台湾で見られるクリーニング事情 その2

皆さん、明けましておめでとうございます。今年もいろいろな所に出かける予定ですのでまた皆さんに面白い情報を提供させていただきたいと思います。今年もよろしくお願いいたします。

 

さて、今回は前回の台湾の続きとなります。前回は台湾の全体的な事情についてお話しをさせていただきましたが今回はクリーニング業界についてお話しをいたします。

前回のコラムで台湾は日本にとても似ている、という話をさせていただきました。その際のキーワードは「平等」でしたね。実はこの言葉はクリーニング業にとってはあまりうれしい言葉ではないようです。クリーニング業では貧富の差が少なければ少ない市場ほど何でも自分で処理してしまう、いわゆるセルフサービスの国になってしまうからです。クリーニング業は一種の代行業です。人にお金を払って自分の洋服を綺麗にしてもらうサービスなのですから人々に収入力と消費力がなければなかなか成り立たないのがこの業界です。

さて、その台湾ですが残念ながら社会構造が日本に良く似ています。故にあまりクリーニングを使う人が多くないのです。国全体で6000店のクリーニング店があると言われておりますが、その95%くらいのクリーニング店が個人事業主でその売り上げ規模は年商400万円から600万円程度と言われております。もはや工業的とは言えずその日暮らしの運営を行っているわけです。

私は2日目に高雄(Kaohsiung)という町にやってきました。台湾で3番目に大きな都市で人口も270万人と言われているそうです。この町には400〜500店のクリーニング店があると言われていますが、5店舗以上を持っているチェーン店は10社もないそうです。台湾では日本と同じようにコインランドリーの売上が台頭してきているそうですが、そのコインランドリーも所有できる人は土地建物など物件を持っている資産家だけなのでチェーン展開出来ている人々がある程度独占しているとのことでした。台湾は基本的にとても暖かい国なのでホームクリーニングの売上は年々減少し、このようなコインランドリーなどで辛うじて補填している、と言うのが業界構造だそうです。

(台湾IDCの幹部のみなさんと高雄で会食)

(唯一、すごい工場を建設中。真ん中の青いシャツを着た若い方が後ろに建設している工場の若社長さんです。これがフル稼働したら徳島のセルフ様のような工場になるかも)

こんな中、台湾の一部団体はIDCと名乗り、JCPCが加盟しているIDC国際クリーニング会議と同じIDCロゴを掲げ、何か新しい事をやろうではないか!と活動している団体があるのです。こんなに業界が縮小しているのにそれでもなんとかしよう、と考えるのはなかなかたいしたものです。IDC台湾は具体的に何をやれば良いのか?は決まっていないもののもっと外国に出て新しい事を吸収しようと頑張っているのです。このチャレンジ精神には敬意を表したいと思います。我々も新しい情報を提供しながら何らかのプロジェクトを作ってもらいたいと思います。

(台北にあるカリフォルニアクリーニング様。)

(店内はなんとお茶屋さんが併設。いや、どっちが本業?)

(カリフォルニアクリーニング様の工場。とにかく日本の工場がお手本になっています)

(カリフォルニアクリーニング様の幹部皆様との会食。昼間からワインをこんなに飲まされました・・・笑)

台湾からは残念ですが学べる事はあまりありませんでした。しかし業界を盛り上げていこう、と考える人々がまだまだ沢山残っていたのはとても良かったです。ただし、彼らが次に何をやっていくのか?を決める事、そしてそれを実行する事がない限り再び繁盛する事はないでしょう。

是非頑張ってもらいたいと思います。