映画「Winston Churchill」を見て

みなさん、こんにちは。

先日はシカゴとハワイを訪問してきました。ハワイのクリーニング事情についても一度ご紹介したいと思いますがそれは次回のお楽しみとしましょう。

今回は映画の話をしたいと思います。それは「ウィンストンチャーチル(Winston Churchill)」です。本当に感動します、この映画は!

時は第二次世界大戦。ドイツがヨーロッパを侵攻しているときに彼は最後まで「戦いあるのみ!仮に戦いに敗れても滅びることはなく必ず国は再生する。降伏した国のみが滅びるのだ!」と最後まで言い続けました。その結果、嫌われていたはずの国王から信頼を得ることとなったのです。彼は多くの人々から嫌われていました。しかし最後には国王の信認を頂き、その国王から「国民の声を聞くのだ」と言われました。そこでチャーチルは地下鉄に乗り込み、そこに乗っていた国民から「降伏するくらいだったら戦って死ぬ!」とまで言われて彼は自分の信念が正しいことを確信し、国会の承認を導き出すことができました。

これを業界においてみたらどうでしょうか?周りの人々が最初に自分の向かうべき方向性に対して反対、もしくは無視を表明している状態でみなさんは本当に自身を貫き通す事が出来るでしょうか?我々はどうしてこの業界で生活をしていこうと思っているのだろうか?Winston Churchillの初心は「勝利(Victory)」でした。我々の業界はVictoryを叫び続ける事ができないのでしょうか?

私はこの業界ではまだまだやっていないことがたくさんあると思っています。一番やっていないことは「ドライクリーニングにおける効用と限界」を人々に知らせる事だと思います。何故ならば多くの顧客がドライクリーニングとは何か?を知らないからです。もしかしたら知らなくて良いかもしれません。しかし知らなくて良いならば知っている人が最後まで綺麗にする必要があります。私が言いたいことはドライクリーニングでは水溶性の汚れが落ちていないことです。それを伝えようとしている人はこの業界ではとても少ないし、知っている顧客は極めて少ないのが現状です。しかしほとんどのクリーニング店がその説明責任も果たさないまま業界が細って行く事に憂いを示すばかりです。

私は最近からウェットクリーニングの可能性を示しておりますがこれには理由があります。それは「ドライクリーニングでは落とせない汚れがある」ことです。それをもっと示す必要があります。今まで自分たちが出来なかったことをこれからやる!これを表明する事が悪いことなのでしょうか?それにより人々が我々を非難する事になるのでしょうか?私は全くないと思います。今まで出来なかったことをこれからやる。我々は出来るようになった!と言うのはとても良いのではないかと思います。何故ならば自社のアップグレードだからです。全然今まで出来ていなかった事をネガティブに思う事はないのだと思います。もっとポジティブに自分たちのこれから出来る事を表明した方が良いと思うのです。

誰でも出来る事に対して人々はお金を払ってくれません。しかし人々ができない事をお店がやることに対しては必ずお金を払ってくれます。我々はそれを持っています。後はそれをどのように作業していくか?そしてどのように人々に魅力的に思わせるか?です。我々は未だに市場に対して戦っていないのだと思います。

皆さん、是非この映画を見てみてください。生きるとは?を本当に考えさせられます。本当に生きるか死ぬかの瀬戸際で大英断をした首相です。これを見て自分はどうしていくか?を是非探ってみてください。

カリフォルニア展示会に行ってきました

みなさん、こんにちは。

8月18日と19日にロサンゼルス郊外にあるロングビーチというところで地域展示会がありましたので私も参加してきました。2日間でおおよそ800名の来場というわけですから決して多い展示会とは言えませんが、今年行われた他の地域展示会に比べれば比較的参加者の多い展示会だったと言えるようです。

ただ会場を見回してみても決して新しい展示物があるわけでもありません。来場者が少なくなるのも「新しいソリューションがなかなか出てこない」のが一つの原因と言えるかもしれません。

