ここ3ヶ月のおさらい

皆さん、おはようございます。

これからアメリカに行ってきます。現在成田空港ラウンジです。予定よりも3日間遅れてしまって申し訳ありませんでした。「何を書こうかな〜」と思っていたのですが、考えてみればここ3ヶ月間くらいは日本のクリーニング業がこれからどんな事を考えて行くべきなのか?というお題目であれこれ書いていましたね。

それもそのはずで、やはり今年も多くのクリーニング店で売上の減少傾向が続いているのです。当然、我々の売上もそれに合わせて影響しておりまして日本での三幸社の売上はかなり落ちています。ここからも「クリーニング店が儲かっていない」という事を確認する事が出来ます。幸いにも弊社は海外の比率がとても高いので十分に補填は出来ているのですが・・・。しかし、母国である日本の業界が大きく縮小している事については大いに憂いを持たなければなりません。

と言うことでこの3ヶ月間でどんな話しをしてきたのか、もう一度おさらいしてみたいと思います。ポイントから言うと

1.業界は大きな縮小傾向にあって各社は変化しなければ衰退を免れない

2.一番の問題点は表現力。自社の価値を豊かに表現出来れば今後も安泰!

3.しかし表現するためには確固たる品質が必要。皆さんはそれを本当に持っているのだろうか?

4.プロの品質とは何か?それを定義し、表現することで家庭洗濯との差別化を図るべし!

5.一番考えるべきはワイシャツ。ワイシャツをもっと白く、綺麗にする事が大切!

6.家庭洗濯のワイシャツはどうして綺麗にならないのか?その差をしっかり説明しよう。

7.しかし新規顧客を獲得するのがとても難しい時代。これからどうやって獲得するか?

8.スニーカークリーニングが一番の方法!これを利用して新規顧客を獲得せよ!

9.その新規顧客に4番の差別化をしっかり説明出来るようにしよう!!

10.表現力で必要なのは「無駄なことに金をかける」こと。それが価値につながる。

こんな感じだったと思います。

ここに利益率と原価率の話しが加わってきて最終的に自社のビジネスは上手くいっているのか?という話しにつながると思うのです。私は日本だけでなく海外のクリーニング店も含めて工場原価率の設定が意外と高いのではないか?と感じています。要は店舗や商品のラッピングを含めた表現力にお金をかけることが出来ないビジネスモデルを組んでいることに問題があると思うのです。それではどのくらいで原価率設定すれば良いのか?と言うのが今後のお題目です。

これは同じ数字設定が出来ないと思います。量でビジネスを攻めたいのか?それとも量は少量でも品質重視で利益率大で攻めたいのか?考え方は様々です。そもそも原価率は原価を下げることばかりではなく定価設定を上げる事で原価率を下げることだって出来るのです。「しかし、定価を上げるのは難しい!」と考えるクリーニング店は多いでしょうね。その気持ちを振り切って新しい時代に即した新しい料金設定と品質表現をした会社のみが残っていけるのだと思います。

そのために新サービスをスタートする必要があるでしょう。ウェットクリーニングも有り、スニーカークリーニングも有りです。新しい事を加えることで会社のイメージをアップグレードして全体的に料金を改定していく、というのはとても大切なタイミングです。自分でタイミング作りをしなければいつまでたっても値段を上げることさえ出来ません。

このおさらいを是非考えていただき、今後のビジネスの足しにしていただければ幸いです。またこれからも海外の面白い情報はご紹介したいと思います。厳しい時代ではありますが是非頑張って良い商売を続けてください。

フランス展示会をみて考える業界の将来

皆さん、こんにちは。

先月ですがフランスに行ってきました。フランスは個人的にとても好きな国なんです。何故ならば最高峰のワインがあるからです。今回は2日間だけブルゴーニュまで足を伸ばしてワインの旅をしてきました。私もブルゴーニュを訪問したのは初めてで今までは名前しか聞いたことのなかったところをいろいろまわってきました。おかげさまでかなりブルゴーニュの事がわかるようになりました。それにしてもなんておいしいワインなんでしょうね・・・。皆さんには申し訳ないのですが個人的にとても楽しい旅をさせていただいちゃいました!今回は私の両親も一緒につれて行ったのですが思い出に残る旅が出来ました。

(有名なクロ・ド・ヴージョ。当時のシトー派の教会だったところです。この周りは特級のヴージョの畑でした!)

