にどんな集め方でも良いと思う。集めるモノが決まったらそれをどのように処理していけば良いのか?を考えて工場のレイアウトを再設定していく事が大切と思う。

他にもできる事はいろいろあると思うが、私は基本的に水洗い衣類を集めることで減り行くクリーニング業の補填にすべき、と考えている。同時に集合包装などを進める事で世の中の流れに貢献しながらもコスト削減にも寄与している状態を作る事を提案している。実際に何をやれば良いのか、を見いだせずに苦しんでいる会社がとても多いと見受けられたのでこちらの提案を真摯に受け入れて頂いたと感じた。いずれにしても利益率を高めなければ生き残っていくことは難しいので是非利益率の向上に精を出してもらいたい。

アピールしないとクリーニング店は残っていけない!

先月はブログ更新をサボってしまった事をお詫びしたい。別に書きたくない訳ではないのだが、どうしても書くネタがない。つまらないネタで更新したところで面白みに欠けてしまうわけだからどうしよう、と困っているうちに時はどんどん過ぎてしまう。

昨日でもう5月が終わってしまった。3月、4月とクリーニング店は軒並み忙しさを実感していたようだが5月に入ってすっかり動きが止まってしまったようだ。もう夏のような閑散期が始まってしまっているのか?何ともクリーニング店にとっては恐ろしい状況になってしまっている。

5月からずっと続いている緊急事態宣言が6月20日まで延長される事となったが、世の中の人々は既に織り込み済みなのだろうか、街に人があふれている。誰もが「もうわかってるよ!」と言わんばかりの状態だ。無理もない、ワクチン接種が遅れ、人々に更なる自制を求めたところで経済が止まる。誰もコロナにかかりたいとは思っていないが、経済活動が止まるのはこれまた死へのロードマップになってしまう。注意しながらも動かなければならない、と誰もが思っている。

かわいそうなのは飲食業である。お酒の提供ができないが故に客が来ない。ニュースで見ている限り一日の感染者数は確実に減っている。お酒の提供禁止、時短営業と感染者数の減少の因果関係はある程度認めなければならないのだろう。しかしこれでは多くの飲食業が閉鎖に追い込まれてしまう。政府はいち早く全ての国民にワクチン接種ができるように仕組みを作る必要がある。

そんな私も出張の自粛などやっている場合ではない!と言うことで先日、関西を出張してきた。行きは飛行機、帰りは新幹線を利用したのだが、思った以上に人は乗っていると感じた。やはり会いに行かないと成り立たないビジネスもあるのだ、と再確認した。私の出張は主にリサーチ。訪問したクリーニング店の状況を確認したり今後の方向性を聞いたりして、我々がどんなサポートを提供するとその方向性がより現実的に結果を出していくのか?を考える機会にしている。

クリーニングの現状でまず一番みなさんにお知らせしたいのは仕事に行く人々の服装である。新大阪駅を歩いていた時にすれ違う人々の服装に驚きを隠せなかった。男性会社員のおよそ70%がジャケットを着ていない。まだ5月である。既にクールビズなのか?ワイシャツのみで出勤している人がとても多かった。次にネクタイをしていない人は95%くらいだろうか・・・。あ、自分もネクタイしていない!!業界に頑張ってもらいたい、と思っている自分でさえネクタイをしない訳だ。面目ないが、これも時代の流れか・・・。

しかしほぼすべての人々がワイシャツを着ていた。ここまでは良い。しかしその8割以上が明らかにクリーニングに出していないであろうと思われた。ポイントはスリーブのタックが全然綺麗にプレスされていないのだ。ほとんどの人々が家で洗い、そのまま自然乾燥している、という状況なのだろう。素材の変化に従って人々がクリーニング店を利用しない傾向ができてしまっているのだ。形態安定シャツはある意味恐ろしい存在と言える。

しかしそれだけが理由なのだろうか?私は今回訪問したクリーニング店全てにこの質問をしてみた。「どうして家庭洗濯との洗いの差をアピールしないのですか?」と。一部の方は「昔やったよ。しかしそれでは効果がなかった。」と答えてくれた。うーん、一度だけでは浸透しないんだけどな、とすぐに感じてしまった。