ここカリフォルニア州はアメリカで一番環境に厳しい州として知られています。実際にクリーニング業界に対してはパークロルエチレンの使用が2020年で全面的に禁止されることが決まっております。これも残念な話ですが汚れを落とす事と環境に優しい事は全く逆の話で、政府が環境の事ばかりを優先するとクリーニング、特に油汚れなどのクリーニングにおいてはやりづらくなってくるのです。特にカリフォルニア州ではNone Toxic(無毒な)という言葉が先行してしまっているのでどうしてもドライクリーニングについてはToxic(有毒な)というイメージが着いてしまっています。非常にネガティブな言葉なので商売にもかなり影響してしまっているのがカリフォルニア州でクリーニング店を行っている人々の頭痛の種なのです。

今回の展示会で新しかったのはカリフォルニア州政府がウェットクリーニングをスタートする業者に対して最大10,000ドルを補助するという条例が出たことです。実際にウェットクリーニングにおけるメーカーのプロモーションはいくつか出ておりますがまだまだ目立つ存在にはなっていないのが現状です。何故ならば「ウェットクリーニングは手間がかかるし、洋服が縮むリスクがある」という理由があるからです。ただ、州政府が補助金を出すことで多少の投資意識が市場に生まれる可能性はあります。これからどのように市場がウェットクリーニングに注目していくのか?これは楽しみです。

ただウェットクリーニングがすべてを解決出来るわけではありません。ドライクリーニングも必要です。それをもっと世の中の消費者に伝える必要があります。それをわかってくれた上で我々業者がプロとして汚れた洋服を綺麗にする事を考えていく事が必要なのでしょう。

単に「ウェットクリーニングは面倒くさいし縮みのリスクがある」と敬遠するのではなく、両方を駆使してどんな汚れに対しても綺麗に出来るクリーニング店を目指してもらいたいと思いました。

バンコクの交通事情からみる商売の難しさ

皆さん、こんにちは。

先日は中国のお話しをさせていただきましたが、今回は東南アジアのタイを紹介したいと思います。

皆さんはバンコクという都市に行ったことはあるでしょうか?三幸社はバンコクから南東に1時間くらい走った所にチョンブリ県という地域がありまして、そこに工場がありますのでよく訪問するのですがすごい都市ですね。何がすごいと言うと渋滞がすごいのです。あんなに渋滞が激しいといい加減仕事になりません。5〜6km先の目的地まで1時間なんて平気でかかるのです。1日に何件も仕事のアポを入れる事なんてとても出来ません。

電車はある程度充実しています。料金も安い!ただ東京みたいに縦横無尽に張り巡らされているわけではないので結局近くの駅まで行くのに時間がかかる、と言うわけです。

一番使われているのはバイクタクシーです。地元の人々は平気で待っているバイクに目的地を説明してひょいと乗ってスタート。女性が普通に後ろに乗ってヘルメットもかぶらずに目的地まで乗っていく姿をよく見ることが出来ました。確かにバイクであれば渋滞していても間をすいすい抜ける事が出来るので便利です。しかし日本ではまずあり得ない光景です。

さて、アメリカでは皆さんご存じのUberというタクシーシステムがありますが、タイにはそれとほぼ同じシステムでGrabというタクシーアプリがあります。今回はこれをかなり利用させてもらいましたがシステムはこうです。アプリで登録し、自分の現在地と行きたい目的地を設定するとそのオファーに反応した車が自分たちのいる場所に来てくれて目的地まで送ってくれます。すでにアプリでクレジットカードを登録しているので支払いでもめる事もありませんし、運転手が改めて場所を確認する必要がないのです。これも日本にはないシステムで便利さを感じるところです。

それでも渋滞を緩和する策はこの町になさそうです。私はいつもクリーニング業がこの町で反映するのか?を考えながら見ているのですが、最低日本やアメリカでやっているような有人店舗やドライバーが顧客の自宅まで伺う外交などは有効ではなさそうです。やはり渋滞が一番の問題になるからです。

