前回のブログに従って今回はドイツのワイナリーについて書いてみたいと思う。全然クリーニングには関わらないので興味ない人はこの時点で読むのを辞めてもらった方が良いかと思う。
1月17日、ドイツの代理店を訪問した話しは前回のブログで書いたがこの日のミーティング後に代理店の社長であるFrank Ziermannに「Baden地方のBernhard Huberというワイナリーを訪問したい!」とドイツ訪問前からリクエストしていたのだ。どうしてこのワイナリーをお願いしたか、というとその数日前に東京で通っているワインスクールでたまたまドイツワインの勉強をしたばかりだったのだ。その時のブラインドテイスティング授業でこのBernhard Huberが出てきたからだ。その時に飲んだのがSpaet BurgunderというドイツでいうPinot Noirをテイスティングしたのだ。その時までドイツのワインを何も知らない私がいた。そして奇しくもこの日と翌日にワイナリー巡りをする事になったならばここで一気にドイツワインの勉強をしてしまおう、と言うことでお願いしちゃったのだ。
代理店のFrankとはもう2004年からの付き合いだったと思う。本当に長い。彼は私の一つ年上である意味同僚みたいな感覚を持っていた。故に彼も私の事をよく知っている。先日、私がこの出張でワイナリーに行きたい、というリクエストをしたときに彼は良い意味でとても驚いたと言っていた。何故ならば私は今まで仕事以外でどこかに一緒に遊びに行こうよ、という話しをした事もなかったからだ。本当に仕事が終わったらすぐに別の目的地に移動するか帰るか、という生活を送っていた。1998年から海外出張をスタートして昨年くらいまで一度もそんな楽しみを仕事で考えた事はなかった。しかしこの歳になっていい加減考え始めた。「それにしてもいろんな都市に行ったけど本当に何も知らないな・・・。歴史、文化などについては全く探求してこなかった・・・」と。ワインを勉強してとても思った事、それは宗教にかなり密接に絡んでいることなのだ。私はだからと言って宗教に傾注するつもりはない。純粋にワインを楽しみたい。しかし、ワインとはかなり宗教に翻弄されながらも一心同体で受け継がれてきた飲物なんだ、と言うことがよくわかった。そんなワインの興味からFrankにワイナリー訪問のお願いをしたものだから本当にびっくりしながらとても喜んでくれた。「お前がこういう時間を持つようになったのはとても良い事だ。喜んで案内したい!」と。
ま、歴史のうんちくはこのくらいにしておいて。私が一番勉強して気になったのはBurgunder系3品種。それはSpaet Burgunder、Grauer Burgunder、そしてWeiss Burgunder。これはそれぞれドイツ読みであり最初からPinot Noir、Pinot Gris、そしてPinot Blancの3つである。Pinotと名前がつくのがBurgunderだろうか?最初は全然覚えられなかったがこうやって土地を訪問すると急に愛着がわく。これが私のワインの覚え方。(笑
(パノラマでのワイナリー風景。入り口がどこだかわからない・・・)
ミーティングを終えて代理店事務所から45分、Bernhard Huberに到着した。入り口がどこだかわからない。そのくらい顧客が訪問しない所なのだろうか・・・。ウロウロしているうちにやっと会社の人が気づいてくれてテイスティングルームへと案内してくれる。テイスティングルームはある程度整っていた。一応、人をもてなすという習慣はあったようだ。
(壁に掛かっていた畑の地層がわかるもの。かなりゴロゴロしているようで水はけは良さそう)
(Bernhard Huberの記事。ドイツ語で全くわかりません!)
そこで私が東京のワインスクールで先週ここのワインを飲んでとても美味しかった、という訪問経緯を話す。するとどんどんワインを持ってくる。アメリカのNapa Valleyだとほとんどが料金いくらで何種類飲める、という決まり切ったものだが、ここでは料金も何も言わずにどんどん持ってくる。最初にGrauer Burgunder、そしてこちらの改良品種でドイツにしかないMueller Thurgerという白ワイン。どちらもとても美味しいが、Grauer Burgunder(Pinot Gris)に特徴が見つからない。色、香、味どれをみてもなんか特徴がつかめない。いわゆるとてもバランスが取れているのだ。しかしバランスがとれている=特徴がない、と言うことでこれはなかなか覚えられないワインとなってしまう。なんかビジネスと似ている。体裁を取り過ぎているビジネスに特徴がない。だから人々に覚えてもらえない。こういうことはあるのではないか?逆にMueller Thurgauという葡萄はRieslingに別の葡萄を掛け合わせた独自品種。こっちの方がドイツらしい、ちょっと甘いけど特徴があって覚え安い。こんなことをやりながら次にSpaet Burgunder(Pinot Noir)を飲むことになる。しかしどうも同じPinot NoirでもブルゴーニュのPinotと柔らかさが違う。やはりブルゴーニュの方が繊細なのだ。ドイツのはゴツゴツしている。しかしとてもパワフルで美味しい。同じ葡萄でここまで畑や気候の違い、そして生産者の意図も加わって違う飲物になってしまうのか・・・、とても奥深い。
(Grauer Burgunder。とてもバランスの良い感じ)
(Mueller Thurgau。冷涼な地域に出来るドイツ品種)
(ここのPinot Noirは力強さがあります。男っぽい!!)
