今後のクリーニング業界をどう見るか? その3

みなさん、こんにちは。

 

さて、それでは話しの続きです。前回は「攻めの営業とは?」ということでお店や商品のビジュアルについてお話しをさせていただきました。ただ前回のお話しを読んだ皆さんは「ん?では見た目さえ変えれば売上は上がるのか?」と疑問に思ったに違いありません。半分は正解です。見た目が悪ければどうやって自分たちのやっている事が正しいと証明出来るでしょうか?人間というのはそもそも第一印象で相手の事をおおよそ嗅ぎ取り判断してしまうからです。御自身が外食をするときにどうやってお店を選ぶか?を考えてみると良いです。大体、見た目の悪いお店に情報もなければ入ろうとはしないでしょう。外食産業には評価するアプリがあるのでほとんどの人はそれを見ながらお店を決めていると思います。しかしクリーニング業界にはそういうアプリがありません。故に人々は何で判断するか?というと見た目で判断せざるを得ないのです。そういう意味では私が前回のコラムで書いた内容は半分当たっているのです。

それでは今後何をやっていけば良いのでしょうか?人々がお金を払ってもお願いしたいことは「自分では出来ない事」か「自分でやろうとしたら出来るがとても時間、労力がかかって大変」というモノに対してだと思います。それは我々の業界においては何でしょうか?

私は最近とても大きな流れを作っているスニーカークリーニングが一つのソリューションだと思います。何故ならば「誰も洗うという概念を持っていなかったから」です。もう何年も前から韓国ではこのスニーカークリーニングは産業として成り立っていました。しかし日本の誰もがこれを注目してこなかった、いやそもそも知らなかったというか知ろうとしなかったとしか言いようがないです。自分のビジネスが順風満帆であれば誰が新しい試みなどやるだろうか?しかし、昨今の売上減少で多くのクリーニング店が変化を考え始めてきました。そこにスニーカークリーニングが見事にマッチしたのです。タイミングとしか言いようがありません。

そしてこのコラムを作っている途中にあるクリーニング店を訪問し、そこでその社長様といろいろなお話しをしているうちに一つのことに気づきました。昨今、顧客のクリーニング離れが顕著になっておりますが、我々はどうやって新規顧客を獲得しようと考えているのでしょうか?多分皆さんは諦めてしまっているのではないでしょうか?私も若干諦め気味にはなっておりました。と言うのも洋服の新しいクリーニング方法だけで人々を獲得するのはとても難しいと考えていたからです。何らかの新しい事でもやらなければ難しいだろうと本当に思っていました。しかし、この靴クリーニングはどうやら新しい顧客獲得に結びつく可能性がある商材と思いました。何故ならば「人間ならば誰でも靴は履いているから」と言うことと「靴を洗うという概念がなかったから」です。後はこのプロモーションのやり方です。例えばインショップを持っているクリーニング店であるならばスーパーやショッピングモールにいらっしゃっている消費者に向けてビラまき、イベントなどを通じて自分たちが新しい靴クリーニングをやっている事をアピールする事は出来るでしょう。そうすることで普段はクリーニング店を利用していない人々にもお店に来てもらえるチャンスが出来る、と言うわけです。一方でインショップをお持ちでない皆さんでも何らかのプロモーションは出来ると思います。例えば新聞の折り込みチラシ、自分たちでチラシを各家庭のポストに入れるとか・・・(かなりアナログなやり方ですが)。ネットを持っていたらもっとホームページでアピールするのもありですし、お試しキャンペーンもありですね。とにかく、靴を通じて新規顧客開拓を目指したやり方でいけば少しはポジティブに活動が出来るのではないでしょうか?

このスニーカークリーニングは全国で展開してもらいたいと心から願っています。全てのクリーニング店に適用出来るソリューションです。しかし洗えば良いと言うわけではありません。もう一度私の前回と前々回のコラムを読み直しながらこのスニーカークリーニングの可能性を考えていただければ私の言いたいことがわかると思います。顧客に出来ない事を我々がやることで人々はお金を我々に使ってくれるのです。是非検討してみてください。
ちなみに。三幸社もついに乾燥機を販売し始めました。70足用乾燥機は定価88万円。35足用が定価62万円にて4月1日から販売スタートいたしました。何か質問がありましたらご遠慮なく地域の販売代理店、弊社スタッフ、もしくはFacebook経由で私に直接ご連絡いただいても結構です。ご連絡お待ち申し上げております。

次回、もう一回だけ続きをお話しさせていただきます。

今後のクリーニング事業をどう見るか? その2

皆さん、こんにちは。

前回に引き続き今後のクリーニング事業の展望について私の意見を綴ってみたいと思います。それにしても前回のコラムを発表した日から翌日の2日間だけで500名以上の方に読んでいただけました。このブログを書き始めて最高の反応だったのです。人それぞれ思う事はあるのだろうと思いますが、皆さんは「これからどうやっていこうか?」とかなり悩まれているのだろう、と強く感じました。

さて、それでは話しを続けてみたいと思います。クリーニング業が衰退を迎えているもう一つの理由はズバリ「表現力」と思います。表現力とはなんでしょうか?自社の持っているこだわりを何らかの形で顧客に認識してもらう力が表現力と考えています。私は世界中のクリーニング店を見て回っていますが、私が一番感じることはその表現力があまりにも乏しいと言うことです。