さて、そうするとこの国では何が一番良い解決策になるのでしょうか?この国は日本と同じように貧富の差が比較的少ない国です。そうすると自然と求められるのは「万人受けするサービス」になってくるわけです。しかし交通事情が悪い、でも多くの人々に使ってもらいたい。そこで考えられるのはロッカーサービスなのかもしれません。ここではコストも高くなってきました。しかし人々に払えるお金がない、となると友人サービスは難しい、となるわけです。

 

如何でしょうか?私はいろいろな地域を旅しておりますが、だんだんとそのポイントが理解出来るようになってきました。貧富の差があるかないか?交通の便が良いか悪いか?それによってサービスの方法が変わってくるのです。変わらないモノは何か?と言うと・・・、それは「綺麗にする事」です。それを価格やサービスの条件に合わせて落とすのは絶対に残る事が出来ない条件になってしまいます。誰を相手に?どのくらいの価格で?どんな利便性を?これは考える条件です。しかしすべてに当てはまることは「綺麗にする事」です。是非それをいつも考えながら自分らしいサービスを展開してみてください。

中国展示会から想像出来る今後の中国

皆さん、こんにちは。

7月18日から20日まで上海にて洗染協会主催の国内展示会がありました。我々三幸社も出展業者として参加してきました。今回、そこで見えた話をさせていただきたいと思います。

今回も巨大なホールを2ホール使っての展示会で業界の将来をとても感じたモノでした。来場者も主催者側の報告としては2万人と言うわけですからすごいモノです。日本では1万人も集まらなくなってしまっているだけにその熱は相変わらず高い、と言うことが出来るでしょう。

その中でも目立ったのは「洗い方」「革の手入れの仕方」「しみ抜きのやり方」に群がっている零細業者の店主達です。その群がり方がすごい!もう自分たちの将来がかかっているかのように必死に説明を聞いておりました。まるで日本の40年前のような状況でしょうか。個人店がしばらく良いビジネスが出来る時代がやってきそうな感じがします。故にそういう人々が一番興味持つ商品はズバリ洗剤や薬剤関係です。だからその分野のブースがたくさん出てきました。

ただ展示会場全体を見回してみても決して新しいモノがあるわけではありません。中国はヨーロッパやアメリカ、日本を見習って同じ道を歩んでいるわけですから先進国から出品されている商品やサービスがベンチマークになります。それに対して中国のコピー品が価格の訴求で人々にプロモーションしている、というまさにありふれた状況でした。これは日本でも昔は同じような事があったわけですから歴史はまさに繰り返されています。

一つだけ気になったのはロッカーです。今回の展示会では多くのブースでロッカーの紹介が目立っておりました。私が確認出来ただけでも3〜4種類はあったでしょうか。あまり近くで確認する事が出来なかったので何とも言えませんが、中央にタッチパネルの画面があったのでそこで登録や支払いなどが出来るようになっているのでしょう。支払いと言っても現金決済ではなくWe Chatなどでも支払いが出来るような機能を使って行うものと推定します。

中国では人々が現金を使った決済をしなくなってきているようです。ネットに自分のお金をチャージしておき、それをありとあらゆるところで支払い手段として使うようになっているとのことです。そうなるとクリーニングの支払いでもそういう支払い方法に対応出来るようなサービスを用意する必要が出てきますね。日本もSUICAやPASMO、EdyやWAONなどなど様々な支払い方法が出てきておりますが、社会現象的にみてみると中国の方が浸透度は早いように感じます。

日本は相対文化がまだまだ残っているのでカウンターで現金という習慣がかなり残っていますが、中国は相対文化があまりないと感じられます。故にロッカーでプリペイドカードなどの支払いでキャッシュレスの習慣が進んでいる事が大きな違いと感じました。

(私もパネルディスカッションで登壇させていただきました!)

