オーストラリアのワイナリー巡り

12月10日、私は19:40発のJAL771便にてシドニー経由メルボルンまで移動する事になっていた。この日の朝はゴルフの試合。大学時代の仲間達4人でチームになって行うスクランブルに参加していた。場所は埼玉の鳩山カントリークラブ。このゴルフ場から成田空港まで2時間。スタートは9時。17時半までには空港に入っていなければまずい。こんなことになるとは考えてもいなかったのだが相変わらず自分の短絡的なスケジュール管理に嫌気がさす。今回はいつもJCPCの海外視察などでコンビを組む日本ツアーサービスの藤島さんと一緒に旅することになっていた。彼女は大阪から飛んでくるので飛行機に乗り遅れる訳にはいかない。ゴルフの試合が途中であってもいざとなれば失礼して空港に移動しようと思っていたくらいである。そうしたら藤島さんからメッセージが入る。「出発が2時間くらい遅れるらしい」と。となると21:40の出発だ。急に楽になった。ゴルフを終えたら風呂にも入らずに移動しなければ、と思っていたのだがしっかり風呂に入って行く事が出来たのでこの遅延は少々有り難かった。トーナメントは残念ながら上位5位には2打差で入れず全日本ファイナルには進めなかったのだが・・・。

(大学時代のメンバーと。皆さん(一人のぞいて)上手なんですよ〜)

ゴルフ場から空港まで急いで車を走らせて18時に到着。少し藤島さんを待たせることとなってしまったがこれでオーストラリアに行くことは出来る。ちょっとほっとした。今回の旅はIDC国際クリーニング会議の打合せに行くためだ。来年の5月22日から24日までの3日間、メルボルンにて開催する事を決定してはいたのだが、会議の内容をどうするか?いくら位の参加費用で出席する事が出来るのか?などなど細かい事をまとめなければ募集する事さえ出来ないのだ。その細かい部分にどうしても藤島さんの力が必要になる。毎回思う事だが彼女のツアー企画は本当に素晴らしい。こういう人がパートナーでいてくれるとだらしない私でもある程度しっかり企画を形にする事が出来るのだ。彼女なしでは出来ない。

JAL便でシドニーに到着、すでに翌日の朝9時になっていた。オーストラリアは夏、時差は通常1時間だが夏時間になると2時間になる。日本は日付変更線に近い国なのでほとんどの国に対して時間が進んでいるのだが、オーストラリアは数少ない日本よりも時間の進んでいる国である。9時に到着したと言うことは日本はまだ2時間遅れの朝7時と言うことになるのだ。すぐにカンタス航空の国内線にチェックインしてターミナルを移動する。どうやら遅れた理由はシドニー郊外で起こっている山火事のようだ。日によっては山火事の煙が町全体を覆ってしまい空港も視界不良のために飛行機の発着が出来ない、と言うことなのだ。後でワインの話しをするがこの山火事はワイン生産においても大きな影響を及ぼしている。国内線もこの山火事の影響で出発が30分近く遅れた。本来だったら11時にはメルボルンに着いているはずの予定だったのだが実際に到着したのは13時を過ぎていた。この日はDIA(Drycleaning Institute of Australia)いわゆるオーストラリアクリーニング協会なのだがこの代表Brian Tonkin氏と秘書をやっているCatherine Cluning氏の両名と13時からミーティングをする予定になっていた。事前に飛行機が遅れる話しをしていたのだがそれでも14時の予定にしていた。結局14:30にミーティングをする事が出来たのだが大変迷惑をかけてしまった。

ミーティングはとてもスムースに行えた。会場となるCrown Promenade Hotelの部屋やカンファレンスルームなどをチェック、当日のミーティングの雰囲気などがイメージ出来た。コスト面もおおよそ出たので価格を統一する事も出来た。ちなみにJCPCの皆さんは日本からの飛行機や滞在費用、食事などの費用もおおよそカバーされた状態で5月21日から25日までの5日間で30万円を切る費用でいけるのだからなかなかお得な設定をしてくれた。現地で会議だけ参加したい、という方々はIDC会員はUSD550.00、非会員はUSD600.00で参加出来る事も決まった。翌日12日はいくつかのクリーニング店を訪問し、来年の参加者の工場見学先としてふさわしいかどうか、を確かめる活動も出来た。この会議は元々オーストラリアのランドリー協会(LAA)とクリーニング協会(DIA)の共同で開く会議と展示会なのでTwin Cleanという名前がついている。このイベントにIDCも一緒に参加させてもらおうと言うことになったのだ。せっかくだから会議の中でオーストラリアの皆さんにももっと世界の業界動向や知らない知識なども知ってもらおうと私が企画した内容がおおよそ取り入れられることとなった。登壇者の顔ぶれもおおよそ決まり、私も藤島さんもほっと肩をなで下ろす。これが決まらないと人々に公表出来ないし、そうすると募集する事さえ出来ないのだ。そのために打合せに来たのだからなんとしても合意して終わりたかった。それがしっかり出来たので今回の旅の意義は本当に大きかった。

(ミーティングを終えた夕食。右からLAAのアンソニーさん、DIAのブライアンさん、そしてキャサリンさん。僕の隣が有名な藤島さん)

12月13日、無事にIDCの打合せもやり遂げたので普通ならそのまま帰国すれば良いのだが、私はワインが大好きである。今年からワインのスクールにも通っていて本格的にワインの勉強をしている。オーストラリアはワインの一大生産地である。このまま帰ったらもったいない!と言うことで私はシドニーまで戻り、レンタカーを借りて車で2時間、Hunter Valleyというワインの一大銘醸地を目指す事となった。Hunter Valleyはオーストラリアのワインの歴史で一番古い場所で兼ねてから行ってみたいと思っていた場所である。この地域ではSemillon(セミヨン)、Chardonnay(シャルドネ)、Shiraz(シラズ)の3つの葡萄がとても有名なのだ。日本の皆さんは流石にシャルドネは聞いたことあるだろう。しかしSemillonはあまり聞いたことがないのではないだろうか?フランスのボルドーではこのSemillonは有名なのだが、このHunter Valleyでもこの品種は有名なのだ。Shirazは北半球ではSyrah(シラー)と呼ばれる品種でただ単に呼び方が違うだけなのだが、オーストラリアではこのShirazがなんと言っても有名な葡萄だ。オーストラリアのワイナリーに行くのは人生で初めてなので、運転しているうちからワクワクする。しかし、今回は例の山火事が気になる。結局訪問する事は出来たし、この日はほぼ影響はなかったのだが、このHunter Valleyもかなり影響は出ているらしい。風向きが変わるとその煙の臭いが町全体に襲いかかる。葡萄はこの時期は丁度栽培しているときで収穫は大体1月から2月、その間に煙が葡萄にかかると皮にその臭いがこびりついてしまい、ワイン作りに大きく影響してしまう。何とも気の毒な話しである。これ以上の影響が及ばないことを願うばかりだ。

ワイン畑が見えてきた。一気にテンションが上がる。すでにネットやうちの代理店に話しを聞いて行く場所を決めていた。最初に行ったのがTyrrell’sというワイナリー。雑誌でも結構取り上げられているワイナリーなので手始めに行ってみた。やはり出てきた、Semillon、Chardonnay、そしてShiraz。ここではそれぞれ2本ずつ試飲してみたが見事に味が違う。ワインというのはとても面白くて同じ葡萄でも作っている畑の土壌、その年の気候、醸造するときの方法や樽の種類などで全部香りや味が変わってくるのだ。逆に言えば同じ味を作る事など不可能と言った方が良いだろう。面白かったのはShirazの2本だが一つはちょっと女性的な味わい。タンニンが少なくマイルドにできあがっている。これは隠し味としてViognier(ビオニエ)が10%くらい入っているらしい。このように違う葡萄をブレンドする事をアッサンブラージュという。一方のShirazはかなり男性的でアッサンブラージュなしの100%Shirazなのだ。Shirazには胡椒のようなスパイシーな香りと味がするのが特徴でこのワインはまさにパンチの効いた強い味わいだ。ただこれはどちらが良いとか悪いではなく自分の好き嫌いで決めれば良いことなのだ。ここでの学びはViognierの存在が味の柔らかさを作っていることだった。こうやって経験しないとなかなかわからない。そんな調子でこの日はLake’s Folly、Pepper Tree、Draytonsをまわった。夜はうちの代理店のアドバイスによりLeogateというワイナリーが経営しているレストランThe Gatesで食事をしてみた。ここで驚いたのは生牡蠣が思った以上に安い。そしておいしい!今回はSemillonとPinot Grisを1杯ずついただいて牡蠣を堪能、そして次のステーキをもちろんShirazで堪能した。本当に贅沢な一時だった。

 

(最初に訪問したTyrrell’s Winery。Shirazの違いをまざまざと見せつけられた)

(二番目に訪問したLake’s Folly。ここは多分Hunter Valleyで3本の指に入るおいしいさだろう)

(3番目に訪問したPepper Tree。ここも典型的なShirazを造るワイナリー)

(夕食に訪問したLeogateのレストラン。このワインをいただいちゃいました)

12月14日、午後にはシドニーに帰らなければならないのだが、せっかく来たのだからと言うことで3つのワイナリーを訪問した。McGuigan、Keith Tulloch、Peterson Houseの順番でまわった。この二日間でHunter Valleyという場所、この地で造っているワインなどが本当によくわかった。どのワイナリーも特徴があってとても印象深い。しかし最後のPeterson Houseは印象深かった。スパークリングの専門ワイナリーで面白かったのはShirazのスパークリングがあったことだ。この業界でも売れるためには様々な仕掛けを作らないとお客様に支持してもらう事は難しいのだな、と改めて感じた。

(Hunterでスパークリング専門のワイナリーPeterson House。ロゼが良かった〜)

