今後のクリーニング業で考えるべき事

皆さん、こんにちは。

前回はイタリア、イギリスを訪問した上での話をさせていただきました。それからというともっぱら国内を回り続けておりました。一昨日はなんとニュースにも出た金沢におりまして・・・、すっかり大雪の餌食になりました。なんとか東京に帰ってくることはできたのですが、つくづく「東京という町が如何に平穏なのか!」という事を実感しました。

 

さて、この2週間もの間に国内のいろいろなお客様を訪問してきました。とても調子の良いクリーニング店さんもあればとても苦しそうなところもありました。問題もそれぞれ抱えていらっしゃるようで、時には後継者問題、雇用の問題、利益率低下の問題などなど聞かせていただきました。

これらの話をまとめてみると「雇用の問題と利益率の問題は深く相関している」と感じることが多いのです。当たり前といえば当たり前です。何故ならば売上も利益も人間が上げているからです。三幸社は機械を作っておりますが、三幸社の機械で利益は直接上げる事はできません。やはりその機械を動かしている人々のメンタリティーで決まるところがとても多いのです。

 

日本では労働者の確保がだんだんと難しくなってきております。人件費がどんどん値上がりしております。そうなると働いてもらう人を選べる状況ではなくなってきます。そのときにどんな工場にすれば良いでしょうか?究極は「職人に頼らない工場作り」なのだろうと思います。洋服はそんな簡単ではありません。職人いらずの工場ではまず上手くいかないでしょう。ただしすべてを職人に任せているようでは上手くいきませんし、できるところはオートメーションしなければ商売として成り立たなくなるでしょう。

さて、どんなところを一番オートメーションにすれば良いでしょうか?それは間違いなくワイシャツ仕上げなど水洗い、いわゆる売上が低いところです。何故ならば「一番売上として低く、しかも一番手間がかかるから」です。しかし現在はまだまだボリュームが集まっているのでフジ型(いわゆるカラーカフス、スリーバー、ボディの3点セット)が都市型であればあるほどその需要は消えていません。しかし、クリーニング需要は落ちています。そうなると考えるのは「人時生産性」です。それを求める時代がやってきています。これはアメリカの歴史がすでに我々に教えてくれています。彼らも1960年代に同じ事がありました。この間にいろいろなオートメーションを進めていました。当時は5ピースのProsperity(プロスペリティ)でした。それが3ピースのAjax(エージャックス)になりました。人々は労働力を減らしたかったのです。我々はまさに今が当時のアメリカの60年代と同じようになっています。すでに日本は3ピース、それを三幸社型の2ピースに変わろうとしています。ちなみにアメリカはすべて2ピースに変わってきているわけです。

 

さて、皆さんは今後どうしようと思いますか?今のパートさんがやりやすいだけでそのまま同じやり方で10年続くと思いますか?地域によっては続くと思います。しかし地域によってはもはや続かないと思います。さて、皆さんはクリーニング業を続けていくでしょうか?あまりに売上が落ちてくると「もう辞めようか!」と思うはずです。その前に考えておくことがあると思います。それは利益率です。

どうやって高めていきましょうか?それをしっかり考えてみてください。私が提案するのは「人時生産性」です。

ウェットクリーニングから見る日本人のアイデア力

皆さん、こんにちは。

今回は14日からイタリアに行き、18日にイギリスに移動してきました。明日のフライトで日本に帰国する予定です。

三幸社はイタリアの最高級ブランドであるBrioniのシャツ工場に最終仕上げラインにウチの機械が使えるかどうか、で挑戦しています。東京だと銀座と新宿伊勢丹に入っています。一度お店に行って彼らの価格やその品質を是非見てみてください。とにかく価格にびっくりしますが、そういうメーカーが我々の機械を使おうとしている事に我々も光栄に思っています。またこのアパレルの話はしたいと思います。

 

さて、今回はイギリスに来て2件のクリーニング店を訪問しました。両方ともウェットクリーニングに前向きに取り組んでいる先です。しかし、彼らの気持ちはやればやるほどネガティブになってきています。それは何故でしょうか?

