Jeeves Indonesiaの変化

7月10日、神奈川県の秦野市にあるゴルフ場にてゴルフコンペに参加していたのだがインドネシア行きのフライトはこの日の午後6時。一番最初の組にしてもらうことで参加と条件にしていたのだが、当日プレーをしているうちに「このスケジュールは無謀かも?」と不安になってきた。自身のゴルフ好きにも参ったものだ。ラウンドを終えて私は急いで車を成田空港に向けた。途中で渋滞でもしていたらアウトだったがなんとか無事に空港に到着した。そして予定通りのJAL便に乗る事ができ、ジャカルタに到着したのは夜11時半であった。時差は2時間あるので日本時間の夜中1時半と言うことになる。もちろん迎えはなしでそのままタクシーに乗ってやっとホテルに到着したのは夜中の1時。朝早くからゴルフやってホテルに入ったのが日本時間の翌日の朝3時半。若さがないと出来ない。もう50歳を超えたので若くないのだが・・・。

(なんとか乗れたJAL725便!)

7月11日、すでに現地入りしていた海外営業の杉島部長、そしてロバートとロビーで合流。ロバートはインドネシア人だが三幸社の正社員である。彼のお父様が昔Jeeves Indonesiaの幹部で、そのご縁から彼は三幸社に研修しに来たのだ。当時の彼はまだ会社に入社するかどうかもわかなかったが「とりあえず日本に来てみたい!」と言うことで5年間のVISAをもらって始めたのだが、結果的に社員登用する事となったのだ。もちろん、彼の希望もあってのことであるが、我々からするとこういう形で社員になってくれるのはとてもありがたい。何故ならば三幸社の売上はすでに海外の売上が全体の売上の80%に達しているからだ。彼のように英語、インドネシア語が堪能で、そして日本語もある程度わかるようになってくれると海外販売の戦力として将来とても役に立つ。
本日の予定は展示会への参加、そしてJeeves Indonesiaへの訪問だ。Jeevesは経営チームが変わったと聞いたのでどのようになったか、とても楽しみであった。

展示会場に到着するとその展示会は更に大きくなっていた。Sankoshaは今回で4回目の参加、この展示会がスタートしてから毎年参加しているのだ。会場がどんどん大きくなっているのはとても喜ばしいのだが、残念な事にドライクリーニング部門の会場は小さくなっている。結局、展示会の丁を成すためにフロアクリーニング等が昔から一緒に参加していたのだが、今回はボイラー業界、そしてトイレ業界までがこの展示会に参加している。ボイラーはまだ考えられなくはないが、何故トイレ?ここにこの展示会の苦悩がわかる。やはりランドリー・ドライクリーニング業界だけでは運営は難しいのだろう、と考えさせられる展示会である。

(展示会のレイアウト図。これだけを見ると大きくなっていたのだが・・・)

(我が社のブース。代理店の中に大々的にレイアウトさせてもらった)

(タイ製のシングルボディ。日本製だと価格がなかなか合わない)

会場に1時間くらいいただろうか・・・、すぐに迎えが来て私はJeevesに向かう事になった。迎えてくれたのは娘さんで部長のMichelleさんとご主人のRakaさん。1時間ほどのドライブだろうか、到着したら見覚えのある建物が目の前に現れる。中に入るとちょっと違う雰囲気を感じてしまう。中でMichelleさんのお母様で社長のMelyanaさんが出迎えてくれた。実は今年の3月くらいにそれまでの社長だったMarcusさんが会社を去り、奥様であるMelyanaさんが社長に座ることになったのだ。その後どうなったのか、がとても興味あった。
すぐに事務所に案内してくれた。そうすると今までそれぞれの部署が別の部屋で仕事していたのが全部同じフロアで仕事をしている。彼女らが配置を全部変えたのだ。なんと見通しの良いレイアウトだろうか!それぞれのやっている仕事が一望出来る。まるで三幸社が6年前から取り入れた事務所の構成と全く同じなのだ。社長にその理由を聞いたら「その方が皆の顔をよく見えるから良いじゃない?」と答える。三幸社も同じ事をやってその効果を確認しているわけだからこの話しが非常によくわかる。そしてそこで働いている人々の笑顔が昔に比べて10倍も増えている。社長が「皆さん、三幸社のKenさんが来てくれたよ!」と紹介してくれるので一人ひとりと握手をする事に。昔のJeevesではこれもなかった。「うわ〜、これは相当な変化だ!」と私はすでに期待感が高まっていくのがわかる。

(新しいJeevesの事務所。全員が固まっているのでコミュニケーション抜群!)

