そろそろ考えなければならない将来設計

皆さん、こんにちは。

6月も終わり、2021年も既に半年が過ぎてしまった。最終週から本格的に梅雨のシーズンらしくなってきて毎日が雨模様。特に今年は関東が当たり年なのだろうか。今年はそれまであまり降っていないイメージだったのだが先週から一気に降っている。雨がまとまって降るとコインランドリーはさすがに売り上がる。

6月は九州(福岡、佐賀、大分)と名古屋地区を訪問した。事前に公言せずに訪問しているので訪問できていないところも多々あるのだが行けなかった先についてはご容赦いただきたい。多くのクリーニング店は本業では大きく落としている状況のようだ。コロナ前の30%以上となるとその会社の緊急事態となるがそこまでひどい訳ではない。しかし20%以上、25%前後という下落率を多くのクリーニング店は「仕方ない」と考え、これからどうしようか?と考えあぐねているのではないだろうか?

私が訪問した全てのクリーニング店で売上と利益を伸ばしていたところは1社だけだった。その会社は本業のクリーニング業では20%の売上を落としていたものの地域のユニフォームクリーニングの仕事が入ってきた事で大きな売上と利益になったとのことだった。現在はこのユニフォームクリーニングの売上が会社全体の1/3までになっているわけだからこのクリーニング店は単に幸運だったと言えるかもしれないが、ご本人の常日頃からのネットワーク作りから勉強会や業界の会合に顔を出していたことから得たビジネスなのでご本人の人徳といえる。

今回の私が投げかけたいお題目は以上のように「クリーニング業を続けながらどんな事業、もしくはアイテムをプラス事業とするのか?もしくはどんな事でコストダウンを図るのか?」である。ドライクリーニングは本当に儲かる。有機的な汚れは簡単に落ちるし、洗い皺が簡単に付くわけではない。だから仕上げ工程は基本的にとても簡単である。しかし前回のコラムでも紹介したようにワイシャツ、ズボン、ジャケットで売上の70%を構成していたのにジャケットはもはや見込めないアイテムとなってしまい、シャツ類もどんどん家庭洗濯に奪われてしまっているのが現状なのである。もはや戻ることのないボリュームに対して今までの工場形態を維持しても非効率的なのは明白である。

それではいくつか考えを紹介したい。まずは「新しい事は何もやらない!今まで通りの活動を続けていく。しかしながらどこまでダウンサイジングしていこうか?」という考え。これも基本的には有りと思う。新しいサービスを始めたとしても顧客に認知してもらい、それを魅力と感じて利用してもらうまでには相当な時間と労力がかかるし、なによりも投資が必要なのだ。それらに対してリスクしか感じない会社は変化ができない訳だからダウンサイジングを図る事で収支を合わせることしか生き残る方法がない。それでもある工場を何も改善せずに放っておくと赤字の垂れ流しになるわけだからダウンサイジングに合わせた工場レイアウトと設備の再設計は必要である。お金を全く使わずに何も変えない会社は間違いなく終わってしまうことをここで明言しておく。

と言うことで私が最初に紹介したいのは「集合包装」である。これはダウンサイジングの一つの方法として紹介したものであるが、先月の全ての訪問先で一番反応が強かったのはこの集合包装だと思う。比較的投資が少なく、しかも地域の人々にCO2削減をアピールできるプロジェクトである。これは簡単な事で現在行っている単品包装を集合包装にする事だけである。最近はフィルムの厚さを更に薄くする傾向があるようだが、基本的に単品包装から脱却できていないのだからクリーニングを使っているお客様にはなかなか理解されづらい。しかし、複数の洋服を1枚のビニールで包装するならば顧客は明らかに減らしている事を理解してもらうことができる。最近のSDG’sの流れから多くの業界が廃プラスチック削減を行っている。これは大きなチャンスだ。今までは資材を減らすと言うことは「安っぽくなる」ということでなかなか出来なかった事だったが、この流れは「世の中に貢献しながら会社の費用を削減できる」という考えになるので是非やるべき、と提案した内容だ。しかし、使っているフィルムでは集合包装ができないので700mmレベルにしなければならない。フィルムメーカーに話しを聞いてみたら物理的には作れるようなので是非検討してもらいたいプロジェクトである。

もう一つ訪問先で大いに納得してもらったのは「水洗い衣類への対応」である。これは前回のコラムにも書いた通りだが、この環境下ではドライクリーニング衣類を集めるのは非常に困難なのだ。だから水洗い衣類に対してどのように全社で対応していくのか?と言うのがお題目だ。
水洗いは本当に面倒くさい。ドライクリーニングは仕上げが基本的に楽だが水洗いにおいては非常に手がかかる。実際にクリーニング工場においては水洗い衣類に対して生産性の高いレイアウトは全く考えられていないのだ。しかし、このような状況になってくるといい加減に無視する事はできなくなってきていると考える。そこでどんな水洗い衣類を集めることを目指すのか?そしてそれをどのようにしたら生産性を高めることができるのか?を考えて行く事が肝要と思う。
ポイントは何を集めるか?である。先ほどのクリーニング店のようにユニフォームに特化するならば徹底的に特化すべきと思う。他にもWash & Foldもあるし、私物洗濯ビジネスもある。私はポロシャツ、Tシャツ、ブラウスのようなワイシャツに近いアイテムを積極的に集めることを提案しているが、最終的にどんな集め方でも良いと思う。集めるモノが決まったらそれをどのように処理していけば良いのか?を考えて工場のレイアウトを再設定していく事が大切と思う。

他にもできる事はいろいろあると思うが、私は基本的に水洗い衣類を集めることで減り行くクリーニング業の補填にすべき、と考えている。同時に集合包装などを進める事で世の中の流れに貢献しながらもコスト削減にも寄与している状態を作る事を提案している。実際に何をやれば良いのか、を見いだせずに苦しんでいる会社がとても多いと見受けられたのでこちらの提案を真摯に受け入れて頂いたと感じた。いずれにしても利益率を高めなければ生き残っていくことは難しいので是非利益率の向上に精を出してもらいたい。