ここで12本を買ってしまった。いきなり買いすぎ?明日は後2軒行くのに本当に持って帰れるのか?ま、なんとかなるだろう。
1月18日、私はFrankと一緒に彼の住んでいる街から15分の所にあるHex Von Dasensteinというワイナリーを訪問した。とても洗練された良いワイナリーで顧客をしっかりお迎えする気持ちが入り口からしっかり出ていた。こういうワイナリーは流石と思う。商売をするのだったらこういうおもてなしは必要だろう!と私は思ってしまう。
(ワイナリーの入り口。とても綺麗な建物)
(ベランダへ導いてくれた。山の方が彼らの畑)
(訪問後に訪れたワイン畑。思った以上に傾斜がキツい!)
(朝の訪問時に出迎えてくれたロゼのスパークリング。ドライでキリッとしていました)
Frankがツアーを申し込んでおいてくれた。とても嬉しい。朝からロゼのスパークリングを用意して待っていてくれた。そして見学ツアーを1時間半ほどかけてゆっくりやってくれた。その時々でワインをその場に仕込んで置いてくれて、それを皆で開けて飲む、というなんという楽しいツアーだろうか。決してちょろっと飲ませるわけでもなく並々と入れてくれる。「いやいや、もう良いですよ」と言わなければならないほど入れてくれるのだ。私が今まで経験してきたワイナリーツアーで始めての満足度だ。このワイナリーもBaden地方、昨日のBernhard Huberと同じ地域なのだ。ちなみにドイツには13の地方がワイン造りをしていてそのうちこの南西部で11の地方が存在する。そのうちのBaden地方はドイツで3番目に大きな生産地域でドイツ最南端に位置する地方である。しかしドイツはとても冷涼な地域として有名で日本の地域で言うとサハリン(樺太)ほど北に位置するのだ。そんな寒い地域でワインが出来るのもやはり気候のせいだろう。
製法についてはおおよそ理解している。だからあまりびっくりする事はない。しかし一つびっくりした事は最近栽培を始めている葡萄品種だった。テンプラニーリョというスペインで最も有名な品種がある。それをこの土地で作り始めている、という事実だ。まるで沖縄の品種を北海道で栽培するようなもので普通であればあり得ない。しかしこれだけ気候が変動しているのだ。今までダメだったモノが出来るようになる。と言うことは今までとても良かったモノがダメになる、という事も言える。今後、それまでの銘醸地がどうなっていくのか、がとても心配になってしまう。
(彼らの醸造工場。こんな所にも試飲出来るように置いておいてくれた)
(貯蔵庫でまた別の試飲。ナント贅沢な!!)
結局、ここでも12本買ってしまう。あれ?既に24本。これで更にもう一軒行くんだよな?と思いながらも美味しいし安いし、結局買ってしまった。
(結局12本。既に2ダース。買いすぎ・・・)
午後はもう一つお願いした場所がある。それはJALのビジネスクラスで出ている赤ワインを提供しているFredrich Beckerというワイナリー。これもネットで事前検索したのだがFrankの事務所から1時間で着くというのでお願いした。ここはちょっと彼の事務所からいうと北西部にあるPfalzという地域にあるワイナリー。JALというご縁で知り合ったのだから行ってみよう、と言うことで行ってみた。なんと寂れている事か!まるでゴーストタウンのような村。そんな所にひっそりと存在していた。テイスティングなんかさせてくれるはずがない、と思うくらいのワイナリーなのだがひっそり出来るようになっていた。建物の中から女性が出てきて「いらっしゃい!」というのでついて行ったらテイスティングが出来る部屋へ連れてきてくれた。ここも基本的に昨日のBernhard Huberと一緒。しかしもっと小さいワイナリーだろうか・・・。よくぞJALはこんなワイナリーを取り上げたものだ、とある意味感心してしまう。
(Fredrich Beckerの入口。村にも人影は少なかったが、ここには全くなし…)
(導いてくれたテイスティングルーム。こじんまりとした手作り感満載!)
しかしここのSpaet Burgunderは美味しいぞ!Pfalz地方はBaden地方よりももうちょっと北部にあるので更に冷涼、となるとアルコール度低くタンニンも抑えられたPinot Noirが楽しめるのだ。基本的に白も赤も同じようなモノを作っていたがあれこれ色々試させてくれたのでここでも買って帰ろう、と言うことになってしまう。あれ?もう24本も買ってるよな・・・。36本?いやいや、それは買いすぎだろう・・・、と言うことでここでは6本を買うこととした。それでも30本、私の出張史上最大本数を買い込む事となってしまった。ここまで来るとアホとしか言いようがない。
(ここのロゼのスパークリング。朝のロゼよりピノの香りが強かった)
(こちらはPinot Noir。JALで出しているのとちょっと違うらしいが・・・、私にはわからない)
(Frankとここのお店の方と。楽しみました!)
(結局、更に6本買いました・・・)
しかしFrankが事務所からタクシーを用意してくれて問題なくフランクフルト国際空港まで移動出来た。チェックインカウンターではいい加減びっくりされたのだが・・・。
何とも楽しいワイナリー巡りだった。ドイツワインの印象が急激に強くなった。でもこうやって学んで行くと思い出深く忘れないのだろう。さて次はどこに行こうか・・・。