今回のワイナリー巡りで感じた事は「本当においしいワインを造る事」「おいしく感じるプロモーションをする事」「何らかのコンテストで賞を取ること」、この3つを感じた。最初のおいしいワイン造りについては誰もがやっていると思われる。しかしそれは自分の主観であって他人の評価ではない。他人の評価が大切なのだ。だからその次のおいしいと感じるプロモーションが必要なのだ。賞を取ることについてはこれは結果だから最初とその次の二つを如何にお金と労力を使ってやるか、と言うことになる。ここに不退転の決意で行っているワイナリーこそ有名なワイナリーになるのだろう。なんかクリーニング店も同じような気がする。意外と大切なのはプロモーションなのだ。

こんな素晴らしい時間もあっという間に終わり、一路シドニーへ戻る。夕方に当社の代理店であるSpencer Systemsとの夕食ミーティングがあるからだ。やはり2時間くらいかかったが無事に戻り予定の時間通りに約束の場所にて合流した。現在のオーストラリアの状況、来年5月のIDCの準備などなど話しは尽きない。彼らには5月の会議に合わせて靴クリーニングのモニタリングも始めてもらう予定だ。今までやった事のない話しは必ず可能性がある。彼らがオーストラリアでどのように展開していくのか?それが楽しみで仕方ない。

(SpencerのJohn(左)と息子のDanielと。かなり建設的な話しで盛り上がりました)

Sankosha USAの代理店会議

11月19日。私はまたまた成田空港のJALラウンジに身を寄せている。今回もまたアメリカ、いつもながら行く回数が本当に多い。それだけ商売がアメリカにある証拠である。今回はアメリカ現地法人で行われる代理店会議に参加するためで国内営業で部長の伊達さんを連れて行く事になっている。理由はアメリカの代理店会議を経験してもらい、今後の国内代理店会議の開催方法において参考にしてもらいたいからだ。それまでのアメリカの代理店会議を通じて私は代理店がSankoshaブランドと共に活動しよう!と考えてくれている会社がとても多い、と感じている。一方で日本の代理店はそのように感じていないところがあまりに多いと思うのだ。この違いは何か?それを私だけではなく今回の伊達さんのような当事者達に感じてもらい、活動の仕方をしっかり改善してもらう事を目的にしている。

我々は同日の朝にシカゴに到着した。いつもながら思う事だが朝11時に出発したのに到着は同日の朝7時。何とも得した気分にはなるのだが、この朝の到着が何とも悩ましい。機内でワインをそこそこ飲んできたところでの到着が朝なのだ。これから仕事する気には到底なれないのだがこれしかチョイスがないのだから仕方ない。ちなみにANAだったら午後出発の便があるのだが私はJAL派なので元々選択肢には入っていないのだ

事務所へ到着。普通に仕事が始まる。午前から昼間では通常の仕事が出来る。しかし午後に入ると急に眠気がやってくる。ここで無理すると残りの滞在に影響が出る!と言うことで必ずお昼寝タイムとする。これだけ慣れている私がするのだから初めての伊達さんも一緒に寝る。残念ながらベッドがあるわけではないが会議室のイスにもたれて1時間くらいぐっすり寝るのだ。寝れるだけまだましだろう。

さて、夜になるとすでに一部の代理店が到着してきた。会議は明日からなのにもうやってくるのが日本と違う所だ。これは決して意気込みだけではない訳でアメリカは本当に広い!シカゴは中西部なので東海岸から1時間遅れ、西海岸から2時間進みという位置にある。特に西部の人々は当日の出発では間に合わないので前日からやってくるのだ。しかし日本的な考えであれば当日の出発で全ての代理店がその会議に間に合う時間でスタートするだろう。しかし我々は朝9時からスタートする。ロサンゼルスからは飛行機で4時間、しかも時差が2時間あるわけだから一番早い飛行機で朝6時の飛行機に乗っても到着するのはお昼の12時頃。午後にならないとスタートする事が出来ないのだ。地理的な問題もあるがそんな短い時間でやる会議など価値にあたらない。前日から乗り込んでもらっても翌日の会議を終えた時に「来て良かった!」と思わせる位の内容がある方がよっぽど重要である。この時点で日本の代理店会議とコンセプトが違うのである。

アメリカの代理店はあらゆるメーカーの製品・部品でも売るような事はやらない。彼らはメーカーのいわゆるその地の代理店なのだ。文字通り代理店というのだが、日本の代理店はそこまでメーカーとの付き合いを求めようとしない。お客様がある製品を欲しがるとすぐにそのメーカーに連絡して手配できるように奔走する。いわゆるブローカー的な活動なのだ。

このやり方でハッピーになる人は誰もいない。何故ならば代理店は扱うメーカーの量が多ければ多い程いろんな事を覚えなければならない。しかしそこまで扱い量が多くないのだから覚えるはずがない。要は価格だけなのだ。一方でメーカーはそういう代理店ばかりが周りにいるのだから彼らに平等に卸す事ができるようにするのだ。そして代理店のサポートを宛てにしないのだからサポートは結局自分たちでやるようになる。(一部の代理店は立派にやってくれているのだが・・・)海外営業からスタートした私はこれが当たり前と思っていたのだが日本は違う、というか違っていた。現在は今までのやり方ではやっていけない、と多くの人々が方法を変えようとしている。これからお互いに強くなれるだろう。ただ、自分に色をつける必要があるのだ。我々にそれだけの魅力がなければついてきてくれないのでそこが我々の課題だろう。

11月20日、代理店会議がスタートした。なんと全米とカナダから20社以上、30名以上が参加してくれた。これだけ来てくれるととてもうれしい。日帰りで来る人など一人もいない。全員が朝9時から夕方4時までの会議に参加し、我々が主催する晩餐会に全員が参加するのだ。丸々一日を我々の為に捧げる代理店達。彼らに頑張ってもらえるように活動するのが筋だろう。

(朝9時からスタート。しかしほぼ100%の参加者が集まる)

(最初に会社のメンバー紹介。もちろんほとんどが知られている存在だが・・・)

せっかく来てくれる代理店のために我々も新しい製品や部品を用意する必要がある。この流れが止まった時点で代理店の興味が薄れていくわけだ。今回はスニーカークリーニングの乾燥機を紹介しながらスニーカークリーニングの普及をメインに行った。他にもハイブリッド洗浄機や包装機の自動昇降機などいろいろ取りそろえた。彼らはこれらを知りたくて来るのだ。プログラムとしては新製品紹介だけでなく各地域の売上状況、特に活躍している代理店の紹介、外部から講師をお招きして1時間程度のお話しをしてもらう、等いろいろなプログラムを用意している。中でも一番のポイントは三幸社という会社を知ってもらうことだ。会社の基本理念を細かく説明し。新年度方針で本社の裕介社長と私がどんな事を考えているのか?をしっかり紹介する。これは我々がSankosha USAにやってくれ、とお願いしているのではなく、彼らが自発的にやってくれているのだ。このような活動を目の当たりにすると本社との一体感を感じる。これを代理店に伝えてくれているのだから私が敢えて彼らの前で一生懸命スピーチする必要はなくなる。何とも言えない心地よさを感じる。

今回はスニーカークリーニングに多くの関心が集まった。実際に乾燥機を用意し、韓国からシリコンを用意してもらった。洗剤はありきたりのモノを利用したがそれでもある程度は綺麗になる。ポイントはやはりシリコンなのだろう。参加した代理店から多くのポジティブなコメントが寄せられた。売れる!そう確信したのはFire Restorationという保険会社を介した火災や水害などで被災した洋服類のクリーニングサービスをしている分野においてだった。彼らはすでにスニーカークリーニングをやっているし多くの靴が集まっている。それをほぼ手作業でやっていたのだからこれは天の恵みとでも言いたくなるようなソリューションだ。アメリカでスニーカークリーニングの需要はすぐに出来るだろう。

(スニーカー乾燥機の紹介。新しいので皆の関心が高い)

夕方の晩餐会はイタリアンレストランのパーティー会場を借り切って行った。お金はかかるがわざわざシカゴまで来てくれた人々をもてなす事が最も大切だ。雰囲気も含めて上質感をしっかり出す。人々が満足するのは雰囲気、食事や飲物、人々との会話のしやすさ、など全てが重なって満足感がでるのだ。それを見事に演出しているSankosha USAのメンバー全員に敬意を表したい。

(夕食会のスタート。皆さんで楽しい時間を過ごした)

(外部の講演で一役買ってくれたMr. Chris Whiteと一緒に。彼はAmerica Best Cleanersというグループの代表とKreusllerの販売もやっている)

(テキサス州の代理店Mustangの3代目Mr. Andrew Dubinskiと。こんな若い青年が後を継ぐ訳だからまだまだアメリカは安泰だ!)

ここで感謝の盾を一部の優秀代理店に贈った。優秀代理店を選出する基準がある。機械の売上、部品の売上、メンテナンスの貢献度、ということで技術力、機械の知識力、提案力全てが問われる。日本の代理店でこのレベルに達している会社は残念ながら一社もない。それだけ我々と一心同体でやっている証拠なのだ。もちろん他社製品を売ることはない。今回は8社の代理店に贈らせてもらった。皆とてもうれしそうだった。彼らが我々を見限らない限り我々は絶対に一番で居続ける事が出来る。そのためにも改めて「壊れない機械作り」「有事発生時に対する迅速な対応」がとても大切である。彼らにも良い商売をしてもらうためにも改めて工場一体となって頑張って行きたい。

(表彰式での盾の授与。頑張る人にはしっかり形で表す事が大切!)

