JCPCアメリカツアー その1

6月25日、一行は朝5時にホテルを出発し8時の飛行機に乗ってロサンゼルスに移動した。空港ではやはり事件は発生する。まずはチェックイン作業が全部セルフサービス。英語もわからず旅にも慣れていない参加者達殻するとこの手続きはとてもやっかいである。サポートするスタッフもほとんどいないので自然と藤島さんと私に助けの要請が来る。しかし私もオーバーサイズ荷物をチェックインするのにやっかいな手続きをしていたこともあって予想以上に時間がかかった。エアカナダ最悪!もう絶対に乗らない!!最低のサービスという印象しか残らなかった。こうやって考えると日本の航空会社の丁寧さが改めて実感できる。

そして更なる難関が我々グループに襲いかかる。ここカナダの各都市からアメリカアメリカ各都市への旅行におけるアメリカ入国については現地の国内線ターミナルを利用するのでカナダを出国すると同時にアメリカ入国の手続きを取るのだ。その手続きがまたとてもやっかいである。全員機械を使って手続きしなければならない。慣れない人々がここでまたもや手間取る。慣れている人々が一部の参加者のお世話をするのだがどういう訳だか書類に×マークがついたり、書類が出てこないと様々な状況が。結果として別室に連れて行かれる参加者が何人かでてしまった。こうなると全員が予定の飛行機に乗れない事も覚悟しなければならない。幸いにも別室に連れて行かれた全員が搭乗時間ギリギリで解放されたので無事に乗ることが出来た。私は通常一人で海外出張しているのでこんなハラハラする経験は滅多にない。JTSの藤島さんはいつもこういう経験をしながらお客様のお世話をしているのだろうか・・・。改めて彼女のやっている仕事は私には出来ないと確信する。結果としてこの朝の出来事だけでもう体力の半分以上を使ってしまった気分だ。

5時間のフライトを経てロサンゼルスに到着!トロントからなんと5時間である。カナダとアメリカはある意味国内線の気分だが、国内線気分で5時間。いつも感じるが何とも北米という地域は大きな大陸である。ここロサンゼルスは自分にとってとても慣れている空港だけに家に帰ってきた気分だ。早速手配していたバスに乗って一路最初のアポイント先であるKona Cleanersに向かう。彼らが昼食会場として用意してくれている場所に向かう。そこで彼らの会社の話を聞きながら昼食をとることになっているからだ。Kona CleanersのオーナーであるBobby Patelさんはクリーニング店の経営者という顔ともう一つ、Be Creative 360というネット運営会社の経営者の顔を持っている。実は三幸社の子会社であるSankosha USAも彼らのサービスを受けている。昨年のIDC国際クリーニング会議インドネシア大会でのBobbyさんのスピーチが一部のJCPCメンバーの印象に強く残ったことから「是非詳しい話しを聞きたい!」と言うことで今回の訪問が決まったのだ。

昼食会場に到着したらすでにビュッフェ形式で食事がズラッと並んでいる。朝のエアカナダで参加者全員が憔悴していたのでこの食事はとてもありがたい。Bobbyさんはインド出身なので親類が経営するインド料理を紹介してもらったのだが、日本人には意外となじみがない。しかしこれもアメリカ訪問における一つの良い経験だろう。私が事前の打ち合わせでお願いしておいたビールもワインも用意してもらっていたので参加者のみなさんの顔が一気に和んでいくのがわかる。私ももちろんワインをいただいた。実はある程度落ち着いたところですぐに彼らのスピーチがあり、私は通訳をしなければならないのだがどういう訳かワインを飲んだ方が通訳ははかどる。決していい加減にやっているわけではないがあまりパーフェクトにするよりも意訳した方が皆さんには伝わりやすい。その意訳のイメージがどんどん湧いてくるのが面白い。たまに自分でもわからない単語が出てくることもあるが、ワインを飲んでいるとこれを愛嬌ですっ飛ばす事も平気で出来てしまう。後で翻訳を間違え反省することもあるが、こちらもプロの通訳ではないのでそこら辺は皆さんにもわかってもらえているからあまり気にしない。ここまで来ると図々しいにも程があるってモノだ!

Be Creative 360の話しは本当に面白かった。現在のクリーニング店が抱えている問題、特に「伝える」と「聞く」いう事にフォーカスしていてこんな会社が日本にもあったら面白いな、と思った次第である。我々クリーニング店はクリーニングの技術だとか綺麗に洋服を洗って仕上げる、という本業のところについては非常に力が入っている。私も彼らの工場などを見てそのプロフェッショナルさはいつも感じているところだ。しかし彼らはこのプロフェッショナルさを顧客に伝えることができていない。なんと下手な事だろうか!!Be Creative 360はその下手な部分をしっかりカバーしてくれる、と言うわけだからとても頼もしいパートナーといえる。
もう一度我々が下手なことを考えてみたいと思う。先ほど「伝える」と「聞く」の2つをフォーカスしたわけだがこの二つのファンダメンタル(基礎)は何だろうか?それは「お客様が考えている事を言われなくても確実に実行する事」なのだと思う。我々は結構忙しくて毎日時間に追われていることの方が多いのではないだろうか?故に相手のことを考えてあげられる時間がとても少ない。結果として問題が発生して後手後手の対応となってしまう。お客様はこの状態でお店に対する満足度などあるはずもなく、我々を攻撃の的にしてくるのが容易にわかる。「クリーニング業はクレーム産業である」と多くのクリーニング店経営者から話しを聞くことがあるが、その原因はまさしくこれではないだろうか?お客様と向き合う時間が足りないのだ。それが満足度を下げ、結果として会社を没落させていく元なのだと思うようになった。全てを自分でやることはとても難しい。そんな意味でBe Creative 360の存在はとても羨ましいと訳しながら思った。

食事もスピーチも終わって一行はKona Cleanersを訪問した。このモデルも面白い。ターゲット層は基本的にミドルクラス。決してハイエンドではない。Bobbyさんもこの顧客で潤沢に利益を稼げるとは思っていないようだ。そこで考えていたのは「Fire Restoration Business(火事など災害からの復元クリーニング)」と「ディズニーのユニフォームクリーニング」だそうだ。この3つのビジネスで工場を24時間3直で回すビジネスを展開している。これも考えさせられる。利益を上げるためにはここまで工場稼働させなければならなくなるのか?日本でこのモデルは可能なのか?そもそも働き手はいるのか?こちらも通訳しながらいろいろ考えてしまう。
クリーニング工場は決して特別感はない。業界人だったら誰もが普通に考える光景だったが包装機に付帯している自動ラベリング機能に皆さんの注目が集まる。「これ良いね〜!」
そのためには洋服のバーコード管理、受付から工場内部まで一貫したソフト管理が出来る事で成り立つシステムなので日本での導入はまだまだあり得なさそう。しかしこういう現場を見ることで参加者が今後の自社をどのように描くか、というお手伝いが出来ていれば企画の意味が大いにある。

参加された皆さんもさぞかし楽しめた事だろう。明日は2件のクリーニング店訪問である。こちらも頑張って通訳しないと!