段々と筆不精になってきた。それもそのはず。業界にネタがない。あまり個人を特定するような内容はかけないし、一般的な内容は限定的で面白みに欠ける。私はここ数年は「今後のビジネスは水にあり!」と書いているのだが、まだまだそれを信じている人は少ない。ドライクリーニングを捨てる必要はないのだが、それが主軸にはならない、と誰もが頭では思っていても心で思っているわけではない。パラダイムは間違いなくシフトしているのにそこに気づきたくないのだろうか…。
私はこれをドイツ行きJL407便の機内で書いている。成田を3月8日に出発した。すでに今年、5回目の海外出張である。1月はなんと3回も海外に出た。この3月も今回を含めて3週連続の海外出張を予定している。今年最初の出張は1月6日でアメリカ。12月に電子ビザであるESTAの更新が必要があることをすっかり忘れており、結果として渡航できなくなってしまった。全くの私の凡ミスである。あの時は現地に顧客訪問のアポを数件入れていたのだが、待っている皆さんに迷惑をかけた。そしてその帰りのフライトでは飛行機に乗り遅れる、という失態まで冒してしまった。幸いにも現在、JALのシカゴ便は一日に2便飛んでいるので次のフライトに乗ることが出来たのでなんとかなったが…。最近は人に迷惑かけてばかりだ。歳のせいにはしたくないが、確実に注意力が散漫している。
さて私は先月、1年以上ぶりに韓国を訪問してきた。前回の訪問は2024年11月だった。その時は韓国で11月としては前例のない記録的大雪を観測した。我々はゴルフをやる予定だったのだが出来ずに終わった記憶は新しい。今回は2月18日に訪問したのだが、まさにその日は中国をはじめとするアジアの旧正月のさなかだった。ただ、同時に2月18日はこの業界で韓国と言えば日本人の多くが知っている有名人、Sankosha KoreaのKim Tae Suk氏の還暦の誕生日だったので、私はあえて彼を祝いに行ったのだ。考えてみれば彼との出会いは1999年1月、ソウル金浦空港だった。私の韓国初出張はその時だったが、その当時は私は会社に入ったばかりで外国にはほとんど行ったことがなかったので、韓国という国においても全くわからず私は無事に日本に帰れるのだろうか?と不安な気持ちで到着したのをよく覚えている。その時に到着ロビーでKim氏が迎えてくれたのをとてもよく覚えている。彼とはそれからの付き合いなのですでに27年の付き合いというわけだ。私は彼の結婚式にも参加した日本人唯一の人間だったし、その時彼以外で日本語を話す韓国人など誰もいなかったのに残りの人間たちと夜通し遊んだ記憶も鮮明にある。韓国は自分にとってとても人間づきあいの深い国と認識している。

しかし、韓国は日本以上に変わった。日本よりもドライクリーニング業界の衰退が著しい。多くの個人店が姿を消している。やはり、コロナはとても大きかった。あの時期、一気に人々の活力を奪ってしまった。それまで後5〜10年はやっていこう、と思っていた人々の活力を奪った。そして業界に大きな衰退をもたらしている。我々にとっては大きな痛手になっているが、これはある意味早かれ遅かれ起こる現象だった。だからそれを嘆いても仕方ない。我々は先に進まなければならないと思うべきだと思う。
さて、韓国は新しいステージを迎えている。私は釜山に本部を置いているWorld Cleaningをとても注目していた。現在、50億という売上をあげているクリーニング店である。彼らは釜山だけではなかなか成長を見出すことが出来ず、活動の拠点を京畿道(ソウルがある地域)に広げている。