私は常々家庭洗濯がプロの洗濯と比較して勝てることなどまずあり得ないと思っている。洗濯で大きな役割を果たすのは洗剤であるが、この洗剤も家庭洗濯用とプロの洗濯用では大きな差がある。まず家庭洗濯で第一に考えるべき事は「安全」である。洗剤の利用で体に障害を負わす事は絶対にあってはならぬ事、と洗剤メーカーはどんな使われ方をしても問題がないように開発している。また衣類の損傷を起こさないようにする事も最優先されているので基本的に水で洗う。有機性の汚れについては水であってもその洗剤の力である程度綺麗にする事は出来る。しかし、汗のような水溶性の汚れはそう簡単には落ちない。それは真水で洗っているのだから。それではどんな時に汗をかくのだろうか?それは人の体温が40℃近くまで上がったときで、それはスポーツをした時や風邪を引いて熱を出しているとき等がある。体の温度が上がった結果出る汗はその温度以下では出ないのだから洗う水も最低40℃以上のお湯で洗わなければ落ちない。家庭洗濯ではそれができないから芳香剤が含まれており、臭いをマスキングしているのだ。更に言えば白さを出すためにプロは時に過酸化水素水を使って白さを更に引き立てる技術を持っているが、家庭で過酸化水素水など使えるはずもない。このようにみてもプロの洗いは家庭洗濯と比較にならない技術力があるのだ。

しかし世の中に全く知られていない。何故アピールしないのだろうか?使う人々がこのことを知ればクリーニングを利用しない全体の半分くらいの人々はすぐに試してみようと思うのではないか?もちろん、ここでアピールはし続ける必要がある。街中で机をだしてクリーニングの相談会をやったって良いだろう。1日に何万人も通る場所でたった5人しか相談に来なかったとしても5人にアピールできるのは素晴らしい事ではないだろうか?一方的に宣伝するだけでは効果は薄いと感じる。やはり対面でお洗濯にいろいろ不安を感じている人々のお悩みを聞いたり、自社の強みをアピールする事で確実に相談をしてきた人々は一度使ってみよう、と思うようになると確信する。

私が何故出張して人々に会いに行くか?というと対面だから聞ける話が沢山あるからだ。電話やリモートでは最低限の話ししか出来ないのに対して会いに行くといろんな話しをする事ができるのだ。会ってくれた方々には感謝しかないが、彼らも私からいろいろな情報を得ることができたはずだ。最低、今まで気にしなかった事を考えるきっかけにはなっている。これが会いに行く大きな恩恵と言える。

一時期、一部のクリーニング店が店頭で公開しみ抜きイベントをやっていたのを思い出す。アレは最高のプレゼンだと思った。興味ある人は必ず寄ってくるから。それによってそのお店の技術力を見せつけることもできるし、お客様の質問や疑問を聞いてあげることもできる。

人間にどうしても必要なのは「相対」と思う。私は今月も必ずどこかに出張に行こうと思っている。クリーニング店で一番必要なのはアピール力なのではないだろうか?

アメリカのワクチン接種から見える将来

今年の桜の開花は本当に早かった。このコラムを書いている頃は既に桜が散り始めている。今年は思った以上に暖かさが訪れるのが早かった。私はほぼ毎朝ウォーキングをやっているのだが、既に手袋や耳当ては外しているし、半袖で歩ける朝も経験している。
それにしても今年の桜はとても綺麗だった。幸いにもあまり雨が降ることもなく、とても美しい景色を楽しむことができた。こちらにいくつかの写真を載せておきたいと思う。

3月はクリーニング店が少しずつ忙しさを感じる月になったようだ。週末のクリーニング店に列ができている光景を見るとホッとする。しかし我々メーカーや販売店はそこまでの忙しさがなく、相変わらずの苦しさが続いている。無理もない。多くの会社が全体の半分の規模で工場を回している訳で、例年期待しているボリュームに戻っているわけではないのだから仕方がない。クリーニング業界はこのコロナで最も悪い影響を受けた業界の一つと言えるだろう。

前回と前々回のコラムでアピールの仕方だとか人件費の削減だとか主張をさせていただいた。3月もいくつかのクリーニング店を訪問させていただいたが、大きいところほど苦しい雰囲気が出ている。一方で小さいところで技術に自信のあるところはあまり大きな影響を受けていない、と見える。一つだけ言えることは「クリーニング業は人々が外出する事で成り立つ業種である」ということだ。飲食業と同じ条件であるが、やはり人々にはもう少し注意しながらでも外に出ていただき、感染に注意しながらもいろいろな会合に参加してもらう事が大切なのだと思う。

