JCPCカナダツアー

みなさん、おはようございます。

このブログを続けて2年が過ぎましたが見直してみると意外と同じところを訪問しているな、と感じます。展示会は定期的に同じ時期で行われるので仕方ないかもしれませんが情報だけを提供しようとするとどうしてもネタ不足になってしまうのです。
そこで今回から書き方を変えてみようと思います。いわゆる随筆として書いてみようと思うのです。同じ場所を訪問しても自分の気持ちは変わっていることが多い。ならばその気持ちもこのブログに載せてみると面白いな、と思いましてこれから日記風で書いてみようと思います。慣れないかもしれませんが頑張って書いてみます。それではスタート!

 

6月22日、Clean Showは3日目だが私はすでにニューオリンズを去ってカナダ・トロントに向かっている。JCPCのご一行様に合流するためである。JTS日本ツアーサービスの藤島さんと僕で企画するツアーは2013年の香港からスタートしたのだが、毎回とても好評で今回も40名以上の方々に参加してもらえた。大人数をお世話するのはとても大変だが、それだけ参加者が多いというのは彼らにとってとても魅力的なのだろう。私も頼られるのは大好きだから一層気合いが入るってものだ。

はやる気持ちを抑えながらトロントに到着した。時間は夜8時半、そこで問題発生!荷物を他の人に持って行かれてしまった。事情はわかる。何故ならば全く同じブランド、タイプ、大きさ、色と全てが全く一緒だったのだ。考えてみれば1ヶ月前にフランスの空港で私が同じミスをしてしまい相手に多大な迷惑をかけてしまったことがある。そのように考えると間違えてしまった人には同情してしまうし、妙に怒る気にはならなかった。しかしエアカナダの対応には流石に憤慨してしまう。お客様のミスで起こった事件だがこちらは荷物を待っているのだからそのお客様が空港に持って帰ってきた時点ですぐに私に手渡してくれれば良いのにその連携は全くなし。Missing Baggage(持ち主のわからない荷物)ルームに放られた状態で見つかった。その間、私自身もたらい回しにされて2時間後にようやっと見つかった。このように考えると日本の航空会社は本当にしっかり対応してくれるな、と改めて彼らの価値を感じてしまう。

6月23日、この日は日曜日なので観光の予定。この日がいきなりクリーニング店訪問だったらと思うとぞっとする。私にはクリーニング店の説明や通訳をする大役があるのだ。昨晩はホテルに到着したとき、すでに夜11時をまわっていた。この日はナイアガラの滝を見に行ったり、周辺のワイナリーを訪問する予定になっていたので大きな仕事はなかった。
実は3ヶ月前にこのツアーの打合せをしにトロントまできた。私はその時に初めてナイアガラを訪問したのだがその時も水量の多さに圧倒されたものだった。その時は上から眺めただけだったが今回は船に乗って滝のすぐそばまで行った。ポンチョがなければ全身びしょびしょになってしまうくらいの水しぶき。海外に来たらこういう経験はやはりした方が良いと思う。多くの日本人は「遊び=無駄遣い」と考えているようだがJCPCの理事長である西川さんはこのような観光を「広い視野コース」と称しているのだ。私は賛成!せっかく来たのだから自分自身の心を豊かにしていく事は必要だと思う。

(ナイアガラの滝。真ん中に見えるボートに乗って実際に近くまで行った)

(JCPC理事長の西川さんと。この通りびっしょり!)

