三幸社の飛沫防止板販売の裏側 その2

4月20日、ミーティングルームに朝から関係者が集まった。先週末に臨時役員会が開かれ、20日からの工場の休業を決定したのだ。残念ながら世界の需要が完全に止まってしまい、機械を作っても在庫が溜まってしまうだけ、と言うことで操業停止に追い込まれてしまった。しかし、我々には飛沫防止板がある!全員が出社するほどのボリュームではないが数人は出てもらわないと作る事が出来ない、と言うことで「お店deマスク」プロジェクトチーム全員が出社してくれた。

(全員で組み立て方などをチェック。なかなか難しい!)

早速、バージョン1を全員で検証した。組立は基本的にお客様にやってもらうことになっている。しかし組立方法などが確立していない。そこでQRコードを使った取説作りを始めることとした。アメリカからもオーダーがやってきた。私がFacebookで出した内容を読んでいる人が沢山いた。ロサンゼルスやサンディエゴのクリーニング店からも直接私に問い合わせがきたくらいなのでその注目度はかなり高い、と感じる様になった。結局アメリカからも200台近くのオーダーがやってきた。急ピッチで作って行かなければならない。工場は本当に一部ではあるが大忙しの状態となった。そしてショールームも臨時梱包の作業場となった。ある意味戦争状態。事務所で働いている社員達も総動員で梱包に当たる。

(ショールームが梱包場に変身。全員で作業に当たる)

私の中学時代の同級生が建装会社を経営している。この会社の外装、内装、雨漏り対策など色々面倒見てくれているのだが、彼にもこのマスクの販売をお願いしてみた。通常の機械と違って売りっぱなしに出来る商品だから彼が販売しても大丈夫と思ったからだ。こういう販売は人間関係の豊かな人が一番売れる可能性が高い。この同級生は本当に交友関係が広い。本人もすぐに乗ってくれて販売が始まった。早速2件のお客様から売上を持ってきた。「まだ売れるよ。いくつか話せる先があるから!!」と、本人もやる気満々。それと同時に一つ相談ごとを持ってきた。「あのさ、このお店deマスクの会議用って出来ない?実はある不動産屋さんがお客さんとのミーティングの時に使えるヤツがあれば良いのに、と言っていたから」と。

早速、社長にもこの話を伝えたら「面白い!早速作ってみよう」と言うことで会議用の飛沫防止板開発がスタートした。どんな感じになるのか、多分翌日には形になっていると思うのだが・・・。

4月22日、会議用の飛沫防止板の試作ができあがった。お店タイプと違って下のシャフトも上と同じようにビニールで引っかけるようになっていた。はっきり言ってお店タイプよりも格好いい。これなら多分喜んでくれるだろうと思った。早速、同級生の事務所に持って行った。「お、なかなか格好いいじゃん!うん、これなら売れるよ!!」と上々の反応だった。もしかしたら会議用もこれから売れる可能性が出てきた。ちょっと嬉しい。

(会議用の飛沫防止板。オフィスdeマスクと名付けた)

実はこのモデルから少し作り方を変えた。お店deマスクの開発担当をしている生産技術課の内田啓介課長は「バージョン1の構造は金属フレームと飛沫防止フィルムをネジで共締めする構造で、組立て勝手が悪く改善を行いました。改善内容としては、金属フレーム同士を予め組んだ際に自立できるよう“ハメコミ”構造とすることで、フィルム取付時の組立て勝手は向上しました。」とコメントしている。やはり組立づらさは絶対に流行らない。これも今後の売上要因に貢献してくれるのではないか、と期待した。

(お店deマスクシリーズ開発担当の内田課長)

4月23日、私がメンバーになっている埼玉の日高カントリークラブのコース売店向けに3台を設置させてもらった。やはりコース売店で働く人はかねてからお客様とのやりとりに危機感を持っていたらしい。ゴルファーは基本的にプレー中はマスクをしない。そしてコース売店には飛沫防止板が設置されていない。これが売店で働く人には大きな不満となっていたようだ。1週間前にお邪魔したときに丁度クラブハウスの売店コーナーでアクリル板を設置しようとしていたのでその時に声をかけたのがきっかけだった。せっかくなら見せてもらえるか?と言うことでサンプルを一つ持っていったところ、非常に反応が良かったので、今回コース売店で採用してもらえる事となったのだ。

売店で働くスタッフは「あ〜、来た来た。これで安心〜」とかなり心待ちにしていた様子。現場は経営と違い、感染リスクを常に気にしながら働いているのだな、と改めて経営が現場の安全を気にしてやらないといけないのだな、と再確認した瞬間だった。

(写真は西コースのコース売店。綺麗に設置してもらった)

来週から一足早くゴールデンウィークに突入する。しかし工場は実質休業状態で今週からゴールデンウィークに入っているような状態である。5月7日からゴールデンウィーク明けの通常営業がスタートする事になっている。それまでの間に少しでもこのお店deマスクシリーズが認知されていると良いな、と心から願っていた。

それにしてもどこにも出られないゴールデンウィーク、楽しみがない・・・。