考えてみれば無理もない話しです。昔クリーニング業というのは無理して顧客に呼び込みをしなくてもお店に人が集まっていた歴史があったわけです。それはウール製のスーツです。そもそもウールは水洗いが出来ない事からクリーニング店に持ってくることしか綺麗にする事が出来なかったわけですし、現在も基本路線は変わっていません。それではワイシャツはどうでしょうか?昔のワイシャツは厚手の生地、オックスフォード地などが一番良いとされていた時代です。家庭のアイロン技術では太刀打ちできないシャツだったのでこれも自動的にクリーニング店しか出来ない洋服と定義づけられていました。そこにドレスコードという社会のルールが存在していた訳ですからクリーニング業界においては鬼に金棒の周辺環境だったわけです。展示会を想像してみてください。出展者のほぼすべてがクリーニングの技術に関する会社ばかりじゃないですか?当時のビジネスモデルの流れに沿ってクリーニング店が技術ばかりを追う傾向になっていたわけですし、それに伴って技術系のメーカーや商社ばかりが集うようになってしまったのです。

さて、現在はどうでしょうか?前回のコラムに書きましたが、もはやクリーニング店にとって不利な条件がそろい始めています。形態安定シャツ、家庭洗濯出来るスーツ、家庭洗濯機の技術向上、洗剤の技術向上、そしてドレスコードの崩壊(いわゆるカジュアル化)によりそれまでのビジネスモデルが全く通用しない周辺環境になってしまったのです。ここで皆さんが考える事は何か?というと「守りの経営から攻めの経営」にシフトしていく事なのです。この考えを全く持たない会社は間違いなく消滅していくでしょう。

それでは攻めの経営とはどういうことでしょうか?言葉だけで考えると難しいかもしれません。簡単に言うと「如何に顧客に興味を抱かせるか?」です。顧客はクリーニングの技術について全く情報を持っていません。だから何で判断するか?と言うとまずは「店舗の見た目」なのです。ただ単に店を綺麗にすれば良いのではありません。前回のコラムでもお話しいたしましたが、会社が考える「こだわり」を店舗を通じてどのように顧客に表現するか?をベースに店舗イメージを作るべきなのです。少々嫌みを言わせていただきますが、クリーニング店経営者のほとんどの方が店舗や商品のラッピングにお金を使わなさすぎです。それぞれの洋服がお店の最高の技術で綺麗になるのですが、それを美しいラッピングで返されると本当に綺麗になったように表現出来ると思いませんか?店舗も然り!多くのクリーニング店では店舗を10年以上、もしかしたら20年以上も改装していない状態です。その地域で生まれ育った人々はもはやそのお店を自分のお店とは考えないでしょうね。何故ならば自分の両親の世代のお店だからです。変わっていないんだから当たり前です。もっとビジュアルで訴える力が必要でしょう。

前回のコラムでワイシャツの事についてお話しをさせていただきましたが、今回も例としてワイシャツについて考えてみましょう。最近、多くのチェーン店が中心となってワイシャツをスーツと同じハンガー形態にして自動包装機で包装しています。理由を聞くと「コスト削減」が最も大きな理由です。それまで多くのクリーニング店ではユニークな形でワイシャツ包装をしていました。今も畳みで提供しているお店も残っていますがこれも一種のこだわりです。それをコスト削減と言うことでこだわりをなくしてしまう、と言うことは会社にとってとても大きな価値損失になるのではないでしょうか?自分たちはどうしてこの形にこだわるのか?を考えて商品を表現すべきと私は考えます。同じようにウール製品などはどのように表現したら良いでしょうか?これも皆さんで是非考えていただきたいと思います。

多分、このお話しにまだ消化不良を起こされている方がいらっしゃるのではないでしょうか?実際私もまだ書き切れていない事がありますので次回はもう一回、今後のクリーニング業というお題目で書かせていただきたいと思います。それまでに是非皆さん自身でお店や商品のビジュアルを「攻めの営業」として考えていただきたいですし、周りの皆さんと話しのネタにしていただければと思います。

今後のクリーニング事業をどう見るか? その1

みなさん、こんにちは。

今回はどこかの地域のクリーニング事情ではなく今後の日本のクリーニング業について話しをしてみたいと思います。

それにしてもクリーニング離れが進んでいる世の中になっています。皆さんのビジネスは大丈夫ですか?多分、このコラムを読まれている大半の方々が「まずい!確実に対前年度で売上が落ちてる」という感じではないでしょうか?実は三幸社も然り!クリーニング店の売上が落ちると機械の入れ替えなどもだんだんとなくなってくるので弊社の国内販売の落込みは結構なモノです。

まさに日本はアメリカの50年前である1960年代に起こった現象と同じ状況を迎えております。当時アメリカでは日本と同じように大きなクリーニングチェーンが山ほどありました。しかし景気の落ち込み、形態安定シャツなど家庭洗濯可能な洋服の出現、家庭洗濯機の機能向上などが原因でクリーニング店の売上がどんどんと落ちていった時でした。同時にそれまで安価な労働力として使っていた黒人の社会台頭が著しく、彼らの労働賃もぐんぐん高くなっていったことから今までの工場モデルが成り立たなくなったのです。結果として多くのクリーニング店が廃業、売却、M&Aなどがすすみました。そしてそれまでのビジネスモデルではもはや成り立たない事を当時の経営者達は理解し、自社の事業転換を図っていったのでした。