今後、このマーケットはどうなっていくのか?間違いなく日本よりも大きくなる事でしょう。

中国を訪問して見えるクリーニング業の可能性

皆さん、こんにちは。

前回は中国の都市から見えるクリーニングの可能性についてお話しさせていただきました。今回は実際に活動しているクリーニング店をご紹介したいと思います。

なんと言っても一番最初に紹介しなければならないのはFornetです。北京に本部を置き、現在は全国にフランチャイズを中心に1500店舗を展開している文字通り巨人です。本部の店舗をみせていただきましたが日本のクリーニング店よりも綺麗な作りになっています。この店舗のデザインは全部会長がされているとのことでそのこだわりがうかがえます。

日本との違いはワイシャツが集まりづらいマーケット、なんとワイシャツ比率が全部の店舗を平均すると10%にも満たないとか・・・。上海の店舗が一番ワイシャツが集まっているようですがそれでも30%にも満たない都のことで日本のようにワイシャツを集めることがクリーニングの売上を上げる条件にはなっていないようです。

Fornetで気をつけていることは「今までのクリーニング店のイメージとの決別」だそうです。中国でもクリーニング店(というか洗濯屋)は個人店を中心に存在しているわけですが彼らのイメージはとても汚くて悪いそうです。そういうお店が水洗い衣類を扱っていたことからクリーニング店にワイシャツなどが集まりづらいと考えられているようですが、彼らはとにかくイメージを大切に、そして海外から貪欲に学んだことを経営に活かしている、という会社です。これからも代表的な地位に居続ける事でしょう。

 

一方で地域密着でやっている店舗にも訪問してきました。営口(Yingkou)という町にあるクリーニング店ですが、1工場で28店舗をやっていて1日の最大処理量は5000枚だそうです。平均単価が23元と言うことでおおよそ390円(1元=17円で計算)ということで日本のチェーン店よりは単価が高い!この会社はすでに10年以上展開しているとのことですが、ここに来て売上は10%以上で伸びているそうです。実際、2015年にネットクリーニングという触れ込みから相当な人々がこの業界に投資して参入しようとしていたのですが結局ほとんどの人々が失敗に終わり、その影響が昔からやっている会社にもあったのです。しかしここにきて安定を取り戻し、非常に儲かる状況に入ってきたように見えます。

他にもいくつかのお店を訪問したのですがとても面白いことがありました。それはワイシャツの値段とズボンの値段が一緒なのです。私はこの価格を世界で初めて経験したのですが、ほぼ全部のクリーニング店がワイシャツとズボンの値段を同じにしているのです。上記のクリーニング店は先ほど書いた通りワイシャツが23元ですのでズボンも23元です。どこでこのような料金体系になったのかはわかりませんが「周りがそのようにやっているから我々もやっている」というコメントをもらったのが印象的でこのような料金設定は日本も中国も変わらないな、という感じです。

しかし世界どこでも業界縮小の状況に疲弊している中でこの市場は本当に可能性を感じます。それからクリーニングは改めて貧富の差がある程度ないと繁栄しない業界なのだな、ということも再確認出来ました。そんな中で我々はどうやってこの国で生きていけば良いのか?真剣に考える必要がありそうです。

中国を訪問して見えるクリーニング業の可能性

皆さん、こんにちは。

今回は中国のマーケットを見てみたいと思います。ちょうど先日、中国を出張してきたので現在の中国マーケットについていろいろ述べて見たいと思います。

 

まず感じた事、それは「中国は本当に大きい!そして人が多い!」これに尽きますね。今回は北京、瀋陽、営口(インコウ)、大連を訪問したのですがどこも日本からすれば大都市!営口(インコウ)が一番小さな都市でしたがそれでも200万人の人口でした。誰もが聞いたことのある街はほぼ全部1000万人都市なんです。なんでこんなに人がいるのだろうか?と思ってしまいますが、それ故に羨ましい市場があります。