そこで一つ面白い状況を紹介したいと思う。それはアメリカの状況だ。アメリカでは少しずつ市場が回復してきている。人々の外出、会合、会食などが増えてきており、それがクリーニング業への売上につながり始めてきているようだ。大きなポイントはやはりワクチンと言える。
弊社のアメリカ社員達もおおよそ1回目のワクチンを接種し終えているらしい。一部の社員においては既に2回目の接種も終了しており、それが外出の意欲を後押ししている。実際に一部の州政府もワクチン接種を終了している人同士の会合はマスクなしでも大丈夫、という見解を示している。昨年のコロナ前にすでに受注をもらっていた案件でこのコロナにより延期していたものにおいても少しずつ動き始めてきている。今まで溜まりまくっていたアメリカ事務所の在庫も明らかに減り始めてきていることからアメリカはこれから徐々に元に戻り始めるだろう。
やはりアメリカは富裕層によって支えられているな、と感じる。クリーニング店の数は50年前からのリセッションを経て現在は適正数になっていると考えるといくつかの店舗が廃業に追い込まれたとしても新たなプレーヤーが出現する事で少なくなりすぎず、また多くなりすぎず、というバランスを維持しながら着実に元に戻っていくと予想出来る。

このように見てみると日本政府はできるだけ早くワクチンの接種を国民に推し進めてくれる事を心から願う。いくら人々に不要不急の外出のお願いをしても限度がある。実際に東京においても1日あたり200人を切る感染者数にすることなどできなかった。現在、大阪などに蔓延防止条例が発出されているが、間違いなく東京にも発出される事になるだろう。そうなるとまた時短要請、不要不急の外出の禁止となり、人々に新たなストレスを強要することとなってしまうのだ。
日本人は世界の民族と比較してもかなり忍耐強い人種と思う。しかしもう限界だろう。コロナに感染はしたくないが、このままでは商売も潰れてしまう。故にワクチン接種は世の中の経済活動を安全に円滑に行うために不可欠な条件と言える。早く全員が接種できる状況を作って欲しいと思う。

ただワクチン接種でクリーニング業が助かる訳ではない。クリーニング業はこれからが正念場である。どんなやり方をすれば生き残れるのか?はそれぞれが考えるべき問題と思うが、それは前回、前々回のコラムを参考にしていただければ幸いである。

来月はもう少し明るい話題を提供したいものである。皆さん、頑張ってこの難局を乗り切ってもらいたい。

クリーニング店の洗浄を売りにしてみては?

1月はかなり悪かったが、2月はもっと悪くなっている。緊急事態宣言がようやく関西圏などで解除される事になったが、1都3県は3月7日まで続く事が決まっているようだ。大手のクリーニング店も中小のクリーニング店も軒並み30〜40%の売上減との情報が私のもとに届いている。実際に私も何人かの経営者と電話で話をしているが、ほとんどの人々が「もはや売上が戻ることはないだろう」と悲観的な見方をしている。実際に私も同じように考えている。
戻らない、戻らないと悲観するのはいいが、何も手を打たずに悲観していたら本当に潰れてしまう。ほとんどのクリーニング店はワイシャツ、ズボン、ジャケットの3点を基本とした工場レイアウトができている。これらが集まらないから他を集めよう、と思ってもそう簡単にできないのが現状と言えるだろう。そうなるといくら新しい事をやろうとしてもまずは3点を集める努力をしなければならない。しかしそれを一体どのように集めていくのだろうか?ちなみに大手量販店ではワイシャツやブラウスなどはある程度売れているらしい。しかし売れている素材は形態安定シャツ等である。価格の安さも手伝ってそのようなシャツを買い、家で洗濯をしてしまう、という傾向が強まっているのだろうか・・・。

私は兼ねてからクリーニング業界に対する大きな疑問があった。それは「洗いの素晴らしさ」を表現していないことである。一般消費者にクリーニング店の水洗いと家庭洗濯の差はなんだろうか?と聞いてみても「わからない」と答える人がほぼ100%というのが現状である。そして家庭洗濯でお湯を使って洗っている人は極めて少ないのも現状で、多くの流通している家庭洗濯機はお湯対応していないモデルで、家庭洗濯用洗剤もお水に対応したものがほとんどなのだ。それなりの科学の力はあるのだろうが、お湯の力に勝るものはない。日本のクリーニング店でワイシャツを洗うのに通常の水道水の温度で洗う工場はないだろう。お湯の温度設定については各社それぞれ違いはあるが50〜55℃を適用するところが一番多いのではないかと思う。
では何故クリーニング店はお湯を使うのか?それは単純にお湯の方が汚れが落ちると誰もが理解しているからである。そしてそのお湯にワイシャツは耐えられると理解しているからだ。では何故家庭洗濯ではお湯を使わないのか?家庭洗濯ではワイシャツだけで洗う事はないだろうしいろんな素材をまとめて洗うので、一番リスクが少ないのは真水で洗うことなのだろう。確かにこれはリスクを冒さない最良の方法ではあるが、私はそもそも人々がお湯で洗う効果を知らないのではないか、と推察する。故にクリーニング店はここに大きな洗浄の差があることを改めて認識し、それを強みとして消費者に主張することではないだろうか。最近こそお湯で洗える家庭洗濯機が出始めてきているが、まだまだそれを利用する人は少ない。実際に洗濯機にお湯を接続している家庭はとても少ないし、お水を洗濯機でお湯にするにはかなりの電力を消費しなければならない。それらを経済的に考えるとお湯で洗おうとする人は少ないと考える。クリーニング店は高温のお湯で洗っているから皮脂の汚れも含めて綺麗に洗浄することが出来る、という論理を展開すれば家庭洗濯との大きな差をつけることができる。しかし、何故クリーニング店はこの強みをもっと消費者にアピールしないのだろうか?私はこれを昔から考えていた。コロナを通じてクリーニングの需要がここまで落ちている時にこそ基本の強みをもっとアピールすべきではないだろうか?