こうやって見直して見ると日本の現在とかなり似ております。アメリカの60年代を考察しながら我々が同じ道を進まないようにして行くにはどうしたら良いでしょうか?ここが今回のお題目となります。

最近、私はいろいろなクリーニング店経営者の皆さんとお話しをするにあたって同じ質問をしております。それは「クリーニング店では本当にお客様に対してプロの価値を提供しているだろうか?」と言うことです。さて、プロの価値ってなんでしょうか?もちろん家庭では出来ないクリーニング店ならでは、の価値と言うことになると思います。それでは具体的にその価値とはなんでしょうか?これを皆さんには是非考えていただきたいと思います。

私はここでワイシャツを例に挙げております。ワイシャツはウール系の洋服と違い水洗いの洋服です。だから家庭でも洗えるしクリーニング店に持ってくることも出来る洋服です。このワイシャツが減っているとするならば「顧客がクリーニング店を利用する価値を感じなくなってきているのではないか?」と推察します。考えてみればクリーニング店が価値を訴えるべき点は沢山あります。50℃近くの温度を使って洗っていること、これは最大の価値です。家庭洗濯では使えない業務用洗剤や化学薬品はいろいろありますがそれを使いながら白さへの追求を図っているのも価値です。一方で洗剤などをワンショット剤などにしているお店は本当に考え直した方がいいと思います。一番の価値である洗いの品質にもはやこだわりもないお店は間違いなく衰退するでしょう。顧客というのはそのような品質を出した洋服から瞬時に理解してしまうのですから・・・。

一方で仕上げを考えてみると最近の形態安定シャツは温度を嫌います。140℃以上の熱でプレスされ、そのプレス時間が長すぎると必ず縮みます。もはや昔のワイシャツと違うわけですから当然工場のコンセプトもそれに従って変えていくべきです。しかし、この部分では取り組んでいるクリーニング店はほぼゼロです。形を崩している部分で考えると現在のクリーニング店の品質は家庭洗濯よりも劣っていると言わざるを得ないのが現実なのです。昔のワイシャツであれば綿100%のワイシャツは完全乾燥しなければ波立ってしまうので押さえすぎがちょうど良かった訳ですが現在ではこの状態を「過乾燥」と呼びます。無論、型崩れの原因となるのです。

ほんの一部の価値を例として挙げてみましたが皆さんはどのくらい自社のワイシャツにこだわりを持っていらっしゃるでしょうか?こだわりを語れないとするならばその会社は大いに問題があると思いますし、売上が減るのもうなずけます。

今回はクリーニング店の価値という主題でワイシャツを例に出しながらお知らせいたしましたが、ウール製品などはどうすれば良いと考えるでしょうか?ありとあらゆる洋服に対してどのように考えて行くべきか?を是非考えて見てください。ヒントはこだわりと思います。

次回のコラムではそのこだわりをどのように表現するか?などを一緒に考えてみたいと思います。

チリを訪問して見えたクリーニング事情 その2

皆さん、こんにちは。

前回はチリの事情についてお話しをさせていただきましたが今回はクリーニング事情についてお話しをしてみたいと思います。

国はとても広いが実質首都であるサンチャゴのみのマーケットと言えると思います。従ってマーケットはとても小さいと言わざるを得ません。前号でもお知らせしたとおり人口1700万人の国なので人口密度があまり高くありません。唯一の救いは「南米で最も豊かな国」ということです。

さて、それではどんなクリーニング店があったのでしょうか?区分で言うとフランス系クリーニング店です。フランス系クリーニング店とは基本的にアイロン台のみで仕上げるクリーニング店の事を指します。ドライ機についてはパークが圧倒的でほぼすべてのお店でパークが使われています。あまりこの国では溶剤規制の問題はなさそうです。一方、お水は基本的に硬水です。故に軟水器の活用は不可欠です。ちなみに洗いの温度は30℃程度で決して高い温度で洗っていません。このようにみてみるとこの国の技術レベルは世界の最先端よりはかなり遅れていると言えるでしょう。

さてお店についてですが、フランスで最も大きなクリーニングチェーンと言えば5a Sec(サンカセック)というブランドです。ここサンチャゴでも市内で40店舗、郊外で30店舗という規模で成り立っていると言うから驚きです。後はProntoMaticというブランドもなかなかの展開をみせています。5a Secほどではありませんが30店舗ほどの展開をしているようです。今回ホストになってもらったLart Parisienというクリーニング店ですが1923年創業の老舗、現在は7店舗を展開中、地域の高級クリーニングとして活動しております。

(5a Secの店舗。ご覧の通り、店舗の後ろにアイロン台、ドライ機がある。これが典型的なフランススタイル)

(こちらはProntoMatic。店舗のルックスこそ違えどやっている事は一緒!)