 

2019年を終えて 〜今年最後のメッセージ〜

皆さん、こんばんは。

もうすぐ日本は2019年を終えます。今年も皆さんに本当にお世話になりました。ありがとうございました。

それにしても日本のクリーニング業界は厳しい時代に入りました。地球温暖化、崩れるドレスコード、上がらない収入から減るウール製の洋服、洋服メーカーはワッシャブル衣類の開発ばかりに力を入れる、人々は益々家庭洗濯に傾注していく、このように見てるとクリーニング店がどんどん廃業に追い込まれる時代です。

しかしおおよそ50年前の今頃、アメリカでも同じような状況を迎えていました。その時、アメリカでは同じように廃業していくお店もあれば業態を変えて生き残りを図ったお店もありました。またはターゲット顧客を変えて生き残ったお店もありました。その当時、廉価で大量販売をやっていたクリーニング店で残ったところはほぼないという事実です。日本はアメリカと違いますが業界の流れはとても似ています。間違いなくアメリカの方向性は参考になるでしょう。

2020年は日本にとってとても大きな節目になると思います。我々メーカーも皆さんの業態の変化に貢献出来る準備をしておかなければならないでしょう。そんな激動の時代になる予感、皆さんはどうしていこうと考えますか?
ヒントは「外に出ていろんな会合、展示会、視察ツアーに参加して研鑽すること」でしょう。こんな時代だからこそもっと自分自身に投資すべきだと思います。来年は5月にIDC国際クリーニング会議があります。こういう会議に参加して世界で何が起こっているのか?を探しに行くのもとてもおすすめです。参加に興味のある方は是非ご一報ください。

来年もあと少し、皆さん良いお年をお迎えください。私も引き続きゴルフにワインのネタを織り込みながら世界中の業界話をしていきたいと思います。これからもよろしくお願いいたします。

KingBridgeの訪問を経て

10月3日。私はクリーブランドを後にし、ニューヨークにやってきた。いつもながら思うが、このニューヨークという町は本当に息苦しさを感じる。東京もそれなりに感じるがそこに人々のモラルを感じるのでそこまでの息苦しさは感じないが、ここニューヨークは最悪である。とにかく人種の坩堝、いろいろな人がいるので常識の通用しない世界。ある意味危険をいつも感じる場所と言わざるを得ない。これが世界で一番高額な場所なのか?とタイムズスクエアを歩くと思ってしまう。道は平らに舗装されていない。人々は信号を守らない。車を運転してニューヨークほど気を遣う運転をするところはなかなかない。しかも古い町なので一方通行がとても多く、本当にわかりづらい。こんなところがどうして世界で最も高額な場所なのか、がよくわからない。しかし世界のビジネスがここに集まるのだから価格も高くなるわけだ。本当にホテルもレストランも高くて仕方ない。と言うよりも日本があまりにも安く感じてしまう。日本のデフレの結果がこういうところで痛烈に感じてしまう。

10月4日、我々はBrooklynにあるKingBridgeを訪問した。彼らは丁度新しい工場を建設中でその新しい場所は歩いて1分という本当にお隣の様な場所だった。移転の理由は現在の場所では手狭で大きな場所が欲しかったから、と言うことだ。それだけビジネスが順調なのは結構な事である。

私は現在の工場を訪問するのはこれで3回目、いや4回目だろうか。すでに見慣れた光景なので特に何も感じることはないのだが、一緒に来たクリーニング店の皆さんの目はギラギラしている。やはり同業者の工場はとても気になるのだろう。さっそく洗濯機の前で彼らの目がとまる。ドラムの中が相当泡立っているのだ。通常の量ではないので彼らがとてもいぶかしげに見ている。そして質問してきた。「すすぎは何回やるのですか?」と。答えは4回。全員が驚く。日本で4回もすすぎを入れるプログラムは見たことがない、と言うのだ。洗い上がりのシャツを見たら全員が納得する。本当に白いのだ。やり方はさておき、洗いに自信を持っているのがよくわかる。日本ではそれを2回のすすぎで綺麗に出来た方が良い、と反論する人はいるだろう。しかし彼らの1点あたりの売上は20ドル、日本円にして2,200円なのだ。この単価を取れるクリーニング店が日本に果たして何店あるだろうか?そうやって考えると4回すすぎがあっても良いのではないだろうか?時間がかかるだけだがそれだけの粗利が得られるのだから気にもしていない。それよりもこの洗い方が彼らにとって一番綺麗になる、というロジックを持っているからそれでいいのだ。

(泡だらけのドラム内。すすぎが4回というから驚きだ!)

(彼らの工場にあるSankoshaズボン仕上げセット。右のサンドイッチは中コテのカバーを白の生地で作って欲しい、と言うので特注品。とにかく白が好き!)

と言うことで、このクリーニング店は日本人が良く使う「生産性」という言葉をほぼ使わない。「生産性は要らない。とにかく綺麗にする事だけに力を注げば良いのだ」と社長のVictoria Avilesさんは言う。彼女と息子のRichardさんの二人で経営しているのだが、このVictoriaさんの品質における思想が何ともすごいのだ。だから工場もとても綺麗だし、設置されている機械もとても綺麗だ。彼女は「だってクリーニング店でしょ?洋服を綺麗にするところが汚くてどうするのよ!」と当たり前のように話す。例えばこの工場に弊社のサンドイッチズボンプレス機(Double Legger)がある。その中コテのカバーについてVictoriaさんが「どうしても真っ白のカバーが欲しいので作ってくれる?」というリクエストがあった。特別注文として我々は作って差し上げたのだが、とにかく色にこだわる。彼女は真っ白が大好き!クリーニング業に向いている性格なのだろうか。そのカバーも1週間に一度は必ず外して洗って再装着する、という事なのだ。工場が綺麗なのは当たり前だ。機械のカバーにまでこだわりを持つクリーニング店はなかなかいない。これらのこだわりが洋服を綺麗にするし、結果として強気の価格を提示しても使ってもらえる理由なのだろう。

工場を後にして我々はお店に向かったのだが、そのお店でまたびっくりした。5年前に訪問した店と違うのだ。なんとお隣に引っ越しているではないか!そしてそのお店がまた素晴らしく綺麗になっているし、完全にブティックになっていた。ここでの屋号はまだ昔のBridge Cleanersになってた。実はもう一つお店を持っていて、そちらはKings Garment Careという屋号になっているのだ。息子のRichard君の時代に合わせてこの二つの違う屋号をKingBridgeという屋号に変える決定をしたのだと言う。そのお店の中が本当にすごくなっていた。

(店の外観。黒の枠になってシックさが際立っている)

元々、このお店は総売上の30%がお直し、テーラーの売上で構成されている。クリーニング店としてはかなり異色のお店なのだ。ここでは常時8名のテーラー職人が作業しているのだが、昔とレイアウトが大きく変わっていた。昔はクリーニングの受付カウンターとテーラーの受付カウンターが違っていたのだが、新しいお店では統一されている。しかし、その受付に到着するまでにある意味レッドカーペットの様な通路を通って脇で作業しているテーラー職人の仕事ぶりを見ながら受付カウンターまで歩いて行く様になっている。(実際にカーペットはないけど)

(店の中。テーラーの作業場の最後にカウンター。実に綺麗だった!)

(テーラー職人さんもきちんとワイシャツとベストを着て作業)

(細部にわたってとてもデコレーションされている)

(お店の床が微妙に曲がっている。ここまで計算しているとは・・・)

圧倒されたのはそのフロアのタイルである。微妙に曲がっているのだ。これにいち早く気づいた一人の同行者が「なんでこの角度になっているのですか?」と質問したのだ。この質問に答えたVictoriaさんの戦略に皆圧倒された。「私はお客様に入口から受付まで歩きながらお店の雰囲気をしっかり感じてもらいたかったの。だけどタイルがまっすぐになっていると人はほとんど下を向くという傾向があると思っていたのよ。だから下を向かせない為にわざと斜めにして何マスあるのか?とか数えられないようにしようと思ったの。この角度は11度みたいだけど、どうして11度になったのかは・・・、わからないわ」と茶目っ気たっぷりで教えてくれた。何気なくやっている事だがこれだけお店のコンセプトに人間の心理状態まで入れた店作りが出来る人はいるだろうか?コンサルティングを入れたってここまでは出来ないだろう。あまりにもすごいコメントで一緒に訪問した日本のクリーニング店の皆さんが打ち負かされた表情をする。

(オーナーのVictoriaさん。話し出すと止まらない!)

更にこんな質問があった。「このお店は何らかのディスカウントをする事があるんですか?もしするならばどんな事をするんですか?」という質問だったのだがVictoriaさんはすかさず「私が自分のお店を持ってから一度たりともディスカウントをした事はありません。だってディスカウントをすると言うことは自身の品質やサービスに対して何らかの不安があるからやるんじゃないの?私は自信を持っているから価値の安売りはやりません!」とキッパリ答えた。これも皆さんは口をそろえて「すごい自信だ!僕らには到底出来ない・・・」という反応だったのだ。
確かにすごい事ではあるが、日本人とアメリカ人のそもそも持っている性格を考えると日本でディスカウントなしでやっていくのは難しいと思う。アメリカだから出来る事であって日本ではなかなか出来ない事と私は考える。だから彼女のコメントに習って日本でやってみようと思う必要はないのではないか、と思う。ただ、それだけ自社の品質やサービスに自信を持っている、という彼女のメンタリティーは学んでおく必要は十分にあると思う。

こんなお店がニューヨークにある。日本ではなかなか考えられないお店だ。これを継承するRichard君も大変だがとても恵まれた事業継承と言える。日本でここまでハッピーな事業継承が出来るクリーニング店はなかなかない。これを執筆している現在でも新しい工場はまだ完成していないという話しを聞いているが、彼らの新工場完成に合わせて是非再訪問してみたいと思う。
私自身も久々に感動した訪問だった。

クリーブランドD.O. Summersの訪問

9月30日の朝、私は再び成田空港のJALラウンジにいた。今回はシカゴ経由でオハイオ州クリーブランドとニューヨークを訪問するのだ。この旅では日本の一部のクリーニング店の皆さんに頼まれてそれらのクリーニング店の訪問をアテンドする事になっている。お目当てはクリーブランドではD.O. Summers Cleanersと数社、ニューヨークではKingBridgeと数社の訪問をする事になっているのだ。

