5年ぶりの中国

1月16日、私は羽田空港にいた。今年最初の出張は中国・大連であった。Sankoshaには大連に営業所がある。私は5年ぶりに彼らを訪問する。中国はコロナを通じて世間と完全に関係を絶っていた。それが現在はどのようになっているのか、を知る上でとても興味深い出張だった。

大連は日本人にとってとても行きやすい場所である。多分、中国で一番日本人にとって行きやすい場所である。しかし、中国東北部は経済の過疎が進んでいる。経済の首都は上海、広州に移動していて東北部は衰退の一途を辿っている。大連に到着したときには活気が全く無いことに愕然とする。というのもコロナを通じて日本とのビジネスが全くなくなってしまったことが原因らしい。やはりビジネスというのは人々のライフラインに繋がっているのだ、と改めて痛感した。

事務所で久しぶりにみなさんと一杯!やはりリアルで会うのはとても幸せ!

 

事務所に行ってメンバーたちと4年ぶりの再会となった。元気そうで良かった。兄、私を始め4人が大連に訪問したのだが、やはり直接対面するのはとても気持ちが上がる。それまで感染症を恐れてZOOMのようなオンラインミーティングを推奨している気配が世界中であったがやはり直接会うことに勝るものはない。会うととても気持ちが上がるのだ。皆、会った瞬間に抱き合って再会を喜ぶ。まるで私が2022年2月にSankosha USAを訪問したことを思い出す。あのときはWesさんと会った瞬間に涙が出て仕方なかった。そのくらい、人々はオンラインで会うことではなく直接会うことに思いを馳せるのだ。人間は会わなくては駄目な生き物なのだ。とにかく彼らが元気で居てくれてよかった!

さて、中国のビジネスについて話をしたいと思う。まず、びっくりしたのは中国で進んでいて日本が全く進んでいないのがデジタル化と思った。彼らには日本のLINEと同じようなWe Chatというアプリがあるのだがそれに支払い機能がついている、いわゆる「We Chat Pay」というのがあるのだ。日本でもLine Payとかあるが影響力が全く違う。中国ではWe Chat Payを持っていなかったら全く世の中で生きていくことができない。まず、人々がコンビニやそこら辺で買い物をするのに現金を使うことがない。日本はある意味かなり遅れているが現金主義である。これをそのまま中国でやろうとしても全く通じない。人々はすでにキャッシュレスに意識が固まっているのだ。これが中国である。

大連のダウンタウン。お昼というのに全く人が歩いていない。
商業施設も多くが空き家となっている。これだけネットショッピングで生活が成り立っている証拠か?

 

もう一つびっくりしたことがある。あるタイミングでショッピングモールに行ってきたのであるがそこに車のショールームが6〜7箇所もあったことだ。我々日本人はショッピングモールに車の営業所があると考えるだろうか?まずありえないだろう。車というのは基本的に車に乗ってエンジン音や加速感、ハンドルの切れ具合なども確認しながら車を買うのが世の中の普通である。中国ではそれがない。というのも電気自動車だからなのだろうか。基本的に加速感などは一緒なのか?私はあまり電気自動車のことがよくわからないがエンジンのような差がないからこんなショッピングモールで販売ができるのだろうか?いずれにしても車が家電化したのだと言える。私にとって非日常を目の当たりにしてとにかく驚いた。

これがショッピングモールの中にある販売店。
とてもおしゃれなお店。これが車の販売店。まるで家電だ!

 

では、中国のクリーニング業界はどうなのか?というとこれもなかなか面白い。なんとインターネットでのクリーニング業がとても勢力を伸ばしていると言うのだ。ここにはもう一つの中国の傾向があるのだが、人々はネットショッピングを常用化している。実際に大連の街を歩いてみても確かに人の数が少ない。日本では一部のネットクリーニング業者がそれなりの売上を上げているがはっきり言ってまだまだ店舗や外交のクリーニング業の方が目立っている。しかし、中国ではすでにとても有名なネットクリーニング業者が出てきているのだから全然日本の歴史とは全く違う歩み方をしている。ただ、中国のクリーニング業は日本から30年は遅れていると言える。というのも中国ではようやくクリーニングの大衆化が始まってきたからだ。日本がクリーニングの大衆化に入ったのは80年代だろうか?それまでの価格が一気に安くなり、多くのお店が洋服の量を扱うことで売上と利益を出そうとした時代に突入したのだ。中国はまだ大衆化していないといえる。何故ならばまだまだクリーニングの料金が高いからだ。

大連の富裕層が生活しているところにあるFornet。お店の作りもとてもおしゃれ。ちなみにFornetはどこでもこのくらいきれいにお店づくりができている。
お店のカウンター。すぐ後ろにドライ機が設置されている。これが日本で言う昭和のイメージなのか。人々にちゃんとやっている証明でもしているかのような置き方である。

 

実際に大連でフランチャイズをやっているFornetを訪問した。オーナーさんに会って色々話を聞いた。中国では富裕層を相手にやらなければ成り立たないと言っていた。価格を見てみるとワイシャツはなんと26元、1元がおおよそ20円なので500円を超える料金なのだ。外国為替は円がどの通貨に対しても弱いのでこのような計算になってしまうのは仕方ない。アメリカドルが110円くらいのときに中国元が15円という時期があった。仮に15円で計算しても390円になるのだから如何に価格が高いか、を認識していただくことができるのではないだろうか。このように考えてみても価格が高い、ということはそこまで洋服の量は集まらない、しかし利益率はとても高いので問題なし、というのが現在のクリーニング業で生き残っているところなのだ。

彼らの価格である。この値段に20を掛けると現在の日本円になる。感じ方は皆さん次第!しかし中国ですよ。


これから低価格のクリーニング業者が入ってくることで競争の激化が予想される。中には低価格を実現するためにクリーニングの品質低下を政策的に進める業者も出てくるだろう。こんなところがこれから中国で起こってくる傾向なのだろう。生き残るためにはやはりクリーニングの品質を如何に高く維持できるか?がポイントとなると思う。それをどれだけの人々が理解し、実行できるだろうか?特に高級クリーニングとして認知されているお店がそのポリシーを貫き通すことができるかどうか次第と思う。訪問したFornetはとても安定しているとのお話を聞いたので是非頑張ってもらいたいと思う。

いずれにしても中国はこれから成長期に入ると思われる。世界のクリーニング業界はほとんどが衰退しているのに対してこの時期に成長する市場があるのはとても珍しい。その中国がこれからどんな道を歩んでいくのか?とても楽しみである。