(Lart Parisienの店舗。ここはちょっと違うでしょ!高級感あります)

しかし基本的にドライクリーニングや水洗の洋服を乾燥して手アイロンというモデルです。どのように展開しても基本的に人手を必要とするモデルで工業的な展開が出来ないモデルです。しかしフランス式を基本としているからか・・・、それ以上の情報が入ってこないのでしょうね。言葉の問題や文化の違いからこういう傾向が生まれてしまうのだと思いますが、全く違う工場スタイル、生産性、機械仕上げと手アイロンの違いなど何も知らないで時が過ぎていくのは何とももったいない話しです。ここはスペイン語ですが、お膝元のスペインもフランス式が一般的なのでそういう流れになってしまうのでしょう。

(Lart Parisienの集中工場。これが現実です。)

(ワイシャツ仕上げ。これ、日本だったらNGです・・・)

価格面の話しになりますが、労務費はおおよそ8万円/月(年金、社会保障付き)なので決して高くありません。しかし年率4〜6%の勢いで労賃が上昇しているとのことで決して楽観視出来る状況ではありません。そこでワイシャツの価格ですが5a Secで2890ペソ、ProntoMaticで3290ペソです。大体為替は1ペソ=0.17円なので5a Secで491円、ProntoMaticで559円となります。どうでしょう?高いと思いませんか?これでは多くの人々に使ってもらう事など出来るわけがない、と言うわけです。その割にノリなし、完全乾燥してから手アイロンですからワイシャツがパリッとしないのです。我々からみると完全にくたびれた感じの仕上げになってしまっていますがそれを彼らは高級仕上げと言うわけです。全く話しにならない!(笑

こうやってみてみると三幸社のワイシャツ仕上げ機はやはりすごい機械だ!と自画自賛してしまいます。しかし現地の人々にこの話をしても全く想像も付かないわけですから・・・、展示会などで貪欲に情報収集する事は大切ですね。

 

結論から申し上げるとチリのクリーニング事情はフランスのしかも旧式と言えるでしょう。すべてを人の手で処理しようとしている非常に非工業的なモデルです。ただもしかするとこのままで良いのかもしれません。成長が見えなければ投資もありません。やはり人口はとても大切と改めて認識しながら2泊の旅を終えてサンチャゴを後にしました。もしかしたら三幸社のビジネスもここで生まれる可能性はあるかもしれませんが、大きな市場にはならないでしょう。

私自身は初めての南米だったのでとても楽しかったですがクリーニングの限界をここでも感じてしまった旅でした。クリーニングの工業化、品質の伴う価格力はとても実現するのが難しいのでしょうね。しかしリスクを取らない商売で上手くいくものなど一つもありません。誰が生産性を高める品質を伴ったクリーニング工場を考えていくでしょうか?考えた人の勝ちでしょうね!

チリを訪問して見えたクリーニング事情 その1

皆さん、こんにちは。

1月16日から20日までシカゴからダラスを経由してチリの首都サンティアゴ(サンチャゴ)まで行ってきました。私は南米に訪問したのは今回が初めてでとてもワクワクしましたが一方で少々不安もありました。何故ならば治安が悪いと言われていたのでどのくらいだろうか?と全然見当が着かなかったからです。行ってみてよくわかりましたがチリではあまりそういう心配はなかったです。

まずは町の状況からお知らせしたいと思います。人口は1700万人、そのうちの1/3近くにあたる550万人がこのサンティアゴに住んでいると言われています。私が訪問したときは夏にあたり、日中は30℃を毎日越えているくらいです。しかしながらとても乾燥している事から暑さを全く感じず、夏用のジャケットでしたら平気で着ることが出来るくらいです。しかし夜になると一気に12〜3℃まで下がります。

(サンティアゴの町並み。思った以上に近代的な町並み!)

(私が滞在したホテルから移した町並み。向こうに見えるのがアンデス山脈)

チリは南米で一番裕福な国と言われているようです。人口が少ないのであまり取り上げられていないのかもしれませんが平均所得で言うと南米でチリが一番高いのではないか?と言われているそうです。故にコロンビアやベネズエラから出稼ぎがかなり入ってきているとの事です。そういう意味ではクリーニングマーケットが成り立ちやすい環境が出来ていますね。

(町の交差点。襟付きはチリ人、原色のTシャツなどは出稼ぎ労働者)

(この立ち話している二人も出稼ぎ。着ている服で一発でわかるらしい)

(初日の晩のレストランにて。全員チリ人。洋服がしっかりしています)

町はとても綺麗でした。あまりゴミは落ちていないし、人々が植物にお水をやっている姿が至る所で見えていました。モダンなビルも沢山建っていて思っていた南米のイメージとは全然違っていました。それ以上に人々がとてもファッショナブルなのです。まるでフランスの町を見ているようでした。ちょうど前を歩いていた人を撮ったのであまり良い写真ではありませんが老夫婦がこのように着飾って歩いているのです。写真は撮れませんでしたが多くの方々がそれぞれ綺麗に着飾っているのがとても印象的でした。正直これにはびっくりでした。町が綺麗で人々がとてもファッショナブルだとするとクリーニング業の可能性は高いと言えます。町を練り歩いているうちに期待が徐々に高まってきました。

(最終日に町を散策。このような老夫婦の着飾り方がとても良いですね!)

もう一つとても気になったこと、それは「何でも輸入する事」です。この国は輸入に関してはとても寛容な国です。アメリカと同じくらい?いや、それ以上でしょう。一番目についたのは車です。やはり日本車はそれなりにシェアが高いのですが決して日本車だらけではないのです。一番目立ったのはアメリカはGMのChevrolet(シボレー)でした。それだけでなく韓国車もかなり多かったですね。Hyundai、KIA、Saanyoungくらいはわかるのですが、なんとSamsungの車がありました。日本の皆さんはサムソンで車を作っていることすら知らないのではないでしょうか?実際に私もサムソン車を韓国以外で見たのは初めてでした。それ以外にも中国産の車が数種類はありました。さすがに私も名前がわかりませんでしたが聞いてみたら中国車と言うことでした。日本では中国車はとてもじゃないけど乗りたいと思う人がいないのではないでしょうか?ここではそういうこともなく普通に出回っているのがまた面白いですね。

(前の車は中国車。反対車線の2番目と3番目はシボレー。何でもあります!)

