シアトル、バンクーバーへ

8月4日、Sankosha USAの西海岸営業マンのBudさんと私はOjai Resortを離れロサンゼルス国際空港へ移動した。シアトルとバンクーバーを訪問するためだ。Budさんは昔、シアトルでランドリー業を一族で経営しており、従兄弟が現在も経営している、ということでその工場も訪問する予定になっている。シアトルへの移動はユナイテッド航空。アメリカでは最も大きな航空会社であるがサービスは最悪だ。昔はよくアメリカ出張で利用したものだがJALを知るようになってから国際線は全く乗らなくなった。それでも生涯100万マイル以上乗っているので永久ゴールド会員になっている事もあり、国内線であれば時々利用する。
この日は移動だけで特に何もない。Budさんがこの町シアトルに長い間住んでいたことから地域をドライブしてもらい、最終的に夕食を二人でとった。素晴らしい景色に地元料理を味わえてとても優雅な一時であった。

(シアトルの風景。湾をまたぐ橋をが綺麗だったので一枚!)

(この日の夕食でBudさんと。地域のサーモンをいただきました)

(我々のテーブルから見える湾。このレストランに船で来る客までいる)

8月5日、早速一つ目のクリーニング店を訪問しに行った。Helena’s Cleanersというお店でたった1店舗、しかしルート営業が3〜4路線はあるようで売上はなかなかあるようだ。営業面で一番関心を持ったところはAmazonのキャンパスに出店している事だ。シアトルは意外とITの町でGoogleやMicrosoftなどがこの町に投資している。クリーニング店がこのような会社に積極的に売り込む姿はとても頼もしい。売上は所詮、自分で作るしかない。昔のようにお店を開けてお客様が入ってくるまでボーッと待っているようでは売り上がるはずがない。いろいろな会社にアプローチをしてみたようだが、結局顧客の条件に合致したのはAmazonだった。

(市内にあるHelena’s Cleaners)

(看板には無害なクリーニング店と書いてある。それだけクリーニングのイメージが悪いのか!)

工場を早速見せてもらった。特に変わった様子はない。いつも見慣れている工場のイメージだった。ふと気になった部分があった。それは包装の部分だったのだが、ポリがあまり使われていない。代わりにガーメントバッグが無数に置いてある。「何故こんなことをやっているのか?」と社長に聞いてみると「環境に配慮したクリーニングをやっている、というイメージを作りたいから」という事だった。昨今、ポリによる環境破壊は大きな問題である。その素材はクリーニング業ではとても役立つものだけに対策を急がなければならない。その点ではこのやり方は学ぶべきところなのだろう。日本では単品包装、ハンガーもプラスチックであることを考えると今後は大いに問題になってくるだろう。このように現代の問題点、人々の関心事に対応しているようなプロモーションを打つことは商売を継続していく上でとても大切なことなのではないだろうか?早速大きな学びを得た訪問であった。

(ポリフィルムがない。前部不織布バッグ。これがこちらの現実)

(バッグには看板と同じロゴが。こういうイメージはとても大切!!)

そして次に訪問したのはBudさんの従兄弟が経営しているクリーニング店であるConny’s Cleaners。ここは元々絨毯のクリーニングとして有名になっているところだ。早速工場に入ってみると本当に古い機械がずらりと並んでいる。しかし、洋服のクリーニングについてあまり特別感はなさそうにみえた。質問をしながら設備などを見せてもらったのだが本当に古い機械ばかりなので相当な人件費がかかっていそうに感じた。次に絨毯のクリーニング工場が隣にあるのでのぞかせてもらった。こちらは専門店ならでは、という専用装置が沢山あってとても興味深い。まず絨毯の誇りを取り除く機械に入れる。この機械を通しながら絨毯を細かく叩き、泥やほこりを全部取り除く。そして次に水洗い。そして脱水機で水分を取り除いてから長い棒に引っかけて乾燥する。モノが大きいだけにスペースが必要なのだが、流石に専門店はちゃんと専用スペースがあるので全く問題ない。全体的にとても価値を感じるし、これは利益が出ているように思えた。

(Budさんの従兄弟のCorry’s Cleaners。絨毯のクリーニングで有名!)

(絨毯工場。奥が誇りを取り除く機械で手前が水洗いのフロア)

(絨毯の脱水機。かなり専門的!)

(脱水し終わった絨毯を乾かす部屋。ちゃんと吊れる装置がある)

(Budさんと従兄弟達。一つの強みで生き残れている!!)

私はこの2件を訪問して今後生き残れるクリーニング店として以下の事を考えた。
1.単価を高く取れるクリーニング店
2.専門性のあるクリーニング店
3.その地域で名声の高いクリーニング店
しかしこれらのクリーニング店も考えなければならないのは「省人力の工場設計」だ。ここシアトルではすでに福利厚生、年金を含めると最低賃金が時給20ドルにまでなっている。日本というか東京の倍の価格である。彼らが現在でも生き残れている理由は儲かっているからだろう。儲かると言うことは利益率の高い商材があったり原価をしっかり抑えられる力があるから、と言える。最初のHerena’s Cleanersは上気の3つの条件の1番に該当するし、次に訪問したConny’s Cleanersは2番に該当するだろう。アメリカの多くの高級店は3番に該当する。このようにこの3つのどれかに該当しなければ今後の経営は難しい、と改めて感じた訪問だった。

顧客訪問を終えて我々はバンクーバーに移動したのだが、途中にワシントン州で一番大きなワイナリーがあると言うので少々遊びの時間とした。行ってきたのはChateau Ste. Michelle(シャトー・セント・ミッシェル)というところで、アメリカのワインショップには比較的お手頃価格で並んでいる。私も飲んだこともあるしよく見かけるブランドだったのだが、このように訪問してみるとまたイメージが変わる。
心はすでにワインモードでほんの2時間程度の訪問だったがとても楽しかった。結局12本も買ってしまった。これをどのように持って帰るか?が問題ではあったのだが・・・、JALだったらなんとかしてくれるだろう、と何とも楽観的な気持ちで買ってしまった。何とも迷惑な客である。

(シャトーセントミッシェル。この建物がエチケットになっている)

(12時からのワイナリーツアー。学びました!)

