我々のサウジアラビア滞在二日目、そして展示会の参加は最終日となった。昨日と同じように午後4時にスタートだったので少々遅くホテルをチェックアウトし、展示会場に向かった。やはりこの日もあまり大きな仕事はなかったが居ることに価値あり!ということで退屈な時間を過ごして展示会は午後10時に終了した。今日はこれからが大変だった。我々は夜10時半にこの展示会場を出発して車で4時間、ダンマームという町まで移動したのだ。ダンマームは1年前に訪問した町である。我々のこの旅の最大の目的はこのダンマームにすでに設置されている機械のチェックと試運転指導を行うためであった。Pro Careという代理店はとても新しく、我々の機械を設置したのは今回が初めてである。機械が我々の基準に沿って設置されているか?すでにオペレーター達によって使用されているとのことだったが正しく使われているのか、これがポイントである。それにしても真夜中に車で4時間かけて移動するとは…、あまりにもハードなスケジュールである。サウジアラビアの幹線道路には電気がない。多くの車が走っているので道がわからないことはないが、日本の道路が如何に整備されているのかがよく分かる。結局、ダンマームのホテルに到着したのは朝の3時だった。

ダンマームへの道中でサービスエリアのようなところに止まり、夜食を共にした。食べたのはハンバーガーである。ちなみにサウジアラビアにはファーストフードが溢れている。お酒は残念ながら飲めないのだが、レストランで24時間営業しているお店がとても多いのだ。サウジアラビア人は夜行性なのだろうか?と思ってしまうくらい夜の需要が高いようだ。それからファーストフードがとても多い。私はこの出張でファーストフードに4〜5回世話になっている。このサービスエリアで食べたのはBurger Kingだった。サウジアラビアには独自ブランドでHerfyというお店がある。これはこれでとても美味しい。KFCケンタッキーフライドチキンも食べた。しかしチキンのころもがとても厚くて私にはちょっと食べづらかった。同じ世界ブランドであってもそれぞれの地域で細かく違うのが面白い。Burger Kingはかなりアメリカ本土と同じ感じと思うが。この旅を終えて日本に帰国したときには2kgも体重が増えてしまったのが残念だが…。


さて、話をダンマームの試運転指導に移してみよう。朝3時に到着したので少し仮眠をとり、早速設置されている工場に出かけた。到着して早速機械を確認できたが、この工場では13台の我々の機械が動いていた。まずは機械の状況を確認しながら作業している人々の機械の使い方をチェックした。しかしここで問題発生。しばらくやっていないうちに私自身があまりにも試運転指導ができなくなっていたことだ。機械が新しくなっていてボタン一つにしてもどれを押せばいいのか、しどろもどろになってしまった。多少はできると思っていたのだがここまでできなくなっていたとは…、情けない。仕方ないので同行していた陣内部長に全部指導してもらい、私は通訳に徹する事とした。この工場で働いている人々はほぼインド人であり、このようなクリーニング工場で10年以上働いているベテランばかりだ。今までイタリア製の単純なウールプレス機を使っているので我々の機械であっても手つきはとても良い。はっきり言って試運転する必要がない、と感じてしまうほど上手く使っていた。



ただわかっていない情報や機能もあったのでそれらを説明しながら彼らがつけてしまった癖を指摘し、改善してもらう活動を行った。ただ彼らも長年この仕事をやっているのだから経験とプライドがある。人に教わると言う行為があまりうれしくなかったようだ。しかし、段々と自分たちの癖を理解し、正しく使えるようになってくると表情が柔なくなり、最後には我々の訪問を心から感謝しているような態度に変わった。


もう一つびっくりしたことがあった。それはこの工場が二直でやっていることだ。そして夜のシフトがなんと夜中の11時から朝の7時までやっていることだ。もちろん、作業している人が違うので改めて試運転をする必要があった。我々は夜中の11時から1時過ぎまで試運転指導を行った。真夜中に試運転指導をするのも初めてである。何から何までビジネスのあり方が全然違う。ただこの時間に働いているのはやはり出稼ぎのインド人やパキスタン人ばかり。アラビア人で働いているのは一人もいない。なんとなく使いたくない言葉ではあるが「奴隷化」している感じがしてしまう。それでもこちらで働いている人々は母国で働いているよりも稼げるのだろうから文句は言えないのだろう。なんとも悲しい現実を見た気がする。


あっと言う間の4泊の旅であったが少しサウジアラビアという国がわかったような感じがする。お酒が飲めないのがとても残念だが仕方ない。滞在期間中はノンアルコールビールを飲んで飲んだ気になったし、お酒がなくてもそれなりにぐっすり寝れるのにもびっくりした。ダンマームからドーハ経由で日本に帰ったときはドーハ空港での乗り継ぎにあまり時間がなかったのにもかかわらず走って空港ラウンジに行き、そこでスパークリングワインを飲んだときの新鮮なことよ!やはり最後の一番強い印象はドーハでお酒が飲めたことだった。(笑

お酒の話はさておいて、今後のサウジアラビアはどうなっていくのか?そして我々はどれだけのビジネスを作り出すことができるのか?これから同国を訪問する機会は増えていくことだろう。