あとはなんと言ってもワインですよね!皆さんは私のことをもうご存じかもしれませんが、自他が認める大のワイン好きです。日本で一番有名なのはやはりConcha y Toro(コンチャイトロ)と呼ばれるブランド。地元のスーパーで見てみてください。ほぼあると思います。これをメルシャンと三菱商事が輸入元になっているのですが、見事なワインです!!安いけどね。(笑

今回はConcha y Toroのワイナリーにも行ってきましたが私服の一時でした。世界で一番大きなワイナリーだけあって何でも作っています。というのも気候がとてもブドウ栽培に向いているからでしょう。訪問した時は最高気温32度、最低気温13度でした。おおよそ20度の気温差があってこれはブドウにとって最高の条件になります。今回は滞在中にしっかりチリワインを堪能してきました。

(世界最大のワインメーカー、コンチャイトロ)

(ワイン畑を散策しながらテイスティング。素晴らしい!)

(一押しのブドウ品種カルメネール。是非近くのスーパーで探してみて!)

(お土産一杯買って大満足の筆者!)

まだまだ話せば長くなりますが日本人にとっては住みやすい国であることはよくわかりました。アメリカ等からも観光で訪れている人がとても多いのが印象的でした。こんな国から見えるクリーニング業界について次号でお知らせいたします。お楽しみに!

テキサス州のクリーニング事情

皆さん、こんにちは。

今回はテキサス州のクリーニング事情についてお話しさせていただきます。と言うのも先日、チリはサンティアゴまで行ってきたのですがちょうどダラスフォートワースが中継地だったのです。フライトは夜だったので朝の便でシカゴからダラスに飛んで数時間ですが地域のクリーニング店を訪問しようと考えたのでした。

テキサス州は全米でも重要視されている州で、とにかく石油で有名ですね。それからなんと言ってもブッシュ大統領一族のお膝元で有名です。とても保守的な州で共和党と石油のおかげで町はすごく豊かに出来ています。道路は広いし、周りの家を見ても軒並み大きな家ばかりが建っています。と言うことは比較的富裕層が多く住んでいるのではないか?と思いました。そしてその結果はクリーニング店にもしっかり影響していることがわかりました。

さて、テキサス州はカウボーイの州です。この地域で一番面白いのはジーンズのクリーニングです。日本ではまず出てきませんね。しかしこの地域ではジーンズはクリーニング店に出す習慣ができあがっています。だからジーンズがクリーニング店に一杯出てきます。またそのクリーニング方法が面白い!なんと言ってものり付けして洗ってしまい、その後に綿プレスでがっちり押さえてしまうのですから。もちろん、できあがったジーンズはパリパリの状態でとてもじゃないけど普通だったら履けません。しかし現地の人はこの糊をバリバリと音を立てながら履くのが爽快なんだとか・・・。言っている意味がわからん!(笑

しかし地元の習慣とは他の町に住んでいる人々にはわからないのかもしれません。だからローカルビジネスは成り立つ訳です。こういう文化を大切にし続ける限りクリーニング業はなくならないでしょうね。まるで日本は「きれい好き」と「ドレスコード」が文化として50年後も残っていればクリーニング業は成り立っているでしょう。

 

話はテキサスに戻ります。この町でも富裕層のクリーニング業は豊かさがあるように見えました。私は3件のクリーニング店を訪問してきましたがどこも上手くいっているようでした。ポイントは

  • 地場の人々にはしっかりしられていること、そして信頼されていること
  • 利益率をしっかり保つために必要な価格が提示出来る事、そして顧客に受け入れられていること
  • あまり拡大せずにその地場で深く根付くこと

これだろうと思います。どのお店もワイシャツは3ドル以上取っていました。この地域は低価格のお店がとても多いです。例えばワンプライスショップです。お店の名前が「1.50ドルクリーニング店」というように。本当に価格でしかプロモーションしていないのです。そしてそれを経営しているのはほとんどが移民です。(昔はアメリカ人がやっていたのだろうけど・・・)

これは最近わかってきたことですが、価格重視でボリュームをとり続けるというのは限界がある、と言うことです。結局は如何に綺麗にするか?そしてその対価をどれだけの顧客が払ってくれるのか?そのためにどんなお店作りを目指すのか?ここら辺がポイントとなりそうです。

上手くいっているお店はすべてユニークです。特に最初に訪問したStanLey Cleanersはとてもユニークでした。お店はとにかく綺麗だけどそれ以上に派手!(笑

 

(StanLey Cleanersの外観!立派です。)

(ドライブスルー。このお店に来る95%がここでサービスを受けている)

派手なんだけど派手に感じない。存在感は抜群!店の中を見てもデコレーションがとてもユニーク。マイケル・ジョーダンやジョー・モンタナのサイン入りユニフォームが飾ってあったりなのですがあんなにたかい天井にほこりがたまっていないのです。白と会社のカラーである赤でイメージしたような店作りで作業場もすぐ後ろには見える。その作業場がまたとても綺麗にしてあるのは「さすがプロの店!」としか言い様がないくらいとても素敵なお店でした。

 

(フロント。かっこいいですね〜!)