この京畿道は昔から韓国のNo.1であったCleantopiaが牙城を築き続けている。しかし、最近はこれらの店舗形式から洗濯特攻隊(英語名:Wash Swot)と呼ばれるネットクリーニングに移行しつつある。彼らは新しい販売形態を作り、人々に店舗まで持ってこなくて良い、家まで取りに行くし家までお届けする、という新たな便利を提供している。これが現代人を中心に大きな需要に繋がっているようだ。
私が注目したいのはCleantopiaの存在である。昔は李一族がその実権を長く握っていたのだが、コロナ前に韓国のファンドに売却した。その金額は150億円と言われている。とてつもない金額であるが、今回そのファンドが別のファンドになんと650億で売却した、というニュースが飛び込んできたのだからびっくりである。クリーニング店に650億という数字が本当に出るのであろうか?
今回の話はここがポイントである。World Cleaningは釜山からソウルに攻めている。しかし、その活動に反してなかなかシェアが広がらない。何故ならばソウル市民のCleantopiaに対するイメージや経験がとても強いからだ。李一族から購入したファンドは値段の再設定や強気の店舗展開で当時の100億からドライクリーニングだけで300億まで売上を増やしたそうだ。ドライクリーニングだけでこの現代に300億もあげられるのだろうか?私はこれに注目した。
今回のこの買収劇はこんな心理があるのではないだろうか。まずはCleantopiaがアドバンテージを持っていたのは「ソウルを中心に長年根ざしていたこと」である。人々は「クリーニング店=Cleantopia」と理解していたと察する。人々は基本的に満足している会社を使い続ける。それは品質、価格、そして人間関係と思う。それが成り立っている限り、他を使う理由は見つからないのだ。年月を通じて大都市のシェアを握っている会社は自分たちが良いサービスをし続けている限り、市民は他社を受け入れることが基本的にないのだ。ある意味、全ては我々次第というわけだ。今回のCleantopiaの買収劇はそれがポイントと思う。ブランドが市民の心に宿るのにはかなり年月が必要であるということと、そのブランドが常に輝き続ける必要があるということだ。

私はアメリカでとても大きな学びを得た。それは「地元を掘れ!」ということだ。一つのビジネスモデルで成功したらすぐに隣町を攻めるのではなく、自分の町をもっと掘って似て非なるビジネスモデルをもっと作り出すことだ、と私は学んだ。今回の韓国も一緒と思っている。Cleantopiaでさえユニフォームなどのランドリービジネスをはじめていて、それで100億という売上を作っている。結論としてはCleantopiaがコケない限り、World CleaningのNo.1はありえないのだ。そこでCleantopiaは今後何をやってその地域を掘り下げていくのか、は注目しなければならない。
アメリカの多くのクリーニング店はそれぞれが活躍している町を深堀っている。私が考えるに、これがクリーニング店の成功方程式だ。しかし、掘り下げるとは何だろうか?それは洋服をはじめとして「洗濯出来るものは何でもやる」という意味だ。例えばソファーや絨毯、カーテンなど生地で成り立っているものであれば何でもやってやる!というのが掘り下げる意味と思う。多くの会社が地域で活躍しているホテルやレストランのユニフォームやシーツ、テーブルクロスなどのクリーニングを行っている。これも地域を掘り下げる一つの活動と思う。こういう仕事が本来の我々の仕事なのだ。しかし、我々、特に日本はドライクリーニング業に固執しすぎている。何故ならばそれだけでも十分に儲かったからだ。だが、その仕事は確実に減ってきている。それは我々が認めなければならない。そして、次の売上を目指して開拓しなければならない。それを出来る会社が残っていくのだろう、と私は思う。
そのような活動をするためにはその地域で通用するブランド力が必要である。だから地元を掘れ!と言っているのだ。その条件は全ての地域で違うが、それは何か?を具体的に考えながら活動してもらいたい。ドライクリーニング業だけにこだわっている人の90%は間違いなく終わりを迎えるだろう。一部の高級層を相手にしている会社は大丈夫と思うが、そのビジネスでさえも徐々に細っていくだろう。ドライクリーニングをサイドビジネスに持っていき、次のビジネスモデルを核に持っていけるほどその会社は長く繁栄出来ると私は思う。そのためには地場でブランドが必要。それはCleantopiaが証明している。その次に何をするのだろうか?それをCleantopiaが設定していれば正解にすることは出来るかもしれない。何故ならば彼らはそれを正解に出来る権利を持っているからだ。
ビジネスはとても難しい。人々の消費においてはトレンドがある。そのトレンドに乗ることが大切である。その前に人々の心にそのブランドが宿っていることが売れるポイントの大前提である。今回の韓国を訪問して改めて気付かされた。商売を続けるためには如何に自分のブランドが地域に知られているか、を意識することが大切なのだ。ブランドイメージを創るためには投資が必要だ。そのためには利益を出せるビジネスモデルが必要である。全てが繋がっている。だからビジネスは難しいのだ。