D.O. Summersは現在Goldberg一族が経営している。しかし元々はこの名前にもあるとおりSummers氏が始めたクリーニング店なのだ。このSummers氏が1881年に創業したのだが第二世代に譲ることなくGoldberg一族に売却する事となったのだ。それからおおよそ100年にわたってGoldberg一族がこのビジネスを続けているのだからまさに彼らの続けてきたビジネスなのだ。
アメリカではこのような売却、買収は普通に起こる。むしろ時代に合わせて会社の方向性を変える事が出来ない人々の方が多いと見える。その結果、売却や買収の事案がその節目で多く起こるのであろう。実際に日本も現在、その節目にさしかかっている。実際に多くのクリーニング店が廃業、売却、吸収という状況を日本全国で目の当たりにするのだ。ある意味仕方ない事なのだが、時代の節目に新しい事が出来ない人、それに躊躇している人が取り残され、事業の終止符を打たなくてはいけなくなってしまうのだ。
私は変われない人が悪いと言っているのではない。むしろ変えられる人の方がすごいと思うのだ。人は誰もがそれまでの成功体験を持っている。それがあるからその人はやってくることができた!しかしその成功体験は時代が変わると悪の要因と変わってしまう。経営とは時代の節目に如何に変われるか、なのだろうと心から感じる。

そのD.O. SummersのトップをやっているのがBrett Goldberg氏だ。この方が3代目、Summers氏から数えると4代目となる。すでに息子であるDustinとDrewの二人が次世代経営者として会社の中枢にいるのだから経営基盤としてはしっかりしている。それ以上に感じるのは息子二人がこの事業に魅力を感じ、しっかり後を継ぐという考えを持っているところに父親であるBrettさんの経営手腕を評価すべきだろう。しっかり儲かっていなければ継ぎたいという気にもならないのだから。

10月1日。我々はD.O. Summersのある店舗に訪れた。宿泊しているホテルから10分程度のところだ。そもそも私がとても気になっていたのは彼らのブランディングだ。何故ここまで人々に慕われるのだろうか?そこにBrett社長の戦略があるように感じた。彼はとにかく人々の気を引くプロだと思う。お店の至るところに彼の想いがちりばめられているように感じる。私は彼のブランディングに素晴らしさを感じる。

(5年前くらいに訪問した時の写真。この時もすでに立派だったが・・・)

(現在の店舗。見事なまでに改装されている。)

(昔はなかった花壇まで。やはりフラッグシップのお店だから、とのこと)

早速感じさせたのはこの時計。なんでお店の軒先に出しているか?と言うと「時計と外気温は誰もが見つめるポイント。そこに会社のロゴを一緒に入れておけば人々はそれを見るし、結果的に覚えてくれるはず!」と。なんと言う人間心理を突いた対策だろうか。彼は様々な策を持っていたが一番酔いしれたのはこれだった。

(時計と看板。人間心理を上手く使ったやり方。頭良いです!!)

他にも面白い仕掛けがいろいろある。ロゴの変更、社員のユニフォーム、お店の外装などなどすごく力を入れている。だけどそもそもどうしてここまでの事が出来るのだろうか?だいたいお金がなければこれらは出来ないはずだ。ここにこのBrett Goldberg氏のビジネスモデルがある。言うまでもなく儲かっているのだ。儲かるという意味は「売上」から「経費」を引いて「利益」という事になるのだが、一番は人々からいただくお金、いわゆる定価設定が高めである事なのだろう。当然ながら日本のクリーニング店では絶対にあり得ない価格だ。

(ロッカーとそこを案内いただいた社員の方のユニフォーム)

(店舗で働いている方のユニフォーム。至る所にロゴがしっかり入ってる)

しかし、どうしてこれだけの価格をアメリカの人々は容認してくれるのだろうか?そしてどうして日本の人々はこれを容認してくれないのであろうか?ここに人種のファンダメンタルがあると私は見ている。
一つは買い手の圧力だ。アメリカでは売り手と買い手は対等である。当然ながら売り手の権利も存在するし買い手はそれを尊重しているのだ。しかし日本はどうだろうか?すぐに買い手がすごい権力を発揮し、売り手はそれに翻弄される場面が多々見受けられる。はっきり言って買い手が王様、売り手が下僕の世界だ。ある意味、日本の買い手の購買意識は下品としか言いようがない。だから売り手はいつも買い手にビクビクしながらやっている。その結果、10円の値上げさえもままならない状況になっている。実は日本のデフレ圧力はこの日本人の悪しきメンタリティにあると私は考えている。

この部分はあまり熱く語っても変えられるところではないので話しは元に戻そう。こんな環境でやっているGoldberg氏は更なるプロモーションを持っている。それがこのギフトカードだ。自分の名前で25ドル分のクーポンが入ったカードを自分の気になった人に差し上げる、というプロモーションである。これはすごい!

(社長自らのギフトカード。これこそトップ営業だ!)

何故ならば無数の人々に宛てたプロモーションではない。例えばあるレストランに社長が食事をしに行く。そこで目についたとてもファッショナブルな人がいたとする。すかさず彼はその人の元に足を運び、そのファッションについて褒めるのだ。
「とても良いお洋服を着てらっしゃいますね。ところでそのお洋服はどこでクリーニングしているのですか?」
と。幸運にも自分のお店に出している、となると「それはいつもありがとうございます!私はそのクリーニング店の社長なのですが、是非このカードを使ってまたクリーニングに出してください」と言えるし、仮に別のクリーニング店に出しているならば「そうですか、しかし一度でも我々のクリーニングをお試しいただけませんか?我々はこんなクリーニングをやっているので必ずあなたのニーズにお応え出来る品質を持っていますよ。このクーポンを使って一度お店にいらしてください。」という感じだ。
これこそトップ営業!こんな言われ方をすれば誰もが一度は行ってみよう、と思うのではないだろうか?Brett Goldberg社長のプロモーションの神髄が表れているように思った。

素晴らしいアイデア、そして素晴らしい実行力、どんな時代でもビジネスモデルをしっかり構築し、投資に対して怖がらずに着実に実行していく力があるとビジネスは必ずまわっていくのだ、というお手本を見たような気がした。幸いにも彼らはSankoshaの大ファンの一人なので我々はこのような顧客に使い続けてもらえる製品をいつまでも作り続ける事が我々の生き残っていく道なのだろう、と心から思った訪問であった。

中国の展示会から見えた日本の衰退の理由

9月24日、私は再び成田のJALラウンジにいた。昨日はオーストラリアのDanielと靴クリーニングの見学をした。今朝は彼を吉祥寺のホテルまで迎えて一緒に上海まで行くこととなった。行く理由は中国の展示会Texcare Shanghaiに参加するためである。中国市場は徐々に伸びていると言えるだろう。ただ2015年に一度大きなブームが訪れたがこのときは残念ながら変な噂から多くの投資家がクリーニング業にお金だけを投資して工場建設ラッシュとなった。我々もその恩恵にあずかって大きな売上を上げることが出来たが、その多くの投資が水の泡となったのだ。どうやら金だけ投資しておけばあとは誰がやってもクリーニング業は出来る、というデマが流れていたようなのだ。もちろんコインランドリーの様にはいかない。結局は知識者が工場運営をしなければ品質も出なければ生産性も出来るはずがない。多くの投資家が設備した機械を使いもせずに二束三文で業界にながしてしまうので2016年から2〜3年は全く業界が活性しない時期になってしまったのだ。今回はどうなるのか?そろそろと感じていた頃なのでとても楽しみに感じる。

上海浦東国際空港に到着してDanielと別れた。彼は別のホテルなので一人でそこから移動することとなっていた。一方、社長である兄と梅谷役員と到着ロビーで合流して一緒にホテルに向かった。昨年の展示会は最悪だった。ドイツの展示会開催業者であるMesse FrankfurtがTexcareを上海で開くと同じ時期に中国の洗染協会が主導するChina Laundry Expoという展示会を北京で開くという事態に陥ったのだ。我々は両方とも出展し、人数を分散させて両展示会に対応したのだが何ともお粗末な話しだった。我々は展示会費用を倍払うこととなってしまった。一方で両方の展示会に顔を出した顧客がどれだけいたか?と考えると本当に馬鹿馬鹿しい。その苦い経験から両業者がしっかり話し合いをして今回は共同開催となったのだ。当たり前と言えば当たり前だが、よくぞ両者が話し合いをして共同開催にしてくれた!とこれについては感謝しなければならない。

(Texcareの入り口。今回も大きな展示会だった!)

9月25日、展示会初日である。ブースが本当によく出来ている。今回は中国の業者に直接お願いしたのだが非常に我々の求めるブランディングが形になっているように思った。我々のブースが入口の一番近いところにある。この展示会ではホール1からホール3まであるのだが、全ての人はこのホール1を通過していかないとホール2,ホール3に行く事が出来ないレイアウトになっている。三幸社ブースはそのホール1の入口の一番近いブースとして存在するわけだからお客様が見ないはずがない。最近、この展示会では我々をいつもこのポジションに据えてくれる。それだけ展示会運営会社にとっても我々のブースが展示会場の顔として遜色ないと見ている証拠であろう。いずれにしても今回も大満足の出来映えだ!

(三幸社ブース。非常に良く出来ていました)

(ブース内の装飾。ここに上品さがありました)

(カタログも完全に中国語で出来ていました)

あとはどれだけ来てくれるか?結果をここで申し上げておきたい。3日間で合計25,000人を超える人が来場したのだ。その前の週にあった東京のビジネスフォーラムでは3日間で10,000人だったのだからどのくらいの人であふれかえっているのか、が想像出来るだろう。私の実感としては初日だけでこの合計の半分近く、いわゆる12,000人以上が来ていただろうと想像出来る。故にこの25日ははっきり言って商売にならない。そのくらい来場客でごった返してしまい、一人ひとりに丁寧な対応が出来ないほど人だったのだ。なんともうれしい悲鳴だ。

(初日の様子。大混雑で誰が誰だかわからない)

(全ての機械に人だかり。日本ではない光景)

ただ我々には鉄板の法則がある。それは全ての機械を動かせる状態にしておき、スタッフを用意していつも作業し続ける状態を保っている事だ。こんな大変な事をやるブースは三幸社だけなのだ。他のメーカーは動かし続ける事の重要性を知らない。もしくは動かし続ける事で我々との差を露呈させてしまうかもしれない。結果として、丁寧なおもてなしは出来ないにしても動いている機械を見て判断する事は出来るのだ。多くの人々がカタログを持って帰り、今後の投資の一つとして考えてもらえるのだろう。今回も我々の機械をコピーした中国メーカーが2社あったがある意味ありがたいことなのかもしれない。

(中国コピーメーカーのシングル。色までそっくり。しかし人はいない)