日本にはいろいろなウェットクリーニングの方法があります。最近はTOSEIがマイクロバブル洗浄機を作っていますが、横浜のエイブルhcさんや小羽皮革さんがそれぞれマイクロバブルを利用した水洗いを下請けでやっています。またオリタニさんの水洗い仕上げマットや不二ドライの岡崎社長が考案したマジックスピン、または新村商事が開発したスーパーバイオアルファなどいろいろなメーカーがそれぞれのやり方でウェットクリーニングの可能性を広げているのが現状です。

一方、ヨーロッパはISOであり世界の絵表示の中心となっている事からどうしても「洗濯機で洗い、タンブル乾燥をしないとウェットクリーニングではない」という基準にとらわれて未だにドラムを回し、高い洗剤を使って縮みから逃れようと頑張っているようです。しかし高い洋服であればあるほど縮みの問題は消えず、未だにどうしたら良いのか?とみなさん悩んでおられます。

 

ここで考えておきたいことは「基準に従ってやるだけ」なのか、それとも「安全にそしてキレイにするためには自分で新しい考えを作ってみる」のか、これがポイントのような気がしました。日本人は本当にいろんな人が「どうしたらもっと良くなるのか?」を考えるプロのように思います。だから世界で有数のビジネス大国になっているのでしょう。他の国が日本と同じようなメンタリティーで物作りに奔走していたら日本はここまで世界に台頭していなかったでしょう。

このウェットクリーニングの基準はあくまでも基準、それでやっても洋服が縮んでしまえば意味がありません。人々は「基準通りにやってもらいたい」のではなく「安全にキレイにしてもらいたい」のです。ならばやり方まで決められるよりは自分の責任で「どうやったら一番安全にできるか?」を模索した方が得です。ここに日本人の力をとても感じました。

私が上記で記したメーカーやソリューションはそれぞれが良いモノを持っています。三幸社は不二ドライの岡崎さんが考案したマジックスピンの受託生産をしていますのでこれをヨーロッパやアメリカにぶつけてみたいと思っています。実際にこのお話しをしたら両方のお店の社長様も「是非実物を見てみたい!」というわけですからもしかしたら入れ食いになるかも?(笑

いやはや日本人のアイデア力には脱帽です!!

新年明けましておめでとうございます!

今年最初のブログになります。今年もよろしくお願いいたします。

年末に私は自分のFacebookページに年末のメッセージとして「ドライ品が減っている現実に対してどのようにお店の運営をしていくのか?」という事と「安く買う事と自分のビジネスを取り巻く人間関係のどちらが将来大切か?」という事についてコメントさせていただきました。

いろいろな人からコメントをいただきました。その中でもウェットクリーニングへの取組については「やはり考えていかなければならないか〜」とか「やらなければならないのはわかっているんだけどなかなか工場でのイメージが出来なくて・・・」などなかなか踏み切れない心境を綴ったコメントがありました。事情はよくわかります。結局は投資が伴うのでそう簡単に収益に結びつけることが出来ないという意識からなかなか進める気にならないのでしょう。しかし最終的に自分から何か新しい事をやろうとしない限り現状の困難から脱出する事は出来ません。是非やってみてください。

それから今後の人間関係は本当に大切になってまいります。一番大切なのは情報です。その情報が手に入らなければどんなに安く何かを買ったとしても活かせません。モノで商売するのではなくコトで商売する時代、そのコトとは人間関係とそこからもたらされる情報が大切です。今後の皆さんのご商売においてどんな人間関係とそこからやってくる情報を手に入れるか?を是非考えていただきたいと思います。

 

さて、今年は私が音頭をとらせていただいておりますPTBプロジェクトで改めてワイシャツ縮み問題を考えてみたいと思っております。市場ではさらに形態安定シャツが目立ち、ヨーロッパのようなスリムカットシャツも増えてきています。先日私は北海道に行ってきましたが、どんなところであっても基本的にワイシャツは集まるし、集めなければビジネスにならないのが日本のクリーニング業の特徴と言えます。