一方で、私はクリーニング店に「衛生」「消毒」という言葉をもっと利用した宣伝をしてもらいたいと思っている。世の中の人々は依然とコロナにおびえる毎日を送っている。クリーニング業界が洗浄からもっとコロナにも対応できる洗い方をしてもらえれば需要は計り知れないのではないか、と思う。残念ながら消毒という観点ではできる方法がほぼない。次亜塩素酸を使えば十分に消毒にはなるが、洋服の色を全部飛ばしてしまうのでNGである。一方で80℃以上のお湯で10分以上つけ込むというのも消毒の一つの方法となるが素材が80℃のお湯に対応できないのでこれもNGとなってしまう。結局のところ、消毒できる方法がクリーニングにはないのが問題なのだろう。大手薬品メーカーからの情報によると過酢酸を使う事が唯一の方法ではないか?と言う。しかしこれは劇薬指定になっているので一般家庭で使うことはまずできないだろう。そしてこの過酢酸はまだ認可されていない薬剤なのでこれを使うから大丈夫、という論理にもならないのが現状だそうだ。

ただ、最近はウィルスブロック(以下VBと省略する)剤なども出てきているのでこういう薬剤を利用しながらクリーニング店の洗浄価値をもっとアピールする事ができたら新たな顧客を創造する事が出来るのではないだろうか?

何もやらずにこのまま指をくわえてみているとこの業界の縮小が加速し、半分以下のサイズになってしまうのも時間の問題になるだろう。業界に携わっている者としてはとても悲しい話しである。各社が何らかの対応をして消費者にアピールしてくれる事を心から願う。

この時代だから考えるのが営業利益率

今年初めてのブログである。今年から1ヶ月に1回はブログを更新しようと思っていたのだが何ともネタがない。書くことと言えばクリーニング店の売上が1月8日からスタートした緊急事態宣言を機に急落してしまっていることである。昨年12月の売上が全体的に少し落ちてしまい、業界関係者は不安に思っていたのだが、1月に入ってからの落込みは目を覆いたくなるような状況になってしまっている。多くのクリーニング店が工場の50%近くを休業させている状態で、弊社のフィルムの売上を見てみてもその状況は手に取るようにわかる。年末のブログでも申し上げた通り、もはや以前のビジネスモデルでは成り立たなくなってしまっているのが現状といえよう。

いくつかのクリーニング店は更にセールをかけてボリューム集めに奔走している話を聞く。ただでさえ低価格でやっているのに更にセールをかけるのか・・・、明らかに人々の外出は減ってきていると思う。特に夜の人々の外出は無くなっている。実際に私も夜の外食においては1月に入って一度も出かけたことがない。この状況でセールをかけて本当に集まるのだろうか?セールをかけなくても集まると想定される洋服に対しても利益を圧迫させてしまう政策になっていないのかな?と老婆心ながら心配してしまう。何もやらないよりは良いしその決断は尊重するが、くれぐれも会社の利益率が更に低下しないように頑張ってもらいたいと心から願う。

私は1997年に三幸社に入り、海外を中心にクリーニング業界を見続けてきたが、その間にJCPC日本クリーニング生産性協議会と関わり、IDC国際クリーニング会議の企画をやるようになり、世界中のクリーニング業者と関わるようになった。その関わりを経てクリーニング業の歴史や現在のビジネスモデルなど様々な知識を持てるようになった。三幸社の海外進出は1988年で、イギリス・バーミンガムの展示会にワイシャツ仕上げ機を初出品した。当時「アジアからすごいワイシャツ機がやってきた!」とその展示会で一番の注目になった。私はその時参加していなかったが、私の父が帰国時に大興奮でその話をしていたのを思い出す。その流れから海外展開を視野に入れ、1993年にSankosha USAがシカゴに設立されたのだ。アメリカでも当時のモデルCN-561(国内はCN-551)が飛ぶように売れていったのをよく覚えている。しかし、私の父はアメリカでここまで売れるとは予想していなかった。私もどうしてあの機械がそんなにもてはやされたのか?がわからなかったのだが、それが現在よくわかるようになった。