夕方は我々が主催したパーティーに参加した。日本からもお客様が来ていたので一緒にご招待したら結局70名くらいのパーティーとなった。そこには先日日本に来たオーストラリアの代理店であるDanielも参加していたし、UAE・ドバイの代理店も参加してくれた。台湾、香港、そして中国からも数多くの代理店、有力な顧客も参加してくれたのでとても華やかなパーティーとなった。日本ではなかなか作れないブランディングが中国では意外と簡単に作る事ができた。すでにアメリカでは周知のブランドとなっているし世界中がSankoshaブランドを同じように認識してくれている。私はいつも疑問に思うのだ。何故日本ではこのようなブランディングが成り立たないのだろうか?と・・・。実は講演依頼が数件入ってきたので最新の講演資料を作っていたところだったのだ。そこで日本のビジネス環境を改めて考えて見たのだが、ここには日本人のメンタリティがかなり入っているのではないか、と分析できるようになった。一番のポイントは「日本人はかなり嫉妬深い」という事だ。基本的に日本人はビジネスの成功者を称えようとしないし、むしろムカつく存在と見る傾向にある。例えばクリーニング店を利用する顧客を考えて見よう。ある顧客があるお店を満足して使っていてもそのお店だけを利用するのではなく近くの他店も試そうとする。アメリカではまずない考えだ。それだけ満足しているのに何故新たなところを探ってみようと思うのか?ここに日本人の「二社購買」という考え方が根底にある。「安く買いたい」という思いの方が売り手をパートナーと考える思いより強いからだろう。結局、売り手に利益を与えたくないのだ。アメリカも中国(全ての企業ではないが)もその点は違うし、売り手を自分の人生や生活のパートナーと考えて付き合う傾向が強いと感じる。このような考えを顧客の側が持ってくれると我々もとてもやりやすくなる。何故ならば商品やサービスをもっと顧客目線で考えれば良いし、もっと彼らの意見を真摯に聞いて実行すれば良いのだから。それが結果としてブランディングにつながるのだろう。前週のビジネスフォーラムと今週のTexcare Shanghaiを参加して改めてこのような境地に達した。

(パーティーで。なかなかの参加人数です)

(社長と中国人スタッフ達。彼らも中国ビジネスをサポートしてくれています)

3日間の結果として約300台の見込み案件をいただく事となった。日本では考えられない数字だし、6月に行われたClean Showに匹敵する。このように見てみると中国が日本の業界を追い抜く日は遠くないであろう。日本人として悲しい気持ちになるがこれが現実なのだ。

 

オーストラリア代理店の日本訪問

9月23日、当社のオーストラリアの代理店であるSpencer SystemsのDaniel Haysが来日した。彼は25日から始まる上海の展示会、Texcare Shanghaiに参加するためである。実は来年の5月下旬にオーストラリアのメルボルンにてIDC国際クリーニング会議を開催する予定になっているのだが、オーストラリアのホストに彼を抜擢したいと思っていたのだ。最近、IDC国際クリーニング会議は私が企画する事が多い。このように業界が縮小してきている状態で次に何をやれば良いのか?がわからない事が多い。私は仕事の立場上とはいえ世界中を旅している強みから、今後業界がどのようになっていけば良いのか?という考えは容易に提案する事が出来るのだ。ただ、それぞれの地域によってステージが違うのが問題である。例えばヨーロッパやアメリカのような洋服の先進国とタイやインドネシアのような発展途上国ではクリーニング業のステージは全然違うのである。そんな人々を一同に介しての会議になる事から共通のお題目を提案するのはなかなか難しい事である。
オーストラリアはヨーロッパ・アメリカと同じレベルにあり、洋服においては先進国と言える。オーストラリアという国はとてもユニークな国でヨーロッパとアメリカの両方の業界文化をそれぞれ影響されている国なのだ。私からするとヨーロッパからの影響70%、アメリカからの影響30%という感じがするのだが・・・。ただオーストラリアも先進国と同じ問題を抱えており、あれだけ広大な国土を有していても人口は2600万人、クリーニング店の数は国全体で700店以上しかないというもはやニッチな業界と言わざるを得ない大きさなのだ。もちろん、業界全体としては冷えきっていて多くのクリーニング店がこれからどうしていけば良いのか?がまったくわからない状態なのだ。そこで私は日本でブームになりかけているスニーカークリーニングのビジネスを是非オーストラリアでやってもらいたい、と思い、当社の代理店であるSpencer Systemsにこのビジネスの詳細を知ってもらおうと言うことで日本に来てもらったのだ。明日には一緒に上海に行くことになっている。

彼が到着したのは朝の5時10分、何とも早い時間だ。羽田空港国際線ターミナルの出口に顔を出してきたのは朝6時前。最近、こちらもかなり早起きなので問題は全くないが、こんな時間にピックアップしてもすぐに連れて行けるところがない。今回は事前に訪問をお願いしていた二つのクリーニング店を訪問する事になっているのだがまだまだ時間がある。と言うことで最初のお店の近くのレストランに行って朝食を取りながら事前打ち合わせをした。
話しを聞いてみるとオーストラリアでも靴のクリーニングはすでにやっているようだ。しかし我々がやっている様な感じではない。我々が現在進めているやり方は彼らにも大きな反響を生むかもしれない、と朝食を取りながら確信に変わっていった。
最初に訪問したのは練馬にあるクリーニングショップ共栄。社長の共田さんとは古くからの知り合いで今回の見学においても快諾してくれた。8時にお店に到着したらすぐに靴クリーニングのやり方を紹介してくれた。すでに今年の1月から靴クリーニングを始めており、すでに累計2000足の靴を集めているとのことだった。すでに彼の商圏では靴クリーニングのイメージが浸透している証拠なのだろうか?と思いながら彼のやり方を順々に見ていった。やはりDanielの目がすぐに輝いた。洗濯機を利用して靴を洗う、という概念が全くなかったからだ。誰もがこれを望んでいた。出来るなら人の手を使わずに綺麗に洗えることを考えていたのだ。しかしどうやって良いのか、がわからなかったのだ。私はこの洗い方を見慣れてきたが、それでもこの発想にはびっくりする。ポイントはシリコンマットだ。この様々な形と素材の堅さ、柔らかさが大きな影響を与えているのだろう。それから洗剤メーカーの開発も大きな要因である。靴なのだから基本的にとても臭い!そこで通常の洗剤に消臭効果を狙った薬剤が配合されているらしい。日本ではラクナと日華がそれぞれ出しているのだが、このお店では日華製品を利用していた。

(洗濯機にこれらのシリコンを使用。これが綺麗になる大きなカギ!)

(ドラムに靴を入れてその後にシリコンを入れているところ)

(綺麗に洗い終わった靴を見てご満悦の代理店の社長)

(見学を終えて共栄の共田社長と一緒に!)

おおよそ40分弱の洗濯工程で洗い終わった。洗い終わりの靴を見るとなかなか綺麗になっている。一番のポイントは靴の側面の白さだろうか。ここは普通にブラシで手洗いしていてもなかなか落ちない経験をお持ちではないだろうか?それが何とも綺麗になるのである。ここまで白くなるとプロとしての洗濯品質を見せつけることが出来る。Danielもこれを見て改めてびっくり。「これは是非オーストラリアでやってみたい!」と一気に彼は確信したようだ。乾燥は靴専用の乾燥機にかければ良いのだが機能は極めて簡単。靴を引っかけられるような棒に送風機能がついており、その棒から風が吹き付け続けられれば良いのだ。ポイントは熱風にしない事。モノによってはソールが曲がってしまうからだ。通常の運動靴ならば常温の送風で2〜3時間もあれば十分に乾いてしまうので安全第一の乾燥工程をおすすめしたい。

このように考えるとクリーニング工程は全くもって簡単と言うことが出来る。後は洗濯において預かっている靴がどんな状態であるか?という状態を確認する事が最も大切と言える。例えば少々古い靴であるならばゴムの状態が少し固くなってきている。そんな靴を普通に洗ってしまうと形を壊してしまう可能性があるのだ。そういう靴を洗濯する場合にはあらかじめ破損のリスクが伴う事をご了解いただき、合意書にサインしてもらう必要があるのだ。何も了解を取らずに洗ってしまい、仮に破損してしまったら賠償責任が発生してしまうからだ。靴紐も同じ事が言える。そのままドラムに放り込んでしまうとドラムの穴に紐の先が入ってしまい、紐をちぎってしまう可能性があるからだ。なので事前に靴紐が暴れないようにしっかり結んでおく必要がある。このように見てみると洗う事は簡単だとしても作業者の目利き、洗う前にやっておかなければならない準備等をしっかりオペレーションに組み込まなければとてもリスクを伴うクリーニングになってしまうのだ。

さて、我々は2件目の訪問先であるニックを目指した。今回は光が丘店をお邪魔して彼らのやっている靴クリーニングを見学させてもらった。こちらではラクナの洗剤と韓国製の乾燥機を使っていたが、基本的に午前に訪問した共栄と一緒であった。ここで気になったのは売り方である。共栄は今年の1月からスタートしたそうだが、最初の2ヶ月間は2足出したら1足サービスというキャンペーンを行って多くの顧客に靴をクリーニングに出す習慣作りをしたのだ。価格も500円とかなりお手頃である。一方、ニックはそのようなお試しキャンペーンはやっていない。彼らも急激なボリューム増を望んでいるわけでもないのとニックのブランドを考慮して900円で販売している。結果として共栄は累計で2000足の売上が出来ているのに対してニックはまだまだ、という状態である。

(今回洗ってくれた靴。結果としてどれもとても綺麗になった)

(洗う前の大切な工程。これをやらないと紐が切れちゃう)

(丁寧に靴をドラム内に入れている水野店長)