そんなワイシャツを今後も安定的にとっていこうとしたときに「本当に今までのやり方を続けていって良いのか?」という事を考えてもらいたいと思います。ずいぶん前のブログで書きましたが、例えばファブリーズ。あれは紛れもなく彼らの宣伝内容に我々が翻弄されているわけですが、あの嘘のような宣伝に対してどんな伝え方を我々はすれば良いのでしょうか?やはり「こうやらないとキレイにならないよ!」という宣伝をする必要があるわけです。

そこでワイシャツですが、現在のような高温洗い、高温プレスでは確実に縮む素材を使っているのにそのままで良いのでしょうか?そういうこともしっかり考えて技術の改善、そしてプロモーションの改善を図っていく必要があります。三幸社ではすでにコテ面温度を中温に下げる事が出来る技術を確立しております。しかし、同時にその技術がお店を使っているお客様のワイシャツを長く心地よく着てもらう事が出来る、という宣伝もしなければなりません。一連のソリューションをPTBメンバー全員で提供していきたいと思っておりますので是非ご期待ください。

 

私は14日からイタリアとイギリスに行ってくる予定です。第一回目海外ネタはヨーロッパ紀行となりそうです。是非お楽しみに!

今年最後のメッセージ

Facebookでご覧の皆様、同じメッセージです。申し訳ありません。

皆さん、こんばんは。

今年ももうすぐ終わります。今年も本当に皆さんにはお世話になりました。今年の世界を振り返り、日本の皆様には二つの事をお知らせしたいと思います。

  • ドライ衣類が本当に減っている事実

これは由々しき事態と思います。しかし、これは現実であり、避けて通れない事実でもあります。洋服がどんどんワッシャブル(水洗い可能)になっています。それを止められない世の中があります。我々はどうするか?とするとその流れに乗るしかありません。

そうなるとウェットクリーニングへの取組みは各社で必要になります。それを経営的に嫌がる会社は本当に多い。しかしそういうことを言えない時代が刻々と迫っております。皆様は一体どうするのでしょうか?

三幸社はPTBプロジェクトに入っておりますが、ここでウェットクリーニングの研究はしっかり進めております。ポイントは「職人に頼らないプロセス」と思います。職人に頼るウェットクリーニングでは利益は出ません。そもそもいくらチャージすれば良いのかわかりません。私は基本的にドライの3倍をチャージすべきと思います。それが出来ないと思う人は2倍、出来るならばその理由を考えながら3倍取れる方法を考えるのも手と思います。

私はウェットを儲かる手段にしてもらいたいと思っています。ドライが減っている世の中で儲かる商材がなくなりつつあります。皆さん、是非来年の事業繁栄の手段として考えてみてください。PTBも含めて弊社でもいろいろアイデアは用意しております。是非ご相談ください。

  • モノを買うのではなくコトを買う時代

日本は本当に変わりました。何が変わったかって?それは商慣習が変わりました。今までは本当に「どこから買うと一番安く買えるか?」だったのに対してどんどん「誰と取引したいか?」になってきています。それはアメリカやヨーロッパの商慣習から学べます。二代目以降はカリスマがなかなか出来づらいです。となると自分の知らない事を人から学ぶ必要があります。そうなるとその人のサービスにお世話になる必要があります。それを逆にやらないと自分では得られない情報を得ることが出来なくなります。逆に昔はそれがなくても自分のオリジナルさえ作ればすぐに商圏が出来た時代です。それが出来ない時代となりました。

さて皆様は誰と取引しますか?モノを買う時代は終わりました。コトを買う時代になりました。自分の商売を周りの人々によって持ち上げてもらう時代なのです。自分だけで気張っても効果の出づらい時代です。ならばもっと周りと仲良くなれば良い、と私は思います。

そういう時代に入ったのだからもっとその気になって自分に色をつければ良いと思います。「色をつけることが怖い=個が出なくなる=儲からない」という時代です。是非この部分を考えてみましょう!