(社長さんと一緒にパチリ)

人々に使ってもらえる店ってやはりこういうことじゃないのかな!店作りとして是非参考にしてみてください。

台湾で見られるクリーニング事情 その2

皆さん、明けましておめでとうございます。今年もいろいろな所に出かける予定ですのでまた皆さんに面白い情報を提供させていただきたいと思います。今年もよろしくお願いいたします。

 

さて、今回は前回の台湾の続きとなります。前回は台湾の全体的な事情についてお話しをさせていただきましたが今回はクリーニング業界についてお話しをいたします。

前回のコラムで台湾は日本にとても似ている、という話をさせていただきました。その際のキーワードは「平等」でしたね。実はこの言葉はクリーニング業にとってはあまりうれしい言葉ではないようです。クリーニング業では貧富の差が少なければ少ない市場ほど何でも自分で処理してしまう、いわゆるセルフサービスの国になってしまうからです。クリーニング業は一種の代行業です。人にお金を払って自分の洋服を綺麗にしてもらうサービスなのですから人々に収入力と消費力がなければなかなか成り立たないのがこの業界です。

さて、その台湾ですが残念ながら社会構造が日本に良く似ています。故にあまりクリーニングを使う人が多くないのです。国全体で6000店のクリーニング店があると言われておりますが、その95%くらいのクリーニング店が個人事業主でその売り上げ規模は年商400万円から600万円程度と言われております。もはや工業的とは言えずその日暮らしの運営を行っているわけです。

私は2日目に高雄(Kaohsiung)という町にやってきました。台湾で3番目に大きな都市で人口も270万人と言われているそうです。この町には400〜500店のクリーニング店があると言われていますが、5店舗以上を持っているチェーン店は10社もないそうです。台湾では日本と同じようにコインランドリーの売上が台頭してきているそうですが、そのコインランドリーも所有できる人は土地建物など物件を持っている資産家だけなのでチェーン展開出来ている人々がある程度独占しているとのことでした。台湾は基本的にとても暖かい国なのでホームクリーニングの売上は年々減少し、このようなコインランドリーなどで辛うじて補填している、と言うのが業界構造だそうです。

(台湾IDCの幹部のみなさんと高雄で会食)

(唯一、すごい工場を建設中。真ん中の青いシャツを着た若い方が後ろに建設している工場の若社長さんです。これがフル稼働したら徳島のセルフ様のような工場になるかも)

こんな中、台湾の一部団体はIDCと名乗り、JCPCが加盟しているIDC国際クリーニング会議と同じIDCロゴを掲げ、何か新しい事をやろうではないか!と活動している団体があるのです。こんなに業界が縮小しているのにそれでもなんとかしよう、と考えるのはなかなかたいしたものです。IDC台湾は具体的に何をやれば良いのか?は決まっていないもののもっと外国に出て新しい事を吸収しようと頑張っているのです。このチャレンジ精神には敬意を表したいと思います。我々も新しい情報を提供しながら何らかのプロジェクトを作ってもらいたいと思います。

(台北にあるカリフォルニアクリーニング様。)

(店内はなんとお茶屋さんが併設。いや、どっちが本業?)

(カリフォルニアクリーニング様の工場。とにかく日本の工場がお手本になっています)

(カリフォルニアクリーニング様の幹部皆様との会食。昼間からワインをこんなに飲まされました・・・笑)

台湾からは残念ですが学べる事はあまりありませんでした。しかし業界を盛り上げていこう、と考える人々がまだまだ沢山残っていたのはとても良かったです。ただし、彼らが次に何をやっていくのか?を決める事、そしてそれを実行する事がない限り再び繁盛する事はないでしょう。

是非頑張ってもらいたいと思います。

台湾で見られるクリーニング事情 その1

皆さん、こんにちは。

今回から2回シリーズで台湾についてご紹介したいと思います。実際に私も台湾に来たのは10年ぶりでしょうか・・・。昔は営業をやっていたので頻繁に台湾には来ていましたがすっかり部下に任せるようになってから来なくなっていました。久しぶりの訪問だったので楽しみにしていました。

まず空港を降りてタクシーでホテルに向かったのですがすぐに思った事があります。それは「町がとても綺麗!」ということです。私が昔からイメージしていた台湾はちょっと町が暗くて汚いというイメージでした。しかし全くそのイメージはなくとても整然としておりました。バイクは綺麗に整列駐車してあるし、ゴミは全く転がっていません。古い建物がすっかりなくなってしまい、新しいビルに変わっているような感じでした。綺麗に感じたのはそのせいかもしれません。

(市内の通り。昔の面影がほとんどなくなってしまいました)

(台湾のビルは一階が必ず歩道スペースが出来ている。しかしとても綺麗!)

(市内の小道。あまりに綺麗でびっくりしました!)

(バイクの駐車状況。とても整理されています。人間レベルが高い!!)