そんな中国ですが、この国を旅すれば旅するほどアメリカと似てるな、と思いました。ポイントは

  • 貧富の差がとても激しいこと
  • お金を使う癖があること

この二つです。どちらも日本に全くない条件です。特にクリーニングは貧富の差が激しい国の方が利用率が高いことがすでにその他海外で証明されています。故に日本のような超中流国家でクリーニング需要が高いのはとてもまれなケースと言えるのです。(しかし、日本は需要減退の危機に直面しておりますが・・・)

街を歩いているともう一つ思う事があります。それはワイシャツを着ている人がとても少ない事です。人々の生活レベルは確実に上がっているのですが、まだ日本人のようなスーツやワイシャツ、ネクタイという訳ではなくポロシャツに下は作業着、Tシャツにジーンズ、という感じの構成が男性にはとても多いです。会社の経営者であっても決してワイシャツを着る訳ではなく作業着やポロシャツを着ている人が多いのです。

今回のエリアは中国の東北部と言われており、昔一番栄えていたエリアだったようです。しかし中国政府は開発のエリアを上海、深セン、広州など南部に変えたために東北部は一気に失速してしまったと言うことです。しかしそれぞれの街はとても落ち着いており、特に弊社の事務所がある大連は日本人の街と言っても良いくらい日本語であふれており、中国の典型的な大都市とは雰囲気が全く違うのです。

こうやって見てみると中国の街はそれぞれの地域で全然違う人種と考えで成り立っており、それぞれの地域でクリーニング店のあり方は違う可能性があります。その中でも全国チェーン展開をしている会社もあったりとこれからさらに伸びていく可能性を感じる市場でした。

次回のブログで中国でどんなクリーニング業が成り立っているのか?をご紹介したいと思います。お楽しみに!

タクシーから見える東京と関西の売上格差

皆さん、こんにちは。

Facebookには書きませんでしたが、先週はずっと関西に出張しておりました。その際に感じた事を今回は書いてみたいと思います。

家から駅までタクシーに乗りました。そこで運転手さんに「1日にどのくらい走るんですか?」という質問と「1日でどのくらいの売上を上げているのですか?」という質問をしました。結果は「250kmくらいは走ります」という答えと「おおよそ6万円かそれ以上」という答えをもらいました。私は「これだけ走って6万円しか売上が上がらないのか」と感じたのです。

さて、新幹線に乗って大阪まで来ました。そこでまたタクシーに乗りました。せっかくなので同じ質問をしてみました。そうしたらその答えにびっくりです。というのも一つ目の質問については「150kmくらいは走ります」という答えと「売上はおおよそ3万円くらい」と言うのです。私はすぐに次の質問をしました。「それではもっと走れば売上は上がるのではないでしょうか?」そうしたらすぐに答えが返ってきました。「無理ですよ、大阪では全く売上が上がりません。昔は200km以上走っていました。しかし売上が上がらないからもう走るのも辞めたんです。」という答えでした。

これにはショックでした。関西では東京のタクシーの半分しか売上が上がらないのです。東京のタクシー売上でさえちょっと少ないのではないか?と感じたのに関西ではその半分です。ちなみに東京に帰ってきてもう一度最寄り駅からタクシーに乗って聞いてみました。その関西の状況を聞いたタクシーの運転手さんは「3万円ですか・・・。それではとてもじゃないけど給与が出ない。運転手の仕事だけではとてもじゃないけど生活が出来ないと思います。会社も新車を買うことは出来ないでしょう。」との事でした。厳しい状況です。

しかしここにちょっとした関東と関西のメンタリティの違いがありそうです。今回も客先に寄り、一緒に食事をしに行った時の話です。そこでとてもおいしいウナギをご馳走になりました。最近、ウナギと言えば本当に高級食材です。そこで特上を選んでくれたのですが、その料金は2500円。特上で2500円はとても安い!と感じました。

そこで地元のクリーニング店の社長さんから一言。「関西では高いお金を払ったらおいしくても当たり前!と考えるのが一般的です。おいしくて安いから「おいしい!」って言うのです。関東の人々は高くてもおいしければ「おいしい!」って言うでしょ?それは我々と大きな違いと思います」と。