ということでこの二つは私からの来年におけるメッセージとさせていただきます。皆さんにとって素晴らしい2018年になる事を心からお祈り申し上げて今年最後のブログとさせていただきます。

今年は多くの皆様にお読みいただきましてありがとうございました。来年もいろいろな情報をお届けできるように頑張って参ります。

 

打越圭介・大晦日

アトランタの韓国人クリーニング店

皆さん、こんにちは。

さて、久しぶりに海外のクリーニング店を訪問してきたので今回はそのお客様を紹介したいと思います。今回、ご紹介したいのはアトランタにあるEuropean Cleanersさんです。一般的に韓国人が経営しているクリーニング店はアメリカでも残念ながら地位が低く、あまり富裕層には使ってもらっていないのが普通なのです。実際にオーナーの皆様もあまり英語が得意ではなく、どうしても韓国人マーケットのみの活動になってしまうのです。故に多くのクリーニング店が売上、利益共に苦しんでいる状況が全米各都市で見受けられるのが現状と言えます。

ところが、このEuropean Cleanersさんは条件も一緒だったにもかかわらず現在は全く違った活動になっています。ある意味アトランタの韓国人クリーニング店の「星」になっています。この違いは一体どこから来ているのでしょうか?

 

こちらの社長様はHanさんとおっしゃいます。1987年にこのお店を買収してクリーニング業をスタートしました。ちなみに1982年にアメリカに移民してきたそうです。その当時はドライ機にアイロン台2台だけでのスタートだったようです。当時のお店はこの写真の真ん中の入り口になっている白い建物だけだったのですが、現在は左のレンガの部分、右は写真に写っていませんが同じレンガの部分まで拡張して立派な工場になっています。

(写真の中央にいらっしゃるのがHan社長、左は代理店のKim社長)

中を見てみますとドイツ製Veitのアイロン台が7台もありました。仕上げ機もあるのですが、最終的に手仕上げという社長の意思がとても強く出ているやり方でした。しかし、普通に丁寧な仕上げを志すのは多くの人々でも考える事です。このお店が他の韓国人クリーニング店と違った事は「誰を顧客にするか?」だとすぐに感じました。実際にこのお店はたったこの1店舗だけ、外交もやらずになんと売上が3億もあるのです。すごい売上です!!訪問している間だけでも何人のお客様が来店されたでしょうか?そのほとんどが地元のアメリカ人だったのです。このお店がある地域はアトランタのBuckheadというとても高級街です。そこで利用している人々は皆さん高級層です。まず、Han社長の成功は「ターゲットが高級層だった」事だと言えるでしょう。高級層をターゲットにBuckheadを敢えて選んだ、となればすごい読みと言えるでしょう。(そこまではとてもじゃないけど聞けませんでした・・・)

そこでVeitの仕上げ台を使って徹底的に品質を追い求めた、というのは「顧客の選定」をして「顧客のニーズ」をしっかりフォーカスした事に他なりません。Veitの仕上げ台はHan社長が考える品質を出す上でどうしても大切だそうです。そのこだわりを持ち続けた事がまず一つ。そしてお客様だけでなく、取引先とも太く長い関係を作っていることがもう一つの理由と言えるかもしれません。他の韓国人はとりわけ価格の事ばかり言います。安く買えるところばかりを考え、人間関係を第一に考えないところとは大きな差です。彼は全く違い、相見積もりをせず、その代理店が第一と考えたモノを信頼してそれにお金を払うのです。その代わりその代理店やメーカーが彼のニーズに相反した対応をしたらもうその関係は終わってしまいます。まるでアメリカ人の購買心理と全く同じ事をやっているのです。

儲かる理由はどうもここら辺にありそうです。やっている事や設備などに大きな差があるわけではありません。やはり経営者の意識なのだと思います。

皆さんはこれを読んでどう考えられるでしょうか?日本も世の中が変わってきました。もうモノを買う時代ではありません。人を選んでパートナーを周りにどれだけ置くかによって安定経営が図れる時代になってきています。是非ゆっくり考えてみてください。

日本人を対象にする商売での悩みとは?

