新年を迎えてもう1ヶ月が過ぎようとしている。今年初めてのブログであるが残念ながら面白そうなネタはなかなかない。JCPCが共同主催していた2月3日の名古屋勉強会も新型コロナウィルスの影響で中止となってしまった。こうなるとネタは2月3日からスタートするCLV21東京展示会くらいしかない。三幸社はTOSEI、AQUAと並んで最大ブースを構えて出展することにしている。といっても15コマだから大して大きくないのだが・・・。今回はその中身を少々紹介しようと思う。
今回のテーマは「省人力」「ランドリー化」「シルバービジネス」の3つである。省人力はもはや説明の必要はないだろう。昨今、上がり続けている人件費をまかなう事が難しくなってきている。それまでは人を雇い、多種多様の洋服に対して人間力で品質をカバーしてきた訳だがこれからは同じ人数で同じように対応しようとするとなかなか利益が出なくなる。そこでより自動化を求めてくる傾向にあると考える。次のランドリー化については最近の私のブログにもあるように地球温暖化からやってくるウール製洋服の減少に対してどうやって売上をカバーするのか?と言うことだ。我々はそれをランドリー衣類でカバーすべきだ、と提案しようと考えている。そして最後のシルバービジネスだが、今後特化していかなければならないのはお年寄り向けサービス業に関わる事の出来るモデル開発と考えている。具体的には介護事業だろう。
そんなところから展示会場には7機種の新製品を展示することとしている。
- 高速型シングルワイシャツプレス機・カラーカフスプレス機(省人力)
2020年10月に発表したシングルなので新製品とは言い難いが発表してから一度も展示会で実機をお見せしたことはないので敢えて新機種扱いとした。今回の開発に関して社長も私も全く関与していない。「究極のワイシャツプレス機とは?」と題して社内にプロジェクトチームを作り、そのメンバー達がアイデアを駆使して開発されたものだ。今回からボディ内側から蒸気を出していたスチームインジェクション機能を外した。そして熱風温度を上げるために一つだったラジエターを二つに増やして乾燥時間を速くしたのだ。これにより生産スピードが従来機に対して1.5倍になった。それだけではない。スチームインジェクションを廃止した事でうるさかった音が10デシベルも下がった上になんとスチームを吹くよりも熱風温度を上げた方が仕上がりがとても良くなったのだ。これには驚きを隠せなかった。音が小さくなり、品質が上がって生産性が上がるなんて夢のような機械だ!それに併せてその熱風を40%もリサイクルする仕組みもできたので環境に優しく、燃費もかなり下がった。
またカラーカフス機もこれに合わせて新型を開発した。形は相当変わった。まずはプレス時間がなんと20秒でよくなった。昔のカラーカフス機で綿100%を押すと40秒は必要だっただろうか?通常の1.5倍の乾燥速度になったのだ。そして半袖のプレス方法が変わり、従来よりも綺麗に押せるようになった。このワイシャツセットを見に来るだけでも十分に価値があると思う。
- ノンプレスフィニッシャー(省人力・ランドリー化)
これは既に前々回くらいのブログで開発経緯についてもお話ししたと思うのでコンセプトについてはご理解いただけたと思う。まだご覧になっていない方々はバックナンバーを是非ご覧頂きたい。肝心な仕様であるが今回は展示会場がとても冷えている事を考えて低速の150枚/時で運営しようと考えている。ただフジ型ワイシャツプレス機を二人立ちでやろうとするとかなりの忙しさになると思うがこのノンプレスでの二人作業はかなりゆったりと作業できるだろうと予想する。ここには洗い方や使用する洗剤においても条件が出てくるのでそこら辺を是非現場で確認してもらいたい。
- オートフォルダー(省人力・ランドリー化・シルバービジネス)
三幸社で初めて私物洗濯用の自動たたみ機を開発した。日常着るシャツやズボン、パジャマ、タオルなど比較的薄めの素材で構成される大体の洋服をこれ一台で同じ大きさにたたんでしまうことができる。これから日本では労働者不足から家庭の主婦の戦力が不可欠になってくる時代を迎えるだろう。こうなると扶養控除制度が無くなる可能性も考えられる。そんな時代を迎えてから考えるのでは遅すぎる。今のうちから家庭洗濯の外注化が考えられる時代になる事を想定してサービスの確立を考えるべきではないだろうか?ちなみに平均たたみ枚数は6〜7枚/分と思う。たたみサイズを均一化し、その生産性を高めることを考えるとこのような機械は必要になってくるし、なによりも省人力でこなすことができるので是非実機を見て今後のビジネス展開の一角として考えてもらいたい。
- 集合包装
SDGsから関心の高くなっている廃プラスチック問題であるが、現在クリーニング業界に特別なタスクは課せられていない。しかし、地球環境保護においては我々も一緒に考えて行かなければならない時代になったのは事実である。そこでアメリカ市場で既に行われている集合包装を今回皆さんに紹介したいと思う。使用するフィルムは700〜720mm幅と流通している600mm幅から相当大きくなっている。しかし、ワイシャツは最大4〜5枚までまとめて包装出来るだけでなくスーツなどドライクリーニング衣類も2〜3着をまとめて包装する事ができる。フィルムの使用量を大きく削減する事ができるだけでなく地球環境保全に配慮している、という事業者としての配慮をこれでアピールする事ができる。会社のコストを下げることができるだけでなく先進的な活動をしている事と人々に評価される訳だからやった方が良いと思う。
ただ、一つネックになる事は「包装とソーティングのプロセスが逆になる事」である。それを各工場がきちんと考えられるかどうか?である。せっかくフィルム代を安くできたとしてもソーティングの部分で余計な人件費などがかかるようでは意味がない。それぞれの工場で事情も違うだろう。ゆえにもし興味があるならば一度相談に来てもらいたい。メリットとデメリットの両方をしっかり伝えた上で話しを先に進めるか、それとも辞めるか、を考えれば良いと思う。いずれにしても行動に移す場合の機材は揃っているので是非ご検討いただきたい。
- 新型人体・新型パフ
唯一のドライクリーニング関係の展示品である。決してドライクリーニング関連に力が入っていない訳ではないが、なかなかドライクリーニング関連での省人力化は難しい。と言うことで今回はそれまでの最新モデルであったDF-200Jに対する一部のお客様から不満のあった風量不足を解消するために対応モデルDF-250Jを開発した。
そしてもう一つは新型パフであるが昨年、某パフ老舗メーカーが廃業した事から今後パフを製造できる会社は三幸社だけになってしまったことから元々の構造を見直し、「Fine Steam」と名付けてそれぞれのパフを開発した。
どれも道具としては一見の価値があるので是非ご覧頂きたいと思う。
以上、今回は5つのカテゴリーで紹介したが、全て新製品である。昔から製造しているモデルは一台も出ていないのだ。この2年のコロナ禍においても製品開発し続けた結果を是非ご覧頂きたいと思う。
不幸にもオミクロン株の猛威で多くの都道府県ではまん延防止措置が発令されている。「できれば展示会に行きたかったがとてもじゃないけどこの状況では行けない」と落胆されている皆さんに朗報がある。今回は展示会場でYou Tubeのライブ配信をしたいと思っている。三幸社では当社製品を詳しくお届けできるライブ配信を考えている。そして私自身もこの「圭介のクリーニング紀行」としてのライブ配信をお届けしようと思っている。内容は展示会場全体を練り歩き、私が気になったメーカーの商品や新製品などを一緒に紹介しようと考えている。そこから見えてくる業界の将来は何か?を私なりに紐解いて行きたい。日程は改めて報告したいと思うので是非ご期待いただきたい。