確かに地元の名店ですが店構えはとても古いし決して綺麗ではありません。東京でこの店構えで本当にやっていけるだろうか?と考えたら難しいかもしれません。ある程度店は綺麗じゃなきゃいけないし、接客も良くなければなりません。そこに価格を転嫁してもそれは当然と考えるのが東京でしょう。関西ではこのやり方ではむしろ上手くいかないのだ、と言うことを学んだ出張でした。

ただ売上を上げさせてくれない、というのは困った話です。私は常に「日本はアメリカに比べてキャッシュフロー(金回り)がとても悪い!」と言い続けておりますが、その原因は関西のこういうメンタリティがあるから、と言えそうです。もしかしたら関西以外の地域でもこのようなメンタリティはあるかもしれません。

いくら皆さんが商品の価値を上げようと頑張っても周りのお客様がその価格を許してくれなかったらどうしますか?私ならその程度の価格で出来る事を探すようにするしかない、と考えるでしょう。もしくは自分の考えに賛同してくれるごく一部の顧客のみを対象にするビジネスにするか・・・。とても決断に困る条件と感じました。

皆さんはどう考えますか?

沖縄でみたクリーニング業界

皆さん、こんにちは。

先日、沖縄に行ってきました。あるコンサルティングファームの研修会が現地で行われたので行ってきました。ついでといってはなんですが、クリーニング店も訪問してきました。その間に普天間基地なども見てきて、改めて沖縄の米軍と隣り合わせで生活している事情は大変なモノだな、と実感して帰ってきたのです。

クリーニング業界の事を訪問したクリーニング店に話を聞いて来たのですが、「ホームクリーニングの方は本当に点数が減ってきていて真剣に今後どうするか?を考えていかないとまずい!」とおっしゃっておりました。前回、ベルギーのお話しをさせていただきましたが、ここ沖縄でも全く同じ現象が起こり始めているのです。これは本当に困った!

 

今回、ちょっと沖縄ならではの話に遭遇したのは「かりゆし」です。沖縄には「かりゆし」(沖縄で着られている民族衣装。ハワイのアロハシャツに似ています)というシャツ代わりの洋服がビジネス上の正装となっていておおよそ4月から10月くらいまでが「かりゆし」を人々は着ているようです。そして10月から4月までの冬がワイシャツ、という傾向があるようです。クリーニング店の経営者様に話を聞いてみると時期にかかわらず「かりゆし」、ワイシャツ共に東京などの大都市と同じ位のボリュームで全体の40%位が占められていると報告を受けました。

たまたま国際通りの「かりゆし」専門店に入ってみました。そこで最近のラインナップを見てみると昔の「かりゆし」とは違い、ボタンダウンのものやスリムフィットのものなど我々が最近着ているワイシャツとあまり変わらない傾向になっているのが面白かったですね。

(かりゆしショップ。ワイシャツとは違い、半袖ばかり。カラーも豊富!)

(綿ポリ混紡のシャツが圧倒的に多い!)

それ以上に目に入ったのは生地の作りです。綿ポリ混紡がとても多く綿100%の「かりゆし」があまり多くないのです。むしろポリが65%で綿が35%というシャツの方が多く、これには一つの事情が絡んでいるのだろうと察しました。それは「家庭洗濯」です。実際に滞在中のある朝、我々はコンサルティングのグループツアーで皆さんとの待ち合わせ場所でしばらく待っていたのですが、そこでしばらく街を歩いている人々をじっくり眺めることが出来ました。この時期だと100%「かりゆし」を着る人ばかりなのですがあまりクリーニング店に出している人が多くないな、という印象でした。東京などの大都市でもワイシャツをクリーニングに出していない人の方が圧倒的に多いのだろうと思いますが、沖縄でも同じ状況になっているのを目の当たりにすると改めて考えさせられてしまいます。