(誰もが知っているロマネ・コンティの畑。両親と記念に一枚!)

(この旅で最高と思ったワイン。ジョルジュ・ルーミエのシャンボール・ミュジニ。エレガントな香りで最高の味わいでした!)

さて、楽しい旅から一転、5月19日から21日まで展示会があり我々も出展して来ました。ここで一気に現実に戻されるのですが、なんと寂しい展示会だっただろうか・・・。2年に一度の全国展示会というのに来場者が3日間を通して延べ1000人も来ないのです。業界が衰退しているのがよくわかります。

(フランスの展示会、JETという名前です)

そして出展しているメーカー達も新しい提案が全くないのです。出しているのはドライ機、洗濯機、コイン、ドライ溶剤、ワイシャツ仕上げ機とこんな程度です。我々も決して新しいモデルを出していません。敢えて言うならば静止洗浄機ハイブリッドを参考出品した程度です。参考出品だから人々もまだ真剣に考えることはありません。結局、この展示会は総合的にみると失敗と言えるでしょう。

(我々のブースです。初日だからまだ人だかりがありましたが・・・)

(2日目の後半。もはやコアラも仕事がなく我々の機械を見学!笑えません・・・)

何故こんな状況になってしまうのでしょうか?メーカーにも大いに責任はあります。何も新しい物を持ってこないのですから。ただ問題の本質の多くはクリーニング店にあります。業界のイノベーションはクリーニング店でしか起こすことは出来ません。残念ながらメーカーでは無理なのです。

理想は

  • クリーニング店が新しいサービスを開始する構想をまとめる
  • メーカーらにそのサービスが円滑に進められるような機械、材料の開発をしてもらう
  • メーカーらがその開発を終えてクリーニング店に納品
  • クリーニング店がそのサービスをスタートしていく

とこのような順番でしょう。メーカーは顧客からのニーズを知らされない限り新しい事をスタートする事は出来ないですし、クリーニング店が進めてみたいという欲求がなければ何も事は起こらないでしょう。

フランスの展示会では残念ながら何も新しい物がありませんでした。もはやクリーニング店にその力がないのか?いずれにしてもとても寂しい話しです。展示会で会った一部の人々に日本で今ホットになりつつあるスニーカークリーニングの話しをしたらとても興味を持っていました。しかしこれだって韓国でビジネスが始まり、最近日本でも一部のクリーニング店が力強くやり出したからメーカーがソリューションを作る事が出来る、とこういうことです。誰も始めなければ我々メーカーが主導する事など出来ません。

来年、国際クリーニング会議が5月22日から24日までオーストラリアはメルボルンで開催される予定になっておりますが、この場でもスニーカークリーニングのビジネスモデルをお題目にしようと考えております。そんなにあれこれモデルを簡単に作れないことを考えるとこのスニーカークリーニングは次世代の世界的モデルに仕立て上げることが出来るかもしれません。私も精一杯活動してみようと思います。

我々はPTBプロジェクトというメーカーでのグループ活動をしております。今まで「ポロシャツ、Tシャツ、ブラウスプロジェクト」「ワイシャツ縮み防止プロジェクト」「ウェットクリーニングプロジェクト」とやってきましたが、どれも我々メーカーがトライした事でクリーニング店が言い出しっぺではないのです。結果としてなかなか取組が広がりません。しかし今回の靴クリーニングについては大いに可能性を感じます。

皆さん、是非ご検討ください!何もしなければ必ず衰退しますよ。