その後に高雄、台南、台中と訪問しましたが、これらの地域はまだ昔の面影がかなり残っていました。台北だけ別の次元に入っているように感じました。ただ高雄を訪問したときにも変化がありました。例えば川の水質がとても良くなり、昔はとても臭かったのが全く臭くなくなったのです。かなり環境整備に力が入るようになったのでしょうね。

タクシーも本当に綺麗でした。全部黄色に統一されており、使われている車はほとんど日本車、と言うよりトヨタ車でした。タクシーだけでなく普通に走っている車も圧倒的に日本車が占めています。

(タクシーはこんな感じ。新しい車が多く、中もとても綺麗でした)

人々も町に合わせて変わってきたように感じます。まず話し方は完全に中国本土の人々とは違います。とても穏やかに話すのです。日本人ととても近いし、話し声もうるさくないのです。中国本土や韓国の人々だと声が大きいだけでなくとてもキツい話し方をするのでまるで喧嘩しているように聞こえるときがあります。しかし台湾でそのような光景は全くなく、日本人にとってはとても心地よい感があります。

この数日間台湾を訪問して感じた事は「とても日本に似ていること」でした。この国の人々は日本がとても好きみたいです。実際に日本の飲食店が沢山並んでいますし、日本語で書かれたお店が数多くあります。ここには少し日本人の考えに近い台湾人の考えがあると察しました。

それは平等である事です。アメリカや中国は貧富の差が激しいと報告していると思いますが、日本はその反対で貧富の差がとても少ない国です。台湾はその日本にかなり似ていると思いました。だからこの国に目を見張るほどのお金持ちがそこら辺にいるわけではありません。その代わり貧乏人もあまりいないのです。人々が仲良く暮らしている一つの理由として国民が貧富の差を好まない、というファンダメンタルな考えを持っていることが考えられます。日本人が台湾に行きやすいのも生活環境が似ているからかもしれません。実はタイもそうなのですがあの国も貧富の差が他の東南アジアに対して少ないのが特徴です。日本人が行きやすい場所というのは日本と似た社会構造になっている地域なのだろうか、と仮説を作るようになりました。

食事はとてもおいしかったです。本当にいろいろな食事をいただきましたが、一つだけどうもなじめないことがありました。それはウイスキーで一気飲みをやることです。あれは本当に勘弁してもらいたい・・・。初日の晩で2本、二日目の晩で3本のウイスキーが空きました。しかも私が主賓なので皆さん私を攻撃してきます。本当にこれさえなければとても良い所なのですが・・・。(笑

(2日目の食事の1本目。あっという間に空きました。何も割らずにストレート)

(2本目。こんな感じでグイグイ行きます)

(2本目も空っぽ!これで終わりかと思ったのですが・・・)

(この方が3本目を持ってきて・・・。これも全部空きました・・・。恐るべし台湾!)

と言うことで次回は台湾のクリーニング業についてお話しをしたいと思います。

今年も一年お世話になりました。来年も引き続きよろしくお願いいたします。

イギリスから見えるクリーニング事情とは その2

皆さん、こんにちは。

前回はイギリスという国について概略をお話させていただきました。今回はイギリスのクリーニングについて少しお話しをしてみたいと思います。

まずクリーニングの顧客について考えてみたいと思いますが、先日も書いた通り「古風」というのは一つの繁栄のキーワードになります。それから「人口」、そして「富裕層」というのがクリーニングにおいてなくてはならないキーワードなのだと考えます。それらが見事に合致しているのはやはりロンドンなのです。

イギリスには物作りがもはや存在しない、と言うことを前回のブログで書かせていただきましたがどうしてロンドンは今日も繁栄を続けていると思いますか?それは金融の中心地だからだそうです。実際にロンドンには金融関係で生計を立てている人々が沢山いらっしゃいます。銀行、証券、保険など数多くの会社がロンドンの中心地に本社として構えております。日本のニュースでも為替情報が発表される時にいつも3つの地域をメジャーとして報告していますね。東京、ニューヨークそしてロンドンです。ここからもロンドンはヨーロッパの金融の中心地として見られていることがよくわかります。

こんなところですから当然大きな収入を得ている人々がいます。そういう人々が使うクリーニング店も沢山あります。しかし現在、イギリス人が経営しているクリーニング店はとても少なくなりました。ほとんどが移民による経営に変わっております。クリーニング店だけでなくホテル向けランドリー工場でも移民が経営しているケースがほとんどです。儲かりづらい商売に対してイギリス人は移民に権利を売ってしまっているのが現状で、昔はチェーン店として業界No.1として君臨していたJohnson Cleanersももはやロンドン市内にはなくなってしまっています。しかも昨年に靴の修理会社に買収されてしまった訳ですから如何にクリーニングが一般庶民には受け入れられなくなってしまっているのか?がよくわかります。

しかしそんな状況でも立派にやっているクリーニング店もあります。なんと言ってもAmerican Dry CleaningはロンドンではNo.1のお店となりました。売上は15億以上、28店舗でのオペレーションです。やはりロンドンですからワイシャツの需要は非常に高いのが特徴です。しかもダブルカフスのワイシャツが全体の6割以上を占めているわけですから我々にとっては驚きの数字です。それだけダブルカフスはイギリスのワイシャツではスタンダードと言えます。

(American Dry Cleaningの本社前。)

(ドライの仕上げセクション。)

(ワイシャツ仕上げセクション。皆さん見る目が真剣です!)

(Americanの一つの店舗。)

(店舗内の様子。意外といろいろなモノを物販しているのです。)

このように店舗運営しているお店もあればすでにロッカーによる販売をしているお店もあります。Laundry Republicというクリーニング店ですが大小のロッカーをざっと800カ所以上に構えている会社です。これもとても特徴のあるお店で商業施設や老人ホーム、マンションなどに設置しているそうです。

(Laundry Republicの本社前。皆さんでパチリ!)