我々クリーニング業界はどうやって生き残りを図っていくのでしょうか?私もまだわからないのですが家庭洗濯と融合していく事は考えていかなければならないのでしょうか・・・。水洗いやリネンの業界はまだまだ成長しています。世界的に成長しています。しかしドライクリーニング業界は衰退の一途をたどっています。この事実を我々は認識し、業態をどのように変えていくか?を考えていく必要があることを考えさせられた沖縄訪問でした。

ベルギーのクリーニング業から見る日本の将来

皆さん、こんにちは。

今回はベルギーのクリーニング店がどのように生き残り続けているのか?をお話ししたいと思います。日本は間違いなくヨーロッパと同じ道を進んでいるのでこの話はとても参考になると思います。

 

ベルギーは人口おおよそ1100万人、東京よりも小さな人口で構成されている国です。しかしクリーニングの需要は衰退しきってしまい、この国が再びクリーニング需要を増やす事はまずあり得ないでしょう。故にクリーニング店も200店ほどしかなく、新規オープンするお店などまずないわけです。こんな市場ですが、だからといって特別な事をしているわけではありません。彼らが取ろうとしているのは「毎日仕事を持ってきてくれる下請け業」です。私はゲントでクリーニング業を営んでいるClean Expressというお店を訪問してきました。

(Clean Expressのお店とデリバリーのトラック。見た目はごく普通のお店)

(工場の中は自動包装機を使うほどの量!ジャケットの仕上がりを見てもとても綺麗に出来ていました)

彼らが取り込んでいるのは特急電車に使われているシートカバーなどです。これはドライクリーニングで洗われるアイテムで、毎日トラックでブリュッセルから運び込まれて来ます。そしてできあがったカバーがまたそのトラックによって納品されていきます。

(これが電車で使われているシートカバー。毎日大量のカバーがお店に入ってきます)

このような契約を手に入れた社長のJean Paulさんに話を伺うと「クリーニングを出してくれるお客様の数は少なく、とてもじゃないけどそれだけの売上では会社は成り立たない。だからこのようなB to Bビジネスを取り込んでいかなければならないのだ」とおっしゃっておりました。このビジネスを進めるためには条件が二つあると言います。

  • 他のお店と比べても洗いや仕上げの品質が高いこと
  • 事業主との強い人間関係が出来ていること

この二つが重要だと力説されておりました。クリーニング店なのだからどんなものであっても綺麗に洗い、綺麗に仕上げる事は当たり前の事です。しかし、実際に綺麗に洗って仕上げている会社はかなり少ないのではないでしょうか?きちんと溶剤管理をしない、機器の入れ替えやカバー類の交換もせずにやってしまっている、などなど工場が汚い状況にあるお店を数多く見てきています。実際にJean Paul氏は自分がどうやって洋服を綺麗にしているのか?をいつも力説しています。一方でお客様の噂もあります。「出すんだったらあそこが良い!」と言われるお店作りは大切ですよね。

もう一つは人間関係です。これは経営者の外交能力が問われます。ただそれほど難しい事ではないと思います。相手に対して誠実に対応し、自分たちが相手のために全力で対応する事をお客様側が確信する事でこのような契約を取ることが出来ると思いました。

今回は電車で使うシートカバーなどの需要でお話ししましたが、他にも対象は地域のホテルやレストラン、老人ホームなども考えて良い取引先と思います。こんなところをそれぞれのクリーニング店が取り組んでいるというのがベルギーの実情でしょう。

 

さて、日本はどうでしょうか?まだワイシャツという洋服がたくさん集まるわけですから今のところ上記ようなB to B契約を結ばなくてもやっていけるところが多いでしょう。しかし、日本の人口確実に減っていきます。確実にカジュアル化も進んでいます。現在の条件から市場規模が小さくなっていくのは明白です。そんな将来が見える中で我々は何を考え、何をやっていけば良いのでしょうか?私は自身の地域に特化したお店作り、そしてその地域の取引先を作っていくことがとても大切なことではないか?と思います。

誰も将来を予知する事は出来ませんし、私もわかりません。しかしヨーロッパとかなり似た道を歩いているのは事実です。アメリカのように年間で何百万円も支払ってくれるお客様がいないのがヨーロッパであり、日本でもあります。会社の規模を小さくしていくのか?それとも上記のようなモデル作りを自分でやってみるのか?是非考えてみることをお勧めしたいと思います。

ベルギーに行ってきました!

