アピールしないとクリーニング店は残っていけない!

先月はブログ更新をサボってしまった事をお詫びしたい。別に書きたくない訳ではないのだが、どうしても書くネタがない。つまらないネタで更新したところで面白みに欠けてしまうわけだからどうしよう、と困っているうちに時はどんどん過ぎてしまう。

昨日でもう5月が終わってしまった。3月、4月とクリーニング店は軒並み忙しさを実感していたようだが5月に入ってすっかり動きが止まってしまったようだ。もう夏のような閑散期が始まってしまっているのか?何ともクリーニング店にとっては恐ろしい状況になってしまっている。

5月からずっと続いている緊急事態宣言が6月20日まで延長される事となったが、世の中の人々は既に織り込み済みなのだろうか、街に人があふれている。誰もが「もうわかってるよ!」と言わんばかりの状態だ。無理もない、ワクチン接種が遅れ、人々に更なる自制を求めたところで経済が止まる。誰もコロナにかかりたいとは思っていないが、経済活動が止まるのはこれまた死へのロードマップになってしまう。注意しながらも動かなければならない、と誰もが思っている。

かわいそうなのは飲食業である。お酒の提供ができないが故に客が来ない。ニュースで見ている限り一日の感染者数は確実に減っている。お酒の提供禁止、時短営業と感染者数の減少の因果関係はある程度認めなければならないのだろう。しかしこれでは多くの飲食業が閉鎖に追い込まれてしまう。政府はいち早く全ての国民にワクチン接種ができるように仕組みを作る必要がある。

そんな私も出張の自粛などやっている場合ではない!と言うことで先日、関西を出張してきた。行きは飛行機、帰りは新幹線を利用したのだが、思った以上に人は乗っていると感じた。やはり会いに行かないと成り立たないビジネスもあるのだ、と再確認した。私の出張は主にリサーチ。訪問したクリーニング店の状況を確認したり今後の方向性を聞いたりして、我々がどんなサポートを提供するとその方向性がより現実的に結果を出していくのか?を考える機会にしている。

クリーニングの現状でまず一番みなさんにお知らせしたいのは仕事に行く人々の服装である。新大阪駅を歩いていた時にすれ違う人々の服装に驚きを隠せなかった。男性会社員のおよそ70%がジャケットを着ていない。まだ5月である。既にクールビズなのか?ワイシャツのみで出勤している人がとても多かった。次にネクタイをしていない人は95%くらいだろうか・・・。あ、自分もネクタイしていない!!業界に頑張ってもらいたい、と思っている自分でさえネクタイをしない訳だ。面目ないが、これも時代の流れか・・・。

しかしほぼすべての人々がワイシャツを着ていた。ここまでは良い。しかしその8割以上が明らかにクリーニングに出していないであろうと思われた。ポイントはスリーブのタックが全然綺麗にプレスされていないのだ。ほとんどの人々が家で洗い、そのまま自然乾燥している、という状況なのだろう。素材の変化に従って人々がクリーニング店を利用しない傾向ができてしまっているのだ。形態安定シャツはある意味恐ろしい存在と言える。

しかしそれだけが理由なのだろうか?私は今回訪問したクリーニング店全てにこの質問をしてみた。「どうして家庭洗濯との洗いの差をアピールしないのですか?」と。一部の方は「昔やったよ。しかしそれでは効果がなかった。」と答えてくれた。うーん、一度だけでは浸透しないんだけどな、とすぐに感じてしまった。

私は常々家庭洗濯がプロの洗濯と比較して勝てることなどまずあり得ないと思っている。洗濯で大きな役割を果たすのは洗剤であるが、この洗剤も家庭洗濯用とプロの洗濯用では大きな差がある。まず家庭洗濯で第一に考えるべき事は「安全」である。洗剤の利用で体に障害を負わす事は絶対にあってはならぬ事、と洗剤メーカーはどんな使われ方をしても問題がないように開発している。また衣類の損傷を起こさないようにする事も最優先されているので基本的に水で洗う。有機性の汚れについては水であってもその洗剤の力である程度綺麗にする事は出来る。しかし、汗のような水溶性の汚れはそう簡単には落ちない。それは真水で洗っているのだから。それではどんな時に汗をかくのだろうか?それは人の体温が40℃近くまで上がったときで、それはスポーツをした時や風邪を引いて熱を出しているとき等がある。体の温度が上がった結果出る汗はその温度以下では出ないのだから洗う水も最低40℃以上のお湯で洗わなければ落ちない。家庭洗濯ではそれができないから芳香剤が含まれており、臭いをマスキングしているのだ。更に言えば白さを出すためにプロは時に過酸化水素水を使って白さを更に引き立てる技術を持っているが、家庭で過酸化水素水など使えるはずもない。このようにみてもプロの洗いは家庭洗濯と比較にならない技術力があるのだ。

しかし世の中に全く知られていない。何故アピールしないのだろうか?使う人々がこのことを知ればクリーニングを利用しない全体の半分くらいの人々はすぐに試してみようと思うのではないか?もちろん、ここでアピールはし続ける必要がある。街中で机をだしてクリーニングの相談会をやったって良いだろう。1日に何万人も通る場所でたった5人しか相談に来なかったとしても5人にアピールできるのは素晴らしい事ではないだろうか?一方的に宣伝するだけでは効果は薄いと感じる。やはり対面でお洗濯にいろいろ不安を感じている人々のお悩みを聞いたり、自社の強みをアピールする事で確実に相談をしてきた人々は一度使ってみよう、と思うようになると確信する。

私が何故出張して人々に会いに行くか?というと対面だから聞ける話が沢山あるからだ。電話やリモートでは最低限の話ししか出来ないのに対して会いに行くといろんな話しをする事ができるのだ。会ってくれた方々には感謝しかないが、彼らも私からいろいろな情報を得ることができたはずだ。最低、今まで気にしなかった事を考えるきっかけにはなっている。これが会いに行く大きな恩恵と言える。

一時期、一部のクリーニング店が店頭で公開しみ抜きイベントをやっていたのを思い出す。アレは最高のプレゼンだと思った。興味ある人は必ず寄ってくるから。それによってそのお店の技術力を見せつけることもできるし、お客様の質問や疑問を聞いてあげることもできる。

人間にどうしても必要なのは「相対」と思う。私は今月も必ずどこかに出張に行こうと思っている。クリーニング店で一番必要なのはアピール力なのではないだろうか?