タクシーから見える東京と関西の売上格差

皆さん、こんにちは。

Facebookには書きませんでしたが、先週はずっと関西に出張しておりました。その際に感じた事を今回は書いてみたいと思います。

家から駅までタクシーに乗りました。そこで運転手さんに「1日にどのくらい走るんですか?」という質問と「1日でどのくらいの売上を上げているのですか?」という質問をしました。結果は「250kmくらいは走ります」という答えと「おおよそ6万円かそれ以上」という答えをもらいました。私は「これだけ走って6万円しか売上が上がらないのか」と感じたのです。

さて、新幹線に乗って大阪まで来ました。そこでまたタクシーに乗りました。せっかくなので同じ質問をしてみました。そうしたらその答えにびっくりです。というのも一つ目の質問については「150kmくらいは走ります」という答えと「売上はおおよそ3万円くらい」と言うのです。私はすぐに次の質問をしました。「それではもっと走れば売上は上がるのではないでしょうか?」そうしたらすぐに答えが返ってきました。「無理ですよ、大阪では全く売上が上がりません。昔は200km以上走っていました。しかし売上が上がらないからもう走るのも辞めたんです。」という答えでした。

これにはショックでした。関西では東京のタクシーの半分しか売上が上がらないのです。東京のタクシー売上でさえちょっと少ないのではないか?と感じたのに関西ではその半分です。ちなみに東京に帰ってきてもう一度最寄り駅からタクシーに乗って聞いてみました。その関西の状況を聞いたタクシーの運転手さんは「3万円ですか・・・。それではとてもじゃないけど給与が出ない。運転手の仕事だけではとてもじゃないけど生活が出来ないと思います。会社も新車を買うことは出来ないでしょう。」との事でした。厳しい状況です。

しかしここにちょっとした関東と関西のメンタリティの違いがありそうです。今回も客先に寄り、一緒に食事をしに行った時の話です。そこでとてもおいしいウナギをご馳走になりました。最近、ウナギと言えば本当に高級食材です。そこで特上を選んでくれたのですが、その料金は2500円。特上で2500円はとても安い!と感じました。

そこで地元のクリーニング店の社長さんから一言。「関西では高いお金を払ったらおいしくても当たり前!と考えるのが一般的です。おいしくて安いから「おいしい!」って言うのです。関東の人々は高くてもおいしければ「おいしい!」って言うでしょ?それは我々と大きな違いと思います」と。

確かに地元の名店ですが店構えはとても古いし決して綺麗ではありません。東京でこの店構えで本当にやっていけるだろうか?と考えたら難しいかもしれません。ある程度店は綺麗じゃなきゃいけないし、接客も良くなければなりません。そこに価格を転嫁してもそれは当然と考えるのが東京でしょう。関西ではこのやり方ではむしろ上手くいかないのだ、と言うことを学んだ出張でした。

ただ売上を上げさせてくれない、というのは困った話です。私は常に「日本はアメリカに比べてキャッシュフロー(金回り)がとても悪い!」と言い続けておりますが、その原因は関西のこういうメンタリティがあるから、と言えそうです。もしかしたら関西以外の地域でもこのようなメンタリティはあるかもしれません。

いくら皆さんが商品の価値を上げようと頑張っても周りのお客様がその価格を許してくれなかったらどうしますか?私ならその程度の価格で出来る事を探すようにするしかない、と考えるでしょう。もしくは自分の考えに賛同してくれるごく一部の顧客のみを対象にするビジネスにするか・・・。とても決断に困る条件と感じました。

皆さんはどう考えますか?

沖縄でみたクリーニング業界

皆さん、こんにちは。

先日、沖縄に行ってきました。あるコンサルティングファームの研修会が現地で行われたので行ってきました。ついでといってはなんですが、クリーニング店も訪問してきました。その間に普天間基地なども見てきて、改めて沖縄の米軍と隣り合わせで生活している事情は大変なモノだな、と実感して帰ってきたのです。

クリーニング業界の事を訪問したクリーニング店に話を聞いて来たのですが、「ホームクリーニングの方は本当に点数が減ってきていて真剣に今後どうするか?を考えていかないとまずい!」とおっしゃっておりました。前回、ベルギーのお話しをさせていただきましたが、ここ沖縄でも全く同じ現象が起こり始めているのです。これは本当に困った!

 

今回、ちょっと沖縄ならではの話に遭遇したのは「かりゆし」です。沖縄には「かりゆし」(沖縄で着られている民族衣装。ハワイのアロハシャツに似ています)というシャツ代わりの洋服がビジネス上の正装となっていておおよそ4月から10月くらいまでが「かりゆし」を人々は着ているようです。そして10月から4月までの冬がワイシャツ、という傾向があるようです。クリーニング店の経営者様に話を聞いてみると時期にかかわらず「かりゆし」、ワイシャツ共に東京などの大都市と同じ位のボリュームで全体の40%位が占められていると報告を受けました。

たまたま国際通りの「かりゆし」専門店に入ってみました。そこで最近のラインナップを見てみると昔の「かりゆし」とは違い、ボタンダウンのものやスリムフィットのものなど我々が最近着ているワイシャツとあまり変わらない傾向になっているのが面白かったですね。

(かりゆしショップ。ワイシャツとは違い、半袖ばかり。カラーも豊富!)

(綿ポリ混紡のシャツが圧倒的に多い!)

それ以上に目に入ったのは生地の作りです。綿ポリ混紡がとても多く綿100%の「かりゆし」があまり多くないのです。むしろポリが65%で綿が35%というシャツの方が多く、これには一つの事情が絡んでいるのだろうと察しました。それは「家庭洗濯」です。実際に滞在中のある朝、我々はコンサルティングのグループツアーで皆さんとの待ち合わせ場所でしばらく待っていたのですが、そこでしばらく街を歩いている人々をじっくり眺めることが出来ました。この時期だと100%「かりゆし」を着る人ばかりなのですがあまりクリーニング店に出している人が多くないな、という印象でした。東京などの大都市でもワイシャツをクリーニングに出していない人の方が圧倒的に多いのだろうと思いますが、沖縄でも同じ状況になっているのを目の当たりにすると改めて考えさせられてしまいます。

我々クリーニング業界はどうやって生き残りを図っていくのでしょうか?私もまだわからないのですが家庭洗濯と融合していく事は考えていかなければならないのでしょうか・・・。水洗いやリネンの業界はまだまだ成長しています。世界的に成長しています。しかしドライクリーニング業界は衰退の一途をたどっています。この事実を我々は認識し、業態をどのように変えていくか?を考えていく必要があることを考えさせられた沖縄訪問でした。