Texcare Shanghai

11月11日、私は上海に向けて羽田空港にいた。Texcare Shanghaiという中国の展示会に参加するためである。15年前はアジアで一番大きな展示会はクリーンライフビジョン21、いわゆるCLV21という展示会が東京もしくは大阪で行われていたものだった。しかし、アジア最大の展示会は中国に持っていかれた。日本の展示会は廃れてしまったのだ。何故だろうか?これは展示会を主催していた全ク連:全国クリーニング連合衛生同業会に問題があると思う。自分たちの権益ばかりを主張し、業界を幅広く活性化しようとしなかった結果がこのようになっている。残念ながら日本の業界展示会が再び世界の脚光を浴びることはないと思う。中国がコケれば話は別であるが…。自分の調子が良いうちに次の世代への準備をしなければならないのは世の常であるが、誰にとってもこのお題目は難しいのだろうか…。

入口にあった展示会の案内。
W1館のレイアウト図。三幸社は右の下にある。ズラリと中国企業ばかり!

 

中国は大きな発展を遂げている。昨年のドイツの展示会でも中国企業の躍進を感じ取ることができたが、今回もそれを印象付ける内容になっていた。「中国製品は安いけど品質が悪い」という固定概念が大きく変わろうとしている。値段は相変わらず安い。しかし製品レベルが格段に上がってきている。そしてその躍進は中国人のメンタリティから来ているかもしれないと私は考える。それは日本人のそれと似ているのだが、中国人も価格に対してはとてもうるさいのだ。商売での利益率が低いのは基本的に買い手の圧力が強いからである。利益率が低ければ値段の高い商品は簡単に買えない。しかし、値段は安くても商品に対する品質レベルはとても厳しいことを言ってくる。それができる企業が残るし、そのような企業は間違いなく会社のレベルを上げるし、それが業界のレベルを上げる。一方でそれまで品質の差に安心していた海外企業は一気にそのアドバンテージを失うこととなる。決して彼らはあぐらをかいていたわけではない。しかし、ものづくりをしているそれぞれの国ではそれぞれの経済事情がある。その状況で中国の物価レベルに合わせなければ販売はできないのだから簡単ではないと思う。今回、展示会場を見てびっくりした。いつもこの展示会はW1とW2の2ホールを使っている。W1はいわゆるインターナショナルホールとなっていた。しかし、今回はこのホールでさえ75%が中国企業で埋め尽くされていた。W2はほとんどが中国企業による出展である。残念ながら多くの海外メーカーは中国の価格圧力に屈してしまったのだ。我々はまだ出展することができているが、改めて中国に合わせた努力をしなければ撤退を考えなければならなくなる。安穏と商売ができることはないのだ、と思わされた一時であった。

いつも通りのブースが出来上がり!今回も準備万端!!
関係者全員で集合写真。皆で頑張りました!

 

展示会は相当な賑わいであった。11月12日から14日までの開催だったが初日の12日は満員御礼と言ってもいいくらいだった。我々はノンプレスを中心にワイシャツセット、ウール3点セットに包装機などを出品した。そして中国の多くの会社が必要とするものはボイラーを必要としない機械、いわゆるジェネレーター内蔵モデルである。その初モデルを風船型人体仕上げ機で出品した。中国は都市ガスがない。そして各建物やビルに供給される電気量にも限界がある。故に自家発蒸する機械がもてはやされる。その傾向に従い、我々は中国市場のために開発したのである。故に今回の展示会について我々は中国市場のためにできることはやったつもりである。
ブースのデザインについては今回、初めてバーカウンターを作った。そしてビールとワインを用意し、午後からブース来場者に振る舞った。飲み物を用意するだけで人々のブースでの滞在時間は一気に高くなる。これは世界共通であろう。もっとも一番飲んでいたのは私かもしれないが…。

ブースのバーカウンター。こういうのがあるとなんとなくかっこいい!

 

今回の展示会では中国以外からの来場者がとても多かった。特にインドや中東から多く訪れたのにはびっくりだった。昔、日本で開催された展示会では韓国や台湾は来ることがあってもインドや中東からはなかなか来ないものだ。しかし、この展示会ではそれらの人々が数多く訪れたのであるからTexcareというブランドは大したものだ。日本からの来場者はあまりなかった。私は13日の夕方便で日本に帰ったので最終日の状況は目の当たりにしていないが、最終日もそれなりに来場者が多かったと聞く。初日、二日目の2日間は多くの来場者と会話することになった。英語がかなり役立ったのだから多少は貢献しただろうか…。中国国内の見込みだけでなくその他世界からの見込みもあったのでまずまずの成果と言うことができただろう。

初日からすごい人だかり。パワーを感じる。
ノンプレスの前には常に多くの人が興味深そうに見ている。最近の風物詩!

 

日本の展示会ではここまで多くの来場者に囲まれた展示会はもはやない。やはり人が多いとパワーを感じる。その中で生まれる案件はありがたく感じる。やはり「忙しい」というのは我々をポジティブにさせる良い条件なのだ、と再確認する。結果はともかく、営業マンたちに今後の活動に十分な情報を提供してくれたのだからこの展示会出展は大成功と言える。さて、次の展示会はどうなることやら…。私は翌日の14日からフランス・パリに飛ぶ。