みなさん、おはようございます。

本当にご無沙汰してしまい申し訳ありませんでした。実はなかなか海外の事を書くネタがないと言うか・・・、出張があってもあまりクリーニング店の訪問がなかったので皆さんに耳寄りな情報を提供することができませんでした。

では今回は書くネタがあるのか?というとまだあるわけではありません。これからアメリカに出かけますので今週は間違いなく書くネタがあると思います。(笑

 

今回は今後の日本について少々書いてみたいと思いました。これはあくまでも私の主観ですので参考程度にして頂きたいと思います。

なんか最近、ドライクリーニングの点数が減ってきているのではないか?と思います。実際、私も昨日いとこのクリーニング店に自分のクリーニングを出しに行ったのですが、なんとワイシャツが7点、ポロシャツ3点、半ズボン2点、綿の長ズボン1点ということで全部水洗いのモノばかりだったのです。明らかに儲からないアイテムばかり。クリーニング店からすればありがたくないお客様ですよね!

 

しかし今回の私のような出し方をするお客様は確実に増えていくと思います。なんと言っても洋服業界にはびこるウォッシャブル素材の流行が原因しているのではないかと思います。ではどうしてウォッシャブル素材が流行するのか?というと、ここには日本人の儲かっていない各家庭の事情があるのだろうと推察します。

私はアメリカを始め世界各国に旅をしておりますが、つくづく感じさせられるのは「日本人が全く豊かではない事」です。いやいや、日本は基本的に豊かです。しかしそれは最低限の豊かさであり、スーパーでモノが欠品する事などまずないほどモノにあふれています。しかし、人々にはそれをふんだんに買うだけのカネがない。カネがないんだからそれなりの生活をするしかない。要はこのサイクルがすべての人々に起こってしまっています。

 

クリーニングもその影響を受けている一つです。ドライ品が出ない。なぜならば人々が十分な報酬を得ていないからそれなりの洋服を着るしかないのです。日本はまだドレスコードの厳しい国だからそれなりの洋服を着ておりますが、それをクリーニングする頻度は圧倒的に減ります。一方でワイシャツは1回しか着られないからクリーニングには出しますが、その価格に皆が次から次へと別の店を試しに行くのです。アメリカではあり得ない行動様式です。

やはり日本人は儲かっていないんだな、と心から思ってしまいます。我々はそういう日本人を商売の対象にしています。この状態から抜け出すことは出来ないのだ、という認識を持つ必要があるのだろうと思います。

 

さて、それではどうやって行けばいいのか?これが私にも答えがありません。水洗いモノは手間がかかる割に儲からないのが問題です。先日、「ウェットクリーニングで更なるビジネスを!」というコラムを書かせていただきましたが、多分こういう分野を開拓しながら進めていくしかないのだろうと感じます。また、お金持ちのお客様がとても少ないこの国ですがそれでもそういう人々に使ってもらえるお店作りも大切でしょう。

多くの人々に安価な値段で利用してもらう事で儲ける時代は終わりを迎えているようです。このパラダイム変化に如何に対応するのか?それは皆さんのやり方次第のように感じます。大変な世の中になってしまいました!

