皆さん、こんにちは。
前回に引き続き今後のクリーニング事業の展望について私の意見を綴ってみたいと思います。それにしても前回のコラムを発表した日から翌日の2日間だけで500名以上の方に読んでいただけました。このブログを書き始めて最高の反応だったのです。人それぞれ思う事はあるのだろうと思いますが、皆さんは「これからどうやっていこうか?」とかなり悩まれているのだろう、と強く感じました。
さて、それでは話しを続けてみたいと思います。クリーニング業が衰退を迎えているもう一つの理由はズバリ「表現力」と思います。表現力とはなんでしょうか?自社の持っているこだわりを何らかの形で顧客に認識してもらう力が表現力と考えています。私は世界中のクリーニング店を見て回っていますが、私が一番感じることはその表現力があまりにも乏しいと言うことです。
考えてみれば無理もない話しです。昔クリーニング業というのは無理して顧客に呼び込みをしなくてもお店に人が集まっていた歴史があったわけです。それはウール製のスーツです。そもそもウールは水洗いが出来ない事からクリーニング店に持ってくることしか綺麗にする事が出来なかったわけですし、現在も基本路線は変わっていません。それではワイシャツはどうでしょうか?昔のワイシャツは厚手の生地、オックスフォード地などが一番良いとされていた時代です。家庭のアイロン技術では太刀打ちできないシャツだったのでこれも自動的にクリーニング店しか出来ない洋服と定義づけられていました。そこにドレスコードという社会のルールが存在していた訳ですからクリーニング業界においては鬼に金棒の周辺環境だったわけです。展示会を想像してみてください。出展者のほぼすべてがクリーニングの技術に関する会社ばかりじゃないですか?当時のビジネスモデルの流れに沿ってクリーニング店が技術ばかりを追う傾向になっていたわけですし、それに伴って技術系のメーカーや商社ばかりが集うようになってしまったのです。
さて、現在はどうでしょうか?前回のコラムに書きましたが、もはやクリーニング店にとって不利な条件がそろい始めています。形態安定シャツ、家庭洗濯出来るスーツ、家庭洗濯機の技術向上、洗剤の技術向上、そしてドレスコードの崩壊(いわゆるカジュアル化)によりそれまでのビジネスモデルが全く通用しない周辺環境になってしまったのです。ここで皆さんが考える事は何か?というと「守りの経営から攻めの経営」にシフトしていく事なのです。この考えを全く持たない会社は間違いなく消滅していくでしょう。
それでは攻めの経営とはどういうことでしょうか?言葉だけで考えると難しいかもしれません。簡単に言うと「如何に顧客に興味を抱かせるか?」です。顧客はクリーニングの技術について全く情報を持っていません。だから何で判断するか?と言うとまずは「店舗の見た目」なのです。ただ単に店を綺麗にすれば良いのではありません。前回のコラムでもお話しいたしましたが、会社が考える「こだわり」を店舗を通じてどのように顧客に表現するか?をベースに店舗イメージを作るべきなのです。少々嫌みを言わせていただきますが、クリーニング店経営者のほとんどの方が店舗や商品のラッピングにお金を使わなさすぎです。それぞれの洋服がお店の最高の技術で綺麗になるのですが、それを美しいラッピングで返されると本当に綺麗になったように表現出来ると思いませんか?店舗も然り!多くのクリーニング店では店舗を10年以上、もしかしたら20年以上も改装していない状態です。その地域で生まれ育った人々はもはやそのお店を自分のお店とは考えないでしょうね。何故ならば自分の両親の世代のお店だからです。変わっていないんだから当たり前です。もっとビジュアルで訴える力が必要でしょう。
前回のコラムでワイシャツの事についてお話しをさせていただきましたが、今回も例としてワイシャツについて考えてみましょう。最近、多くのチェーン店が中心となってワイシャツをスーツと同じハンガー形態にして自動包装機で包装しています。理由を聞くと「コスト削減」が最も大きな理由です。それまで多くのクリーニング店ではユニークな形でワイシャツ包装をしていました。今も畳みで提供しているお店も残っていますがこれも一種のこだわりです。それをコスト削減と言うことでこだわりをなくしてしまう、と言うことは会社にとってとても大きな価値損失になるのではないでしょうか?自分たちはどうしてこの形にこだわるのか?を考えて商品を表現すべきと私は考えます。同じようにウール製品などはどのように表現したら良いでしょうか?これも皆さんで是非考えていただきたいと思います。
多分、このお話しにまだ消化不良を起こされている方がいらっしゃるのではないでしょうか?実際私もまだ書き切れていない事がありますので次回はもう一回、今後のクリーニング業というお題目で書かせていただきたいと思います。それまでに是非皆さん自身でお店や商品のビジュアルを「攻めの営業」として考えていただきたいですし、周りの皆さんと話しのネタにしていただければと思います。