皆さん、こんにちは。

先々週、ヨーロッパに行ってきました。イギリスで展示会があったのですがついでに1泊2日でベルギーにも行ってきました。今までの出張では全くあり得ない事が起こるようになってきました。それは私の体調、今回は旅の最中に風邪を引いてしまい、ブリュッセルからロンドンに移動した24日は最悪で熱は出るし、咳は止まらない、ということで全く使い物にならない大変な状態でした。なんとか出張にはなりましたが・・・。

 

さて、今回と次回を利用してベルギーの事情についてお話しをしてみたいと思います。皆さんはベルギーというと何を思い出すでしょうか?ビール?フランダースの犬?そんなところが一番印象強いのではないかと思います。

ベルギーという国はとてもユニークな国です。ほとんどの人が数カ国語を話せます。国の言語は基本的にフレミッシュ(オランダ語と全く同じですが敢えて彼らはその言葉をオランダ語とは言いません)とフランス語、このフレミッシュ語圏とフランス語圏で国が分裂する危機に陥っているのも特筆するところです。これは国の議会選挙などが行われるときに必ずと言って良いほど起こる話です。

いずれにしても人口は1100万人程度、東京の人口にも満たない程度の人数しかいない国なのです。国土もとても小さいですが山がないのでとても豊かな地形に恵まれた国土を持っています。人口密度も日本みたいに高くないのが特徴です。

この国の経済はおおよそ3つの都市を結んだトライアングル(三角形)の内側と言われております。その3つの都市とはブリュッセル、アントワープ、そしてゲントです。ブリュッセルは皆さんご存じの通りEUの本部があります。アントワープはこれもご存じの通りフランダースの犬でネロ少年が最後に死んでいったルーベンスの絵が飾ってある大聖堂のあるところです。しかし、ゲントという町はあまり知られていないのではないでしょうか?むしろゲントの先にあるブルージュという町の方が観光としては有名ですね。私はいつもそのゲントに足を運ぶのですが、その理由は弊社の機械を販売してくれる代理店がここゲントにあるからです。

 

私はベルギーという国が最も好きな国の一つになっています。理由は「食事のとてもおいしい国」だからです。料理は基本的にフランス料理の流れに沿っています。しかし、実際にはフランスよりもおいしく感じることがとても多いのです。23日にお邪魔したときにはちょうど旬の食材であるホワイトアスパラガスをいただくことが出来ました。日本ではまずお目にかかれないホワイトアスパラガス、これは本当においしい!!大体、ヨーロッパではフランス、ベルギー、オランダ、ドイツあたりでしか食す事の出来ないものでしかも時期的に4月上旬から6月上旬までというとても短い期間でしか食せない貴重なものなのです。こういう食事が出来るときに「仕事とはいえ、役得だな!」と感じる一時です。

今回はそのアスパラガスと牛肉のステーキを赤ワインで一緒にいただきました。一緒に食したのは代理店の社長さんと我々の機械を使っていただいているお客様でした。こういう時になると私が持ち合わせている日本のクリーニング店の情報もとても役に立ちます。そんなお話しをしながらあっという間の2時間の食事が終わります。

(これがご当地のホワイトアスパラガス。メインディッシュとしていただけます。)

(この牛肉のステーキもおいしかったですよ!)

(代理店の社長さんとお客様と一緒にいろいろな話で盛り上がりました。)

 

大きな市場ではありません。しかし、我々にとってはとても大切な市場です。次回は皆さんにこのベルギーという国でやっているクリーニング店はどんな方法で生き抜いているのか?をお知らせしたいと思います。どうぞお楽しみに!