これはどちらが正しくてどちらが間違っている、という話しではない。どちらも会社の事を考えた経営判断なのでどちらも正しいのだ。ただ私は「新しい事にチャレンジしている」事に感銘を受けると同時に是非頑張って続けてもらいたいと思う。一般庶民に対して靴クリーニングを提供するならば500円というのは一つの強い訴求になるだろう。私はDanielと2店舗の訪問を終えて彼を吉祥寺のホテルに送った。そして夜に再会し一緒に食事を取りながら今日の出来事をもう一度お互いに話し合った。彼は間違いなく進めてくれる、と確信が持てた。彼も商売人なので売れる臭いのしないビジネスに力を注ぐはずがない。そういう意味ではとてもはっきりした人間だ。その彼がとてもうれしそうに本日の見学を振り返っていたのが印象的だった。とてもおいしい酒になった。

(夜は二人で一杯!話しは最後までつきなかった)

 

インディアナ州Peerless Cleanersの訪問

9月8日、私はいつものJAL10便にてシカゴに向かった。このJAL10便は私が最も出張で使う便である。何故ならばシカゴにはSankosha USAというグループ子会社があるからだ。カナダを含めた北米の販売は全部ここで集中管理されている。クリーニング業界の衰退が大きな問題になっているが、我がグループはこの北米の売上によって安定を保っている。8月が我がグループの決算であるが、昨年度の決算をみても北米の売上がグループ全体の半分以上になっている事を考えるとどれだけ北米のマーケットが潤沢であるかがおわかりいただけるだろう。この北米マーケットに大きなブレーキがかかる事を考えると身の毛がよだつ思いだ。あまり北米依存体質にならないようにしなければならないのだが、その他のマーケットがあまりにも縮小しているのでここら辺が基本的な問題となっている。

今回、シカゴに出かける理由はSankosha USAの新年度方針発表会に参加するためである。せっかく行くのなら、と言うことで日曜日入りして午後は私の大好きなゴルフをやって時差ぼけ解消に努めようというわけだ。同日の11時に日本を出発するのだが到着すると同日の朝の8時。この時差が本当に堪える。そのためにゴルフをやろうと思っていたのに、なんと雨が降っているではないか!先に到着していた兄と梅谷役員、そして現地の副社長であるBillさんと事務所で合流した。「とりあえず行ってから判断しよう」と言うことでゴルフ場まで行ってみた。そこで食事をしているうちになんと雨は止んで行くではないか!これも日頃の行いが良いから?(笑
スコアはともかくとして4人で楽しくラウンドすることができた。

9月10日、Sankosha USAの新年度方針発表会の日がやってきた。昨年の9月から社長をWesさんに交代したが彼は本当にしっかりやってくれている。彼は自分の考えた構想を社員全員に具体的に伝え、それを各位がどのように表現するか?をかなり細かくチェックする。まるで彼のお芝居を彼がプロデューサーになって社員全員にやらせているようだ。しかし、これだけこだわるのは感心する。具体的だから聞き手も理解出来る。抽象的だったり詰めが甘かったりすると方向性を確信する事は難しくなる。このように考えると彼は本当に会社の事をよく考えながら運営してくれていることがわかる。ありがたい話しだ。自分だったらここまで具体的に出来ないだろう。営業、業務、部品、サポートなどなど多岐にわたる報告や方針発表があったが全員よくまとめてくれたと思う。今後はこのまとめた発表を如何に行動に移すか?である。是非全員には今年度も頑張ってもらいたいと心から願うばかりだ。

9月11日、私は朝早くから借りたレンタカーをインディアナ州Fort Wayneという町に向けて走っていた。目的はPeerless Cleanersを訪問するためである。Sankosha USAの新年度方針発表会のために来たのだが、それだけで帰るのはもったいない。どこか行けるところがないか?と2ヶ月前あたりから可能性を模索していたのだ。シカゴから車で3時間半、久しぶりの一人での長時間ドライブである。いくら走り慣れているとはいってもここはアメリカ。日本ではないので緊張しながらなんとかPeerless Cleanersに到着した。

(Peerless Cleanersの本社入り口。大きな工場だ!)

(お店と工場を結んでいるトラック。外交サービスも行っている)

(CRDNの倉庫。多くの顧客衣類がストックされている)

この日はたまたまボイラー検査をしなければならない日で工場は動いていなかったが、社長のSteve Grashoffさんはすぐに私を工場に案内してくれた。特に大きな特徴があるわけではない。しかし当社のダブルボディワイシャツプレス機が4台入っている。それだけでも多くのワイシャツをプレスしている事がうかがえる。いずれにしても本日は工場が動いていないので詳しい事は明日聞くことにしようと思った。
そこでSteveさんとゴルフをする事になった。彼のメンバーコースは会社から2〜3分のところにあるのだが、このCoyote Creek GCはあのアーノルド・パーマーがプロとして初めて賞金を獲得したコースとして知られている。我々のゴルフの内容はさておいてラウンドしながら二人でいろいろな話しをした。特に気になったのはSteveさんがどうしてこの業界に入ってきたのか?という質問だ。実はSteveさんはこの業界に入ってきたのは19年前、それまではスーパーマーケットのビジネスを奥様のお父様と一緒にやっていたそうである。当時は22店舗のスーパーを持っていて地元では知らない人はいないほどの大きなお店だったが、20年前に事業を売却したのだ。売上が440億円もあったのに・・・。「どうして売ったの?」と聞くと「Walmartのような巨人が地方の町にどんどんと押し寄せてきた時代。とてもじゃないけど規模ではかなわない!」と自分たちの限界をすでに感じていた。

(社長のSteveさんと二人でゴルフ。とても楽しい一時になった)

(面白い望遠鏡。これを使って先のグループとの距離を確認する。先が下りになっていて見にくいのでとても役に立つ)

今日の状況をみると、その当時の意思決定は正しいと言えるだろう。アメリカ人と日本人の差はここにあると言える。日本人の良いところでもあるが悪いところでもあるところは「撤退の意思決定」なのだ。多くの日本人は撤退することが出来ずに会社と共に家族も一同に没落していく事が多い。それは経営者が潮目を読むことが出来ないからだ。社員達も含めて幸せな方向を目指すには他人に売却してその社員達を新しい経営者に依存させる、と言うのも一つのベストな選択肢なのだろう。ただSteveさんは当時40歳。人生はこれからという時の出来事なので本人は何かやらなければならない。そこで当時から自分の店に入っていたクリーニング店のオーナーが昔から売却したいという意向があったことを思いだし、そのオーナーさんと話し合いをするに至った、と言うのがこのクリーニング業界に入るきっかけだったそうだ。何とも運命を感じる。
彼の考えはこうだ。「クリーニング業はかなりニッチな業界。巨人が存在しないので自由闊達に出来ると思った」と。その通りだと思う。しかし彼が買収を意識したのは2001年。アメリカのクリーニング業界はとっくに縮小の時代に入っていた。そんな状況をあまり意識しなかったのだろうか?と私は彼に質問してみた。そうすると彼は「そんな事を言っていたら何も出来ない。ただクリーニング業は本当に売り方が下手だな、と思っていた。僕は販売やマーケティングについては昔からセンスがあると自負していたから何らかの改善が出来るだろうと思っていたんだ」と・・・。

実際に彼の考えを聞いてみると面白い事が多い。例えばほとんどのクリーニング店経営者がしみ抜きの技術や洗い方、仕上げ方の方法について論理が強い。彼に言わせるとまずこの意識が間違っているという。「だって考えて見てくれよ。僕がスーパーの経営をやっていたときに肉の切り方なんて考えると思うかい?それはその担当者が考えれば良いことだ。最も大切な事はどうやって売上を作るか?そしてどうやって顧客を集めることだよ」と自信たっぷりにコメントする。まさにその通りだ。今回の旅で一番心に残った言葉はまさにこれである。経営者は経営しなければならない、とSteveさんは言っているのだ。私は久しぶりに酔いしれた。同時に「この人はどんな経営をやっても出来る人だ!」と確信した。実際に彼はクリーニングの詳細においてあまり知らない。

(翌日の工場で。部長のDaveさんと一緒に商品の確認)

(ワイシャツセクション。ダブルが4セット並んでいる)

9月12日、翌日であるが私は彼の工場を訪問した。彼には4人の経営チームがいる。全体統括している部長のDaveさん、工場の運営を見ているMichelleさん、そしてCRDNを運営している長女のAmandaさん、そして外交や顧客サービスを担当している次女のBethさん。普通だったら自分の子供達にすぐに経営権を譲ろうとするところだがSteveさんはDaveさんとMichelleさんをとても大切にする。そして娘達にしっかりそのことを理解させているようだ。だから全員のコミュニケーションがとても良さそうに見える。

(Fort Wayneダウンタウンのお店。水曜日にセールをやっている)

 

(郊外店。ドライブスルーも出来るようになっている)

(店の中ではWash & Foldの宣伝。やるべき事は全部やっている)

結局、私が訪問して何を感じたか?というと利益は経営チームのチームワークで出来ていると言うことであって、設備や店舗の何らかで顧客を呼んでいる訳でもないしコストダウンしている訳でもない、と言うことだ。実際に我々の機械を使ってくれている人は世の中で沢山いる。しかしどうしてここまで仕上がり品質が違うのか?これは対応している人々の知識、組織運営力、そして経営チームの一致団結がもたらすことが最も大きいと感じた。ゴルフも楽しかったし、その晩にSteveさんと奥さんのLaurieさんと一緒に食事しながら経営論について議論したのもとても楽しかった。久しぶりに大きな影響を受けた訪問であった。日本のクリーニング店達を是非こういうクリーニング店に連れて行きたいと心から思った訪問だった。しかしインディアナ州。シカゴから3時間半。他に何もなし・・・。うーん、判断に迷う・・・。(笑

(Steveさんと奥様Laurieさんと一緒に夕食。とても楽しい話しが出来た)

 

 

シアトル、バンクーバーへ

8月4日、Sankosha USAの西海岸営業マンのBudさんと私はOjai Resortを離れロサンゼルス国際空港へ移動した。シアトルとバンクーバーを訪問するためだ。Budさんは昔、シアトルでランドリー業を一族で経営しており、従兄弟が現在も経営している、ということでその工場も訪問する予定になっている。シアトルへの移動はユナイテッド航空。アメリカでは最も大きな航空会社であるがサービスは最悪だ。昔はよくアメリカ出張で利用したものだがJALを知るようになってから国際線は全く乗らなくなった。それでも生涯100万マイル以上乗っているので永久ゴールド会員になっている事もあり、国内線であれば時々利用する。
この日は移動だけで特に何もない。Budさんがこの町シアトルに長い間住んでいたことから地域をドライブしてもらい、最終的に夕食を二人でとった。素晴らしい景色に地元料理を味わえてとても優雅な一時であった。

(シアトルの風景。湾をまたぐ橋をが綺麗だったので一枚!)