韓国のクリーニング業界

皆さん、こんにちは。

前回のブログではゴルフを通じた韓国人の国民性についてお話しをさせていただきました。今回は韓国のクリーニング事情についてお話しをしたいと思います。

 

韓国という国は日本とほぼ一緒でお金持ちがとても少ない一方で貧乏も少ないという超中流社会です。アメリカのように各町にお金持ちがいるわけではないし、それなりの所得しかない消費者の皆さんにサービスを提供して売上と利益を上げていくわけです。そのような人々に対して商売する事になる訳ですから基本的にボリュームをとって行くしかないわけです。結果として、工場の生産性から来る原価低減が利益の源泉となります。

システムは日本と同じように料金前払い、大手チェーンは当日クリーニングサービスを無料でやっております。依然としてソウルに本部を置くクリーントピアが圧倒的な全国シェアを握っておりますが、最近は釜山地域に本部を置くワールドクリーニングが勢力を伸ばしてきております。全国的にはこの2社がしのぎを削っているのが実情です。

韓国のクリーニング技術はほぼ日本からの輸入です。現地にもいくつかのメーカーがあり、ドライ機、洗濯機、仕上げ機、包装機など韓国製がしっかり存在しています。しかしクリーニングのシステムは完全に日本と一緒です。だから韓国では日本の中古機がたくさん利用されていることも大きな特徴です。

次にワイシャツについてですが、韓国人は日本のように白いワイシャツを着る人が多くありません。日本のチェーン店ではワイシャツ比率が40%から50%と高いのですが、韓国では15%から20%とあまり高くありません。一方で濃色系の洋服がとても多くて、シャツ類もオープンシャツのようなものが結構クリーニングにやってきます。これはおそらく韓国の食文化の中心にある唐辛子が洋服に付着する事から来ているかと思います。韓国人はほぼ毎食スープやキムチを食します。白のワイシャツにあの赤色のスープやキムチのタレがついたら目立ちます。

このように見てみても韓国の業界にはあまり大きな特徴がないのですが、唯一の特徴は靴のクリーニングでしょう。料金は350円、日本ではまずあり得ない価格です。 ただ靴といっても韓国では運動靴、日本では運動靴をクリーニングに出す習慣がありません。でも考えてみれば何で日本にはないのでしょうか?

韓国では業界最大手のクリーントピアが2000年頃に新しいサービスとして打ち出したもので、彼らが辛抱強くプロモーションし続けた結果、現在となってはほぼすべてのクリーニング店で靴のクリーニングサービスを提供している、という状態になっています。日本では韓国の靴クリーニング事情を学んでコインランドリーの中に運動靴クリーニングのようなセルフサービスを行っているお店が散見出来ます。

考えてみれば靴だってクリーニングした方が良いですよね。スーツだって数回着ればクリーニングしているのになぜ靴はクリーニングしないのだろうか?と本当に考えるようになりました。特に子供が学校で使っている上履き、あれは本当に汚いですよね!(笑 あれは一生懸命ブラシでこすってもなかなか綺麗にならないんです。クリーニング店がそういうものを綺麗に出来るサービスがあるならば私は使いたいと心から思います。そういう意味ではクリーントピアは韓国のクリーニング業界にとても大きな貢献をしたのではないか?と思います。

是非皆さんも靴のクリーニングを考えてみてはどうでしょうか?

ゴルフから見える韓国人の性格

皆さん、こんにちは。

10月30日から4日間で韓国に行ってきました。先ほど帰国いたしました。

今回は大手のクリーニング店を訪問してきたのですが、その際にゴルフにご招待いただいたので初韓国ゴルフを楽しくプレーしてきました。それにしても同じゴルフでも日本と韓国では大きな違いがありました。なんて言うんだろうか・・・、これがある意味国民性なのかな、と思うほどの大きな違いでした。ちなみにゴルフの事をあまりご存じない方々はちょっと面白くないかもしれませんが、ご容赦ください。

さて、一体何が違うかと言うとゴルフのプレー時間です。韓国では北海道と同じように午前中スタートと午後スタートの二つがありました。ナイター設備もついているので夕暮れになっても最後までプレー出来る、というすごい状況です。それ以上に時間管理がすごい!ハーフ2時間は絶対です。これが韓国のゴルフで最も重要なポイントのように感じました。2時間以内で回るためにいろいろな事がありました。

