イギリスから見えるクリーニング事情とは その2

皆さん、こんにちは。

前回はイギリスという国について概略をお話させていただきました。今回はイギリスのクリーニングについて少しお話しをしてみたいと思います。

まずクリーニングの顧客について考えてみたいと思いますが、先日も書いた通り「古風」というのは一つの繁栄のキーワードになります。それから「人口」、そして「富裕層」というのがクリーニングにおいてなくてはならないキーワードなのだと考えます。それらが見事に合致しているのはやはりロンドンなのです。

イギリスには物作りがもはや存在しない、と言うことを前回のブログで書かせていただきましたがどうしてロンドンは今日も繁栄を続けていると思いますか?それは金融の中心地だからだそうです。実際にロンドンには金融関係で生計を立てている人々が沢山いらっしゃいます。銀行、証券、保険など数多くの会社がロンドンの中心地に本社として構えております。日本のニュースでも為替情報が発表される時にいつも3つの地域をメジャーとして報告していますね。東京、ニューヨークそしてロンドンです。ここからもロンドンはヨーロッパの金融の中心地として見られていることがよくわかります。

こんなところですから当然大きな収入を得ている人々がいます。そういう人々が使うクリーニング店も沢山あります。しかし現在、イギリス人が経営しているクリーニング店はとても少なくなりました。ほとんどが移民による経営に変わっております。クリーニング店だけでなくホテル向けランドリー工場でも移民が経営しているケースがほとんどです。儲かりづらい商売に対してイギリス人は移民に権利を売ってしまっているのが現状で、昔はチェーン店として業界No.1として君臨していたJohnson Cleanersももはやロンドン市内にはなくなってしまっています。しかも昨年に靴の修理会社に買収されてしまった訳ですから如何にクリーニングが一般庶民には受け入れられなくなってしまっているのか?がよくわかります。

しかしそんな状況でも立派にやっているクリーニング店もあります。なんと言ってもAmerican Dry CleaningはロンドンではNo.1のお店となりました。売上は15億以上、28店舗でのオペレーションです。やはりロンドンですからワイシャツの需要は非常に高いのが特徴です。しかもダブルカフスのワイシャツが全体の6割以上を占めているわけですから我々にとっては驚きの数字です。それだけダブルカフスはイギリスのワイシャツではスタンダードと言えます。

(American Dry Cleaningの本社前。)

(ドライの仕上げセクション。)

(ワイシャツ仕上げセクション。皆さん見る目が真剣です!)

(Americanの一つの店舗。)

(店舗内の様子。意外といろいろなモノを物販しているのです。)

このように店舗運営しているお店もあればすでにロッカーによる販売をしているお店もあります。Laundry Republicというクリーニング店ですが大小のロッカーをざっと800カ所以上に構えている会社です。これもとても特徴のあるお店で商業施設や老人ホーム、マンションなどに設置しているそうです。

(Laundry Republicの本社前。皆さんでパチリ!)

(彼らのロッカー。これらがセットで800以上もロンドン市内にあるそうです)

(彼らが使っているタグ。QRコードのサーもパッチです。)

(みなさん、珍しげにリサーチ)

さて、こんなロンドンですが興味のあるところはウェットクリーニングの比率です。Americanでは全体のドライクリーニングの15%がウェットクリーニングサービスに、そしてLaundry Republicにおいてはなんと25%がウェットクリーニング対応になっているのです。日本では信じられない量です。

日本は間違いなくイギリスの後を追っているので何かと彼らの動向は参考にしておいた方が良いでしょう。ただドラムに入れる事ばかりがウェットクリーニングではなく、いろいろなやり方でウェットクリーニングに対応していく力を持つ必要はあると思います。

 

さて、ますます進んでいる業界縮小ですが皆さんはどんな未来を進んで行くのでしょうか?最近は韓国からスタートしている靴クリーニングがだんだんとフォーカスされてきていますがこれも一つの手と言えるでしょう。ウェットクリーニングやその他のオプションもありと思います。是非今後の売上を保管するための手段を考えてみては如何でしょうか?ロンドンはウェットクリーニングで対応しているところが多かったです。