ここナイアガラ地域はワインの産地としても有名だ。と言うことで午後はワイナリー訪問をしたりして現地を楽しむことが出来た。私は現在、ワインスクールに行っているのでワイナリー訪問はとても心が躍る。今回はChateau des Chalmesというところに行った。やはり一番の売りはアイスワインらしい。この地域ではレイトハーベストと言って葡萄が出来てもすぐに収穫せず、11月頃まで残しておいて葡萄が完全に凍ってしまうときに収穫するのだ。凍っている葡萄を収穫するのだから完全手摘み、そして絞っても甘みのみが出てくるのでとても上質なデザートワインが出来ると言うわけだ。私はその中でも珍しい黒葡萄で作られたアイスワインを買ってみることとした。家に帰って飲むのが楽しみになった。

6月24日、お待ちかねのクリーニング店訪問。最初にトロント郊外のMississaugaというところにあるTSC Wetcleanを訪問した。店内にドライ機はなく、100%ウェットクリーニングをやっているお店だ。オーナーのDinoさんに言わせると「4%の商品はウェットクリーニングが出来ない。しかしほぼ全ての商品をウェットクリーニングしているよ」と力強いコメント。このツアーに参加しているみなさんもかなり興味を持っているのがよくわかる。何故ならば大体100%ウェットクリーニングなんて出来るわけない、と思っているのだから。私はこのウェットクリーニングのやり方を見て改めて「洗剤の力」がカギと感じた。彼らが独自で開発したこの洗剤は簡単に日本には入らないが今後日本の薬品メーカーも開発に力を入れてくることだろう。残念ながら日本ではまだウェットクリーニングを本気で考えているクリーニング店は少ない。少なければ開発してもメーカーは売り上がらない。と言うことは投資出来ないのでいつまで経っても新しい商品は顧客に届かないのでもっと本気になってもらいたいモノだ。

(やはり洗いが一番のポイント。皆さんの関心がすごい!)

(実演しながら説明するDinoさん。丁寧にいろいろ教えてくれた)

(一部の参加者の洋服を実際に入れてみた。結果は?)

参加者の洋服も実際に洗ってもらった。洗い、仕上がり終わったものを見てみると全てがOKとは言えないのもわかってきた。やはり縫い糸が吊れてくる。これではNGだ、と一部の参加者が言う。それはもっともな話ではあるのだが、そういう人に限って否定的なところしか見ない傾向がある。一方で「思った以上に出来ているし縮んでいない。すごい!」という人もいる。同じモノを見てここまで感じ方が違うのはやはり最初から否定的にしか思っていない人と肯定的に考えてみたい人の差があるのだろう。
ここで私に見えた問題点はやはり仕上げだろう。オーナーのDinoさんは洗いに対してはとても強い論理を持っているが仕上げになると人の手で時間をかけて引っ張る事をしなければ縮んだ部分を伸ばす事は出来ない、と思っているようだ。参加者達はこの手間を嫌がるだろうし、これがもう少し自動で出来れば考えても良いと思っているのだろうか・・・。問題の起こった洋服は全体の2〜3%程度だがこれを撃退出来る仕上げの力は必要だ、と改めて感じた訪問だった。
ただDinoさんのこの活動に私は心から敬意を表したい。ここまでとがったモデルを作り、人々に訴えるのには相当な苦労があったはずだ。なかなか出来る事ではないし、そして我々を迎えてくれた事に心から感謝したい。

午後は地域のチェーン店であるSketchley Cleanersを訪問した。このブランドは昔イギリスで隆盛したブランドである。やっている事はとても現実的でドライクリーニングも存在している。ドライクリーニング全体の40%がウェットクリーニングという状況に驚きは隠せないものの参加者達の顔色が一気に落ち着く。それもそのはず。何故ならば日本人にとってとても現実的な工場がここにあったからだ。ほとんどの人がドライクリーニングを無くすことは出来ないと思っているだけに現実的な工場を見て安心したのだろう。ただアメリカも含めて日本で使われている第二石油(Petroleum)トランスファー方式は法律で使えない。このやり方がいつ日本でも禁止されるのだろうか?これは大いに業界にとって脅威である。

このカナダツアーではウェットクリーニングへの理解というお題目で皆さんに見てもらった訳だがいろいろな気づきを提供出来たのではないかと思う。TSC WetcleanとSketchley Cleanersの二社には本当に世話になったと心から感謝したい。