(彼らのロッカー。これらがセットで800以上もロンドン市内にあるそうです)

(彼らが使っているタグ。QRコードのサーもパッチです。)

(みなさん、珍しげにリサーチ)

さて、こんなロンドンですが興味のあるところはウェットクリーニングの比率です。Americanでは全体のドライクリーニングの15%がウェットクリーニングサービスに、そしてLaundry Republicにおいてはなんと25%がウェットクリーニング対応になっているのです。日本では信じられない量です。

日本は間違いなくイギリスの後を追っているので何かと彼らの動向は参考にしておいた方が良いでしょう。ただドラムに入れる事ばかりがウェットクリーニングではなく、いろいろなやり方でウェットクリーニングに対応していく力を持つ必要はあると思います。

 

さて、ますます進んでいる業界縮小ですが皆さんはどんな未来を進んで行くのでしょうか?最近は韓国からスタートしている靴クリーニングがだんだんとフォーカスされてきていますがこれも一つの手と言えるでしょう。ウェットクリーニングやその他のオプションもありと思います。是非今後の売上を保管するための手段を考えてみては如何でしょうか?ロンドンはウェットクリーニングで対応しているところが多かったです。

イギリスから見えるクリーニング事情とは その1

皆さん、こんにちは。

今回はイギリスのクリーニング事情についてお話しをしてみたいと思います。というのも前回のブログでイタリアの展示会についてお話しをしましたが、その後に数社の日本のクリーニング店の社長様らをお連れしてイギリスに行ってきたからです。人数は少なかったですがとても楽しい旅になりました。

さて、イギリスは文字通り大英帝国、昔の世界覇者でした。ファッションにおいても他のヨーロッパよりも習慣が古風で多くの人々が未だにスーツを着て仕事をしております。イギリスと言えばピンストライプのスーツが代表的ですよね。クリーニング業界においてはこの「古風」という言葉が繁栄の一つのキーワードかもしれません。

まずはイギリスという国についてお話をしてみたいと思います。皆さんはイギリスと言うとすぐにロンドンをイメージするかもしれません。しかしロンドンはイギリス人にとって異国のようなイメージに捉えられています。何故ならばまずは物価が高すぎる!現在のイギリスポンドはおおよそ150円と理解していただければ良いかと思いますが、地下鉄の初乗り運賃が4ポンド、なんと600円!日本人からすると信じられない料金です。ロンドン市内で泊まるホテルはどこも150ポンド(2万2500円)が最低でちょっと良いホテルになると軽く300ポンド(45,000円)以上になります。先日、オーストラリア・シドニーの話をしたと思いますが、まさに似ています。普通の収入で生活しているイギリス人でロンドン市内に住める人は一人もいないくらい異常なところです。

一方でロンドンを出て地方をみてみると状況は一変します。クリーニングが必要ないのではないか?と思ってしまうくらい、のどかな風景が続きます。先日はKent地方にあるLeeds城を訪問したり、その先にある小さな美しいRye村を訪問したりと私もすっかり観光してしまいましたが、それらを訪問してみても全く商売がそこら辺に転がっているイメージはなかったです。

Leeds城です。とっても美しい洒落たお城でした!
みなさんで散策!
Rye村の小道。この先に村の教会があります。
Rye村のホテル。昔はここに海賊達が毎日宴会をしていたとか・・・
教会の上から撮ったパノラマ写真。これぞイギリス!のどかです。

考えてみればロンドンは郊外まで含めると2500万人の人口と言われております。第二の都市はバーミンガムかマンチェスターとされているのですが、どちらもおおよそ郊外まで含めても250万人いるかいないか、と言うことでロンドンの10分の1しかないのです。こうなるとロンドン一極集中と言われても仕方がありません。誰もが「ロンドンで商売が出来なければ儲からない!」と考えてしまっているわけです。

イギリスでは残念ながら産業がほぼ消えてしまっています。イギリスであった自動車メーカーももはやすべて海外のメーカーに買収されてしまい、イギリスのオリジナルブランドがほぼなくなってしまっています。ではどうしてそうなってしまったのか?というと、それは先ほど書いた物価です。イギリスで物作りは出来ないほどコストがかかりすぎてしまいます。しかも島国なので基本的に移民が簡単に入ってこないのです。

ただロンドン市内を見てみると驚くほどインド人、パキスタン人などが働いています。これは昔のイギリス植民地政策の影響から多くの人々がこの国に移り住みそして国民と化しています。最近はそれでも安い労働力が見つからない、と言うことでポーランド人を40万人も受け入れた時期がありました。現在はそのような東欧の人々がコストマインドにとてもうるさい業種に入り込んで働いているのが現状でしょう。もちろん、クリーニング店やランドリー工場にもポーランド人やルーマニア人などがたくさん働いています。

このように見てみるとイギリスは日本にとって一番近いお手本かもしれません。単一民族だったのがコストの関係から外国人を招聘し自分たちがもはや働きたくない分野に移民を使う、というモデルです。しかしそれにより、単一民族ではなくなりいろいろな人種の文化に染まっていくという可能性が出てきております。イギリスの現状を見ながら日本の将来を占ってみるのも良いかもしれません。しかし日本で物作りが出来なくなったら日本は一体どうなってしまうのでしょうか?考えただけでも恐ろしい話ですね。

次回はイギリスのクリーニングについて触れてみたいと思います。