コインランドリービジネスとは?

2月4日、私は羽田空港から小松空港に飛んだ。この日から金沢、熊本、博多、小倉と2月8日までの旅に出かけるのだ。それにしても石川県から熊本に移動とは・・・、我ながら無茶な計画を組むものだ。それでも海外に出かける事を考えたらこのくらいの出張は大した事ではない。日本人としての常識も通用するし、ほぼ時間通りに事が運ぶ。海外出張に比べたらストレスが全くない。

小松空港に着いた。最初に訪問したのがこの小松市で立派に活動している三ツ村クリーニング。聞いたところによると小松市で10万人、お隣の能美市が5万人というあまり大きくない地域でしっかり売り上げている優秀なクリーニング店である。また三幸社製品をたくさん使ってくれている優良顧客の一社である。しかし何年ぶりの訪問だろうか。

空港に社長が迎えに来てくれていて、早速工場を訪問した。本社工場は全く変わっていない。新しいワイシャツプレス機が入っていたが特に変わった様子はない。ミーティングルームにて社長といろいろ話した。この三ツ村クリーニングは社長と息子さんがとても仲が良い。JCPCのツアーでも良く親子で参加しているし、昨年のカナダとロサンゼルスのツアーでは息子さんが一人で参加してきた。自分自身に投資する意思がとても強く、私にとってはいつも好感度の高い親子なのだ。そのミーティングルームで掲げてある写真を注目するとそれは三ツ村社長の考えたコインランドリーの写真だった。早速尋ねてみる。コンセプトがとても面白い。それぞれが全く考えの違うお店になっている。キッズルーム付のお店、動物のモニュメントがちりばめてあるお店、もっとすごいのは足湯のあるお店で土足厳禁のお店だったりするのだ。ただ単にコインランドリーではないところが面白い。私の興味心が一気に高まり、是非見せて欲しいとお願いする事になり行く事になった。

(創業時の三ツ村クリーニング)

(コインとの併設店。ここは普通だったけど客が数人使っていました)

訪問してみると利用者がいる。この地域でもコインランドリーは激戦である。日本全国どこをみても最近はコインランドリーのお店をよく見るようになった。それだけ投資に値する業界なのだろう。しかしあまり人影をみないお店がほとんどなのに対して私が訪問した三ツ村の2店舗はどちらも数名の人が利用していた。明らかに何かが違うのだ。人々の心を動かすモノはなんだろう?私はいつもそれをリサーチしているのだが、最近とても強く思う事はクリーニング業とはマクドナルドのように日本全国に展開するような事をやっても上手くいかない業界なのだろう、という事だ。アメリカでもヨーロッパでも既に答えがでているが地元で洋服を綺麗にするビジネスについてありとあらゆる方面の事業をやって利益率を高める事を考えるのがクリーニング業にとって最も有益な方法だろうと思うのだ。具体的にはクリーニング業だけでなくWash & Foldも一つの手だし、ユニフォームクリーニングのビジネスも一つの手。そしてこのようなコインランドリーも一つの方法と認識する。要はこの土地に住む顧客が望むサービスはなんなのだろうか?を具現化すれば商売として成り立つと思う。そのためにはこの土地をよく知らなければならない。マクドナルドのようなブランドではそれは難しい。この三ツ村クリーニングはこの地をよく知っているからこそこのような展開が出来ているのだろうと強く感じた。

(2件目の正面。何故シマウマ?笑)

(店内には牛さん・・・。何故?笑)

(こんな動物園にこの設定)

昼食を一緒にしながら私が現在考えているこの論理を親子に話してみた。彼らは既にそれを理解し、実践している。だからこちらの話しがよくわかっているし、私の話を聞いて自分たちのやっている事に間違いないと再確認したようだ。こういうクリーニング店には是非頑張ってもらいたいと心から願う。

2月5日、私は小松空港から羽田空港を経由して北九州空港へ向かった。毎年行っている恒例行事、黒川温泉に行く会なのだ。何名かのクリーニング店の社長さん達と楽しむ会なのだがここは全く遊びがない。素直に温泉に入って食事して終わり!なのでその後の部屋飲みをしながら今後の業界について色々語ることの出来る会なのだ。とはいえ、かなりプライベートな部分があるのでこの会についてはここで書くのは控えさせてもらう。

2月6日、我々は黒川温泉を後にして博多に向かった。目的はアスファクト様が運営しているランドリープレスを見学するためだ。ランドリープレスは現在のコインランドリー業界でも際だった会社である。社長の和田さんとはFacebookで友達になり、残念ながら三幸社の仕事はあまりないのだが、私にコインランドリーの質問が来ると紹介するのがこの和田さんなのだ。最近は自社運営だけでなく日本全国にコインランドリーの依頼を受けて店舗設計なども幅広くやっていてとても忙しそうだ。私は今までお店を訪問したこともなかったので丁度良い機会となった。

残念ながら社長は出張に出られていていらっしゃらなかったので専務の満川さんが我々を案内してくれた。会社の中身や戦略についてはこの場でお話しする事は出来ないが、話しを聞いて改めて感じた事があった。これだけコインランドリーが人気になっていても売れる店と売れない店に大きな違いがあることだ。機械ひとつにしてもこだわりがとてもある。「こんなお客様が使ってくれると良いな」とイメージした店作りになっているところがすごい!2店舗を案内してくれたのだが、1店舗目は隣にクリーニング店があるので普通にコインランドリーだけ。2店舗目はコインランドリーにクリーニングの受付カウンターがあるお店になっていた。残念ながら訪問した日は木曜日、たまたまこの日はクリーニングがお休みの日だったのでシャッターが閉まっていたがこの考えもなかなかだ。それ以上に店の中がとてもスタイリッシュなのだ。スターバックスの店内のように人々にリラックス出来る環境をしっかり整えており、飲物ももちろん有料ではあるが美味しいコーヒーが飲めるようにしてあった。こういう雰囲気を見ただけでどんな人々が使うのだろうか?と容易に想像出来るのが素晴らしい。


(最初のお店。とてもシックでかっこいい)

(店内。これもシックで置いてある機材があまり浮いてない)

やはりビジネスは「誰でも良いから使って欲しい」というコンセプトは絶対にダメなのだろう。たかがコインランドリーかもしれないがされどコインランドリーなのだ。単に場所を借りて機械を並べて最低限のサービスが出来ればOK、という考えで売上を上げることは出来ない。しっかり顧客を設定し、その顧客がどんな気持ちでここを使っているのか、をイメージしなければこういうお店は出来ないのだろう。今回は残念ながら会えなかったが和田社長の想いがしっかり店舗に伝わっているような感じがした。クリーニング業でも一緒だろう。しっかり顧客を設定し、その顧客が我々のお店を使うイメージをしっかり想像しながらお店作りをする。単にカウンターを置いて接客が出来れば良い、という考えではお客様はやってこないのだ。コインランドリーというカテゴリーで色々考えさせられた週だった。

(2件目のお店)

(店内。ここもイメージは似ている)

(残念ながら閉まっていた店舗。これはなかなかのアイデア)

(とても落ち着いた待合スペース。こういうのが良いのだろうか)