今年1年を振り返って 〜とても厳しいクリーニング業〜

なんと、今年も本日で終わってしまう。

飛沫防止板のお話しをのぞいてこのブログに載せるのは何ヶ月ぶりだろうか?2月に新型コロナウィルスが日本を席巻してからすっかり生活スタイル、世の中の経済がガラッと変わってしまった。私が最後に海外を旅したのは3月9日、本日は12月31日だ。最近はいろんな人に会う機会を頂いているが、会うと必ず言われるのが「圭介さんも海外には全然行っていないですよね?こんなことって今までになかったでしょう?」というフレーズ。あるわけがない。コロナ前の時代でこれだけ海外に行っていなかったら仕事を放棄しているようなものだ。それだけ三幸社という会社と私という人間は海外に依存しているのだな、と改めて実感する。

日本では感染の減少、Go Toトラベルの活用などでやっと経済にも動きが出てきたように感じる。最近は政府のGo To事業が影響して感染拡大を引き起こしてしまっているのではないかという話しも実際に起こっているが、日本人の自発的な感染予防活動は世界でも類をみないモラルだと思う。普通だったらこの時期は爆発的な感染が見込まれるというのに国全体の一日の感染率がアメリカに対して二桁違う。それでも日本では連日メディアを通じて大騒ぎしている。行政のトップもこの問題にしっかり向き合っている(他国の政府と比べての話し)のだから感染防止につながることは間違いない。先日のアメリカ大統領選挙でバイデンが勝利したと報じられているが、トランプが負けるのも無理はない。アメリカのように国のトップが新型コロナウィルスの問題に真っ向から取り組まず、感染予防を国民に呼びかけず、結果として自分自身がかかってしまう人に大統領を任すことなど出来るはずもない。早くアメリカもヨーロッパも感染防止に腐心してもらい、外国人を含めた人々の往来が出来る世の中を取り戻してもらいたいと思う。

さて、クリーニング業界は本当に厳しい時代を迎えてしまった。私は兼ねてからクリーニング業がどんどん縮小していく、という話しはしていたが、こんなに急にやってくるとは思わなかった。準備が出来ないくらい急だったことは不運としか言いようがないが、この業界縮小はコロナがあろうとなかろうといずれは避けて通れない道筋だったのだ。男性のユニフォームとも言えるスーツ上下、ワイシャツ、ネクタイが山のように集まる時代は終わりを告げようとしている。地球温暖化、ドレスコードの消滅、そしてコロナが生んでしまったテレワークなど今までのビジネスモデルを否定するかのような条件が次々と生まれてきている。この状況で20%以内の売上減でとどまっているクリーニング店は基本的に必ず生き残っていけるのだろうと予想している。しかし、一般的には25%から30%近くの売上減で推移しているクリーニング店も多いと聞く。

残念ながら私の予想では25%以上の売上を落としている会社は残っていく事は非常に難しいと考える。何故ならばそもそもクリーニング業でとても高い利益率(営業利益7〜8%以上)を保つお店がとても少ないからだ。一部のクリーニング店ではとても高い利益率を確保しているのを知っているが、基本的には一般消費者が顧客である。故に価格競争からくる利益率の低い状態で活動しているのがほとんどのクリーニング店であろう。しかし海外と比べて一つ良い条件がある。それは「料金前払い」という制度である。日本はこれがあるから低利益率であってもなんとか食いつなぐ事が出来たのだ。そこで必要なのが売上高なのだ。しかしこのコロナ禍で30%ダウンしている会社は相当厳しいと言わざるを得ない。売上向上における何らかの対策を考える必要があるだろう。

私は実際に20%以内で推移しているクリーニング店を数社訪問しているが、そういう会社は何らかのアクションプランをとっている。不採算店の閉鎖は当然であるが、一方でこんな時代での新規出店もしている。クリーニング需要がどんどんさがっているのにもかかわらず新規出店するのはしっかりとしたマーケティング、そして経営者による決断と投資が出来るからであってこれはなかなか出来ることではない。

同じ事が工場でも言えるだろう。工場は売上に対するプロフィットセンターになり得るし、コストセンターにもなり得る。コロナ前の売上規模を維持している会社はほぼないと思われる状況から工場のプロフィットセンター化に向けて経営者は腐心しなければならない状況であると思われる。要は今まで以上に利益を出すためにどんな工場改革をするのか?を考えなければならないのだ。ここに力を注げない会社は残念ながら残っていく事はとても難しいと私は考える。

これは我々のようなメーカーでも同じ事が言える。私のようにクリーニング店が売上をどんどん減らしていたら潰れるぞ!と。しかし「どうやったらこの状況を回避出来るのか?」と質問されて何も対応していないメーカーも間違いなく潰れるだろう。我々はそうならないことを願いながら新しい機械を次々と開発しているが、これからの時代は「人件費削減」が大命題になるだろう。

要は時代が変わったのだ。変わった時代に対応出来る企業のみがこの時代に生き残っていける。クリーニング店で言えば長時間営業に如何に少人数で対応出来るか、なのだろう。しかし時代の変化に投資はつきものである。それを嫌がっていたら何も変えられない。こんな時代に新しい事に対して投資すると言うことはとても大きな勇気が要る。それが出来る企業が次世代に対して対応出来る、と言うことで名を挙げる会社となるのだ。

今後のクリーニング業会はとても厳しい状況にあるのは間違いない。しかし、多くの企業がこの状況を乗り切ることを切に願いたい。我々も皆さんのリクエストに応えられるだけの会社であり続けたい。そして2021年がもっと躍動的な年になってもらいたい。私のブログももっと更新出来るようにしたい。来年から最低1ヶ月に1回はアップしていきたいと思うが、これは自分がどれだけ旅出来るか?次第だ。

早くアメリカ、ヨーロッパにオセアニア、海外に行きたいな〜・・・。