例えばグリーンでボールマークが出来ても誰も直そうとしません。それをいちいち直していると時間がかかるからです。だからバンカーもレーキできちっと整える考えがありません。もちろん、グリーン上もバンカーも荒れ放題!日本人の私としてはあまり良い印象がありません。皆が楽しくプレーするためには後の人の事も考えた行動が必要と思うからです。またゴルフはあるがままの状態でプレーするのが原則なのですが、こんな状態なのですからプレーしている皆さんはすぐにボールを動かしちゃいますし、グリーンだって1m以上残っていてもさっさとOK出しちゃうのです。「おいおい、それじゃ駄目じゃん!」と思ったのですが、こんなところで文句を言っても仕方ないので何も言いませんでした。これで「僕のスコアは80だった!」といっても本当のスコアじゃないですよね。

ただし、ハーフ2時間ですから途中に少々お休み時間があっても最大4時間半でプレーが終了します。これはすごいですね。半日で終わる訳ですから1日を有効活用出来ます。東京でゴルフなどしたら間違いなく1日使ってしまいます。朝8時半にスタートしても終わるのは早くても大体2時くらいでしょうか。韓国と比べて1時間から2時間くらいの差があるわけです。しかも午後1時半からスタート出来る、というのも魅力です。東京近郊ではまず無理です。

こうやって考えて見ると単に韓国のゴルフ場が策略的にタイムマネジメントを行っているのか、と考えるとちょっと違うのだろうか、と思うようになっていました。これは韓国人の性格によるモノと考えるようになりました。要は「せっかち」なのです。韓国では日本のように列を作って並ぶ、という考えがありません。何でもすぐに出来ないと文句を言う傾向があります。ゴルフも一緒でせっかちです。そんな「せっかち」な性格に合わせたサービスになっているのだ、ということを考えるとやはりビジネスは対象となる人々の性格をしっかり捉えてやらないとうまくいかないのだ、ということを改めて実感した一日でした。

しかしコースはとてもキレイでしたし、皆さんと楽しくラウンド出来ました。また韓国でやってみたいと思いました。次回は韓国のクリーニング事情を皆さんにご紹介したいと思います。

フランスの展示会 その2

皆さん、こんにちは。

前回はフランスの展示会から見えるフランスクリーニング業界についてお話しをさせていただきました。前回はワイシャツ仕上げ機がほぼイタリア製であり日本やアメリカでは生産性の観点からまず導入は難しいですよね、というお話しをさせていただきました。今回はこのフランスの展示会を通じて見えるフランス人(というかラテンの人々)のライフスタイルについてお話しをしたいと思います。

まず、フランスの展示会は本当に各ブースおしゃれなのです。装飾をふんだんに使い、電球をたくさん使ってブースを華やかにします。日本の展示会場と比べると雲泥の差で明るい!当社のブースはスペインのGirbauという洗濯機メーカーのフランス現地法人の中に入っているのですが、ここもおしゃれに出来ていました。各社の雰囲気を見て見るとこれぞヨーロッパの展示会!日本やアメリカの展示会ではなかなか見られない姿ですね。プレゼンテーションの差がここで大きく出ているように感じます。これはまさに感性なのでしょうか・・・。色合いと明るさに大きな特徴が出ているように感じました。

(三幸社のブース。Girbauの現地法人とのコラボ)

(各社のブース。とても明るいカーペットに電装で非常に華やか!)

 

そして日本人である我々がいつもびっくりすることなのですが、どこのブースでもワインやシャンパンが用意されているのです。ホントにどこのブースでも出すのです。大体お昼になると何気なく出てきます。来場者でそれをあてにしている人はいませんし、たかる人もいません。出されたら拒否はしないけど一気に飲み干す人は一人もいないんです。

(あるブースで展示されている飲物ラインナップ。しっかりお酒が出ています)

さらに言えば展示会主催者がVIPのお客様や我々出展者にも専用のラウンジを用意してくれていてビールやおつまみ、サンドイッチ程度の軽食を用意してくれているのです。これは私も初めての経験!とてもびっくりしました。なぜこのような施設やサービスがあるのでしょうか?