(この日の夕食でBudさんと。地域のサーモンをいただきました)

(我々のテーブルから見える湾。このレストランに船で来る客までいる)

8月5日、早速一つ目のクリーニング店を訪問しに行った。Helena’s Cleanersというお店でたった1店舗、しかしルート営業が3〜4路線はあるようで売上はなかなかあるようだ。営業面で一番関心を持ったところはAmazonのキャンパスに出店している事だ。シアトルは意外とITの町でGoogleやMicrosoftなどがこの町に投資している。クリーニング店がこのような会社に積極的に売り込む姿はとても頼もしい。売上は所詮、自分で作るしかない。昔のようにお店を開けてお客様が入ってくるまでボーッと待っているようでは売り上がるはずがない。いろいろな会社にアプローチをしてみたようだが、結局顧客の条件に合致したのはAmazonだった。

(市内にあるHelena’s Cleaners)

(看板には無害なクリーニング店と書いてある。それだけクリーニングのイメージが悪いのか!)

工場を早速見せてもらった。特に変わった様子はない。いつも見慣れている工場のイメージだった。ふと気になった部分があった。それは包装の部分だったのだが、ポリがあまり使われていない。代わりにガーメントバッグが無数に置いてある。「何故こんなことをやっているのか?」と社長に聞いてみると「環境に配慮したクリーニングをやっている、というイメージを作りたいから」という事だった。昨今、ポリによる環境破壊は大きな問題である。その素材はクリーニング業ではとても役立つものだけに対策を急がなければならない。その点ではこのやり方は学ぶべきところなのだろう。日本では単品包装、ハンガーもプラスチックであることを考えると今後は大いに問題になってくるだろう。このように現代の問題点、人々の関心事に対応しているようなプロモーションを打つことは商売を継続していく上でとても大切なことなのではないだろうか?早速大きな学びを得た訪問であった。

(ポリフィルムがない。前部不織布バッグ。これがこちらの現実)

(バッグには看板と同じロゴが。こういうイメージはとても大切!!)

そして次に訪問したのはBudさんの従兄弟が経営しているクリーニング店であるConny’s Cleaners。ここは元々絨毯のクリーニングとして有名になっているところだ。早速工場に入ってみると本当に古い機械がずらりと並んでいる。しかし、洋服のクリーニングについてあまり特別感はなさそうにみえた。質問をしながら設備などを見せてもらったのだが本当に古い機械ばかりなので相当な人件費がかかっていそうに感じた。次に絨毯のクリーニング工場が隣にあるのでのぞかせてもらった。こちらは専門店ならでは、という専用装置が沢山あってとても興味深い。まず絨毯の誇りを取り除く機械に入れる。この機械を通しながら絨毯を細かく叩き、泥やほこりを全部取り除く。そして次に水洗い。そして脱水機で水分を取り除いてから長い棒に引っかけて乾燥する。モノが大きいだけにスペースが必要なのだが、流石に専門店はちゃんと専用スペースがあるので全く問題ない。全体的にとても価値を感じるし、これは利益が出ているように思えた。

(Budさんの従兄弟のCorry’s Cleaners。絨毯のクリーニングで有名!)

(絨毯工場。奥が誇りを取り除く機械で手前が水洗いのフロア)

(絨毯の脱水機。かなり専門的!)

(脱水し終わった絨毯を乾かす部屋。ちゃんと吊れる装置がある)

(Budさんと従兄弟達。一つの強みで生き残れている!!)

私はこの2件を訪問して今後生き残れるクリーニング店として以下の事を考えた。
1.単価を高く取れるクリーニング店
2.専門性のあるクリーニング店
3.その地域で名声の高いクリーニング店
しかしこれらのクリーニング店も考えなければならないのは「省人力の工場設計」だ。ここシアトルではすでに福利厚生、年金を含めると最低賃金が時給20ドルにまでなっている。日本というか東京の倍の価格である。彼らが現在でも生き残れている理由は儲かっているからだろう。儲かると言うことは利益率の高い商材があったり原価をしっかり抑えられる力があるから、と言える。最初のHerena’s Cleanersは上気の3つの条件の1番に該当するし、次に訪問したConny’s Cleanersは2番に該当するだろう。アメリカの多くの高級店は3番に該当する。このようにこの3つのどれかに該当しなければ今後の経営は難しい、と改めて感じた訪問だった。

顧客訪問を終えて我々はバンクーバーに移動したのだが、途中にワシントン州で一番大きなワイナリーがあると言うので少々遊びの時間とした。行ってきたのはChateau Ste. Michelle(シャトー・セント・ミッシェル)というところで、アメリカのワインショップには比較的お手頃価格で並んでいる。私も飲んだこともあるしよく見かけるブランドだったのだが、このように訪問してみるとまたイメージが変わる。
心はすでにワインモードでほんの2時間程度の訪問だったがとても楽しかった。結局12本も買ってしまった。これをどのように持って帰るか?が問題ではあったのだが・・・、JALだったらなんとかしてくれるだろう、と何とも楽観的な気持ちで買ってしまった。何とも迷惑な客である。

(シャトーセントミッシェル。この建物がエチケットになっている)

(12時からのワイナリーツアー。学びました!)

(テイスティングでBudさんと)

(結局、いっぱい買っちゃいました!)

そしてバンクーバーへ移動。そこで問題発生。「そうだ、国境を通過するんだった!」とワインを大量に買った後で気づいた。飛行機でカナダに入国するときは必ず税関で検査される。しかし今回は車での通過である。実はアメリカからカナダへ車で入国するのは初めてなのだ。ドキドキしながら入国審査ゲートに入る。ここでは車に乗ったまま通過出来るのが特徴で、日本では絶対に経験出来ない事だ。そうしたら「車の窓を開けて中を見せてくれ!」というから窓を開けた。検査官は簡単に自分の部屋から見ただけで「OK!行って良いよ」と言ってくれた。あっさり通過出来てしまい、ほっとしたのと同時に拍子抜けしてしまった。後で聞いた話だが車での通関は意外と厳しくないらしい。
やっとの思いでバンクーバーのホテルに到着。Budさんと二人でホテルそばのイタリアンにて食事をして終わった。明日はどんなことになるのか?楽しみである。

8月6日、本日は朝からCarousel Cleanersを訪問した。バンクーバーで最も成功しているクリーニング店である。先日、競合のクリーニング店を買収して更に大きくしようと考えている。この時代にしては珍しい。日本と違ってすでに業界は小さくなってしまっているにもかかわらず若干の商機にも積極的に投資するところに勇敢さを感じてしまう。このような顧客に確信を作らせるのも我々の仕事かもしれない。
このお店に入って感じた事はとても社員がフレンドリーであることだ。これは社長から始まっているメンタリティと感じた。社長のCamさんとは数年前からの知り合いで、展示会で私の顔を見る度に「いつバンクーバーに来るの?」と言われていた。その社長が自ら工場内を案内してくれたのだが、働いている社員一人ひとりに「この人はSankoshaの社長で日本からわざわざ来てくれたんだ!」と紹介するのだ。社長が一人ひとりに丁寧に紹介する姿がとても印象的である。ほとんどの会社では現場で働いている社員全員に対して大声で一言私を紹介するか、もしくは全く紹介しない事が普通である。それだけこの会社では全ての社員とファミリーのように付き合っている事がうかがえる。結果としてそれぞれの仕事の品質が高くなる。やはり「会社の為に!」と考える人が多いのだろう。
ただこの工場でも更なる改革が必要になっているようだ。それは人件費の高騰から来ている。バンクーバーもシアトルと変わらない状況なので、儲けるためには如何に人件費を抑えるか?がカギになる。次回訪問するときには新しい考えが工場に反映されていることだろう。それを是非楽しみにしたい。

(Carousel Cleanersの本社前。彩りが良い!)

(カウンターも立派!こういうのは流石!!)

(ルートの車もイメージバッチリ!!)

(ワイシャツも含めていっぱい利用してもらっています)

夕方は近くの名所を案内してもらった。キャピラノという公園なのだがここがまたすごい。ここには100年以上も存在する吊り橋があるのだ。その吊り橋がまたとてもスリリングなのだ。社長のCamさんは息子さんを連れてきて案内してくれた。その公園は更に大木化している杉の木と木を吊り橋のようにアスレチックコースのように作っているところもつれて行ってくれた。まるでスターウォーズのジェダイの復讐で出てきたイウォーク族が住んでいるところのような感じで全く日本にはない景色だった。こういうところは来ないともったいない!
最後はこの公園の一番頂上にあるレストランにて奥様も含めて一緒に食事をさせてもらった。なんとロープウェーでないと行けないところで、頂上からバンクーバーの景色が一望出来る素晴らしい場所だった。もちろん、ここでは地元で捕れる鮭料理を堪能した。仕事とはいえ、こういうときは本当に役得だ!ここでも楽しい食事をしながら将来の事についていろいろ話し合った。是非彼らにも良いビジネスが続くように、と心から祈りたい。

(キャピラノの吊り橋へ!社長のCamさんは息子を連れて)

(吊り橋の中央で皆で一枚!この下は100m位あるんだけど・・・)

(まるでスターウォーズのイウォーク族の住み処みたいなところ)

(ここもとても足下竦むところだった)

(夕食は更にロープウェーを使って山頂へ)

(Cam社長は奥様を連れて。皆で楽しみました)

(こちらもサーモンで舌鼓)

(山頂から見えたバンクーバー市内)

翌日のフライトで日本に帰った。ロサンゼルスのOjay Reportから始まってシアトル、バンクーバーと続いたこの旅もようやっと終了。しかし考えてみるとあっという間だった。次は9月まで海外の出張はない。とりあえず夏休みをゆっくり過ごす事としよう!