(テイスティングでBudさんと)

(結局、いっぱい買っちゃいました!)

そしてバンクーバーへ移動。そこで問題発生。「そうだ、国境を通過するんだった!」とワインを大量に買った後で気づいた。飛行機でカナダに入国するときは必ず税関で検査される。しかし今回は車での通過である。実はアメリカからカナダへ車で入国するのは初めてなのだ。ドキドキしながら入国審査ゲートに入る。ここでは車に乗ったまま通過出来るのが特徴で、日本では絶対に経験出来ない事だ。そうしたら「車の窓を開けて中を見せてくれ!」というから窓を開けた。検査官は簡単に自分の部屋から見ただけで「OK!行って良いよ」と言ってくれた。あっさり通過出来てしまい、ほっとしたのと同時に拍子抜けしてしまった。後で聞いた話だが車での通関は意外と厳しくないらしい。
やっとの思いでバンクーバーのホテルに到着。Budさんと二人でホテルそばのイタリアンにて食事をして終わった。明日はどんなことになるのか?楽しみである。

8月6日、本日は朝からCarousel Cleanersを訪問した。バンクーバーで最も成功しているクリーニング店である。先日、競合のクリーニング店を買収して更に大きくしようと考えている。この時代にしては珍しい。日本と違ってすでに業界は小さくなってしまっているにもかかわらず若干の商機にも積極的に投資するところに勇敢さを感じてしまう。このような顧客に確信を作らせるのも我々の仕事かもしれない。
このお店に入って感じた事はとても社員がフレンドリーであることだ。これは社長から始まっているメンタリティと感じた。社長のCamさんとは数年前からの知り合いで、展示会で私の顔を見る度に「いつバンクーバーに来るの?」と言われていた。その社長が自ら工場内を案内してくれたのだが、働いている社員一人ひとりに「この人はSankoshaの社長で日本からわざわざ来てくれたんだ!」と紹介するのだ。社長が一人ひとりに丁寧に紹介する姿がとても印象的である。ほとんどの会社では現場で働いている社員全員に対して大声で一言私を紹介するか、もしくは全く紹介しない事が普通である。それだけこの会社では全ての社員とファミリーのように付き合っている事がうかがえる。結果としてそれぞれの仕事の品質が高くなる。やはり「会社の為に!」と考える人が多いのだろう。
ただこの工場でも更なる改革が必要になっているようだ。それは人件費の高騰から来ている。バンクーバーもシアトルと変わらない状況なので、儲けるためには如何に人件費を抑えるか?がカギになる。次回訪問するときには新しい考えが工場に反映されていることだろう。それを是非楽しみにしたい。

(Carousel Cleanersの本社前。彩りが良い!)

(カウンターも立派!こういうのは流石!!)

(ルートの車もイメージバッチリ!!)

(ワイシャツも含めていっぱい利用してもらっています)

夕方は近くの名所を案内してもらった。キャピラノという公園なのだがここがまたすごい。ここには100年以上も存在する吊り橋があるのだ。その吊り橋がまたとてもスリリングなのだ。社長のCamさんは息子さんを連れてきて案内してくれた。その公園は更に大木化している杉の木と木を吊り橋のようにアスレチックコースのように作っているところもつれて行ってくれた。まるでスターウォーズのジェダイの復讐で出てきたイウォーク族が住んでいるところのような感じで全く日本にはない景色だった。こういうところは来ないともったいない!
最後はこの公園の一番頂上にあるレストランにて奥様も含めて一緒に食事をさせてもらった。なんとロープウェーでないと行けないところで、頂上からバンクーバーの景色が一望出来る素晴らしい場所だった。もちろん、ここでは地元で捕れる鮭料理を堪能した。仕事とはいえ、こういうときは本当に役得だ!ここでも楽しい食事をしながら将来の事についていろいろ話し合った。是非彼らにも良いビジネスが続くように、と心から祈りたい。

(キャピラノの吊り橋へ!社長のCamさんは息子を連れて)

(吊り橋の中央で皆で一枚!この下は100m位あるんだけど・・・)

(まるでスターウォーズのイウォーク族の住み処みたいなところ)

(ここもとても足下竦むところだった)

(夕食は更にロープウェーを使って山頂へ)

(Cam社長は奥様を連れて。皆で楽しみました)

(こちらもサーモンで舌鼓)

(山頂から見えたバンクーバー市内)

翌日のフライトで日本に帰った。ロサンゼルスのOjay Reportから始まってシアトル、バンクーバーと続いたこの旅もようやっと終了。しかし考えてみるとあっという間だった。次は9月まで海外の出張はない。とりあえず夏休みをゆっくり過ごす事としよう!