(展示会出展者用のラウンジ。カウンターのテーブルにオードブルが一杯!)

フランス人は人との交わりをとても大切にする人種です。せっかく会ったのだからゆっくり話したい、という気持ちがいろんなところに出ています。ビジネスだけの関係でドライに終わってしまうのは日本人!用が済んだらもう終わり、というわけです。一方で彼らはそのように考えません。会話を楽しむには材料がいる、それがシャンパンだったりワインだったりするわけです。お客様に一杯もてなしてそこで足止めする、そうしたらなかった商談が発生したり、進まない案件が進んで行ったりする訳ですね。

(上の写真がウチのブース。下の写真が隣のブース。それぞれ仕事しながら飲んでます)

私はこの習慣にすっかり慣れているので半分日本人ですが、全然遠慮せずにカンパーイ!とやってしまうわけです。ただすぐ飲み干しちゃうのが日本人っぽい!(笑

気をつけながらシャンパンを楽しみました。

ところ変わればなんとやら!ですが、こういう違う国に入り込むのはただ機械だけでは難しく、現地の人々としっかり交流する事が大切なのです。私は仕事と称してすっかり楽しんでしまいました。おかげさまでたくさん売れましたけどね!

フランスの展示会 その1

皆さんこんにちは。

一昨日、日本に帰ってきました。4泊6日という短い期間でしたが、久しぶりのヨーロッパでした。今回はフランスのパリでクリーニング業界の展示会があリました。2年に一度の展示会なのですが、三幸社はこの展示会にもう何回目だろうか・・・、すでに5〜6回は出ていると思いますが、今回も出展したので私も行ってきたのです。

いつも思うことですがこの展示会を見るだけでフランスの業界と国のライフスタイルがよく見えます。まず業界の特徴からいってみましょう。展示会には三幸社のワイシャツ仕上機を意識した対抗モデルがたくさん出ています。ほぼすべてがイタリア製。しかも元々はアパレル業界のために作られた機械が多少クリーニング業界用にアレンジされている機械なのです。

この機械はCocchiというイタリアのブランドですが、似たような機械が会場に5〜6種類はありました。

そのアレンジされたところですが、いろいろ工夫がされています。一番の対策は「濡れた」シャツを乾かすためです。アパレル業界ではできあがったシャツを濡らす事はありません。故に縫い目の部分などは乾きづらいのです。最近、各仕上機メーカーが対応しているのは肩部をプレスする機能です。これにより目立つ仕上がり不良を一気に改良しているのです。しかし、すべての縫い目をカバーしているわけではありません。特にポケット部においては依然として未対応。結局、仕上げている間に手アイロンでポケット部を当てている状態で、とてもじゃないけど生産性が上がるモデルとは言えません。結果として日本やアメリカのようなボリューム市場を十分に満足させるような機能には全くなっていないわけです。実際に彼らは日本市場を視察に来たこともないのです。アメリカでは一生懸命販売しようとしている姿はありますが、仕様を見ている限り日本やアメリカのマーケットを積極的に取り込もうとする意識はないのでしょう。

結果としてうちのシングルが大注目されることになります。早く乾くし、線はちゃんとつくし、パリッと仕上がるわけですから人々からするとこっちの方が良い、と群がります。しかし、価格を聞くとたじろぐのです。やはり高いには高いなりの理由がありますし、安いには安いなりの理由があるのです。お金がある会社、野心の強い会社は我々の機械を必ず買っていきます。お金がない会社、将来に希望を持っていない会社は他社の仕上機を買うのです。これはお客様次第なので仕方がありません。

クリーニング業を自社のビジネスとして考えた時にどんな方法でやっていくと永続するのか?をこの国の展示会を見るととてもよくわかります。皆さんも是非自社の価値、そして5年後、いや10年後のあるべき姿をイメージしながら毎日をお過ごしください。

次回はこの展示会から見えるフランスのライフスタイルについてお話しをしてみたいと思います。