再びサウジアラビアへ!(その1)

4月8日の深夜、私は営業部長の陣内と共に羽田空港にいた。この日は父の90歳の誕生日であったのだが残念ながら会えなかった。顔くらい出して上げられればよかったが、朝は会社に行き、午後はPTBプロジェクトの定例会を行い、その足で羽田空港まで来た。今回は残念ながら顔を出す暇がまったくなかった。帰国したら会いに行こうと思う。
この日はJALの深夜便に乗ってカタール・ドーハを経由し、サウジアラビアの首都であるリヤドに行くことになっている。わたしは今までJALがカタールに就航していることを知らなかった。昨年はカタール航空に乗って行ったので今回もてっきり同じかと思ったらJAL便だったのだ。ただ、中東の航空会社の機内サービスは総じてとても充実している。現在、日本に就航している航空会社といえばUAEアラブ首長国連邦のエミレーツ航空、エティハド航空、そしてカタール航空の3社である。そしてカタール航空は2024年で航空会社の総合評価1位を獲得した優秀な航空会社なのだ。故にカタール航空に乗れる事を楽しみにしていただけに少々残念であった。とは言え、JALなので安定の品質であることは間違いない。アップグレードはできずにエコノミーでの旅となったがここは気合を入れて羽田空港を後にした。
(前回のサウジアラビア訪問記は2024年の4月くらいに掲載されているはずである。その時の訪問記をご覧になってからこのコラムをご覧になるともっと興味深くお読みいただけるだろう。)

夜中11時の出発。同行した陣内部長。なんとも眠たそう…
経由便のカタール航空から写したドーハの町。中東で有数の近代都市である。

 

12時間のフライトの末にドーハ空港に到着、そして経由便にてサウジアラビアのリヤドに到着した。確か20年以上前に一度リヤドに来たことがあるがあまり記憶がなく、ほぼ初めてと言ってもいいくらいである。よく覚えていることと言えばスーツケースが届かなかったこと、そして到着してから3泊目にしてやっと届いたこと、そしてそれまで洋服や下着にとても困ったことである。当時のサウジアラビアは観光目的での入国を受け入れていなかった。だからフライトの数も多くなかった。更に言えば私が当時使ったのはフィリピン航空でマニラ経由、一日一便しか飛んでいないので不便極まりない。現地でサポートしてくれる人もいなかったのでとても心細かったことを覚えている。今回は空港に元Jensen Asiaの責任者であり現Pro CareのKajさん(デンマーク人)と現地社員のMaharさん(クエート人)が迎えてくれた。知っている人が空港に出迎えてくれるととても安心する。

空港から出たらすぐに装具する光景。これがこちらで言う砂漠。石とゴミのミックスである!


早速、車に乗って出かける。相変わらずの砂漠だ。砂漠というと普通に砂だらけと思う方が多いだろうが実際は石混じりのところが多い。そしてゴミだろうか、いろんなものが捨てられている。はっきり言ってとてもきたない!というのが印象である。我々が最初に向かった先は彼らが作っているランドリー工場である。なんと広い工場だろうか!ホテルリネンやユニフォームをやる予定とのことでJensenブランドがずらりと並ぶ予定だという。洋服関連についてはSankoshaブランドがずらりと入る予定で改めて現地で販売活動をしてくれる会社がないと可能性はないな、と痛感する。

新工場で設置中のJensenの乾燥機。しかし、フロアなどは砂だらけ!サウジらしい。


今回の大きな目的の一つはホテル器材の展示会に我々の代理店Pro Careが参加することから我々も一緒に参加する、という名目でリヤドに来たのだ。その次はてっきり展示会に行くのか、と思ったらとりあえずホテルに行くという。時間はすでに午後1時である。「展示会はどうするのか?」と聞いたらなんとスタート時間は午後4時と言う。おいおい、午後4時からスタートして何時までやるのか?と聞いたら午後10時までやるのだと言う。心の中で「え〜!」と大きく叫んだ。こんな開催時間は私にとって初めてのことだ。後で聞いた話ではサウジアラビアの展示会はこんな感じが当たり前らしい。考えてみれば真夏になるとお昼は50℃を超える。実際にこの日のお昼は40℃になっていた。昼を避けるのはなんとなくわかるが、各国のビジネス習慣というのは全然違うものだ。