時は1960年代後半から1970年代前半、アメリカやヨーロッパではそれまでのクリーニング業が破綻を迎えようとしていた。黒人の社会進出(人類平等における社会の認識)、それまで安価で雇えた人件費の上昇、形態安定シャツの登場、カジュアルウェアに対する理解などが挙げられるが、クリーニング業に於いてはどれもこれもが逆風だった。その当時どのくらいのクリーニング会社があったのか、はわからないが、相当数が廃業または売却を行った事を確認している。アメリカは1970年代からずっと業界の縮小が進んでいる。現在は大きな縮小には至っていない。白人系で家族代々続いている老舗クリーニング店は現在も堅調な動きをしている。一方で中堅クリーニング店がその当時から移民に事業売却を徐々に始めており、韓国系クリーニング店が爆発的に増加したのもこの1970年代後半から1980年代にかけての話しである。

こんな時代背景だったのだが、ボリュームはどんどん減るが、人件費はどんどん上がっていく、と言うことで韓国系クリーニング店は人を雇わず、夫婦だけで朝から晩まで二人きりで身を粉にして働き続けてなんとか生計を立てていた、と言うのが実情であった。はっきり言えば人を雇う力がなかったが、二人で出来る事は残念ながら限られている、だから便利な機械は導入したい、というニーズがあったのだ。その結果、韓国系のクリーニング店を中心に爆発的に売れたのだ。私の父は発売したシングルを当時の日本の小規模クリーニング店の為に開発したのだが、アメリカでは業界のダウンサイジングの時期に丁度合致したのである。

このようなアメリカの歴史を日本はまさにたどろうとしているのである。私が申し上げたいのは利益率だ。特に営業利益率、これをどうやって改善していくのか、をまず第一に考えるべき事であろう。アメリカ、特に白人系のクリーニング店では営業利益率15%以上を常に意識しているそうだが、日本のビジネスモデルからするとかなり難しい設定になるだろう。ただ、今まで2〜3%の営業利益ならば5%以上を設定するのも良い。6〜7%を出しているのであれば10%以上を目指す、という感じで良いと思う。いずれにしても今までの利益率以上を目指す政策をまとめることが生き残りの一番のベースになると思う。その利益率を出すために価格の再設定が必要なのか?もしくは工場の原価を落とす努力が必要なのか?店舗などの営業経費の削減が必要か?様々な分野での改善が必要になると思われる。

しかし基本的に変わらないことは集める洋服である。どんなに靴やワッシュ&フォールドをやったとしてもそれらが会社の売上の根幹になる事はあり得ない。やはりワイシャツ、ズボン、ジャケットを如何に集めて利益を出すか?を考えなくてはならないのだ。売上が減っていく中で売上を増やすセールをかけても本当に大丈夫か?と前述したとおりなので、この時期に一番力を入れるべきは「工場経費の削減」ではないか?と考える。もはや戻らないだろうボリュームを夢見ていてもその夢から覚めることはまずないだろう。

ならばこの時代にあった工場作りを再定義してみるのが良いと思う。ただ、一気に全てをやることはできないので順番にやっていけば良いと思う。私は一番やりやすいのはワイシャツと思う。何故ならばアメリカの縮小時代で彼らが取った対策が参考にできるからだ。特にフジ型を使用している工場はすぐに経費計算を始めた方が良い。そこで多少の投資金額が必要としても最終的に近い将来でプラスに転じる事は簡単に理解出来るだろう。ただ、そこで将来のボリュームが想定通り集まり続けるかどうか?を営業サイドとしっかり確認し、確固たる営業戦略を作って行けば良いのだと考える。

日本がアメリカのたどった道と全く同じ道になるとは思えない。しかし、クリーニング業がアメリカのようになっていく傾向は間違いないと思う。そんな事を考えて営業利益率をどのくらいに設定するのか?そしてどうやって目標数字を目指すのか?をしっかり組み立ててもらえると明るい未来が徐々に見えてくるのではないかと思う。ただどんな世の中になっていくのか、は誰もがわからない中で決断をしなければならないわけだから経営者の皆さんのご苦労は本当に計り知れない。しかし決断できない会社は衰退していくので何らかの決断をして会社を前に動かしてもらいたいと心から願う。