TCATA総会に参加

7月31日、私はロサンゼルス国際空港に降りた。日本はとても暑かったというか蒸し暑かったのだが、ここロサンゼルスはとてもドライな空気で心地よい。Sankosha USAの営業マンBudさんが迎えてくれて我々はここから2時間かけてOjai Valley Innというリゾートホテルに向かった。

(Ojai Valley Innの入り口。すでに高級リゾートの雰囲気満載!)

(今回泊まった部屋。一人で泊まるのがもったいない)

なんて素晴らしいリゾートだろうか!多少は期待していたが、ゴルフ場併設、プールは二つ、近くにワイナリーもあってあまり外に出る必要のないリゾート。まるで数年前にカリフォルニアのナパバレーを訪問した時に泊まったSilveradoリゾートと同じ感じだった。雰囲気からして高級感満載だったがTCATA(Textile Care Allied Trade Association)といういわゆる全米機械組合に参加してきた。私が初めてこの会に参加したのはもう5〜6年前であろうか・・・。サンディエゴの総会に参加したのがつい最近の事のように思い出される。その時は私が唯一の日本人、というか外国人で後は全員がアメリカ人なのだ。
今回も参加者リストを見ると僕だけ・・・、と思ったら日本人がもう一人。「誰だろう?」と思うほど聞いたこともない会社と人の名前であった。後で聞いたらこの方は岐阜県のとあるメーカーでこのたびウェットクリーニングの機械を作ると言うことでそのリサーチに派遣されてきた、と言うことだった。まだ機械も作られていない、と言うことで文字通りのリサーチ活動だったようだ。この方との話し合いについては後ほど紹介しようと思う。
早速この日の夕方からWelcomeパーティー。私ももちろん出席したのだがとても華麗なパーティーである。この豪華なリゾートのテラスを使ってビジネスカジュアル(いわゆるノーネクタイ、ジャケット不要、襟付きシャツ)というドレスコード、そこにビールやワイン等を提供するバースタンドがあって人々がグラスを手に談笑している。その間に店員さんがお皿を手に一口サイズのシュリンプカクテルなどのおつまみを持ち歩き、人々に勧めている。この空間が何ともアメリカ的である。日本人である私がこのようなパーティーに参加するといつも上質感を感じる。「日常的な空間と全く違う場所に来ると会社の枠から離れていろいろな話しをする事が出来る」と皆が口をそろえて言う。ビジネス上は競合であったとしてもこういう場所では皆仲良く話す。私はすでに4回目の参加、と言うことで半分以上は知り合い。すっかりSankoshaのKenさんとしておなじみの顔になっているようだ。ただ日本人として残念なのはアメリカの時事問題や文化、日常の常識が全くわからない事。ひとたび彼らが一般的な話しや冗談が始まるとどうも話しについていけない。考えてみれば我々も日本語で俗語や流行ネタなどを楽しむわけだが、日本語がわかる外国人に我々の話にどれだけついていけるか?というとよっぽど日本に住んでいる日本語のよくわかる外国人じゃないとわからないのだ。人々のコミュニケーションに入っていくのはとても難しいのだ。

(参加者の一部との写真。見ての通りアメリカ人しかいない!)

(レセプション後の夕食会。いつもお世話になっている人ばかりでホーム気分)

Welcome Receptionが終わり、一部の皆さんと一緒に夕食。そこでもたわいもない話しではあるがわかる話であれば参加するし、わからない話になると食事とワインに集中する。そんな中でも皆さんの顔色を伺いながら食事をしていると目が合う。友達として仲良くなるというのはこういうことなんだろう。何とも長い一日だったが上々のスタートである。

8月1日、この日はゴルフトーナメント。TCATAでは必ず初日の朝にゴルフコンペが開催される。ただ面白いのは個人戦ではなくチーム戦なのだ。同じ組でまわる人々がチームメイトで、4人が打ったベストボールを選んでそこから更に4人が打つ。こうなるとバーディー奪取率が高くなってくるので如何にボギーを打たずにバーディーをとり続けるか?が勝負となるのだ。私はこのトーナメントが好きである。何故ならば同じチームでプレーする仲間と本当に仲間になれるからだ。今回はFabricleanのOrville JohnsonとSeitzのKurt Wickserの二人。我々は3人でプレーする事になったのだがこの二人は昔から良く知っている。陽気なOrvilleに静かなKurt、どちらも体は185cmはあるだろうか・・・。本当にアメリカ人はでかい!しかしゴルフは負けない!!
とても楽しくラウンドが出来た。この4時間半を大騒ぎしながら楽しめた。しかも1つのイーグルに8つのバーディー、トータル10アンダーで優勝できた。実際に、参加者の多くは私の組が優勝するのでは?と思っていたらしい。私はここでもゴルフが上手で有名になっている。こういうのも覚えてもらえる一つの大きな武器である。パーティー後に数名が私のところに来て「来年は絶対に俺と一緒の組になってくれ!」と声をかけてくれる。ゴルフはもっと練習しておこう!

(朝の練習場。皆、一生懸命!)

(14番ホール。Sankoshaがスポンサーになっていたのでここで一枚!)

(見事この3名で優勝。左端がKurtさん。右端がOrvilleさん)

午後は自由時間なので同行しているBudさんと一緒に自転車で近くのワイナリーへ行った。自転車で行けるなんて面白い!ユニークなワインをいくつか試飲させてくれた。こんなところで気軽に飲めるなんて素晴らしい環境である。

夕方は全員で夕食会。それぞれがいろいろな過ごし方をしていたようで全員がカジュアルな格好で参加してきた。私はForentaのRusty Smith社長と一緒に座った。彼の会社も仕上げ機メーカー、いわゆる競合である。しかしここではそんなの関係なし。今後どうなるかもわからないし、せっかくの会合なんだから仲良くした方が楽しく過ごせる。世間話から仕事の話しまでいろいろ話した。ワインが進んで仕方ない。結局、何を話したんだか覚えていない。しかし、私は基本的に人々と仲良くしたいタイプなので嫌われるような言葉を発することはないから覚えていなくても心配ない。ただ約束事はこういうところですると危ない。気をつけないと・・・。

(参加しているLadiesと。いつものメンバーなのですでに顔なじみ!)

(こちらもいつものメンバー!こちらも顔なじみ!)

(ForentaのRusy社長とカリフォルニアの代理店の社長と!)

8月2日、午前中はセミナーである。SNS等を有効に使ったマーケティングのセミナーだったのだが・・・、ここで時差ぼけ発生!急に眠たくなる・・・。「頑張って聞かないと・・・」という奮闘もむなしくぐっすりと1時間寝てしまう。このセミナーは2時間半だったので後半をある程度聞くことは出来たが残念!日本とは16時間の時差があるのだから無理はない。

夕方は自由行動なのだが我々はMilnor・Chicago Dryのパーティーに呼ばれて参加してきた。毎回、彼らのパーティーには招待されて行くのだが、こういう付き合いは本当に感謝に値する。残念ながら彼らの業界と我々の業界は違うので商売で一緒になることはなかなかないが、彼らが作っていない機械を我々が作っていることから彼らの代理店が我々を求めることがあるのだ。そんな中での付き合いなのだが、すでに多くの販売代理店がSankoshaブランドをよく知っている。特に何を話すわけでもない。しかし、この場に居る事が大切なのだ。彼らと知り合いになる事が大切なのだ。今後何が起こるかわからない。そんな時に相談相手になってくれるかもしれないし、彼らが販売してくれる事になるかもしれない。ビジネスとはそんなものだ。

(リゾートの外にあるレストラン。今晩の会場!)

(主催のMilnorのRick Kelly夫妻と。いつも仲良くしています)

8月3日、午前中は同じくセミナー。最近のアメリカの会合は午前中のみの拘束で午後は家族の為に時間をオープンにする。そうすることで家族全員でこのようなリゾートを訪問する事が出来るし会社の為にもなる。もちろん、経費にもなるわけだから全てのおいてハッピーである。残念ながら私は家族を連れてきていないのだが・・・。
こんな夢の時間を過ごしてきたのだがもう最後の晩餐である。全員が正装してきた。ここがまたアメリカと日本の大きな違いである。アメリカの上流階級には相変わらず素晴らしいドレスコードが残っているのだ。日本はどうだろうか?ある会社の創業50周年パーティーだとしても真夏に開催されると平服での参加となってしまう。本来だったらどんなに暑くてもそこは正装すべきではないか?と思ってしまう。ここら辺の文化レベルがまだまだアメリカの方が高いのか?と感じてしまう。

(今回、参加しているLadiesの集合写真。皆さん、ホントお元気!!)

例の日本人も参加していた。この数日間、時々目を合わせては話しをしていたのでだんだんと面識が出てきた。この方は岐阜の豊実精工という会社で全く異業種の会社なのだが、洗濯機を開発したらしい。そしてその洗濯機をどうやって販売していけば良いのか?と言うことでアメリカの展示会に出展し、そこでTCATAと出会い、今回この会にやってきたとのことだ。しかし、販売実績がないだけでなく代理店も顧客も知らない中でこの会に出てくるとはすごい事だ!今後どのようなお付き合いになるかわからないが、この縮小する業界の為に是非頑張ってもらいたいと心から思った。

(豊実精工の松山さんと一枚。よく参加してきた、と私は感心し続けた)

さて、この会に参加して改めて思った事は3つ。
1.リゾートでの会合は人々を繋げる大きな機会である。
※それぞれの会社を訪問してもこのようなフレンドリーさを作り出すことは出来ない
2.人々と仲良くなることが今後のビジネスに大きな可能性を生む
3.ビジネスは一人で作り出すことは出来ない。人々に支えてもらう事を第一に考える。
本当に有意義な4日間であった。参加した全員がそのように考えているだろう。後は周りの人々が我々のビジネスを本当に魅力的に考えるかどうか、である。彼らを熱狂させるような製品を作り続けたいものである。そんな事を感慨深く考えながら楽しく過ごした晩だった。

(最後はMilnorのRick KellyとRuss Poyの2名と!)