みなさん、こんにちは。
5月はまだ海外の出張がありませんので今回はアメリカと日本のクリーニング業の利益率の違いについてお話ししてみましょう。
私はほぼ毎月アメリカを訪問しております。アメリカを訪問していつも感じることは地域一番店がどの町でも儲かっているという事実です。数字にすると「利益がでない」と嘆いているクリーニング店でも15%の営業利益、儲かっているお店になると25%も出ているのです。一方日本では地域のチェーン店でも5%の利益率を出すのがとても大変な状況です。何故ここまで違うのでしょうか?
これにはいろいろ理由があります。最初に一番大きな理由は客層の違いです。アメリカでは「地域一番店=高級クリーニング店」であり、高級クリーニング店の料金は日本に比べるとかなり高いのです。いや、もしかしたら日本の料金があまりにも安すぎるのかもしれません。ここには考え方の違いがありまして、アメリカ人は顧客がそのお店に満足をしていると基本的に他のお店の事は全く考えないというのが特徴です。一方で日本人は顧客が常に新しい商品やサービスを開拓し続けるわけでお店との関係よりも支払いを少なくすることの方が重要と考えている傾向があります。
アメリカにはたくさんのお金持ちがいらっしゃいます。そんな人々が一番クリーニングを利用しています。一年間で500万円以上も支払ってくれる顧客がいるなんて羨ましい話です。日本ではどうでしょうか?一年間で10万円以上の支払いをしてくれる顧客は上顧客であるとよく聞きます。この差は本当に大きいです。しかしこれは我々が選べることではないので、この部分は本当にどうしようもありません。
アメリカの顧客はお金持ち、日本の顧客は中流層という差が営業利益の大きさ、小ささを作っていると言えるでしょう。我々はこの現状をしっかり理解したうえで今後のビジネスを考えていかなければなりません。
ただ、営業利益率を少しでも高くする努力はできます。しかし、多くのクリーニング店は「家庭用の洗濯機も洗剤もよくなってきている。家で洗濯する人がますます増えている状況で、我々はもうどうしようもない」とあきらめているようです。対策は「価格を安くすること」と考えているわけです。私はこの部分に違和感を覚えます。実際に「現在も家庭でできないこと」で「プロのクリーニング店では出来ていること」がたくさんあるのに、ほとんど説明していないのです。
例えば家庭洗濯ではお湯で洗っていないこと。どんなに洗剤を使ってもお湯と水では洗浄力に大きく影響します。自分の手を石鹸で洗う時が一番わかり易いのではないでしょうか?私だったら間違いなくお湯を使います。その方が綺麗になるからです。お洋服だって一緒です。ところが現在、ほとんどの家庭洗濯機はお湯が使える仕様にはなっていないのです。何故このことをクリーニング店では説明しないのでしょうか?
洗剤でも一緒です。大手メーカーは洗浄力の高い洗剤以上に「安全に使える洗剤」を開発しています。例えば、ワイシャツを本当に白くしたかったら30%濃度の過酸化水素水を一緒に入れれば間違いなく綺麗になります。が、こんな劇薬は家庭で使えるはずがありません。実際に業務用洗剤の方が家庭用洗剤よりも綺麗になることは明白なのです。
一番の問題は宣伝力です。クリーニング店は本当にこの宣伝力が弱いと思います。自分たちの強みをもっと店頭で出せれば安易な値下げをせずに集客することはできるのではないでしょうか?結局、やっている会社が儲かっており、やっていない会社は残念ながら儲かっていないのでしょう。
日本でビジネスをする限り、大きな売上を特定の個人から上げることは難しいでしょう。しかし売上に対する利益率を上げる努力はできるはずです。是非これを機に値段設定とプロモーションの仕方を考えてみてはいかがでしょうか?