ミーティングルームで少し話しをしてから工場見学をさせてくれた。実は彼女らに経営権が移ってから我々の製品もすぐに納品された。それを指導しているのはコンサルタントのIain Weirさん。彼の説明をするとまた長くなるので割愛するが、私は彼をすでに15年近く知っている。彼が三幸社製品の良さを話し続けてくれた事で納品が次々と決まる事となった。その経緯を聞くと社長は「我々はあまりにも知らなさすぎる。だから知っている人に話を聞いたの。そうしたらこうするべきだ、とアドバイスされたからその通りにやっている」と答えてくれた。この考えはすごいと思った。普通は自分たちの意見が少しでも入るようにやるものだ。しかし、人と知り合い、その人が良い人かどうかを見極めてからその人の意見を尊重していく。なかなか出来る事ではない。確かに社長も部長もそのご主人もまだ業界の事はそこまでわかっていないだろう。しかし、商売のツボは心得ているようだ。現場の意見を尊重すること、投資する事、この二つである。三幸社も7年前から経営のやり方を刷新したが全く同じ事をやっている。我々もおかげさまでとても良い経営が出来ている事から彼女らのやっている事がよくわかる。
現場を見て更にびっくりしてしまう。現場がとても明るいのだ。皆が笑顔で迎えてくれる。経営チームが変わると現場がここまで変わる。改めて経営チームの影響力を考えさせられる。ワイシャツセクションで我々の機械が入っている。考えてみれば2012年に初めてこの工場を訪問したときに「いつか入れてもらいたい」と思っていたのがやっと現実となった。Michelleに満足度を聞いてみると「大満足!だってこの機械を入れてすぐに人件費が減ったから」と答えてくれた。やはりこの業界で一番の問題は人件費である。つい最近まで人件費と機械代金は同じくらいに思われていたが、ここインドネシアでさえ人件費の方が機械代金に対して割高と考えられるようになってきた事を考えてみるともはや人件費削減は会社運営において常識であろう。

(Sankoshaのワイシャツも元気に動いている)

日本では儲かっていない会社ほど機械投資が出来ていない。機械に投資出来るくらいの売上と利益を求める必要があるのだが、ほとんどの会社がそれを諦めているのが現状だ。我々は工場の原価を下げるお手伝いは出来る。しかし粗利の増大を図るためには売上をあげる必要がある。売上には定価の考え方が必要である。定価を安くしている様では利益など出来るはずもない。もう大量販売の時代は終わったのだ!

大満足の工場見学を終えたらミーティングルームに食事を用意してくれた。なんとも立派な昼食だ。皆で食事をしながらビジネスの話しで盛り上がった。午後はお店を2件連れて行ってくれたが一つは昔から何度も訪問しているJeevesの代表的なお店。そのお店もびっくりするほど変わった。ここには部長のMichelleさんの考えがかなり入っていたがなかなか素晴らしい。預けるカウンターとお渡しのカウンターが別になっている。預けるところではゆっくりお話しが出来るようになっているのが素晴らしい。高級店らしい作り方である。昔の作りでも感銘したものだが、ここまで来ると本当にファーストクラスである。驚きはビジネスの成功において必要ですな!

(No.1のお店へ。ここも昔JCPCに見学してもらったところ)

(外装だけでなく内装も大きく変わった。ここは引き取り専用カウンター)

(こちらはチェックイン専用カウンター。細かい話しが出来るように設計)

あっという間の一日であった。夕食は彼女らが用意してくれたところにウチの2名も合流して行われた。インドネシア料理だったがとてもおいしいかった。私のワイン好きを理解して2本も用意してくれていた。とても楽しい一日だった。

ここまで変化のあったお店訪問は記憶にない。そこには大きな葛藤があったはずだ。人間は一度大きな決断をすると突き進むことが出来る。その大きな決断とはなんだろうか?経営を諦めること、更に大きくすること、子孫に経営を譲ること、廃業する事、それぞれ大きな決断である。彼女らは大きな決断をしたのだ。私は彼女らの決断と実行力に敬意を表したい。間違いなく今後もJeevesブランドはインドネシアで隆盛する事だろう。

(夕食での一時。本当にいろいろな話しが出来て楽しかった!)

7月12日、ここはおまけ。
というのもこの日は私の誕生日だったからだ。朝、1件のクリーニング店を訪問したがすぐに展示会場に帰ってきて一日をここで過ごした。
本当に多くの人々に私の誕生日を祝ってもらった。Facebookで多くの人々と知り合いになっているが、だからと言ってここまで祝ってもらうと少々照れくさい。しかも今日が50歳の誕生日である。自分がどんどん老いていくのは寂しいが、ここまで多くの人々にお祝いしてもらえるのはうれしい限りである。これからも頑張ってやっていきたい。

(多くの人々に祝ってもらった。ケーキまで用意してもらって・・・)

それから。CINETのBest Practical Award東南アジア部門のコンペがこの会場であったのだが、見事Jeevesが優勝した。うれしさもあったが、当然と言えば当然である。それだけの事をやっているのだから。とても楽しい訪問だった。

(表彰式。見事Jeevesが優勝!)

(その後、我々のブースにて記念写真!)