リヤド中心地にある展示会場。流石に立派な建物。
会場の様子。カーペットが全体に敷かれており、とても高級感のある展示会だった。

 

さて、展示会場にやってきた。会場全体を見渡すとそれなりに広さはあった。それぞれのブースを見てみると多種多様なメーカーが出展していた。レストランで使う食器を扱う会社、フィットネスクラブで置いてあるようなトレーニング機器メーカー、キッチンメーカー、ベッドリネンやタオルを扱うメーカーなどなど。この会場の中でランドリー系の機器を出展をしていたのは我々だけだった。ちょっと早すぎたのではないか?それとも千載一遇のチャンスか?やってみないとわからない、ということで出展したらしい。我々のブースには機械が何もなかった。ということは我々はある意味仕事がない。それに加えて6時間の時差ボケである。夜8時くらいになったら自然と眠たくなってきた。気づいたら私はウトウトしていた。一体私は何をしに来たのか?仕事もなくぼーっとしている。故に時間がすぎるのがとても遅く感じる。これも後で聞いた話であるが、この代理店はこのようなホテル系展示会に出展したのは初めて、とのことだ。ということは認知度は残念ながらゼロである。そこで「我々はいい加減な会社ではないぞ!」という事を証明するために私にどうしても会場に居てもらいたかった、ということだった。居るだけでいい、というので一応仕事にはなっていたようだが、来場者と話すこともほぼなかった。10時に無事に終了し、我々はそれから夕食をとった。もはや夜食である!これではたとえお酒を飲まなかったとしても十分に太ってしまうのでは?と若干気にしながら食べた。結局、ホテルに帰ったのは夜中の1時であった。なんとも長い一日だった。

代理店Pro Careのブース。イメージのみの展示だったがデザイン性はとても良い。
夜11時に訪れたレストラン。サウジアラビアのローカルレストランだ。
オーダーしたのはミックスグリル。牛肉とラム肉のセット。夜中に食べる量じゃない!(笑

 

翌日は時差ボケもあり、意外と早い時間に目が覚めた。朝6時くらいだろうか。砂漠の夜は意外と温度が落ちる。朝6時はすでに太陽の日差しを浴びる時間帯ではあるが、まだ過ごしやすい。私はトレーニングウェアに着替えてホテルの近くをウォーキングすることとした。外に出たときは28℃、すでに太陽の日差しの強さを感じたが湿気がとても少なくこれなら歩ける、ということで4kmのウォーキングをした。外を歩くと車では見られないものがいっぱいある。

ホテルからすぐ近くの住宅地。奥には住宅が並んでいるが手前は整地された土地がガランとなっていた。
ある住宅の一角。このお宅もとても大きそう。決して特別なサイズではないらしい。とても立派な家だ!

私がとても注目したのはアラビア人の自宅である。とても大きい。日本でこのサイズであれば間違いなく大豪邸である。そういう家が沢山ある。もう一つ感じたこと、それは歩道がないことだ。考えてみれば当たり前である。こんなクソ暑いところを歩いている人などいない。私のようにウォーキングをやっている人などまずいなかった。ニーズがないわけだから設備もあるわけない。そんな環境下でアラビア人を見てみると相対的に太っている人が多い。お酒は飲まないが夜中まで肉を中心に腹いっぱい食べること、そして運動は一切せずにいつも車で移動すること、この繰り返しで太らない人はいない。これがサウジアラビアなのだと思った。

(次回、続きをお送りします)